中国スパイ気球撃墜と後遺症兵器XBB

今日はこの話題です。
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1.米軍の中国スパイ気球撃墜


2月4日、アメリカの国防総省は、1月28日にアラスカ州アリューシャン列島北方の防空識別圏に入り、1月31日からアイダホ州から米本土を横断していた中国の偵察気球を撃墜したと発表しました。

国防総省によると、空軍のF22戦闘機が空対空ミサイル1発を使い、南部サウスカロライナ州沖約11キロの米国の領海上で撃ち落としたようです。

オースティン国防長官は声明で「気球は米本土の戦略的拠点を監視する目的で中国が使っていた」と指摘。国防総省高官は「明らかに機密性の高い米軍施設の上空を飛んでいた」とコメントしています。

これについて、アメリカのバイデン大統領は、2月1日に米本土への偵察気球飛来の報告を受けた後、人的被害の危険がなくなり次第、撃ち落とすよう国防総省に命じていたと明かしました。

国防総省は3日には、中南米でも別の中国の偵察気球が飛行していると発表。翌4日、国防総省高官は中国の偵察気球はここ数年、東アジアや南アジア、欧州など五大陸で確認されていると説明し「各国の主権を侵害しており、受け入れられない」と批判しています。

今回の気球は、全米メディアが注目するなか、撃ち落してみせるという形で行われたのですけれども、その理由として「回収して詳しく調査すること」と「国内からの圧力」の2つが指摘されています。

前者について国防総省は、気球は偵察用のものだと断定していますけれども、その性能や、集めていたと見られる情報を突き止め、中国の意図をつかむねらいがあると見られています。

後者については、野党・共和党から、バイデン政権は、中国に対して弱腰だという批判を浴びており、毅然とした態度を国民に示すという政治的な思惑もあったとも指摘されています。

今回の件を受けて、ブリンケン国務長官は予定していた訪中の延期を発表していますけれども、これについてジャーナリストの山口敬之氏は、バイデン大統領が中国と中国と不透明な関係があるんじゃないかという疑惑をかけられてる中での訪中は問題になることが予想されることから、訪中をキャンセルするための口実として使われたと指摘しています。




2.習近平の台湾進攻準備支持


気球について、中国政府は「この気球は中国から来ている」と認めた上で「気球は、民間の気象などの研究に使われていて、風の影響で航路を大きく外れた。不可抗力でアメリカに侵入したことに遺憾の意を表明する」と言い訳していますけれども、そんな戯言をその通り受け取るアメリカではないでしょう。一体何を観測したかについては、残骸回収と解析が上手くいけば明らかになると思いますけれども、気球が飛行していたモンタナ州には、空軍基地があり、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射施設が点在しています。

これについて、防衛研究所の高橋杉雄氏は「電波をとったり写真をとったりして送信するということではないか。中国も今、ICBMの基地をつくろうとしているので、そういう基地がどういう形で電波のやりとりをしているのか、そういうところを調べようとしていた可能性はある」とコメントしています。まぁ、普通に考えればそうなります。

なぜ、軍事施設の偵察をするのかというと、将来の軍事的衝突に備えてのこととだと考えるのが自然です。

無論、アメリカもそれを想定しています。

2月2日、アメリカ・中央情報局(CIA)のバーンズ長官は、首都ワシントンにある大学で、中国による脅威やウクライナ情勢などについて講演しました。バーンズ長官は、この中で、諜報活動などで得られたインテリジェンスの情報としたうえで、中国の習近平国家主席が「2027年までに台湾侵攻を成功させるための準備を行うよう軍に指示していることを把握している……これは習主席が2027年や、ほかの年に台湾を侵攻すると決断したということではない。ただ、習主席の関心や野心が、いかに真剣かを示すものだ。彼の野心をみくびるべきではない」と述べました。

更に、バーンズ長官は、長期化するロシアによるウクライナへの軍事侵攻を、習主席は注意深く観察しているとの見方を示し、「少し不安を感じ、目を覚ます感覚になっているかもしれない」との見方も示しています。


3.戦争型国防動員の新しい構図


その他にも中国は戦争の準備に入ったと思しき動きがあるとの指摘もあります。

評論家の石平氏によると、今年に入って中国各地で「国防動員弁公室」の設立が相次いでいるそうです。1月5日に北京、9日にはハルビン、11日、内モンゴルの呼和浩特(フフホト)、13日に武漢、17日に内モンゴル・赤峰、23日四川省、29日四川省自貢市に設置。

そして1月31日の解放軍報では、「戦争型国防動員の新しい構図を構築せよ」する論評を掲載しています。

件の論評は次の通りです。
戦争型国防動員の新しい構図を構築せよ  陳立新

はじめに

第20回党大会の報告書では、国防動員および予備軍建設の強化が提案されている。 勝利を支える強力なバックボーンとして、国防動員は常に戦争のために存在し、戦争のために準備される。 戦争に強い国防動員の建設は、将来の情報化・知能化戦争に勝つための能力を要求するだけでなく、新時代の国防動員建設の発展の鍵を握るものでもあるのだ。

・戦争型国防動員を構築した時代の意義の認識

今日の世界は100年に例を見ない大きな変化を遂げており、戦略リスクはより連動し、突発的に変化するため、国防動員は「戦争」への使命と課題に焦点を当て、変革・革新し、効率的で精密かつ繊細な、持続的変革能力を強化し、優れた動員支援で敵を制する必要がある。

目的は、新しいタイプのハイブリッド戦争に勝利することだ。 近年、ハイブリッド戦争は理論的な創造から実用的なブレークスルーへと移行しつつあり、地政学的な状況を変え、世界を大きくこじ開ける強力なレバーとなり始めている。 より複雑化した国際情勢の中で、将来の敵と我々との戦争は、軍事、政治、経済、科学技術など従来の領域だけでなく、認知領域、社会領域など、さらに浸透していくことになるだろう。 さまざまな対立が織り交ぜられており、国全体の安全保障には総合的な計画と体系的な配置が必要なのだ。 軍と地上を結ぶ橋渡し役である国防動員は、社会の各分野の人材、技術、産業資源を活用・動員し、戦争に役立てるという独自の強みを持っている。 マルチドメイン連携、クロスドメイン連携で将来の戦争に勝つためには、全領域・全次元で戦える国防動員を築くことが急務となっている。

ゲームコントロールをつかむための効果的なサポート。 これからの戦争では、人工知能などに代表されるハイテク・クラスターが、知覚、判断、告発、作戦上の優位性を形成するための前提条件となる。 特に宇宙、ネットワーク、その他の新しい戦闘領域でのゲーム対決では、ハイテクで優位に立つ側は常に相手に「格下制圧」、あるいは「破壊的な攻撃」を引き起こすことができる。 近年、国の経済発展と科学技術力の全体的な飛躍に伴い、国防動員は国の科学技術の潜在力を十分に引き出し、効果的に集約し、転換するための重要な手段となっている。 新しいニーズ、新しい技術、新しい能力を核とし、戦場での防衛出動は、ハイテクを高度な戦闘力へと急速に転換させ、将来の戦場を支える巨大な潜在力を解放することができるのだ。

人々の戦争の力を引き出す大切な方法。 人民戦争は、マルクス主義と中国における革命戦争の実践が結びついた産物であり、わが軍が敵を打ち破り勝利するための魔法の武器である。 現在の世界では、軍事的な変化が深まり、戦争は加速度的に進化し、人々の戦いの現れ、用途、対象領域も進化している。 新時代の人民戦争は、党の長期的指導のもとで一般大衆に依拠し、中国式近代化の過程で成長・拡大した全人民的動員の潜在力に依拠し、中国の知恵が軍事分野に適用されたときに戦争の潜在力を解き放つものである。 時代の要請に応え、新時代の国防動員は、国家再生の新たな旅路における国家安全保障のリスクと課題への対処に焦点を当て、あらゆる社会部門の総合的発展を通じて蓄積した力と潜在力に依拠し、伝統的分野と新興分野の力を結集して、その組織力と潜在力をより発揮し、新時代の国民の戦争に奉仕し保護することができるようにするものだ。

・戦争型国防動員の構築の科学的指針をつかむ

戦争の形態が国防動員の形態を決定する。 新しい時代に戦争ができる国防動員を構築するためには、物理領域、情報領域、認知領域などのマルチドメイン戦闘のニーズに焦点を当て、軍民協力、広域展開、科学技術力の強化、デジタル知能を堅持し、将来の戦争に確かな支援を提供する必要がある。

民衆と兵士が勝利の基本である。 これからの戦争は、敵の雄大な力に対抗するために、人民の戦争を構築する利点を十分に発揮しなければならない。 第一は、全人民の動員を堅持してエネルギーを集め、民意を結集し、民間の知恵を集め、民間の支持を得て、相手を倒すための全体的な相乗効果を形成することである。 第二に、軍事と地方の協調を主張してエネルギーを蓄積しなければならない。戦略計画の調整、国防要件の実施、動員同盟の構築、先端技術の転換、戦略的予備力の実施などを通じて、積極的に複数の当事者の力を集め、仕事のチェーンを開き、戦場に基づいて、戦力を構築する。 もう一度、制度改革を堅持して能力を強化し、国防動員制度の改革を深め、国防動員制度を改善し、国防動員制度と共同戦力制度および国家統治制度の綿密な統合を推進し、民軍統合緊急対応システムの形成を加速しなければならない。

また、戦争への備えも "フル次元 "で行っている。 これからの戦場での対決ゲームでは、あらゆる有利な要素を動員し、あらゆる有用な力を発揮することができる。 戦える国防動員を構築するためには、あらゆる分野の潜在力を結集し、優位に立つ能力を高め、全地域を制覇しなければならない。 一方では、戦場空間の限界の拡張に注力し、国防動員力を従来の陸・海・空の戦闘領域から宇宙・ネットワーク・電磁波・認知などの新戦闘領域への拡大を推進し、戦争準備に緊急に必要な辺境科学技術人材と技術資源を深掘りし、未来の戦場で新しい高みを掴むのに役立てるべきである。 一方、戦力の多領域分散を重視し、あらゆる技術資源を調整し、戦力となりうるものをすべて集め、効果的に勝利を保証できる国防動員力を形成しなければならない。

科学技術の強化、戦争を支える「新しい質の力」。 共同戦力の「ブースター」として、防衛出動は科学技術の強化にもっと注意を払い、科学技術の長所を集めて解放し、戦争を抑止し勝利するための新しい質の高い戦力支援を提供しなければならない。 戦争形態の進化を推進するハイテクの法則を把握し、知能戦や認知戦などの新たな軍事ニーズを展望し、戦略的新興産業と発展途上のハイテクに依拠し、戦略的・先端的・破壊的ハイエンド動員資源を深掘りすることが必要である。 また、国防動員制度改革の成果を活用し、ハイテク産業の参画の道を広げ、国防動員力のリソースの適応的なクロスドメインクラスター化と柔軟なグループ化、広域・全ドメイン、機動的・敏捷な展開を模索し、科学技術力の向上に資する組織形態を形成していくことになる。

デジタル情報収集の優位性、戦争を守るための「正確で繊細な情報」。 これからの戦争では、戦力を集めるスピードと精度が、戦場の主導権を握る重要な要素になる。 防衛出動は、潜在的資源の変換効率を総合的に向上させるため、統合的で機敏な対応と、優位性のある知的な収集に変えなければならない。 一方、地方のデジタル化建設の成果と最先端の情報技術に依拠して、クラウドネットワークの統合と演算能力の集約を通じて、縦に各階層を貫き、横に各分野をカバーする動員情報プラットフォームを構築し、異なる戦闘シナリオの需要と供給を一致させるデジタルモデルを構築し、動員状況の全領域把握、任務の知的割り当て、業務のリアルタイム規制と制御を実現させる。 一方、デジタル標準システムを確立し、防衛動員機関、戦略的貯蔵・補給基地、軍民共用施設、支援・治安部隊など戦争支援システムの要素を包括的に規制し、レベルウォー変換の時期、手順、措置、期限を定め、迅速な対応と適時変換を確保する。

・戦争に強い国防動員の構築の実践的道筋を探る

戦える国防動員を構築するためには、戦場を目指し、実戦を重視し、統一指導を堅持し、戦略計画を強化し、訓練転換を進め、政策法規を改善し、内部建設と発展の道から完全に歩み出す必要がある。

国防動員における党の全面的な指導を堅持すること。 党の中央集権的で統一的な指導は、戦争できる国防動員を構築するための基本的な政治的保障であり、新しい時代に国防動員をうまくやるための政治的優位性である。 これを機に、国防動員体制の改革を深化させ、国防動員における党の中央統一指導の組織的連鎖を縦横に改善し、軍横断、部門横断、地域横断の仕事の調整を強化し、国防動員のあらゆる分野、局面、リンクへの党指導強化を有効に実行する必要がある。

国防出動の戦略的計画を強化する。 戦略的目標をよりよく実現するために、戦略的計画を策定する。 現在、戦略立案における統合・融合設計をさらに強化する必要がある。 我々は、軍事と地方開発の関連性と結合を強化し、国防動員の重要なニーズ、プロジェクト、計画を国民経済発展の戦略的計画プロセスに組み入れ、軍事と民間の技術の双方向ドッキング、基準の統合と標準化、機能の融合を促進し、国家の発展パターンに合った国防動員のレイアウトを形成することに焦点を当てるべきだ。

防衛出動訓練の転換を推進する。 軍事訓練は、戦闘力を生み出す重要な手段であり、戦争主導の建設と戦争準備を実現するための重要な手段である。 強軍国家建設という発展実践の観点から、国防動員分野の訓練モデルは、戦争形態の進化の法則に適応し、戦闘形態にマッチしたものであることが必要である。 今後、共同戦力の勝利メカニズムに従い、戦時国防動員の構築は、実践的で有効な戦法と訓練の共同革新を骨子とし、各レベルと各分野の国防動員システムの訓練形態を全面的に最適化し、軍事と地方の共同演習・訓練、実戦とシナリオの共同訓練、専門要素の共同訓練を強力に強化し、新しい分野と新質の動員力を共同戦力・訓練システムに組み込むことを強調する必要がある。 また、軍と地方の大学や研究機関に依拠して国防動員戦闘実験室を設置し、重点分野と潜在的資源を調整する仕組みを改善し、ハイテク成果の転換の道をスムーズにすることで、国防動員支援の生成サイクルを加速させる必要がある。

国防出動に関する政策・制度の改善。 "法は統治の果てにある" 国防動員は、党、政府、軍、企業、民間の団体と制度が関与し、広い分野をカバーし、多くの要因、利益、要求を受け、政策と規則の規制、指導、保護と切り離すことができない。 未来の戦争に立ち向かうためには、国防動員に影響を及ぼす政策の盲点、規制の漏れ、機構の閉塞に注目し、国防動員分野の政策と制度の改革を引き続き深め、憲法を基礎に、基本法を背骨に、特別法を支え、地方支援政策を補完する動員規制体系を構築する必要がある。 また、国防動員の建設、管理、保障、監督など、各レベル、各分野における軍と各部門の責任と任務を包括的に明確にし、国防動員のニーズのマッチング、指揮と適用、徴用と補償、訓練と転換、検査と評価の制度メカニズムを体系的に規定し、正のインセンティブと負の制約によって軍と地方産業間の障害を最大限に打破し、戦力的国防動員の建設に確固たる支援を行う必要がある。
もう使えるものはなんでも使う世界です。1月19日のエントリー「台湾をめぐる次の大戦の最初の戦い」で、アメリカのCSIS(戦略国際問題研究所)が台湾有事での戦争シミュレーションを行った報告書について取り上げましたけれども、あんな風な、正規軍同士が対峙してドンパチやるような戦争だけを想定していないことが分かります。


4.海上封鎖とサイバー攻撃の組み合わせ


これについては識者も懸念を示しています。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、現代ビジネスの2月3日付けの記事 「中国・習近平がたくらむ台湾侵攻『恐ろしいシナリオ』で、日本経済は『大打撃』を受ける」で、海上封鎖とサイバー攻撃の組み合わせで、台湾を屈服させる作戦を行うかもしれないと指摘しています。

件の記事から該当部分を引用すると次のとおり。
米メディア、グリッドは1月27日、中国が海上封鎖によって、双方に大量の死傷者を生じることなく、台湾を奪取するシナリオを紹介した。筆者のジョシュア・キーティング氏は安全保障問題を専門にするベテラン記者だ。

それによれば、中国は潜水艦を含む大量の艦船と航空機を動員して、海と空から台湾を封鎖する。それによって、台湾は軍事物資はもちろん、輸入の9割を占める食料と原油を調達する道を閉ざされ、「1人の兵士を島に送ることもなく」主権をめぐって、中国側との交渉を迫られる、という展開になっている。

米欧の軍事専門家の間では、台湾とロシアに侵攻されたウクライナとの最大の違いは「台湾にポーランドはない」という認識で一致している。つまり、台湾には頼りになる友好国が近くにないのだ。日本は台湾に友好的だが、海上封鎖している中国軍との戦闘を覚悟してでも、断固として支援するとは、言い切れない。

結局、米軍が戦闘覚悟で封鎖を突破しない限り、台湾は中国との交渉で「事実上の敗北=主権放棄」を迫られる、という厳しい立場に立たされてしまう。

以上のような海上封鎖シナリオは、これまでも指摘されてきた。

たとえば、昨年8月25日付のニューヨーク・タイムズは「いかに中国は台湾の首を締めるか」という大型解説記事で、海上封鎖シナリオを紹介した。それによれば、台湾は人口と産業、港が中国に近い西側に集中しており、中国軍はいざとなれば、主要な港に軍艦を送るだけで封鎖が可能になる。

実際、ナンシー・ペロシ下院議長(当時)が昨年8月、台湾を訪問した後、中国は日本の排他的経済水域(EEZ)を含む台湾周辺の5カ所の海上にミサイルを撃ち込み、空には戦闘機を飛ばした。これは、海上封鎖シナリオを強くうかがわせる軍事演習だった。

このとき、中国は同時に初歩的なサイバー攻撃も敢行した。

高雄の新津営駅に設置された大型の電子掲示板がハッキングされたのである。ディスプレイには「魔女(ペロシ氏を指す)の卑劣な台湾訪問は、祖国の主権に対する深刻な挑戦だ」という文字が浮かび上がった。本物の戦闘になれば、この程度では、とてもすまないだろう。

それ以上に懸念されているのは、中国と台湾を結ぶ海底ケーブルを切断される事態である。島国の台湾は世界との通信の9割を海底ケーブルに依存している。これが切断されると、台湾が事実上、世界から孤立するだけでなく、相互接続されている日本や韓国にも大きな影響が及ぶ。

ウクライナ戦争では、ロシアがウクライナの穀物輸出を阻止して大問題になったが、台湾の場合は半導体が焦点になる。いまやスマートフォンや自動車など、あらゆる製品に台湾製の半導体チップが使われている。中国が台湾を封鎖すれば、たちまち世界中の半導体供給がストップしかねないのだ。

グリッドの記事は「第1週から混乱が始まり、4週から8週目までには、あらゆる種類の製品に実質的な混乱が広がるだろう」という専門家の声を紹介している。

もちろん、海上封鎖シナリオでも米中が激突する可能性はある。米軍艦船が封鎖を突破しようとした瞬間に銃撃戦、あるいはミサイル戦が始まるかもしれない。その場合、米軍を護衛している自衛隊が援護に回れば、自衛隊が戦闘に巻き込まれる可能性も十分にある。

そうだとしても、ノルマンディ型上陸作戦に比べれば、大規模戦闘に発展する可能性は、ずっと低い。少なくとも、当初は米中台(日本も)のにらみ合いが続くのではないか。数週間、あるいは数カ月単位の持久戦になるかもしれない。

その間に、中国はサイバー攻撃で台湾のインフラを破壊し、世界との通信を断つ。死傷者を出さずに、徐々に攻撃の強度を上げていき、台湾が音を上げるのを待つ作戦だ。

台湾侵攻と言えば、ノルマンディ上陸のような大作戦を連想しがちだが、実は、以上のような持久戦で、中国は目的を達成できるかもしれない。日本はどうかといえば、こうした展開になった場合、自国領土が攻撃されるか、あるいは米軍が攻撃されなければ、動けない。
このように正規軍同士の弾の撃ちあいではないやり方は先述した解放軍報の論評「戦争型国防動員の新しい構図を構築せよ」に通じるものがあり、やはり、こうした「変化球」的な方法で攻めてくる可能性は十分あると思います。


5.後遺症兵器XBB


解放軍報がいう「戦争型国防動員」では、「民衆と兵士が勝利の基本」と述べていますけれども、ぶっちゃけていえば、相手国に居住する中国人を工作員をしてテロさせることだって十分考えられます。なんとなれば、武漢ウイルスのような生物兵器をまき散らすことだって出来ますからね。

その意味で少し気になるのは、今アメリカで感染拡大しているとされる武漢ウイルスのXBB1.5変異株です。

このXBB1.5変異株は中国でも感染爆発しているのですけれども、ジャーナリストの鳴霞氏によると、XBB1.5に感染した人は回復した2ヶ月後くらいから酷い後遺症に悩まされているのだそうです。

後遺症として、難聴とか、脳炎とかを発症するそうなのですけれども、後遺症が酷ければ、普通の生活を送ることが難しくなります。

もし、XBB1.5あるいは、酷い後遺症が長く続くような強化XBB1.5株をまき散らし、アメリカ軍に蔓延させてしまえば、感染した軍人は後遺症に悩まされることになります。たとえば、その後遺症が、難聴だとか、脳炎によるブレインフォグといったものであったしたら、その人は軍事作戦を満足にこなすことはできなくなってしまいます。

仮にアメリカ軍に変異株が感染爆発して多数が後遺症に苛まれるようなことになれば、いくら強力な軍備があったとて、それを動かすことができず、事実上無効化されてしまいます。

勝つためならなんでもやる、ルールなどないというのであれば、自国民に感染させて生物兵器化させるとか、なんとなれば、冷凍食品など中国産の製品にウイルスを付着させてばら撒くなんてことだってありえます。

その切り口からみてば、今アメリカで感染が広がっているXBB1.5株の感染者の状態が、その後遺症も含めてどうなっているのか、慎重に観察する必要があると思いますし、武漢ウイルスのアメリカ軍人への感染を阻止・緩和すべくなんらかの手立てを考えておく必要があるのではないかと思いますね。

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