日韓シャトル外交と相互主義

今日はこの話題です。
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1.日韓シャトル外交


5月2日、岸田総理は訪問先のガーナの首都アクラで、7日から2日間の日程で韓国を訪れ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談する予定だと明らかにした上で、「シャトル外交に弾みをつけ、今後の日韓関係の加速や激変する国際情勢について、腹を割った意見交換を行う良い機会になる」と記者団に語りました。

岸田総理大臣の韓国訪問は就任後初めてで、日本の総理大臣としては、2018年の当時の安倍総理以来5年ぶりとなります。

この日、韓国大統領府も、岸田総理が夫人とともに、今月7日から2日間の日程で韓国を実務訪問すると発表、「今回の岸田総理大臣の韓国訪問を通じて、首脳によるシャトル外交が本格化する」とし、大統領府の関係者は「両国間には懸案が多くあるが、いま最も重要なのは安全保障と経済協力の問題だ。会談では韓日関係全般に加えて、北への対応などが議題になる見通しだ」と述べています。

また、韓国政府は、会談に先立って秋葉国家安全保障局長が3日から2日間ソウルを訪れ、大統領府の趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長と会談すると明らかにしました。

秋葉局長との間では、首脳会談に向けた事前の協議を行うほか、ことし3月に岸田総理大臣とユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が新設することで合意していた「経済安全保障対話」を開催し、供給網=サプライチェーンや先端技術などの分野での協力強化をめぐって意見が交わされるです模様です。


2.前政権は泥沼に陥った韓日関係をそのまま放置した


尹錫悦大統領になってから、大分様変わりしてきた日韓関係ですけれども、尹錫悦大統領は3月21日の閣議で異例ともいえる20分間も時間を割いて日本について言及しました。

その発言の概要は次の通りです。
・過去は直視して記憶しなければなりませんが、過去に足を引っ張られてはいけません。これまで韓日関係は悪化の一途をたどってきました。両国政府間の対話が途絶え、韓日関係は破局の一歩手前で放置されてきました。

・私は去年5月の大統領就任以来、存在自体、不透明になってしまった韓日関係の正常化の方策について悩んできました。まるで出口のない迷路の中に閉じ込められた気分でした。

・しかし、手をこまねいてただ見ているわけにはいきませんでした。日増しに激しくなる米中競争、サプライチェーンの危機、北の核脅威の高度化など、韓国を取り巻く複合的な危機の中で韓日協力の必要性はさらに高まっているからです。

・韓日関係は、片方がより多く得ればもう片方がそれだけ失うというゼロサムの関係ではありません。韓日関係は共に努力して共により多く得るウィンウィンの関係になることができるし、必ずそうならなければなりません。 

・しかし、前政権は泥沼に陥った韓日関係をそのまま放置しました。その余波で両国国民と在日同胞が被害を受け、両国の安全保障と経済は深い対立に陥ってしまいました。

・私も、目の前の政治的利益のための楽な道を選び過去最悪の韓日関係を放置する大統領になる可能性もありました。しかし、昨今の厳しい国際情勢を後回しにして、私までもが敵対的ナショナリズムと反日感情を刺激して国内政治に利用しようとするなら、大統領としての責務を裏切ることになると思いました。

・韓国社会には排他的民族主義と反日を叫びながら政治的な利益を得ようとする勢力が厳然と存在します。日本はすでに数十回にわたって我々に歴史問題について反省と謝罪を表明しています。今回の韓日首脳会談で、日本政府は1998年の「キム・デジュン(金大中)-小渕宣言」をはじめ歴史認識に関する歴代政権の立場を全体的に引き継ぐとの立場を明確にしました。

・これからは堂々と自信を持って日本と接しなければなりません。最高の技術と経済力を発揮し、デジタルの力量とソフトパワーを見せつけ、日本と協力して善意の競争を繰り広げなければなりません。

・今や韓日両政府はそれぞれ、自身を振り返り、韓日関係の正常化と発展を妨げる障害物を自ら取り除いていく努力を傾けなければなりません。韓国が先に障害物を取り除いていけば、きっと日本も呼応してくるはずです。

・先週木曜日、私が日本に向けて出発する2時間半前に北がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射しました。私は北の核・ミサイルに関する韓日間の完璧な情報共有を急ぐべきだと判断し、韓日首脳会談で前提条件なしに先制的にGSOMIAを完全正常化することを宣言しました。

・2019年に韓国がとったGSOMIA終了宣言とその猶予による制度的不確実性を取り除くことで、韓米日・韓日間の軍事情報の協力強化という足場を築きました。

・両国間の不幸な過去の痛みを乗り越え、日本と新たに目指す点を導き出そうという努力は今回が初めてではありません。

・1965年、パク・チョンヒ(朴正煕)大統領は韓日間共通の利益・安全・繁栄を模索する新しい時代に入ったとして、日本との国交正常化を進めました。

・当時、屈辱的で売国的な外交だという激しい反対世論が沸き起こりましたが、パク大統領は被害意識と劣等感にとらわれて日本なら無条件に怖がることがまさに屈辱的な姿勢だと指摘しました。そして国交正常化がどのような結果に帰結するかは我々の姿勢と覚悟にかかっているとし、最終的に国交正常化を果たしました。

・その後、浮き沈みを繰り返していた韓日関係の新たな地平を開いたのは1998年、キム・デジュン大統領でした。

・キム大統領は小渕首相との首脳会談を通じて「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」を宣言しました。キム大統領は日本での演説で、歴史的に韓国と日本の関係が不幸だったのは日本が韓国を侵略した7年間と植民地支配の35年間だったとして、50年足らずの不幸な歴史のために1500年にわたる交流と協力の歴史全体を無意味にするのは実に愚かなことだと述べました。

・またキム大統領は1965年の国交正常化以降、飛躍的に拡大した両国間の交流と協力を通じて必要不可欠なパートナーに発展した韓日関係を未来志向的な関係にしていかなければならない時だとし、両国首脳の宣言が政府間の歴史認識問題を決着させ、平和と繁栄に向けた共同の未来を切り開くための礎となるとしました。

・首脳会談では北東アジア域内の対話と協力の活性化に向けて、韓中日3か国の首脳会議の再稼働に向けて共に努力することにしました。

・今後も韓日両首脳は形式にこだわらず、必要なら随時会う「シャトル外交」を通じて積極的にコミュニケーションし協力していきます。今回の訪問を通じた関係改善努力が結実するよう、各省庁は協力体系の構築とともに、後続措置に万全を期すよう重ねてお願いします。

・今、私たちは歴史の新しい転換点に立っています。私は賢明な国民を信じています。韓日関係の正常化は結局、韓国国民に新たな自負心を呼び起こし、国民と企業に大きな恩恵で報いるでしょう。そして何よりも、未来の世代にとって大きな希望と機会になるのは明らかです。
発言を見る限り、日韓関係改善に向けた意欲が窺えます。


3.現政権も火器管制レーダー照射問題を放置している


ただ、これまでの韓国をみれば、支持率が下がったり、政権が変われば、また反日になるのだろう、と醒めた目でみてしまいます。

そもそも、3月に韓国国防相が例の火器管制レーダー照射について、「われわれはレーダー照射はしなかった」と国会で発言するなど、文在寅前政権がやらかした反日について放置されたままです。

朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「岸田政権は拙速に過ぎる。外交は『譲り合い』ではなく自国の国益をぶつけ合う『押し合い』が要諦だ。竹島問題のほか、日本を敵国と見なすようなレーダー照射事件も、韓国が謝罪しない限り、安全保障面で真の信頼関係は築けない。『グループA』再指定も、日本が譲歩したに等しい。韓国の歴代政権を見ても、支持率が下がれば手のひらを返す恐れはある。このままでは、再び『日韓通貨スワップ』の話が浮上する懸念もある。日本に自国の国益に即した態度を崩してはならない」と語っていますけれども、岸田政権の対応は「譲歩」だと断じています。

そんな中、5月2日、韓国の国会で過半数を握る革新系の最大野党「共に民主党」の田溶冀(チョン・ヨンギ)議員が、自身のSNSを通じて韓国が「独島」と呼んで領有権を主張する島根県の竹島に14人の党関係者とともに上陸したと明らかにしました。

SNSには竹島とみられる島で韓国の国旗を背中に広げた男性が立っている写真が掲載されていて「島がわが国の領土だともっと力強く知らしめていく。日本の侵略に立ち向かい、われわれの固有の領土を命をかけて守り抜く」などと主張しています。

韓国の最大野党などは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3月に訪日して以降、日本側に一方的に譲歩したとする批判を強めていて、今回の竹島上陸も尹錫悦政権への反発を示す動きの一環とみられています。


4.韓国政権の左右に関わらず相互主義で対応せよ


先日行われた日韓首脳会談の結果について、韓国の野党、共に民主党は「親日を超えて崇日」「外交惨事」などと批判し、共に民主党の李在明代表は最高委員会で「尹大統領は結局日本の手下となる道を選択した」、「最大の懸案である徴用問題に対する日本の謝罪や反省は全くなく、政府が公言した日本の対応には言及もなかった」と批判しています。

これについて、元在大韓民国特命全権大使の武藤正敏氏は「元徴用工の問題は文在寅政権が自ら日韓間の火種としてクローズアップしながら、解決に向けた努力を払わず、放置してきたと言える。そのため北朝鮮の核ミサイルの脅威増大にも拘わらず、日米韓協力が阻害されてきた。これは韓国にとって重大な国益の棄損であり、むしろ国政調査で問われるべきはこうした文在寅政権の無責任体質であろう」と厳しく批判しています。

武藤氏は、「尹政権が日韓関係を改善しようと努力するのを妨害する民主党とその支持者の行為は、扇動政治と呼ぶしかない」と指摘し、その理由として、共に民主党が「国会で300議席中169議席(国民の力は115議席)という強行採決できる議席を保持しているからだ」と指摘し、これは来年4月の総選挙まで変わらないと指摘しています。

武藤氏によると、尹錫悦大統領は、北朝鮮の韓国国内におけるスパイ活動や日韓離間工作といった、文在寅前政権の罪状を摘発し、また、労働組合や市民団体の不法活動の取り締まりを進めているとのことで、韓国国民が革新政権の言動に惑わされず、国民の「文政権離れ」を促そうとしていると述べています。

武藤氏は、日本国内には、「韓国の次の政権が革新系となれば日韓関係は振り出しに戻る可能性がある」との懸念が根強い。そうした懸念を完全に拭い去ることはできないだろう」とする一方、文在寅氏のような左派系大統領が再度出現しないよう、韓国社会を変革しようとしている尹錫悦政権を日本は後押しすることも検討すべきだ、と提案しています。

ただ、筆者としては、尹錫悦がどんなに頑張ったところで、5年やそこらの任期で、韓国の反日がどうなるとも思えません。それこそ、教育から見直し20年、30年とかけて変えていかない限りどうしようもないと思います。後押ししても空振りに終わる可能性が高いと思います。

であるならば、相互主義ではないですけれども、韓国の日本に対する態度に応じて、日本も対応を変える、韓国の政権が反日を見せれば、即座に制裁する、政権が右だろうが左だろうが関係なく、「機械的」に処理していく。それくらいな「ドライ」な対応で応じるべきではないかと思いますね。


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