

1.ジャニーズ事務所社長謝罪
5月14日、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長は、令和元年に死去した、ジャニー喜多川前社長から性加害を受けたとする元ジャニーズJr.の歌手、カウアン・オカモトさんの訴えに対し、謝罪する動画と文書を発表しました。
文書はこちらで公開されていますけれども、その中の「各方面から頂戴したご質問への回答」から始めの3つを拾うと次の通りです。
Q.なぜ、すぐに会見を行わなかったのか?最初の「なぜ、すぐに会見を行わなかったのか?」との問いに、藤島ジュリー社長は事実確認が先で調査・協議を進めていたから遅くなった、と答えているのですけれども、次の「BBCの番組報道、またカウアン・オカモトさんの告発について、どのように受け止めているのか?」の質問には、事実ならば深刻な問題だ、事実確認をしっかり行うと回答しています。
A.まずは事実を確認し、責任を持って対応すべきだと考えました。
個人のプライバシーにも関わる非常にデリケートかつセンシティブな問題であったため、カウンセラーや弁護士など専門家の協力を得ながら、声をあげられた方とのご対面、社内調査、具体的対応策についての協議等を慎重に進めておりましたことから、広く皆様にお伝えするまで時間が経ってしまいました。対応が遅くなった点に関しまして、お詫びいたします。
Q.BBCの番組報道、またカウアン・オカモトさんの告発について、どのように受け止めているのか?
A.事実であるとすれば、まず被害を訴えておられる方々に対してどのように向き合うべきか、また事務所の存続さえ問われる、極めて深刻な問題だと受け止めました。
あらためて事実確認をしっかりと行い、真摯に対応しなければならないと思いました。
Q.BBCの番組報道、またカウアン・オカモトさんの告発は事実か?
A.当然のことながら問題がなかったとは一切思っておりません。加えて会社としても、私個人としても、そのような行為自体は決して許されることではないと考えております。
一方で、当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について「事実」と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではなく、さらには憶測による誹謗中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならないことから、この点につきましてはどうかご理解いただきたく存じます。
とは言え、目の前に被害にあったと言われる方々がいらっしゃることを、私たちは大変重く、重く受け止めております。
会見が遅くなったのは事実確認をしていたからだといっておいて、じゃあ事実だったのかどうかと質問されると、確認をしっかり行う、事実だったかどうか言い切れない、と逃げています。
要するに、謝罪会見と銘打っているにも関わらず、カウアン・オカモトさんの告発を「事実」だと認めてはいない訳です。おそらく裁判になったときのことを考え、現時点では罪状認否しないようにしているのではないかと思います。
2.これまでの芸能界は旧態依然としたムラ社会だった
今回の謝罪に至る発端は昨年11月にYoutubeで、オカモトさんと暴露系Youtuberのガーシー元参院議員が共同で行った生配信でした。オカモトさんは自身のほか、ジャニーズタレントの実名を挙げて、ジャニー喜多川前社長からの性加害があったと暴露しました。
そして、今年3月には、イギリスのBBCが「J―POPの捕食者 秘められたスキャンダル」と題したジャニー前社長の性加害を扱ったドキュメンタリー番組を放送。被害に遭ったという男性や、週刊文春の記者の証言を紹介しながら疑惑を報じました。
なんでもBBCは昨年夏頃、ジャニーズの元所属タレントら芸能関係者に対し、ジャニー前社長について情報提供を呼び掛けていて、オカモトさんも連絡を受けていたことをSNSで明らかにしています。
4月12日、オカモトさんは東京都内の日本外国特派員協会で記者会見して、平成24~28年に15~20回ほど性被害を受けたと主張。ジャニー前社長の自宅マンションに泊まった際に服を脱がされ、被害に遭ったと訴えました。
これまでジャニー前社長をめぐっては、何人もの元所属タレントが告発し、忘れ去られてきた過去があります。
例えば、昭和63年に刊行された北公次さんの「光GENJIへ―元フォーリーブス北公次の禁断の半生記」で、「寝ているおれのもとへジャニー喜多川さんがそっとやってきておれの寝ている布団の中に入りこんできた」などと告発されています。この告発本が出版された後、平成11年には週刊文春が元所属タレントの証言とともに性加害疑惑の特集記事を連載。ジャニーズ事務所が名誉毀損を訴えたものの、東京高裁は性加害の事実を認定しました。けれども、この件は、一度も警察沙汰になることはなく、世論や同事務所の反応も限られたものでした。
ところが今回は、謝罪する事態にまで発展しました。これについて、上武大の田中秀臣教授は「今回はBBCが報じたことが大きな契機となった。国際マーケットでの収益を見込む事務所にとって、海外の反応は放置できない……これまでの芸能界は旧態依然としたムラ社会だった。国際化とデジタル化により、業界が抱える問題はどんどん明らかになっていくだろう」と、時代が変わったと指摘しています。
3.メディアには二度と出られない
また、実業家の堀江貴文氏も、15日、自身の公式ユーチューブチャンネルで、この問題について解説しています。
その概略は次の通りです。
・創業者であり前社長が生きている時にもジュリーさんはジャニーズ事務所の取締役だったということで責任は逃れられないという法的な枠組みにはなっている。堀江氏の指摘通りであるとすれば、これは日本ムラメディア社会を揺るがす大事件になるということです。仮に今のテレビ番組すべてに一切のジャニーズタレントが出演できなくなって消える事態を考えると確かにそうかもしれません。
・そもそもジャニー北川さんの天才的なその審美眼によって少年たちを発掘してきてそしてジャニーズジュニアとして育ててスターにのし上げていくというシステムそのものが崩壊しかねない。
・第三者委員会を設置して実態を解明しようともしていない、わからない中で謝罪をしてしまうのはいかにも日本的。こんなの欧米でやったら、わかんないのにお前謝罪をしたのかと巨額の賠償金を払わなければいけなくなる
・訴えた人たちが民事裁判を起こせば、巨額の賠償請求が認められる可能性もある
・子供に対してのですね性加害は、欧米ではもう本当に厳罰に処するということでも社会復帰できないぐらいの非常に大きな社会的な罰も受けることになる。
・当然、ジャニーズ事務所のタレントは少なくともメディアにはもう二度と出れない。
・ジャニーズ事務所と取引があったテレビ局だったりとかメディアあるいはそこに資金提供してた人たち、関連会社の方々、そういった方々まで類が及ぶ。
・カウアンさんの告発が正しければ、今の現ジャニーズ事務所はもちろんジャニーズ事務所辞めちゃったタレントも、後輩たちが性加害を受けるのを見殺しにしたとも考えられる
・欧米の基準から言うと彼らもメディアには二度と出れないみたいな感じになってしまう。少なくともメジャーなメディアには出れなくなる。
・なぜかというと未成年に対する性加害を防止するための活動団体が非常に大きな力を持っているから。
・Netflixだったりとか、Amazonプライムとかグローバルプラットフォームにジャニーズの人達を出すと、性加害を助長するのかとなって、批判や不買運動される。当然メディアも使わなくなる
・それぐらいの大きな、メディアを震撼させる大きな事件になってしまうんじゃないかな。
・しかし、一番不思議なのは、東京地検特捜部とか、警察だったりとか、スタンドプレーが好きな彼らが全く動いてないこと。
・東京地検特捜部は、独自の捜査権限を持っている。法務省みたいなもので、勝手に自分の判断で動くことできる。
・警察とか検察の中にも、ちっちゃな男の子が好きなゲイの人とかも当然いると思いますので、そういった人たちにもしかしたら性接待忖度みたいなことがなされてるんじゃないかって勘繰ってしまう。
・今回の問題がここまで大騒ぎになって刑事事件化しないってやっぱ変だよねという風に思いました。
・これからちょっとジャニーズ事務所大変だと思いますし、最後まで日本のテレビ局が守りきるのか切らないのか。
・日本のテレビ局もグローバル展開しなきゃいけないので、当然ですね諸外国のプラットフォームから圧力かかるので多分粘ることはできないんじゃないかと我々は考えています。
4.カウアン・オカモト争奪戦
ここまで話が大きくなってきて、政界も動き始めました。
15日、松野博一官房長官は記者会見で、ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長による性加害問題を巡り、性犯罪を厳しく批判した。「一般論として性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為で、決して許されない。同意のない性的行為は性暴力だ……性暴力根絶の取り組みや、被害者支援を強化していく必要がある。誰もが安心できる社会を実現したい」とコメントしています。
そして、16日、立憲民主党は、「性被害・児童虐待」国対ヒアリングと称して、カウアン・オカモトさんらを招いたヒアリングを開くと発表しました。この騒ぎに立憲民主はいっちょ噛みしようとしてきたのですね。
ところが、これに、政治家女子48党の立花孝志氏がストップを掛けました。
立花孝志氏は、自身の公式ユーチューブチャンネルを更新。動画中で立憲民主に対し「あなたたちは、これまで何もやってなかったでしょ。急にカウアン君を独占するのはやめてください」と怒りをぶちまけていたのですけれども、そこになんと、偶然にもカウアンさん本人から連絡が入ったのですね。立花氏は、その場で「国会の委員会の参考人としていく方がいい。明日のは立憲の人しか聞いてくれない。とりあえず、キャンセルしたほうがいい」と説得しました。
なんでも、カウアン氏にも友人・知人から「利用されるから止めとけ」と大分言われたそうで、カウアンさんも出席を取りやめる意向を明かしました。
注)その後、カウアンさんは民主党ヒアリングに出席したようです。
それにしても立憲民主は、ちょっとでも票になる、人気取りになると思えば、擦り寄ってくる。最低のやり方です。
筆者はこれまでなんどか2019年からの10年は、既得権益を破壊していく戦国乱世になる、と述べてきましたけれども、今回のジャニーズ問題を契機として芸能界の闇が暴かれ、その既得権益も破壊されていくのかもしれませんね。
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