中国の脅威を国民と共有するファイブアイズ

今日はこの話題です。
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1.中国は軍同士の危機管理の対話に真剣に取り組もうとしない


6月3日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で、アメリカのオースティン米国防長官が演説し、米中両軍の対話再開を中国に呼び掛けました。

アメリカは会議に合わせて米中国防相会談の開催5月初旬に中国側に打診していたのですけれども、中国は、李尚福国務委員兼国防相がアメリカの制裁対象になっており、解除されないことを理由として、月末に拒否していました。

オースティン国防長官は、「中国が軍同士の危機管理の対話に真剣に取り組もうとしないことを強く懸念している……責任ある国防指導者は、どんな時でも、あらゆる時機をとらえ、対話するのが適切だ。そしていまがその時だ」と、中国側を批判しました。

また、オースティン国防長官は、「台湾海峡で紛争があれば壊滅的だ」と地域の安定の必要性を訴えた上で「中国が両軍の危機管理に向けたよりよい仕組みについて、真剣に取り組んでこなかったことを深く懸念する……大国とは、透明性と責任感の象徴でなければならない。アメリカは自らの役割を果たすことに深く尽力している」と台湾有事を回避する必要性を訴えました。

これに対し、シンガポール入りしている中国代表団は、中央軍事委員会統合参謀部の景建峰副参謀長は、「何度も中国を非難しており、断固反対だ」と反発。オースティン国防長官が訴えた米中両軍の対話再開についても、「両軍関係が困難に直面している責任は米側にある……意思疎通は相互尊重に基づくべきだが、米側は交流を呼び掛けながら中国の利益を損ねている」と非難しました。

もっとも、オースティン国防長官が強調した「責任ある国防指導者は、どんな時でも、あらゆる時機をとらえ、対話するのが適切だ」というのは、おそらく普通の民主国家の国防指導者に当てはまるものであって、中国のような権威国家、とりわけ習近平主席の独裁が色濃い政権下での、国防指導者にどれほどの権限と責任が与えられているのか、疑問を覚えます。


2.中国とのスパイ戦争が始まっている


アメリカは、対話の姿勢を見せていますけれども、あるいは、それとて、表向きであり、対話を求めるアメリカとそれを拒否する中国という構図を世界にアピールするという演出的な意味合いが強いのかもしれません。

というのも、アメリカを初めとして、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの5カ国によって構成される諜報の取り決め「ファイブアイズ」が、もうはっきりと中国を敵認定して、それを国民に周知し始めているからです。

先々週、オーストラリアの60ミニッツという番組が「すでに中国とのスパイ戦争が始まっている」というテーマで、ファイブアイズの幹部たちが情報面での脅威を解説。「中国こそが最大の脅威だ」と語っています。

その番組の冒頭部分を紹介すると次のとおりです。

・中国とアメリカは、致命的な兵器を見せびらかし、大規模な戦争ゲームを行うことで、実際の戦闘を避けようとする戦術をとっています。
・しかし、実は中国とアメリカは、オーストラリアを含む他の国々と同様に、すでに「見えない戦争」で戦っているのです。前線の兵士はいませんが、定期的に小競り合いが行われています。民主主義に圧力がかかり、権威主義的な体制が強化されつつある今、私たちは危険な時代に生きています。
・ロシアはウクライナを我が物と考え、イランは人権を嘲笑し、中国は日に日に主張と攻撃性を強めています。
・目に見えるものだけでなく、見えないものも恐ろしいものです。すべてが相互につながっている今、まさにハイブリッドの脅威といえるでしょう。
・目に見えない静かな闘いがすでに激化しており、この場合、最前線に立つのは軍隊ではありません。
・現代警察の新時代をリードする法執行機関は、民主主義を守るために懸命に戦う必要があります。
・今夜、世界最強の警察同盟の内側から見た私たちは、いくつかの国の権威主義的な政権の行動に非常に心を痛めています。
・アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアで構成される「ファイブアイズ」にアクセスできる機会はほとんどなく、これほど複雑で多様なシステムは見たことがありません。
・オーストラリアの民主主義にとって重要な脅威であり、1つに絞るとすれば、中国共産党でしょう。
・しかし、このような独占インタビューでは、諜報機関の盟友が口をはさむことはありません。

MC:ポール、お時間をいただきありがとう。あなたのボスであるFBI長官は、中国をアメリカの利益に対する長期的な最大の脅威と呼び、そのスパイと外国からの干渉に注目しています。同じことは、オーストラリアにも当てはまるのでしょうか?

PAUL ABBRATE:中国共産党が行っている不法行為や違法行為の範囲や規模、その量はまさに......信じられないほどだ。 中国政府からの攻撃はこれにとどまらず、我々のそれぞれの国や生活様式、民主主義、我々がとても大切にしている自由に対して重大な危険をもたらしている。

・アメリカは、太平洋地域における中国の影響力の増大により、我々の目の前で脅威が増大していることを説明している。

MC:中国が太平洋の島国を食い物にしていると見ているのでしょうか?。

PJ LECHLEITNER:そうだと思います。

MC:なぜ?

PJ LECHLEITNER:島国を利用して勢力圏を広げているでしょう。太平洋のあちこちに飛行場を作って、海運へのアクセスを良くし、この地域での活動を活発化させているのだと思います。あらゆる分野に目を向けて影響力を行使できる場所を探し 触手を伸ばしているのだろう。自国の利益のためなら何でもするのだと思います。

MC:中国政府が太平洋の島々の国々で影響力を持つことに成功していることに驚きましたか?

PJ LECHLEITNER:ええ、驚きました。彼らは太平洋諸島で非常に積極的に活動しています。彼らは社会の文化を利用し、助けを必要とする弱者たちに入り込み、援助を提供し、お金を提供します。そして影響力を得て、さらに勢力を拡大することができるのです。

・ファイブアイズが共有する秘密情報では、中国は組織犯罪者を使って汚れ仕事をさせている。

MIKE DUHEME:カナダでは、組織犯罪者から中国の中枢に至るまでつながりがあるのが分かっている。

MC:何が重なっているのでしょうか?何が相互利益なのでしょうか?

MIKE DUHEME: その国や地域の不安定さを作り出すためだと思います。また、民主主義に対する攻撃でもあり、カナダに大きな影響を与えます。

PAUL ABBRATE:彼らはあらゆるものに手を染めている。太平洋全域、あるいはあらゆるものに手を染めている。彼らはお金を稼ぐためなら何でもする。危険な麻薬の取引もする。マネーロンダリングにも深く関わっている。中国のマネーロンダリングはとても蔓延している。あらゆる種類の人身売買にも関わっているし、性売買に深く関わるものもある。そのような労働売買にも関わっている。

MC:中国の犯罪組織の一部は中国政府によって支援されているか、あるいは少なくとも黙認されているということですね

PAUL ABBRATE:少なくとも黙認されているのだ。中国が許可しない限り、中国では何も起こらない。もし、これらの犯罪組織が中国から何らかの形で活動しているのなら、中国政府はそれを許可しているのだ。彼らは全体主義国家、警察国家だ。彼らが許可しない限り、そこで活動することはできない。

・アメリカ人がタカ派であるのに対し、リース・カーショウ警察長官はより慎重な道を選んでいる。 オーストラリア連邦警察が最近の連邦予算で3億ドル以上を割り当てられ、太平洋地域での活動を拡大した理由の1つは、中国との急速な友好関係だ。しかし、カーショウ警察長官は中国への攻撃に巻き込まれることを拒んだ。

MC:中国政府は、太平洋における警察力の存在感を高めるために非常に積極的です。連邦政府が3億ドルを投じて連邦警察の太平洋地域での活動を拡大させるのは、それに対する対応なのでしょうか?

REECE KERSHAW:ご存知のように、私たちは太平洋でかなり大きな存在感を示しています。私たちは太平洋を深く理解しています。その一環として、太平洋における法の支配と民主主義が守られるようにしています。

MC:質問に戻りますが、この資金は中国の影響に対抗するためのものなのでしょうか?

REECE KERSHAW:その一部は、太平洋の民主主義と経済を実際に侵食している組織犯罪集団に対抗することだと思います。

・カーショウ総監は間違いなく難しい立場にいる。法執行機関と貿易や外交が結びつくと複雑だ。特にアルバニア政府は最大の貿易相手国との関係を修復しようとしているし、オーストラリア連邦警察は中国当局から麻薬輸送に関する情報提供を受けている。

MC:オーストラリアでの中国の影響力活動を指摘した FBIの率直な立場を歓迎しますか?

REECE KERSHAW:MPSとは長い歴史があり、AFPは中国警察とともに歩んできました。現在もMPSとは情報交換を行っており、特に麻薬に関しては、その情報の運用に非常に成功しています。

MC:コミッショナーとして、中国当局と協力する一方で、ファイブ・アイズ・パートナーズは、中国が組織犯罪に協力したり、西側の民主主義を標的にしたりする前例のない干渉を繰り返していると訴えていますが、それはあなたにとってちょっとした苦行なのでしょうか?

REECE KERSHAW:私たちが持っているのは相互尊重であり、私たちは確かに主権について明確にしていますし、MPSもそうでした 。

・カーショウ長官も、組織犯罪集団に手を貸す国家権力の存在を否定しない。

REECE KERSHAW:彼らはさまざまな情報を入手できる洗練された存在であり、我々のような法的枠組みを持たないため、彼らのシステムはインフラのさまざまな部分を利用することができるように少し簡単になっています。

MC:国家権力が組織犯罪と連携してオーストラリアを狙うということですか?

REECE KERSHAW:私が言いたいのは、それがあることを証明するのは別の話だということです。

MC:だが、それが起こっていることは間違いない。

REECE KERSHAW:我々はそれを示す情報を持っています。それは必ずしも我々からではなく、我々のファイブアイズのパートナーからかもしれない。ですから、私たちはそれを知っているのです。

中国政府は、我々のそれぞれの国や生活様式、民主主義、我々がとても大切にしている自由に対して重大な危険をもたらしているとまで断言。完全に敵認定しています。




3.中国の脅威は国民全体で共有すべきものだ


この番組について、地政学者の奥山真司氏は、自身の動画で、ファイブアイスの幹部達が、普段はクローズドで集まるところが、メディアの前に出てきて、みんなで一緒に写真を撮っていることが驚きだとし、既に実務レベルでは中国に対抗していくことが確定している、と指摘しています。

そして、オーストラリアとかは、遠慮なく中国脅威論を普通のテレビでガンガン流している。幹部たちがわざわざ動画に出て、世界中に発表している。今までシークレットでやっていたことが、国民全体が共有しなきゃいけないことだとし、中国ってやばい国だ、本当にあなたたちの情報も盗まれるし犯罪をどういう風にやるかわかんないと警告していると述べています。

奥山氏は返す刀で、日本のメディアに対し、中国に忖度し過ぎていて、このあたりを全く報じていないと批判。中国のサイレントインベージョンに対して警告すべきだ、と述べています。

筆者もまったく、その通りだと思いますけれども、先日のジャニーズの性被害報道をみれば明らかなように、今のメディアでは、それを期待するのはほぼ無理ではないかと思います。

それでも、昔と比べて既存メディアの影響力が落ちているのもまた事実です。我々はたとえ少しずつでも、いろんなメディアに触れて、情報を収集し、自分なりの結論を自分で見出していくことが大事になるのではないかと思いますね。



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