低迷するマイナカード利用となりすまし問題

今日はこの話題です。
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1.マイナカード離れ


トラブル続きのマイナカードですけれども、各自治体でマイナカードの自主返納の動きが広がっています。

マイナカードは国外転出や有効期限切れの場合に返納する必要があるのですけれども、「使いたくない」「保有するのが不安」など自分の都合で「自主返納」することもできます。

石川県金沢市ではマイナカードの自主返納が急増。4月1件、5月3件と殆どなかったのが、6月は21日時点で19件と急増。金沢市市民課の担当者は「6月以降、連日、マイナンバー関連のトラブルが報じられ、不安を抱き返納するケースが多い」と答えました。

神奈川県平塚市でも4月1件、5月0件だったが、6月22日時点で7件が自主返納されています。

6月27日、松本剛明総務相は閣議後記者会見で、取得したマイナーカードを返納する動きがあるとの指摘を受け、「カードを持つことの意義やメリットについて理解を得るよう努めたい」と述べています。総務省は返納をする動きがあることは把握しているとしています。

マイナカード返納について、「共通番号いらないネット」事務局の宮崎俊郎氏は、「いったんカードを返却してしまうと、再発行には1000円の手数料がかかる。健康保険証の資格確認を毎年取得する手間も生じる。それでもカードを返すのはよほどのことです。切実に不安を感じているからでしょう。あるいは抗議の意思が込められているケースもあるのかも知れない。メリットを期待してカードを取得したが、デメリットばかりと感じ自主返納する動きが広がっているのでしょう。今後さらに増えると思われます」と述べています。

6月21日、政府は、デジタル庁、総務省、厚生労働省を中心とする省庁横断の「マイナンバー情報総点検本部」を立ち上げ、マイナカード取得者向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる全29項目を検証し、データの誤りについて、秋までに洗い出す方針を示していますけれども、先述の宮崎氏は「走りながらの総点検はあり得ない。いったん、マイナンバー関連のシステムはすべて運用を中止してから、総点検すべきです。例えば、このまま運用を続ければ、他人の医療情報をもとに診療や投薬をしてしまう恐れもある。発覚していないだけで、すでにそのような事案が起きている可能性も否定できません」と指摘しています。当然の指摘です。


2.マイナ保険証利用推進本部


更に6月27日、厚生労働省は加藤厚労相を本部長とした「利用推進本部」を設置すると発表しました。

この「利用推進本部」は、マイナカードに登録するデータの正確性の確保や、医療現場でのトラブルへの対応策などについて検討を進める会議で、加藤厚労相は、「私のもとにオンライン資格確認利用推進本部を設置し、省をあげて取り組むこととしております……安心してマイナンバーを健康保険証として活用していただける環境整備を進める」としています。

早速、29日にはこの「利用推進本部」の初会合が開かれ、加藤厚生相は、会議の冒頭で、「遅くとも8月から保険料を払っておられる方が必要な自己負担、すなわち3割分等で必要な保険料を受けられる取り扱いが医療現場で徹底されるように取り組んでいきたい」と、マイナ保険証に不具合が起きた際でも患者の負担が本来の「3割」などで済むよう要請しました。

これは、マイナ保険証を使用した際、「無効」と表示されるなどして、患者が10割負担を請求される事例が相次いでいることを受けてのもので、全国保険医団体連合会によると、6月19日時点で全国で少なくとも776件あったとのことです。

ただ、遅くとも8月といっても、まだ丸々1ヶ月あります。それまでは、10割負担請求の可能性が残ることになります。

厚労省は対応策として、機器不良などのため、マイナ保険証で保険資格の確認ができなかった場合、現行の健康保険証や、マイナカードの専用サイト「マイナポータル」での確認が可能であることを明確化。健康保険証が手元にないケースでは、新たに設ける「被保険者資格申立書」を出せば、窓口での支払いは本来の負担分で済むようにするとしました。

更に、厚労省はマイナ保険証を使って初めて受診する際や、転職などで新しい保険証が交付された際などには、念のため今の保険証も医療機関などに持参するよう呼びかける方針を決め、チラシなどで周知するとしています。

ただ、現行の保険証も持ってこい、というのは、今のマイナカードのシステムが当てにならないことの裏返しであり、厚労省は自分でそれを白状しています。

先述の「共通番号いらないネット」事務局の宮崎俊郎氏は、「走りながらの総点検はあり得ない」と述べているように、システムがあてにならないのであれば、一旦全部止めて総点検すべきだと思います。


3.今の健康保険証に安住するデメリット


国民が不満と不安を募らせる「マイナ保険証」のトラブルですけれども、6月22日、嘉悦大学教授の高橋洋一氏が、今の健康保険証に安住するのは大きなデメリットがあるとする記事をJ-CASTニュースに寄稿しています。

件の記事を引用すると次の通りです。
岸田文雄首相は、保険証廃止・マイナンバーカード一本化の方針は変えないが、国民の不安解消が大前提とし、現行の保険証は1年の猶予期間中は使えるとして、その間に不安解消を図るとした。

保険証廃止・マイナカード一本化により保険証とカードを一体化した「マイナ保険証」となるが、別人の医療情報が登録された事例が7000件以上あった。共同通信社が6月17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、一本化の延期や撤回を求める声が計72.1%だった。

前回の本コラムで、事例数だけでなく、比率を合わせて見るべきと書いた。7000件は0.0056%だ。これは、約1.8万人に1人なので、年末宝くじ4等5万円の当選確率1万人に1人より低くその半分程度、交通死亡事故やゴルフホールインワン確率3.4万分の1より高くその2倍程度だ。

筆者は確率で割り切るので、自分が1.8万人から選ばれるとは思わないが、不安かと聞かれたら不安と答える人が多い。上記の世論調査でも、マイナカードの活用拡大に「不安」「ある程度不安」との回答は計71.6%あった。

これは人間心理なので避けられないが、報道ではあまり煽らない方がいい。新しい制度に移行するとき一時的なミスはあるが移行しないときは永続的なデメリットもある。一時的なミスと永続的なデメリットの両方をよく比較考慮するのも不安解消にはいい。

筆者はかつて20年ほど前の官僚時代にe-Taxのシステム作りに参画した。これは国民からカネを取る仕組みであるが、それを一部改良すれば国民にカネを配布することが可能だった。カネを取るのはいち早く作り、カネを配布するのは20年も時間を要した。これは新しいシステムに移行しないデメリットだ。

現行の保険証は顔写真もないなど、本人確認ができない。他人のなりすましや不正利用などが問題化している。性善説を前提として健康保険証を本人確認の一部としている今の社会システムはマイナ保険証に移行しないとかなりまずいことになるだろう。今の健康保険証に安住するのは大きなデメリットになっている。実際、日本のいくつかの自治体では健康保険証の不正利用に悩んでいる。
このように高橋洋一氏は、現在の本人確認ができない保険証は、他人のなりすましや不正利用などのデメリットがあり、マイナ保険証に移行すべきだと主張しています。


4.なりすまし被害の実態を把握していない政府


マイナカードのトラブル問題となっている中、ここ最近、ネットやテレビなどで、ちょくちょく、保険証のなりすまし問題が話題に上がってきているように見受けられます。

なりすましの例として、2022年3月、埼玉県で中国籍の塗装工の男が再逮捕されています。

この男は40代の日本人男性名義の健康保険証を使って成り済まし、2018年11月16日~20年10月20日、所沢市内の歯科医院で計4回の診療を受け、2万4390円の支払いを免れた容疑です。国際捜査課によると、昨年7月、東京出入国在留管理局から「日本人に成り済まして生活している中国人がいる」と通報があり、捜査したところ、男が不正発給された旅券で出入国していたことが判明。2月17日に旅券法違反容疑で逮捕し、その後、日本人に成り済まして歯科医院を受診していたことが分かったとのことです。

マイナカードのトラブルについて、先述の高橋洋一教授は、事例数だけでなく、比率を合わせて見るべきで、現時点でのマイナカードのトラブル確率は0.0056%と、交通死亡事故やゴルフホールインワン確率の2倍程度だと述べていますけれども、この主張に従えば、なりすましも事例数と比率を合わせてみるべきということになります。

では、実際保険証のなりすまし事例はどれくらいあるのか。

これについて今年3月17日の参院厚労委員会で、共産党の倉林明子議員が政府に質問しています。該当部分のやりとりは次の通りです。
○倉林明子君 現状でも、医療機関がオンライン資格確認につながっていれば、最新の場合というのは保険証の提示も必要ない、もうそういう運用が大体されるようになってきています。再診の患者については一括照会をするということで非常に効率化も進んでいると、ほとんどこれでオーケーだというんですね。初診でも保険証番号を入力すれば資格確認はできるわけです。いろいろできないこともあるよという御説明なんだけれども、オンラインで資格確認をするということについて言えば、マイナ保険証がなければできないというものではないわけですよね。
オンライン資格確認は保険証番号があれば可能なのに、なぜ顔認証付きカードリーダーの導入まで、これ事実上の義務付けになっていると思うんですけれども、なぜそこまでするんでしょうか。

○政府参考人(伊原和人君) 先ほども答弁させていただきましたけれども、現行の資格確認の中心的な方法であった健康保険証、これではやはり成り済ましのリスクが存在しているということが一つございます。それに対してマイナンバーカードで使って資格確認をすれば、そうしたことが防げるということがございます。
 それからもう一つが、資格確認に加えまして、御本人の健康医療情報をしっかり過去の分も見て医療を提供できると、こういう国民にとっての医療の向上、ここにもつながるということで、我々としては、そういうマイナンバーカードを健康保険証と一体化すると、こういう取組を進めているところでございます。

○倉林明子君 いや、成り済ましリスクのことを繰り返しおっしゃるんだけれども、実態として成り済ましリスクで被害出たということについてはどれだけの実態があるんでしょうか。確認です。

○政府参考人(伊原和人君) お手元に、ちょっと手元に具体的な資料ございませんけれども、成り済ましの問題につきましては度々医療現場で問題になっておりまして、厚生労働省からも、必要な場合には健康保険証以外にも本人の確認書類の提示を求めると、そういうこともお願いして対応しているところでございます。
データはあるけど、持ってこなかったのか、それとも全く把握していないのか分かりませんけれども、成り済ましが度々医療現場で問題になっている、という割に、件数も被害額もその場でだせないということは、それほど大きな問題にはなってない可能性も考えられます。

もし、なりすまし被害件数、被害額、割合が大したことがないにも関わらず、「なりすまし問題を解消するためにマイナ保険証にしましょう」論を声高にいいだしたのだとすれば、恣意的にそう誘導したい思惑があるのではないかとさえ勘繰ってしまいます。

また、この「なりすまし問題を解消するためにマイナ保険証にしましょう」論は、どこか、武漢ウイルスワクチン接種を進めるのに「大切な人を守るために接取しましょう」論と似た匂いを筆者は感じています。

たしかに、なりすまし問題は問題ですし、解消すべきものでしょうけれども、マイナ保険証が他人のそれに紐づけられていたり、10割負担請求された、といった、今起こっているトラブルは、「大切な人を守るため」どころか「自分自身すら守れていない」トラブルです。

現状を見る限り、政府も、せめて、なりすまし問題による被害と、マイナカードトラブルによる被害それぞれを数値で出し、彼我を天秤に掛けて国民に判断いただくという姿勢があってもよいのではないかと思いますね。




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この記事へのコメント

  • 簑島

     始めまして。
     マイナンバーは健康保険証をひもづける前から取得していましたが、一つだけ改善してほしい点がある。更新の際に役所に行かなければならない点。
     運転免許証のように視力とか検査しなければならないなどの理由があるならまだしも、クレジットカードのように自動更新して送付してほしい。
     おそらく返納も、更新し忘れなども結構あると思う。
    2023年07月03日 12:42