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1.党議拘束に反した行動
先日、可決した「LGBT理解増進法案」について、参院本会議での採決で、3人の自民党議員が退席したことについて、自民党の世耕参院幹事長は「党議拘束に反した行動」として、対応を検討する考えを明らかにしました。
世耕氏は与党と日本維新の会・国民民主党との間での法案修正協議の結果や国会審議の中身を評価した上で、「退席をするという方が出たのは大変残念だという風に思います。しっかり対処していきたいという風に思います」と述べ、参院幹部と協議し、対応を検討する考えを示しています。
採決で退席したのは山東昭子前参院議長と青山繁晴議員、和田政宗議員の3議員。
山東議員は、「心と体がアンバランスな方のことに関しては差別という意識はありません。しかし、やっぱり区別をしていただきたい」と述べ、和田政宗議員は「数多くの国民の声、自民党の党員の声、自民党支持者の声を受け止めた結果です」とコメント。そして、青山議員は「すべての点で懸念は払拭されていない」と述べ、与党案の「性同一性」の文言が「ジェンダーアイデンティティー」に置き換わったことについて、「国民がほとんど使ったことがない言葉だ。日本語をカタカナに置き換えたことは反対だ……学校教育の現場が混乱する。性に関して不安定な時期に教育現場が混乱することは、国や社会の根幹にかかわる。子供たちに責任を持つことができない」と指摘しています。
2.修正されても懸念は払拭されていません
世耕参院幹事長は、採決を欠席した3議員について、処分する意向を明らかにしていますけれども、世耕氏は採決前の段階から、造反議員を牽制していたようです。
このあたりの経緯について、青山議員は、自身のブログで次のように明かしています。
【前略】当初、青山議員の造反に同調すると見られていた議員は衆参17人程と見られていたのが、次々と切り崩されてしまったということのようです。
▼きょう令和5年、西暦2023年6月16日金曜の朝、まず国会議事堂で議員総会が開かれました。
議員総会は、基本的にオープンな場です。
参議院自由民主党の世耕弘成幹事長が、挨拶に立たれ、「自分も初当選のころ、党議拘束のかかった法案に反対しようとして、先輩議員から、世耕くん、この法案だけが政治じゃ無いんだよ、勝負は他でやれと言われて思い直した」という趣旨 ( あくまで趣旨です。正確な採録ではありません ) を仰いました。
ぼくの決意を知る同期議員が、ぼくを指でつつきました。
ぼくも「そうだね。俺に向かって言ってらっしゃる感じもあるね」と微笑で応じました。
参院本会議のあと、上掲の写真の説明で述べたように北朝鮮のミサイルに対する合同会議に参加し、それを終えて、議員会館の青山繁晴事務所に戻ろうとしたとき、護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) の議員のひとりが「世耕幹事長が議員総会の挨拶で、青山さんを牽制してましたね」と仰いました。
ぼくは、こう答えたのです。
「そうですね。牽制の意味もあったのでしょう。しかしぼくはむしろ、世耕さんの度量を感じましたよ。圧力とは思いませんでした。参議院自由民主党の幹事長としての立場、責任もあり、自然な述懐だと感じました。圧力を掛けるなら、幹事長としていくらでもやり方はあります。ぼくの退席によって、責任者である幹事長が水面下で責められることになるのに、圧力を掛けたりはされていません。自由民主党の自由は今なお、死に絶えてはいないのではないですか」
▼場面を議員総会に戻して、総会の部屋を出て、国会議事堂の同じ2階にある本会議場へ向かいました。
途中、出口太公設政策秘書が待ってくれていて、「議員、退席されたとき、ぶら下がり取材に応じますか」と聞きました。
「おう、もちろん」と即答しました。
そして、衛視さんに一礼して、本会議場に足を踏み入れました。
緊張はしません。
しかし、戦場に臨む感はありました。
本物の戦場で祖国を護るために命をかけられた先人を思えば、何と言うほどのこともありませぬ。
落ち着いて自席に向かいました。
( 退席し、次の刑法改正法案の採決までに席に戻る、その間のわずかな時間です。
わたしに対しては、こうやって大々的に取材があっても、そのあと報道されない、テレビに映さない、新聞にも書かないということが、一部を除いて、日常的にあります。
現場の記者ではなく上の判断だということが、18年9か月の記者経験からして、ありありと分かっています。
青山繁晴という国会議員はこの世にいないことにされて、もう7年です )
▼参議院の本会議場は、天皇陛下の御席 ( ふだんは緞帳で閉じられています ) 、それから議長席に向かって、議員席が扇状に広がっています。
席について名札を立てます。
隣席の同期議員の名札は寝かされたままです。武漢熱に感染したそうです。いま国会議員は感染者が増えています。
続々と席に着いていく自由民主党の議員の中には、LGBT法案をめぐるわたしの行動に同調したいと言ってこられた議員もいます。
衆議院も合わせると、全体では17人ほど居たと思います。
衆参とも、採決が近づくにつれ、減りました。
「後援会長に説得されました」「支援団体にやめてくれと言われました」「派閥の幹部に言われてしまって」「地元に反対されました」などなど、すべて予想通りです。
なかには、この本会議場に入ってから「無念ですが ( LGBT法案に ) 賛成します」と、わたしに告げた議員もいます。
▼不肖わたしは、後援会を作りませんから、後援会長もいません。団体の支援は宗教団体でも業界団体でもすべてお断りしています。派閥あるいは派閥に類したグループには一切、所属しません。
票田となる地元も作りません。参議院の全国比例の議員でもふつう、地元を作ります。あてになる票の塊が欲しいからです。しかしわたしは、公示にならないと選挙活動をしないので、地元も作っていません。
だから、他の議員に生じる説得、圧力はありません。
まさしくこういう時のためにも、献金やパーティ券の売り上げがゼロ、支援もゼロで財政をはじめさまざまに苦しくても、ささやかなサンプルとして、新しい議員の生き方を続けているのです。
▼あったのは、自由民主党の首脳陣からの説得、冷静で静かな怒りだけです。
わたしは、正しい手順として事前に党の首脳陣のおひとりに「退席します」と告げました。
「LGBT法案に反対なので、賛成の起立はしません。しかし座ったままだと、立憲、共産と同じ行動になります。それは決してしないので、退席します」
参議院では、武漢熱が始まってからボタン式の投票ができなくなり、起立投票です。議長が「賛成の方の起立を求めます」と発声なさると、賛成なら立つ、反対なら座ったままです。座っていると自動的に、立憲、共産の反対と同じにカウントされます。
▼党首脳陣のおひとりは、「 ( LGBT法案は ) 修正によって懸念が殆ど払拭されているのに、なぜ反対するのですか。修正の努力を無にするのですか」と仰いました。
わたしは「修正されても懸念は払拭されていません。さらに、肝心な部分を英語で表現するという新しい問題がむしろ生じています」と指摘しました。淡々と、そう申しました。
すると「党で正式に決まった方針に反対するのは大変なことですよ」と仰り、眼に力を込めて、じっとこちらの眼を覗き込んでこられました。
党則にあるとおり処分が来るぞ、将来が無くなるぞ、そういう意味です。
「よく分かっています」
わたしは淡々と、そのように答えました。
そして「同じ行動をとる議員が出ても、できれば、処分はわたしだけにしてください。今回、わたしは多数派工作など一切、していません。同調者があっても、それはその議員の自律した意志です。そうなのですが、処分なさるなら、わたしだけでお願いします」と申しました。
これに返事はありませんでした。じっと考え込んでおられました。
【後略】
3.「女性専用スペース」を確保するための法整備
6月15日、LGBT法を巡り、自民党の有志議員がトイレや浴場などの「女性専用スペース」を確保するための法整備に向け、議員連盟を立ち上げることが明らかになりました。発起人として西村康稔経済産業相や世耕弘成参院幹事長、橋本聖子参院議員ら50人超が参加するとのことです。
LGBT法を巡っては、トランスジェンダー女性による女性スペース利用の道を開きかねないとの懸念が保守派を中心に指摘され、海外ではトランス女性が女性競技スポーツに参加し、女性の活躍が阻まれているとも言われています。
議連は「女性専用スペースに関する法律(仮称)」と「女子スポーツに関する法律(仮称)」の制定に向けた政策提言を主なテーマとし、名称は「女性スペースなどを守る議員連盟」とする方向で調整しているそうです。
設立趣意書では「安心安全を守る制度を確立して、女性と女子の『生存権』を確保しなければならない」と明記。法整備によって、「理解増進法についての女性たちの恐怖と不安が緩和され得る」としていますけれども、それならなぜ、LGBT法案なんぞを成立させたのか。
これについて、作家の門田隆将氏は、「だがおかしくないか。それなら修正や継続審議にする為なぜ頑張らないのか。順序が全く逆」「トイレや浴場など“女性専用スペース”確保の法整備に向け議員連盟を立ち上げる自民党議員たち。“五賢人”高鳥修一氏、杉田水脈氏、山東昭子氏、青山繁晴氏、和田政宗氏らは正にそれに異議があり、退席したのではないか。彼らに処分を科して、自分は議員連盟立ち上げなど、フザけるのも大概に。国民は激怒」とツイートしていますけれども、まったくその通りです。
そもそも、LGBT法案を真面目に審議し、民主主義の手続きに乗っ取れば、成立する筈のなかった法案です。
先述の青山繁晴参院議員は、十分な国会審議も行われないままに法制化へ至ったことについて、「推進派議員が『審議をしっかりやると、いろいろな問題が噴き出てきて手が付けられなくなる』と発言していた」と明かした上で、先日、岸田総理が解散を見送ったことについて、「党幹部からも『解散権をもてあそんだ』という批判が漏れている。LGBT法への対応も、党議拘束もあったから表面化していないが、党内に生じた岸田首相への疑念は深刻。すごく深くて大きいと思う」とし、今後LGBT法について「施行して、何事も起きないということはほぼあり得ないと思う。いったん成立した法律を改正したり、その法律を無くしたりするのも立法府の務めだ」とコメントしています。
今後、LGBT法の施行で問題が起こるたびに、民主主義を無視して法制化を進めたことは槍玉に上がるでしょうし、第一、問題が起こるのではないかという懸念があるからこそ、わざわざ「女性専用スペース」を確保するための法整備云々という話になるのだと思います。
トイレや浴場など“女性専用スペース”確保の法整備に向け議員連盟を立ち上げる自民党議員たち。“五賢人”高鳥修一氏、杉田水脈氏、山東昭子氏、青山繁晴氏、和田政宗氏らは正にそれに異議があり、退席したのではないか。彼らに処分を科して、自分は議員連盟立ち上げなど、フザけるのも大概に。国民は激怒 https://t.co/uahHyVESQq
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) June 17, 2023
4.うるせえよお前の国でやれ
今回のLGBT法案の可決絡みでは、あからさまなアメリカの外圧も明るみになりました。
5月には、和田政宗議員が国会で「エマニュエル駐日米国大使は我が国に対し、早期に法律を制定すべきだなどとメディアのインタビューに答えてきた。また、自民党でLGBTのあり方の議論している最中にTwitterに「果たして時間を使うべきしょうか」と議論打ち切りを促すような動画をアップロードした。これが個人の意見なら何かを言うべきものではないが、ツイッターにあげた動画では、わざわざ駐日米国大使とテロップに入れていたし、駐日米国大使としてメディアのインタビューに答えている。今回のことに限らず、我が国における法整備は国民や国会議員が決めるものである。この一連の発言に対して政府は個人の意見か米国大使としての発言か確認しているか?」と質問。更に「我が国に特定の法整備を要求するのことについて、個人の発言ではなく、駐日米国大使の発言であるならば内政干渉に当たるという指摘があるが、政府としてはどう考えるか」と追及しています。
これに対し、林外相は「政府としては米国の大使の意図を述べる立場にはない」と答弁を避けました。
また、有村治子議員も「エマニュエル大使は日本にLGBT法を強く迫っていながら、国レベルでのLGBT法は成立していない。本国でもできていない法案を日本に迫っている。大使は『日本は進化の過程にある』と公言し、日本を見下し評定するような不遜な態度は日米関係を大事にしたいと思う国民層を逆撫でし、毀損する……国民の代表である与野党各会派の合意によって確定をする国会運営をも愚弄するものだ……日本は独立主権国家だ。他国の支配や干渉を受けず、国の統治のあり方を決める主権は、日本国および国民にある……しっかりと独立国家としての矜持を持って毅然と向き合ってもらいたいと考える国民の声に日本政府を代表する外務省は一体どのように向き合われるのか」と詰問しています。
これに対し、外務省は「大使による様々な発言発信については 承知している……駐日米国大使を含む 米国側とは日米同盟のマネジメントの観点 から必要に応じて様々なやりとりを日々行っており、私どもとしては国民の信頼のもとでしっかりとした外交を進めていきたい」と答えていますけれども、果たして外務省は「国民の信頼」を得ているのか足元を見つめる必要があるのではないかと思います。
当然ながら、エマニュエル大使の言動は反発を生んでいて、6月17日、お笑い芸人のビートきよし氏は、「エマニュエル米大使、LGBT法歓迎、流れ変わった」の記事に、「うるせえよお前の国でやれ」「お前の歓迎なんか要らねえんだよ」などとツイート。更に、自民保守派がカウンター法を作ることに関しても、「先にわかってたことなのにバカかよ」と批判しています。
ネットでも、きよし氏のツイートに「よくぞ言ってくれました」「なぜバイデンアメリカごときの言いなりになるのか。自民党は恥を知れ!」「きよし師匠のおっしゃること、正論やろ」と絶賛。
「人の噂も75日」という諺がありますけれども、LGBT法は、ジェンダートイレなど、身近な問題だけに、事件が起こるたびに0日にリセットされます。おそらくはいつまでたっても75日にはならない。
「女性専用スペース」を確保するための法整備云々といっても、学校教育含め、スペースとスポーツ以外の領域が置き去りにされる懸念もあります。
奇しくも青山議員が指摘したように、岸田総理に対する深くて大きい疑念は自民党内だけでなく、広く国民に浸透していくかもしれないと思いますね。
この記事へのコメント
naga