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1.支持が集まる武漢ウイルスの研究所流出説
2月26日、アメリカ・エネルギー省が武漢ウイルスのパンデミックの起源について、研究所からウイルスが流出した可能性が最も高いと結論付けたことが。ホワイトハウスや米議会の主要議員に最近提出された報告書から明らかになったとニューヨークタイムズ紙が報じました。
これまでエネルギー省はウイルスが広まった経緯について判断を下していなかったもですけれども、アブリル・ヘインズ国家情報長官のオフィスがまとめた2021年の資料を改訂するにあたり、今回の見解を示したとのことです。
ニューヨークタイムズ紙の件の記事の概要は次の通りです。
・エネルギー省は、新たな情報により、中国の実験室での偶発的な漏洩がコロナウイルスのパンデミックを引き起こした可能性が高いと結論付けたが、アメリカのスパイ機関は依然としてウイルスの起源について意見が分かれていると、アメリカ当局者が日曜日に発表した。パンデミック初期の2021年の頃とは随分論調が変った感があります。
・この結論は、ウイルスがどのように発生したかについて未決定であるという同省の以前の立場からの変更である。
・この情報についてエネルギー省は「確信度が低い」ものを示唆していると、一部の当局者は述べている。エネルギー省はこの情報を他の機関とも共有したが、どの機関も結論を変えなかったと、当局者は述べた。
・当局者は、その情報が何であるかは明らかにしなかった。しかし、エネルギー省の情報の多くは、スパイネットワークや通信傍受のような伝統的な情報よりも、国立研究所のネットワークから得られるもので、その中には生物学的研究を行っている研究所もある。
・しかし、ウイルスの発生源について答えを出すことは、今後の研究に対する中国の反発を考えると難しいか、あるいは不可能かもしれないと、諜報関係者は警告している。科学者たちは、700万人近くを死亡させたパンデミックがどのように始まったのかを説明する責任があると言い、その起源についてもっと学ぶことは、将来の大流行の最大の脅威をもたらすものを研究者が理解するのに役立つだろう、と述べている。
・この新しい情報と政府の見解の変化は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が日曜日に初めて報じたものである。
・国家安全保障アドバイザーのジェイク・サリバンは、この情報を確認することを拒否した。しかし、バイデン大統領は、政府が「あらゆる手段」を使って、発生の起源を特定するための努力に国立研究所を参加させるよう命じたと述べた。
・エネルギー省に加えて、FBIも、このウイルスは、コロナウイルスの研究をしていた中国の武漢ウイルス研究所から偶然発生したと、中程度の確信を持って結論付けている。他の4つの情報機関と国家情報会議は、信頼度は低いが、ウイルスは自然感染で出現した可能性が最も高いと結論付けたと、国家情報長官室が2021年10月に発表した。
・サリバン氏は、こうした分裂はまだ残っていると述べた。CNN「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、「情報機関にはさまざまな見解がある」と述べた。「情報機関の中には、一方的な結論に達したものもあれば、他方的な結論に達したものもある。多くの情報機関が、確証を得るに足る十分な情報を持っていないと述べている。
・サリバン氏は、より多くの情報が得られた場合、政権は議会と国民にそれを報告すると述べた。「しかし、今のところ、この問題に関して情報機関から決定的な答えが出ているわけではない」と述べた。
・科学者の中には、ウイルス遺伝子を含む現在の証拠は、コロナウイルスが出現した場所として、武漢の大規模な食品と生きた動物の市場を示していると考えている者もいる。
・情報機関の指導者たちは、世界の脅威に関する年次公聴会の一環として、3月8日と9日に議会で説明を行うことになっている。アブリル・ヘインズ国家情報長官をはじめとする高官たちは、ウイルスの起源について継続的に調査していることについて質問される可能性は高いだろう。
・パンデミックがどのように始まったかは、情報機関の報告書の中でも意見が分かれるところであり、最近の議会の報告書は超党派のものではなかった。
・民主党議員の多くは、研究所のリーク仮説に説得力を持たず、自然現象による説明を信じるという者もいれば、結論を出すのに十分な情報が出てくるかどうか確信が持てないと言う者もいる。
・しかし、議会では多くの共和党員が、ウイルスは武漢にある中国の研究所の1つから流出した可能性があると思うと述べている。1月に共和党が下院を引き継いだ際に設置された議会の小委員会は、研究所流出説の検証をその作業の中心的な焦点としている。3月には一連の公聴会の第1回目が開かれる予定だ。
・ウィスコンシン州選出のマイク・ギャラガー議員は、下院情報委員会の委員であり、下院の新しい中国に関する委員会を率いている。「私は、いくつかの機関が常識に耳を傾け、評価を変え始めていることを嬉しく思っている」。
・ギャラガー氏は火曜日、新委員会の最初の公聴会を開き、中国共産党が米国にもたらす脅威について検討する予定だ。ギャラガー氏は、今後の公聴会では、バイオセキュリティと、世界保健機関などの国際組織に影響を及ぼす中国の取り組みについて取り上げる予定であると述べた。
・「我々の委員会が役割を果たせるのは、パンデミックの起源を隠蔽しようとした中国共産党のDNAについて、これが何を伝えるかを明らかにすることだ。この組織は、その過程で我々に重要な日数、月数、週間、数百万人の生命を犠牲にした」とギャラガー氏は日曜のインタビューで語った。
・中国当局は繰り返し、研究所のリーク仮説は科学的根拠のない嘘であり、政治的な動機によるものだと訴えてきた。
・バイデン政権の初期、大統領はこの問題に関するWHOの報告書への批判を受け、情報機関にパンデミックの起源を調査するよう命じた。情報機関関係者が十分に検証していない資料もあったが、結局、この検討では機関内部の新たなコンセンサスを得ることはできなかった。
・WHOによる2021年3月の報告書は、ウイルスが実験室から偶然に出現したとは「極めて考えにくい」と述べている。しかし、中国はこの報告書を書いた科学者の半数を任命し、大きな支配力を行使した。アメリカの政府関係者は、その研究成果をほとんど否定している。
・情報機関は、コビド19の原因となるコロナウイルスが生物兵器として意図的に作られたという証拠はないと考えているという。しかし、武漢の市場から自然に発生したのか、それとも研究室から偶然に逃げ出したのかは、正当な議論の対象であるとしている。
・民主主義防衛財団の学者で、トランプ政権時代に国家安全保障会議のスタッフとして生物防衛問題に注力していたアンソニー・ルギエロ氏は、中国がウイルスの出現方法について「重要な情報をまだ隠している」との見方を示した。彼は、研究室リーク説を否定すべきではないとし、「Covid-19パンデミックのラボリーク起源は、陰謀論ではなく、またそうではなかった 」と述べた。
2.マイク・ギャラガー
この記事で触れられている共和党のマイク・ギャラガー議員は、今月新たに設けられた「中国特別委員会」で委員長を務める人物ですけれども、今回のエネルギー省のパンデミック起源についての新たな見解を出したことを「常識に耳を傾け、評価を変え始めている」と評しています。つまり、ウイルスの研究所リーク説は「常識」だというのですね。
ギャラガー議員はその他にも、昨年12月、ブルームバーグのインタビューで「過去年程度の重点が中国の対米投資に対する検証の強化だったとすれば、次の局面は共産主義の中国に向かう米国の投資に対する検証の強化になるだろう」とアメリカの対中投資検証を重視していくと表明。バイデン政権と議会がアメリカの対中投資を監視し、必要に応じて阻止できる制度を構築する案を検討していることについて、こうした計画を何らかの形で進めることは「不可避」との認識を示しています。
ギャラガー議員は、「ニューヨークに行ってこうした会話をするたびに、『国防タカ派の君が考える台湾を巡る中国との対立は遠いテールリスクだ』と言われる傾向にあると感じているが、もはやそうではないと思う」とし、中国の習近平国家主席が「経済闘争と戦争行為に向けた準備している」と述べ、国防総省などの国家安全保障機関が米国の金融機関とより緊密に計画を調整することを望んでいるとコメントしています。
更に、ギャラガー議員は、先週、台湾を極秘訪問。蔡英文総統や国防部長らと会談し、アメリカによる台湾への武器の提供について議論したようです。
流石は中国特別委員会委員長ということでしょうか。矢継ぎ早やに中国にプレッシャーを掛けています。
3.中国が嘘をつけば人が死ぬ法案
対中圧力という意味では、アメリカ下院では、武漢ウイルスに絡んで、先月、凄い法案が提出されています。
それは、トロイ・ネールス議員とローレン・ボーベルト議員の共和党両議員が提出した、「中国が嘘をつけば人が死ぬ法案(China Lied, People Died Act)」です。なんとも凄い名前の法案ですけれども、いいたいことは一目瞭然です。
この法案は、アメリカが武漢ウイルス救済措置で費やした4兆6000億ドルもの返済を中国共産党に求め、その返済が完了するまで連邦資金が中国に渡ることを禁止するものです。
中国は武漢ウイルス感染発生の初期に武漢で原因不明の肺炎が広がっていると注意喚起を呼びかけた医師を処罰するなどして、感染情報を隠蔽しました。マイケル・マッコール議員らが2021年に発表したコロナ発生源に関する報告書では、中国当局の対応を「史上最大の隠蔽」と非難しています。
法案を提出したネールスはフォックス・ニュースの取材で、中国共産党の隠蔽により「アメリカ人の100万人の命が失われ、歴史上最悪の経済災害を引き起こした……中国の責任を追及するべきだ」と強調しています。
アメリカ議会では、中国の武漢ウイルス対応をめぐって、責任を追及する法案がこれまでにも提出されています。2022年、マルコ・ルビオ上院議員らは武漢ウイルス起源に関する調査を妨害した中国の責任を問う法案を提出しています。
また、ケビン・マッカーシー下院議長が、コロナ起源を特定する「新型コロナウイルスの世界的大流行に関する特別小委員会」を設立するなど追及姿勢を強めています。
まぁ、中国政府は最後になっても認めないでしょうけれども、アメリカは次々と中国を批判する法案をつくっては、手札とし、何かあったら制裁の口実にするのではないかと思えてきます。
米中対立はまだまだこれからなのかもしれませんね。
この記事へのコメント
日本男児