復活するプーチンの年次教書演説とベラルーシ

今日はこの話題です。
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1.復活するプーチンの年次教書演説


2月10日、ロシア大統領府のペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領がウクライナ侵略の開始から1年の節目を迎える直前の21日に年次教書演説を行うことを明らかにしました。

年次教書演説とは連邦議会で内政や外交の方針を示すもので、プーチン大統領は年次教書演説を原則として年1回行ってきました。ところが、昨年は国民との対話行事や年末恒例の大規模記者会見とともに実施を見送っています。これはロシア軍の苦戦などを受けた措置だとされています。

実際プーチン大統領自身も昨年12月に、演説の見送りについて「情勢が変動しており、ある時点での結果や近い将来の計画を取りまとめるのは困難だった」と認めていました。

けれども、今年になってロシア軍は大きな損害を出しつつも、最前線である東部ドネツク州バフムート近郊の都市ソレダルを制圧するなど一定の前進を果たしたこともあり、プーチン政権は戦況が好転したと判断し、年次教書演説の実施を決めたとも見られています。

今回行われる予定の年次教書演説について、ペスコフ報道官は演説会場にウクライナへの「特別軍事作戦」の関係者が招待されるとの見方を示し、国営ロシア通信は愛国心や兵士を鼓舞する内容になるだろうと報じ、ロシアの勝利に向けた軍備の強化や最新の軍事技術などに触れるとしています。

一方、ウクライナ国防省情報総局は、プーチン大統領が3月までにドネツク州全域を制圧するようロシア軍に指示したとみていて、演説が行われれば、プーチン大統領が東部ドンバス地域全域の制圧という作戦目標を完遂する意思を改めて表明するのではないかとの観測もあるようです。


2.ベラルーシとの合同軍事演習


今年に入って、ロシアはまたベラルーシとの合同軍事演習を行いました。

1月16日、ベラルーシ国防省はロシアとベラルーシの空軍による合同演習が始まったと発表。偵察や地上作戦の支援などさまざまな訓練を実施し、戦闘任務を共同で行う際の相互の運用性を高めるのが目的だとしています。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「ロシアによる攻撃の可能性は現時点で低いが、こうした活動はロシアがベラルーシからウクライナを攻撃するという情報操作を強めるものだ」と分析。ロシアとしては合同演習で、ウクライナに軍事的な揺さぶりをかけるねらいがあるものとみられています。

この合同演習について、防衛省防衛研究所の兵頭慎治・政策研究部長は「国境付近で(ロシア、ウクライナ両軍の)小競り合いが始まり、ウクライナの攻撃がベラルーシに着弾すれば、参戦せざるを得ない状況に追い込まれる」と予測。東大先端科学技術研究センターの小泉悠専任講師は「キーウやリビウ方面に一定の防衛兵力を置かなければいけない。ベラルーシに露軍が展開して活発に演習する状況は、ウクライナにとって気持ちが悪い」と指摘しています。


3.攻撃受けない限り参戦なし


ただ、ベラルーシ自身は参戦する意思はないと表明しています。

2月16日、ベラルーシのルカシェンコ大統領は首都ミンスクで会見し、「我々は戦争が何たるかを知っている平和的な国民で、戦争を望んでいない……ベラルーシに侵略しようとしない限り、我々がウクライナに軍隊を送ることはない」と明言しながらも、「だがロシアが法的、道徳的そして政治的にベラルーシの同盟国であることを忘れてはならない」と釘を刺しています。

先述したようにロシアとベラルーシは先月に合同演習を行っていますし、それに先立つ12日に、ロシアの軍事侵攻の新たな副司令官に任命されたサリュコフ氏がベラルーシを訪問し、合同部隊を視察しています。

こうしたことから、一部ではベラルーシ軍がロシア軍に加勢するのではないかとの懸念の声が上がっていたのですけれども、ルカシェンコ大統領はこうした臆測を否定した形です。

これに対し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、BBCのインタビューで「加わらないことを望む……参戦すれば私たちは戦い、生き残る」と述べ、更にベラルーシが再びロシアの攻撃中継地になるのを許せば「大きな過ち」になると警告しています。


4.敵はベラルーシで戦闘航空飛行群を増強している


ゼレンスキー大統領はベラルーシの参戦はもとより、ロシア軍の攻撃拠点になることも警戒している訳ですけれども、ウクライナは、先月、ロシア軍とベラルーシ軍が行った合同軍事演習について「見せかけ」だとの認識を示しています。

ウクライナ軍参謀本部は声明で「ロシア軍による空襲、ミサイル攻撃の危険が高まっている。目標はウクライナ全土に設定されている……合同訓練に見せかけ、敵はベラルーシで戦闘航空飛行群を増強している。この観点に基づき、ベラルーシ領空からの空襲並びにミサイル攻撃の脅威は高まっている」と、ロシア軍とベラルーシ軍の航空部隊が合同で飛行及び戦術の訓練を開始したと指摘しています。

本当に、ベラルーシからロシア軍が攻撃を掛けるのかどうは分かりませんけれども、空襲の準備を進めているという報道があります。

2月14日、イギリスのフィナンシャル・タイムズは、NATO加盟国で共有されている情報だとして、ロシア軍が飛行機やヘリコプターをウクライナとの国境近辺に集結。大規模な空襲を準備している可能性があると報じています。

記事では、関係者が「ロシアの陸軍はかなり消耗しているので、これを空戦に変えるというのが一番の目安だ……ウクライナ軍が生き残るためには、できるだけ多くの防空能力と弾薬が必要だ」と述べたとしています。

更にNATOの上級外交官がロシアの空軍の80%以上が「安全で利用可能」であることを示す情報を得たとし「そのため、我々は彼らが航空作戦を開始する準備をしていると予想している」とコメントし、別の米政府高官はロシア軍の地上戦力が消耗しており、戦闘機などによる攻撃中心に切り替えるだろうと説明したと伝えています。

果たして、プーチン大統領が21日の年次教書演説で何を話すのか分かりませんけれども、それを機に、一気に大規模空爆に乗り出す可能性も念頭においておくべきかもしれませんね。


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