ゼレンスキーの表の顔と裏の顔

今日はこの話題です。
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1.フメリニツキー弾薬貯蔵庫大爆発


ウクライナ空軍は、5月13日深夜、ロシアが、イラン製無人航空機シャヘド136/131計21機で北と南の方向からウクライナを攻撃し、そのうち17機を対空ミサイル、戦闘機、機動射撃群を使用して撃墜したと発表しました。

けれども、すり抜けたいくつかは着弾したようで、ウクライナ空軍は「残念ながら、フメリニツキー地域のインフラ施設に敵の無人機による攻撃が発生している。地元当局とサービスは、その影響を排除するために取り組んでいる」と付け加えています。

ウクライナ当局はどんなインフラ施設が攻撃されたのか明らかにしていませんけれえども、翌14日、ネットのSNSには、フメリニツキー近郊の現場から巨大な火の玉が上昇する様子を示す動画が上がっています。

フメリニツキーの郊外には、大きな爆発物貯蔵施設が1つあることと、爆発の映像が大量の弾薬や爆発物保管場所が連鎖反応で爆発したときの様子と似ていること、さらにこの規模の爆発をシャヘド136だけで引き起こすのは不可能なことから、ウクライナの弾薬貯蔵施設が攻撃・破壊されたとする見方もあるようです。




2.反撃にもっと時間が必要


アメリカ・CNNテレビは13日までに、ウクライナ軍が対ロシアの反転攻勢の準備段階となる「形成作戦」を開始したとの米軍や欧米当局の高官の見方を伝えました。

形成作戦とは、部隊の前進に先立ち、戦場の状況を準備するため、武器集積所や指揮所、装甲車、火砲などを破壊することをいい、大規模な連合作戦の前に行われる標準的な戦術となっています。

昨夏に行われた南部ヘルソン州での反攻の際にも、アメリカが供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」などを使って同様の作戦が行われたそうです。

5月11日、BBCはウクライナのゼレンスキー大統領にインタビューを行い、「ゼレンスキー氏、ウクライナは反撃にもっと時間が必要と語る」という記事を掲載しました。記事の概要は次の通りです。
・ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍に対する待望の反攻を開始するためには時間が必要であり、軍は約束した援助の提供を待っている、と述べた。

・予想される攻撃は、この戦争において決定的なものとなる可能性があり、数カ月間変わらなかった戦線が塗り替えられる。また、ウクライナにとっては、西側諸国から受け取った武器や装備が戦場で大きな利益をもたらすことを証明するための重要な試金石となるだろう。

・ゼレンスキー大統領はキエフの本部で、NATO諸国から訓練を受けた戦闘旅団は「準備万端」だとしながらも、軍にはまだ「いくつかのもの」が必要だと述べ、その中には「バッチで到着」しつつある装甲車も含まれるとした。

・BBCのようなユーロビジョン・ニュースのメンバーである公共放送のインタビューで、彼は「(すでにあるもので)我々は前進することができ、成功すると思う」と述べた。「しかし、多くの人を失うことになる。それは受け入れがたいことだ。だから、私たちは待つ必要がある。まだもう少し時間が必要だ」

・ウクライナの攻勢がいつ、どこで行われるかは秘密である。一方、ロシア軍は、東部のルハンスク、ドネツクから南部のザポリジシア、ケルソンまで900マイル(1,450km)に及ぶ前線に沿って防衛線を固めている。

・ウクライナ当局は、公的にも私的にも、事態打開の期待値を下げようとしている。今月初め、匿名を条件に語った政府高官は、同国の指導者たちは「(自分たちが)成功する必要があることを理解していた」としながらも、今回の襲撃を15ヶ月目に入った戦争における「銀の弾丸」と見なすべきではない、と述べた。

・しかし、大統領は、ウクライナ軍の前進に自信を示し、ロシアが「期待している」「凍結された紛争」のリスクを警告した。

・キエフにとって、西側諸国から失望されるような結果が出れば、軍事支援の縮小やロシアとの交渉の圧力がかかることになりかねない。国土の5分の1近くがロシアの支配下にあり、プーチン大統領は自軍が部分的に占領している4地域の併合を宣言しているため、領土の割譲について話し合うこともあり得るだろう。

・ゼレンスキー大統領は、「誰もが思いつくことだろう。しかし、ウクライナに圧力をかけて領土を明け渡させることはできない。世界のいかなる国も、なぜプーチンに領土を与えなければならないのだろうか」

・ゼレンスキー氏は、ウクライナを必要なだけ支援すると宣言しているジョー・バイデン大統領が2024年に再選されなかった場合、米国の支援を失うのではないかという懸念を否定した。ゼレンスキー氏は、ウクライナはまだ米国議会で超党派の支持を得ていると述べた。「私たちが(選挙が行われたときに)どこにいるかなんて、誰にもわからない」と彼は言った。「その時までに勝つと信じている」

・今のところ、双方が勝利するまで戦うと言っているため、紛争を終結させるための話し合いが行われる可能性は現実的にはない。ゼレンスキー大統領は、侵略された全領土の返還、戦争被害の賠償金支払い、ロシアの戦争犯罪を訴追する特別法廷の設置などを求める10項目の和平案を提示したが、モスクワはこれを真っ向から否定している。

・大統領は、欧米の制裁がロシアの防衛産業に影響を与えているとし、ミサイルの備蓄が枯渇し、大砲が不足していることに言及した。「彼らはまだ倉庫に多くのものを抱えているが、……すでにいくつかの地域で1日あたりの砲撃を減らしていることがわかる 」と述べた。

・しかし、モスクワはいくつかの対策を迂回する方法を見つけており、ロシアが禁止措置を迂回するのを手助けする者を対象にするよう各国に促したという。

・ゼレンスキー氏は、先週行われたクレムリンへの無人機攻撃(モスクワはプーチン大統領を暗殺しようとしたと説明している)の背後にウクライナがいるとのロシアの非難を再び否定した。

・ウクライナの指導者は、この明白な攻撃はロシア自身によって行われた偽旗作戦であった可能性があり、その主張はモスクワによって彼の国を攻撃するための「口実」として使われていると考えていると述べた。

・ゼレンスキー大統領は、「彼らは常に、『あなたが私たちにこうするから、私たちもあなたにこうする』と、正当化のように聞こえる何かを探している」と述べた。「しかし、それはうまくいかなかった。国内の一般市民に対しても、それは通用しなかった。彼ら自身の宣伝担当者たちでさえ、それを信じなかった。とても、とても不自然に見えたからだ」

・大統領は、ユーロビジョン・ソング・コンテストがイギリスの都市リバプールで開催されているときに答えた。この都市は、昨年の優勝国であるウクライナに代わって開催地として選ばれたのだ。

・彼は、「私たちの国民が旅行でき、非常に近い」隣国でコンテストを見たかったと述べたが、「素晴らしい国」であるイギリスを「大いに尊敬」していると述べ、「重要なのはコンテストが開催されることだ。「人々に才能を発揮してもらおう」と語った。
このように、ゼレンスキー大統領は、大規模反転攻勢にはもう少し時間が掛かると述べています。


3.ゼレンスキーの裏の顔


そんな中、13日、アメリカのワシントン・ポスト紙はゼレンスキー大統領が今年初め、ロシア領内の都市の占領や軍部隊への攻撃を側近に持ちかけていたことが分かったと報じました。4月12日のエントリー「ネットに流出した米軍機密情報」で、アメリカ軍の機密文書がネットに流出したことを取り上げましたけれども、ワシントン・ポスト紙は、その際に入手した機密文書の中に情報機関の通信傍受記録が含まれていたとしています。

その「極秘」と記された文書によると、ゼレンスキー大統領は1月下旬の会議で、ウクライナ地上軍を敵地に移動させて「不特定のロシア国境の町を占領」することで「ロシアへの攻撃を行う」ことを提案、その目的は「モスクワとの交渉においてキエフに影響力を与えること」であるとしています。

そして、2月末に行われたウクライナ軍トップのワレリー・ザルジニ将軍との極秘会談では、ゼレンスキー大統領は「ウクライナには、ロシア国内に展開するロシア軍に届く長距離ミサイルも、彼らを攻撃する手段も何も持っていない」と「懸念を表明」。別の機密文書によると、ゼレンスキー大統領はその後、「代わりに無人機を使用して、ロシア西部の地域であるロストフの不特定の配備場所を攻撃するよう」提案したとしています。

また、2月中旬のユリア・スブリデンコ副首相との会談では、ゼレンスキー大統領は、ソ連時代にハンガリーに石油を供給するために建設されたドルジバ・パイプラインを「爆破」するよう提案。ゼレンスキー大統領は、 「ロシアの石油に大きく」依存しているハンガリーの産業を破壊すべきだと強調したと文書に記されていたそうです。

米情報当局者らは、ゼレンスキー大統領がいかに「ハンガリーに対する怒りを表明」しており、「誇張的で無意味な脅し」をしている可能性があることを強調したとのことで、ワシントンポスト紙は、ゼレンスキー大統領を「ロシアの残忍な猛攻に抵抗する、冷静でストイックな政治家という表の顔とは対照的な、攻撃的な本能を持った指導者のイメージが浮かび上がる」としています。

ワシントン・ポスト紙の取材を受けたゼレンスキー大統領は、これについて、情報機関の指摘は「空想だ」と退ける一方、「これだけ多くの国民が殺害、拷問されている以上、あらゆる奇策を使う必要がある」と彼は祖国を守るために型破りな戦​​術を使う権利を主張しています。

10月12日のエントリー「プーチンの報復と梯子を上るゼレンスキー」で、ゼレンスキー大統領がオーストラリアの独立系シンクタンク、ローウィー研究所でのビデオ演説で、NATOはロシアに対し核兵器の使用方法を見直して、予防攻撃を行えと述べたことを取り上げたことがありますけれども、ゼレンスキー大統領にしてみれば、なぜロシアがウクライナ国内を攻撃できて、ウクライナはロシアを攻撃できないのだ、という不満で一杯なのかもしれません。

5月5日のエントリー「クレムリンへの攻撃未遂と様々な憶測」や昨日のエントリー「ウクライナの強襲とロシアの守り」で、プーチン大統領はウクライナにロシア領内への直接攻撃させないよう巧みな宣伝戦を仕掛けているのではないかと述べましたけれども、仮に、ゼレンスキー大統領がロシア国内を直接攻撃したくて堪らないと考えているとしたら、ウクライナがやったと分からないような形で何か攻撃を仕掛けてくる可能性は捨てきれないと思いますね。



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