解散に前のめりな岸田総理

今日はこの話題です。
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1.情勢をよく見極めたい


6月13日、岸田総理は官邸で記者会見を行いました。会見のメインテーマは日中に閣議決定された「子ども未来戦略」方針のことで、少子化対策について「2030年代までがラストチャンス」と何度も念押ししながら、出産育児一時金の引き上げや、来年10月から児童手当の所得制限撤廃と高校3年まで支給期間を延長し、第3子以降は3万円に倍増するなど拡充したメニューの内容を説明しました。

けれども、通常国会会期末まで残り8日という中途半端なタイミングとあって、先週、この会見が行われるとの情報があった当初は解散宣言の可能性が取り沙汰され、もっぱらそちらに注目が集まっていました。当然会見後の質疑応答でも解散についての質問が真っ先に上がりました。そのやり取りは次の通りです。
篠原記者:テレビ東京の篠原です。政権の政策推進力に関係することですので、解散についてお伺いします。与野党の間では、岸田総理が今の国会で解散に踏み切るのではないかという見方が浮上しています。自民党の森山選対委員長や萩生田政調会長などは、野党が内閣不信任案を提出した場合には、これは解散の大義になるというふうな認識を示していますが、岸田総理は野党提出の内閣不信任案は解散の大義になるとお考えでしょうか。あわせて、単刀直入にお伺いしますが、今の国会で衆議院を解散するお考えはありますでしょうか。

岸田総理:まず、岸田政権は外交・内政の両面において、これまで先送りされてきた困難な課題の一つ一つに答えを出していくことが使命だと覚悟して、政権運営をしてきました。御質問の解散・総選挙についても、基本姿勢に照らしていつが適切なのか、諸般の情勢を総合して判断していく、こうした考え方にあります。そして、こうした基本姿勢に照らして判断していくわけですが、今の通常国会、会期末間近になっていろいろな動きがあることが見込まれます。よって、情勢をよく見極めたいと考えております。そして、現時点ではそれ以上のことについてお答えすることは控えたいと考えます。以上です。

篠原記者:不信任案は大義になるとお考えですか。

岸田総理:それについて、現時点ではお答えすることは控えます。
このように、岸田総理は解散するとは宣言しませんでした。ただ、「情勢をよく見極めたい」と、通り一遍の「今は考えていない」から表現が変化しています。




2.解散準備は整った


今回の岸田総理の会見について、テレビ朝日政治部の千々岩官邸キャップは、テレビ番組で、質問に次のように回答しています。
Q.選挙前は、国民の負担増について誰も話したくない。岸田総理が13日の会見で、具体的な財源論に踏み込まなかったということは、逆に言えば、岸田総理の頭の中には、くっきりと“解散・総選挙”があるとみて良いですか

千々岩森生記者:その通りだと思います。財源論から見えるのは、少なくとも年内はフリーハンドになった、いつ解散しても良いように、岸田総理が意図的に環境を整えたのだと思います。国民負担を含む財源の議論は、少子化については年末、防衛費については2024年でいいので、今年は耳の痛い議論が必要ないことになります。つまり、解散・総選挙は会期末の6月でもできるし、もうひとつの本命の今年秋、9~10月の臨時国会冒頭を主戦場とする時期でもできる、という状況になりました。13日の会見で、岸田総理の解散についての言い方が明らかに変わりました。

Q.岸田総理は「情勢をよく見極めたい」としていますが、解散の腹は決まったとみえますか

千々岩森生記者:解散について言い終わった岸田総理は、ニヤッと笑いました。解散の質問は代表質問で出たので、岸田総理は事前にどういう質問が来るか分かっていました。あえて言った、どういう反応が出るか分かって発言したように見えましたし、総理は解散風をあおったなと感じました。実際、岸田総理の会見を受けて、永田町はザワついています。官邸を取材すると、岸田総理が本格的に解散を視野に入れたのは、サミット前の5月上旬だったようです。このころ、官邸幹部から事務方に対して、いつ解散したら投開票日は何月何日になるか、その際に重要法案はどうなるか、スケジュールを作成するように指示が出ました。今から1カ月ちょっと前です。もちろん、実際に解散するかしないかは分かりませんが、少なくともこの会期末、つまり早ければ今週後半、もしくは来週あたりに、岸田総理が解散を“検討”していることは確かなようです
千々岩氏は、岸田総理が年内ならいつ解散してもよいように準備を整えたと指摘した上で、今回の会見での記者質問は予め分かっていたこと、解散について言い終わった岸田総理の表情から解散風を煽ったと感じた、と述べています。

千々岩氏によると、解散を視野に入れたのは、サミット前の5月上旬頃だとしていますけれども、それがあっての今回解散風を煽ったとするならば、もういつでも解散してよいという暗黙の宣言のような気さえします。


3.内閣不信任案は解散の大義になる


今回の岸田総理の解散に絡んだ発言について、政府関係者は「結構言ったな、言いぶりが変わったな、という印象を受けた」と話し、自民党幹部は「明らかに前のめりになっているように見える」と語っているそうですから、関係者には解散する気満々に見えるのでしょう。

そんな中、FNNは、もし16日に内閣不信任決議案が提出されれば岸田総理は、その日のうちに解散を表明することを検討していることが分かったと報じています。

ある関係者は「16日が最大のヤマ場になる」と話しているそうですけれども、それに呼応するかのように、内閣不信任決議案の提出が衆議院解散の大義になるという指摘が自民党幹部から相次いでいます。

9日には、自民党の森山裕選対委員長が、CS番組の収録で「内閣不信任案を出すということは、今の内閣を認めないということだから、解散の大義になりうる」と述べましたし、11日、フジテレビの番組「日曜報道 THE PRIME」に出演した自民党の萩生田政調会長は、野党側が内閣不信任決議案を提出した場合の対応について「内閣不信任決議案は、常に衆議院解散の大義にはなる。提出を受けて粛々と否決するか解散するかは総理大臣に与えられた専権事項だ」と述べています。

報道では、野党を牽制する狙いだ、なんて解説していますけれども、筆者にはどちらかといえば挑発というか、不信任案提出を待っているかのような印象さえ受けます。

実際、複数の政府与党関係者によると、内閣不信任案については16日に提出されるとの見方があるとのことで、これを受けて岸田総理は、提出されればその日のうちに解散を表明することを検討していて、こうした意向を周辺に伝えたようです。

一方、解散した場合の最新の選挙情勢が予想以上に厳しいこともわかったそうで、政府与党内で解散に慎重な意見も出ているようです。

ただ、厳しいからと見送ったとして、この先支持率が回復するのかといっても、大きなイベントは見当たりません。

岸田総理がどう判断していくのか。今週は目が離せませんね。


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