吊るされるLGBT法案

今日はこの話題です。
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1.何ら瑕疵はなかった


5月18日、自民・公明両党は、超党派の議員連盟がまとめていたLGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案の修正法案を国会に提出しました。

この法案は、自民党政調審議会および総務会で了承されたのは、2日前の16日です。

法案を審査した党部会などで反対意見が多かったにも関わらず、部会幹部らが強引に一任を取り付けた経緯も出席議員から問題視されています。

萩生田光一政調会長は政調審議会の会合冒頭、法案について「国民全体で互いの理解を深めることで、誰もが自分らしく暮らせる社会を実現したい。国会の審議を通じ、党に寄せられている懸念にも丁寧にこたえていきたい」と述べ、遠藤総務会長は、総務会後の記者会見で「十分に議論した上で修正し、満場一致で了承を得た」とコメントしています。

けれども、実際の総務会では、出席者から懸念や注文が相次ぎました。

石破茂・元幹事長は「公衆浴場の女湯に『私は女性だ』と自認する男性が入ってきた時、排除できないとの懸念を 払拭ふっしょく しておかなければならない」と指摘。中曽根弘文・元外相は、学校に必要な対策を求める内容について「教育現場に対応が丸投げされないかを危惧している。付帯決議などで説明すべきだ」と述べ、採決前に退席しています。

ですから、遠藤総務会長が満場一致といっても、中曽根弘文氏が退場した上での”満場一致”であり、形式を整えたに過ぎません。

総務会後、オブザーバーとして出席した高鳥修一・元農林水産副大臣は12日の党の合同会議で反対意見が多かったと主張し、「手続きには 瑕疵がある。極めて不正常な運営だった」と記者団に述べています。

けれども、これらの動きに対し、萩生田政調会長は記者団を前に、「一部に『民主主義が壊れた』と言う方がいると聞くが、何ら瑕疵はなかった」と発言しました。


2.小手先で見た目だけ変えた


同じく16日、自民、公明両党は与党政策責任者会議を開き、自民党内の政調審議会および総務会を通過した自民修正案を正式に了承しています。

法案の基本理念には「差別は許されない」という文言を「不当な差別はあってはならない」と修正。申告で性別を決める「性自認」の表現も危険視され、法案では「性同一性」と修正されています。

また、7条に「学校の設置者の努力」として独立した条文を設けていたのですけれども、自民内で「性教育すら十分にできていない」などとして削除を求める意見が噴出。法案ではこの文言を7条から削除し、事業主などの努力を求める6条の中に位置づけを変えるなどしていますけれども、「内容が変わっていない。小手先の修正だ」として反発も根強くあります。

実際、公明党の高木政務調査会長は、与党修正案について、「修正によって法制上の意味は変わらないことを確認した。自民党がせっかくここまでまとめあげたので、公明党としても了とした。なるべく、あすの法案提出を目指したい」と述べていますから、やはり小手先で見た目だけ変えたと理解した方がよいかもしれません。


3.泉とエマニュエル


今回のLGBT法案について、自民は野党にも賛同を求めていますけれども、立憲民主、共産両党は修正案に反対する方針。立憲民主の岡田幹事長は16日の記者会見で「超党派で合意した法案から大きく後退している」と批判しています。

立民の泉代表はアメリカのエマニュエル駐日大使と会談し、LGBTの人たちへの理解増進に向けた与党の法案は超党派の議員連盟の法案に比べて内容が後退しているとして、議員連盟の法案を国会に提出する方針を伝えたとのことで、会談後、泉代表は記者団に「与党案に対して当事者からは、失望や絶望の声が上がっており、後退した法案を成立させてほしくないという声も数多く寄せられている」と述べています。

泉代表は「当事者が失望している」なんていっていますけれども、「LGBT法案の裏側と利権」のエントリーで取り上げたように、性的少数者らによる「性別不合当事者の会」、「女性スペースを守る会」、「白百合の会」、「平等社会実現の会」の当事者4団体は、LGBT法など不要だと宣言しているのですね。泉代表のいう「当事者」は一体だれなのか。ただの活動家ではないのか、と突っ込みをいれてもよいように思います。

また、泉代表は、LGBT法案について、わざわざエマニュエル駐日大使と会談までしています。それも議員連盟の法案を国会に提出するなんて、なぜ「ご報告」までする必要があるのか。理解できません。

日本維新の会と国民民主党は、党内で修正案への賛否が入り交じっており、対応を協議しているようです。国民の玉木代表は記者会見で「『一歩前進』という意見がある一方、二つの方向から反対がある」と語っています。

この立憲の反対姿勢について、公明党の高木政調会長は「思いは理解できるが、お互いが主張し合って法案が成立しないと、理解を増進させようという機運のブレーキになる。大切なことは法案の成立だ」と述べ、理解を求めていますけれども、立民はもとより、維新の会や国民民主でも対応が割れている法案を無理に通す必要があるのかと思ってしまいます。

実際、自民党の保守系議員からは「国会に提出さえできれば、国際社会に姿勢は示せる。成立する必要はない」との声も漏れているそうですから、このLGBT法案はやはり「瑕疵だらけ」なのではないかと思います。

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4.腹芸と反動


今回、自民党案が、政調審議会および総務会を通ったことについて、長尾敬前衆院議員は、自身の動画チャンネルで、法案を国会に提出するところがゴールなのではないかという独自の読みを披露しています。

件の動画のポイントを整理すると次の通りです。
・金曜日に強行に一任を取り付けたその後に、反対の方々の「生来女性の人権と安全が脅かされる」という議論が沢山でてきた
・女性の恐怖や不安には根拠がある。だからこの法案には反対で万一成立させるんだったら女性のその不安を払拭できる法律を別にもう1本2本作れという話も水面下であった。
・金曜日の段階で別の法案があるならという発言が1人の参議院議員からあって、それを全部組み入れた家で一任くださいとなっていた。
・その意見を踏まえた最終修正がどうなったのかというと、政審総務会が終わった後の最終修正案では殆ど修正されたものはなかったと言ってもいい。
・大幅に削除された部分は実はあるが今日はとりあえずおいておく
・女性がなぜ不安に思っているのかを払拭できるような対策案には一切触れていなかった。
・誤解を恐れずに言えばこういう法案がもし通っても、新たに女性の人権と安全を守る法律作るならば諒としましょうというシナリオは消えた。
・つまり、この法律は成立させちゃいけないということ。
・それは我々国民の責任。政治を政治家だけに任せない。安倍元総理が言っていたこと
・法案は提出されていない。提出することが目標かそうでないかで対応は変わってくる
・この法案は当初は明日までに法案を成立させるという目標だった。
・提出することが最終目標であればやりようはある。
・萩生田政調会長の「瑕疵はなかった」という言葉を裏読みしたい。
・萩生田政調会長は絶対この法案に関して反対だという確信している。本人にきちんと確認したわけではない。
・萩生田政調会長は政調会長という立場をどう使うのかを裏読みすると、岸田政権が法案を提出することを最終目標とするならば、それまでは協力しましょう、と捉えているのではないかと思う。
・その代わり成立はさせない。それを約束してくれと岸田政権に交渉するくらいのことは容易に想像がつく。私がその立場だったらそうする。
・政界は貸し借りの世界。ここは譲るから悪いけどこっちは譲ってと、安倍元総理もずっとやってきたこと。
・結果を導き出すためなら自分がどれだけ勘違いされても悪者になっても集中砲火を浴びてもやるべきことをやるというのが真の政治家。
・萩生田政調会長はその意味合いを持って、今回の発言をしたと確信している。
・私の見立てが間違ってることももちろん可能性としてはある。
・法案手続きをするならどうぞ国会に提出をしてください、そこまでは協力する。しかしそこから先は「吊るし」を下ろしませんよ、
・これは政調会長が言う言葉ではなく、国対委員長あるいは国体関係者そして今回の場合は内閣委員会の委員長やあるいは与野党の理事特に筆頭理事が国体と相談をしてやること。
・萩田政調会長も国体を長らく経験している。
・岸田政権が提出することを最終目標にしていて、G7サミットでは我が国も提出をしましたよということで終わらせるなら、だからこその「瑕疵がない」発言。
・萩生田さんが「瑕疵がない」なんてそんなこと言うはずがない、それをあえて言ってる。これが読みどころ。
・通常国会の中ではだいたい少ない時でも60本70本多い時は100本以上法案が提出される。
・与党が提出する法案というのは成立できなければ、成立の見立て確証が事前になければ、与党は法案を提出しない。これが与党の立法文化。
・野党の場合は、だいたい野党が提出する法案なんて1万本中1本成立するかどうかわかんない。提出することが最終目標。
・吊るされた法案が野党の法案というのは、ほとんどが廃案になる。
・吊るされた法案を眺めながら、理事会で、さあどういう順序で審議を始めましょうかと、委員長、理事の皆さん、野党理事の皆さんそれぞれの国体に吊るしをおろす旨報告をしてください、という手続きがある。
・委員長が通称「おろします」ということを言える環境を作るのはそれぞれの与野党の理事でありその背後に控えている国体。
・さあ提出までは応援しましょう、しかし吊るしをおろすことはまかりなりません。それを飲んでくれるなら瑕疵はなかったことに私が政調会長として発言させていただいてもよい、萩生田政調会長は、それくらいのことはいう方。
・最後に皆さんにお願いをしたいことは、吊るしを下ろしたら自民党は大変なことになるぞ、と判断してもらえるように、そして自民党の内部の議員がそう思えるような世論をどうか一緒に作っていきましょう。
長尾氏によると、政調審議会を通し、「手続きに瑕疵はなかった」と述べた萩生田政調会長は、自らが泥を被ってでも、法案審議させないようにしているのではないかというのですね。

前述したように、ある自民党の保守系議員が「国会に提出さえできれば、国際社会に姿勢は示せる。成立する必要はない」と述べたことを考えると、このような見方は割とあることなのかもしれません。

もし、長尾氏の見立てどおり、萩田政調会長が法案を成立させない腹積もりで、一連の言動をしているとすると、大した「腹芸」振りです。

ところが、翌18日、同じく長尾氏が動画を挙げ、自身の見立ての方向にはいってないと明かしました。

というのは、それは前述した泉代表とエマニュエル駐日大使との会談です。その際、エマニュエル駐日大使が立憲に法案に賛成するよう要請した筈だというのですね。

長尾氏はこれは明らかな内政干渉だと憤っていますけれども、逆にそれだけ、エマニュエル駐日大使も推進派も焦っていると指摘しています。

長尾氏は本来全会一致が慣習の議員立法が、自民・公明だけで国会に提出して可決させるなんてことがないように、声を上げていただきたいと訴えています。

状況は大分厳しいと思いますけれども、もし法案が成立しようものなら、その反動は大きなものになるのではないかと思います。果たしてどうなるのか。注目したいと思います。




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この記事へのコメント

  • 三角四角

     【 日本は終わる! 】

     自民党に投票したんでしょ?

     TPP断固阻止って言うから投票したら、政権盗ったらTPPを推進した。
     おかしいじゃないかと批判したら、「TPP断固反対と言ったことは1回もない」とさ。

     自民党は嘘吐き政党なんだ!

     竹島の日を設ける。
     尖閣諸島に公務員を常駐させる。
     移民政策は採らない。

     自民党は国民の期待を裏切り、嘘ばっかり吐いている。
     これが地方選挙で、自民党が維新の会に敗けた理由だ!

     日本の政治が駄目に成った本当の理由は、自主防衛を放棄したからだ。

     日本有事の時は、日米協力し合って、日本を防衛するのだが、日米軍の指揮を執るのは米軍だ。

     おかしくないか?
     日本を護る自衛隊が、米軍が主導する日本防衛の指揮下に入るなんて!

     多分、自衛隊が単独で、日本を護る軍事作戦プランも無いし、訓練もしたことが無いんじゃないの?

     その状態で、日本有事の時、在日米軍が、アメリカに帰ったらどうなると思う?

     自衛隊が主体の日本防衛プランが在れば在日米軍が帰っても何とか戦えるよね。
     しかし、在日米軍主体の日本防衛プランで、在日米軍が帰って仕舞ったら、お仕舞いだよ。
     だから、自民党政権は、アメリカの機嫌を損ねるのを何より恐れるのだ。

     従って、日本が自主防衛を始めない限り、日本はアメリカの顔色を窺うことに成る。

     自民党が野党の頃、民主党から政権を奪取しようとしている時に発表した憲法9条改正案は素晴らしいものである(注1)。

     憲法に「国防軍」を書き込み、軍隊に必要な、軍法会議(「審判所」(平成24年草案:第9条の2第5項))も憲法に規定した。
     これで、憲法上は自主防衛が可能になる。

     これには多分アメリカは驚いただろう、
     平成24(2012)年草案が現実化したら、憲法上日本は自主防衛が可能になり、アメリカの軍事的援助が不要に成るからである。

     故に、安倍総理にプレッシャーを掛けて、平成24年草案を骨抜きにした。

     平成30(2018)年に安倍自民党が発表した憲法9条改正案は平成24(2012)年草案とは似ても似つかぬ実に酷いものである(注2)。

     憲法に「国防軍」を書き込むのを止めて、自衛隊を書き込むとか、軍隊に必ず必要になる軍法会議を規定するのを止めるとかで、丸でやる気が見えない。

     平成30(2018)年の憲法改正草案では、自主防衛は出来ないのに、自衛隊の米軍に対する融合化が進むのではないか?

     日本の凋落は自主防衛を放棄したことにある。

     もし日本国民だけで、日本を護るとしたら、徴兵制の導入が必要である。
     しかし、日本国民の海外派兵は強制しない。

     何故なら、国民には国土防衛義務があるが、他国侵略義務は無いからである。
     徴兵制による国土防衛軍と、志願制による海外派遣軍の二本立てで良いと思う。

     日本が自主防衛を放棄したから、アメリかに付け込まれ、年年歳歳、日本の国益を削られている。

     自民党は、日本の国防に在日米軍はマストだと思っている。
     だから、TPPも竹島の日も、尖閣諸島も移民政策もLGBTも全てを呑んだ。

     自民党が強い決意で、自主防衛の実現を成し遂げる覚悟を持たない限り、日本は終わる。


     (注1)【 自民党 日本国憲法改正草案(平成24年4月27日(決定))
     https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/130250_1.pdf
     (日本国憲法改憲草案)
     第二章 安全保障
     (平和主義)
     第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手としては用いない。
     2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

     (国防軍)
     第9条の2
     我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
     2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
     3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
     4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
     5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。 この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。


     (注2)【 産経ニュース 2018/3/25 21:09
     自民党大会 「改憲4項目」条文素案全文(抜粋)
     https://www.sankei.com/article/20180325-4JNSZD6FAJLDLKCEN4652L4W7A/
     (※第9条全体を維持した上で、その次に追加)
     【9条改正】
     第9条の2
     (第1項)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

     (第2項)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
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    2023年05月19日 21:01