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1.プリゴジンはベラルーシ送りになる
6月24日、ベラルーシの国営メディアは、プーチン大統領の合意の下でルカシェンコ大統領が武装蜂起した「ワグネル」のプリゴジン氏と電話会談したと発表しました。
交渉は一日かけて行われ、その結果プリゴジン氏はロシア国内での「ワグネル」の進軍を停止し、緊張緩和の措置を講じる提案を受け入れたとし、その内容は、ルカシェンコ大統領からプーチン大統領に報告されたということです。
これを受け、ワグネル戦闘員は占拠するロシア軍南部軍管区司令部(南部ロストフナドヌー)などから撤退を開始。この日、ロシアのペスコフ大統領報道官はプリゴジン氏について、「捜査は取り下げられ、ベラルーシに行くだろう」と報道陣に話し、ほかのワグネル戦闘員についても、反乱の罪は問われないとしている。
ペスコフ報道官によると、ルカシェンコ氏とプリゴジン氏は20年以上の親交があるとのとこですけれども、ベラルーシにどんな立場で迎えられるのかは分からないとしています。
2.各国首脳と電話会談したプーチンと緊急会議をしたG7
今回のワグネルの武装反乱について、プーチン大統領は、ベラルーシのルカシェンコ大統領、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領、カザフスタンのトカエフ大統領と相次ぎ電話会談を行い、24日にはトルコのエルドアン大統領と電話会談し、国内情勢について説明しました。
24日、ベラルーシ安全保障会議はプーチン政権を支持する声明を発表しました。ベラルーシとロシアの同盟関係を強調し、ベラルーシとロシアの同盟関係を強調し、ウクライナ侵攻の「目的と課題を完全に共有する」と表明。いかなる挑発や内部紛争も「西側諸国への贈り物となる」として混乱収拾を訴えました。
またトルコのエルドアン大統領もプーチン政権の対応への完全な支持が表明されたようです。
一方、西側はというと、今回の件で、各国は情報収集に追われました。24日、G7外相は、電話会談を行い、ロシア情勢を協議。G7として引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
アメリカのブリンケン国務長官は電話会談で、ウクライナに対するアメリカの支援に変更はないと強調。BBCはイギリス政府が国家の緊急時に招集する関係機関会合を開く方向で調整していると伝え、スナク首相は「進行中の情勢を注視しており、同盟国と連絡を取っている」と説明。また、市民の保護が最優先事項だと指摘し、ロシアへの渡航を控えるよう改めて呼び掛けています。
また、EUのミシェル大統領は、ツイッターで「明らかにロシア内の問題だ」との見方を示し、「欧州の指導者やG7と連携している」と表明。フランス大統領府は「マクロン大統領は事態を注視している」とコメント。ドイツのベーアボック外相もツイッターで「注意深く観察している」と強調し、ロシアに滞在する自国民に警戒を促しました。
もっとも、アメリカは今回のワグネルの武装反乱について事前に察知していたようです。
6月24日、ニューヨーク・タイムズ紙はプリゴジン氏が武装反乱を起こす準備をしていることを、アメリカ政府が事前に把握していたと報じています。報道によると、アメリカ情報機関が最初にプリゴジン氏の反乱準備を察知したのがいつかは不明であるものの、21日には政府・軍高官に詳細な説明をし、翌22日にはアメリカ議会幹部にも報告。アメリカ政府はプリゴジン氏の反乱がロシアの核兵器管理に及ぼす影響を懸念していたとのことです。
3.プーチンはプリゴジンに屈したか
冒頭でロシア大統領府のペスコフ報道官がワグネル戦闘員について、反乱の罪は問われないと語っていることを紹介しましたけれども、ペスコフ報道官は「これは進軍に参加しなかった者に関するもので、実際そのような部隊はいた。最初期から考えを変えて戻っていった。いつもの陣地へ戻るため交通警察などの支援による護衛まで要請した」と述べ、ワグネルの戦闘員が進軍に参加したことで法的措置を受けることはないとも語りました。大統領府はウクライナの前線での「彼らの英雄的な行動にいつも敬意を払っている」としています。
ペスコフ報道官は、ベラルーシのルカシェンコ大統領大統領の仲介について、個人的な関係を通じたものだと明かし「彼の個人的な提案だった」と、ルカシェンコ氏に感謝の言葉を述べています。
更に、ペスコフ報道官はワグネル戦闘員に対し、希望する者はロシア国防省と契約することになると述べています。
昨日の段階では、ワグネルの武装反乱から、内戦に突入するのかと一部で見られていたのが急転直下の事態収拾です。
プリゴジン氏はロシア政府に対し、セルゲイ・ショイグ国防相とワレリー・ゲラシモフ参謀総長の辞任を要求していたとも伝えられていますけれども、ロシア国防省に近い人気のライバーZチャンネルは、情報筋の話として、ショイグ氏とゲラシモフ氏を含むロシア国防省の閣僚が解任されるとの見通しを伝えています。
また別のメディア報道によると、 クレムリンはワグネルにある程度の譲歩をしたとし、ロシア当局はプリゴジン氏とその傭兵たちに一定の「安全保証」を約束。ただ、ペスコフ報道官は、ロシア連邦国防省の人事異動はプリゴジン氏との交渉中に議論されなかったと述べています。
これについて、ロシアの野党ジャーナリスト、ティムール・オレフスキー氏は、プリゴジンの反乱の物語に終止符を打つのは時期尚早であるとし、「ワグネル派」の指導者に提供された安全の保証やその他の約束は、クレムリンでは履行されない可能性が高いと指摘しています。
これを考えるとプリゴジン氏およびワグネル戦闘員の処遇やその後の後始末を見るまではまだまだリスクが残っていると見た方がよいかもしれませんね。
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