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1.下落を続ける内閣支持率
JNNの最新世論調査で、岸田内閣支持率が前回6月の調査から6.0ポイント下落し、40.7%になったことが明らかになりました。
不支持率は、前回の調査から8.1ポイント上昇し、56.4%で、政党支持率は、自民党の支持が前回調査から2.8ポイント下落し、29.9%、日本維新の会は2.3ポイント下落し、5.6%、立憲民主党は0.3ポイント下落し4.0%でした。
更に、現在、野党第一党の立憲民主党と野党第二党の日本維新の会のうち、岸田政権に対峙する野党としてどちらが期待するか聞いたところ、立憲民主党が27%日本維新の会が41%と維新が圧倒する結果となりました。
また、今問題となっているマイナンバーをめぐる相次ぐトラブルへの政府の対応について聞いたところ、「適切だ」が19%、「適切ではない」が72%。政府が今の健康保険証を来年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化する方針について、「方針通り進めるべき」が22%、「廃止期限を延期すべき」が40%、「方針撤回すべき」が33%となっています。
2.与党選挙協力に関する基本合意
そんな中6月27日夜、岸田総理は、自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長と、東京・銀座の寿司店で会食しました。通常国会が閉会し、内閣支持率が低迷する中、今後の政権運営などを巡り意見交換したとみられています。
ただ、この日、自民は公明と次期衆院選協力の合意文書を交わしています。
件の合意文書の内容は次の通りです。
■次期衆院選、与党選挙協力に関する基本合意(全文)このように、先日連携解消に発展し、話題となっていた東京選挙区の記述を避ける内容となっています。
衆議院議員の任期は本年10月で折り返しを迎える。衆議院議員総選挙は政権選択の選挙であり、自由民主党及び公明党は、連立与党として、内外の厳しい環境変化から国民の命と暮らしを守りぬくため、次期総選挙においても、引き続き安定した政権運営を可能とする議席を獲得することを共通目標として、以下の合意に基づき、与党選挙協力を強力に推進する。
記
一、自由民主党は、公明党が公認候補者を擁立する小選挙区(北海道10区、埼玉14区、愛知16区、大阪3区、大阪5区、大阪6区、大阪16区、兵庫2区、兵庫8区、広島3区)において、公明党公認候補者を推薦する。なお、正式な推薦は衆議院の解散後となることから、それまでの間は「推薦内定」として取り扱う。
一、公明党は、自らの公認候補者を擁立しない残る小選挙区において、基本的に自由民主党公認候補者を推薦する。ただし、選挙協力体制が整った選挙区から推薦の発表を行う。
令和5年6月27日
この合意文書について、自民党の茂木敏充幹事長は記者会見で、「与党としての議席を最大限確保するとの認識は共有している」と前向きに評価。「東京をどうするということは全く触れていない」とした上で、推薦の対象から外れた東京29区の公明党候補に関しては、自民党東京都連に自主的な支援を求めていると強調しました。
一方、公明党は東京29区で自民党の推薦を受けない以上、都内の30小選挙区は選挙協力の対象外という認識でいるようで、西田実仁選対委員長は記者団に「何ら変更はない」と明言。他地域での協力態勢の構築を最優先に取り組む考えを示しています。
この日の夜に行われた岸田、麻生、茂木会談でも当然この話が出たものと思われます。というのも、7月1日に、麻生副総裁が菅義偉前総理に声をかけ、茂木幹事長と共にゴルフをしているからです。
麻生副総裁、茂木幹事長は岸田総理と定期的に会食を重ねる政権の中枢メンバーである一方、菅前総理と岸田総理には微妙な距離があります。
けれども、菅前総理は、公明党と太いパイプを持っていることから、自公関係の修復に向けても3人で意見交換をしたものと見られています。
関係者によると、この3人でゴルフをするのは初めてだそうですけれども、そこまでしてでも菅前総理の協力を得なくてはいけない状況にあるということです。
そう考えると岸田総理は次の解散総選挙に向けて仕込みを始めているものと思われます。
3.お尻ありきでない
岸田政権が解散総選挙に備え、公明党との関係修復に動くのはあたり前なのかもしれませんけれども、肝心の内閣支持率が低下したまま選挙に突入しても、良い結果は得られないであろうことは目に見えています。
当然ながら、支持率低迷の要因の一つとされるマイナンバーカードの問題にも手をいれざるを得ません。
6月30日、岸田総理は河野デジタル大臣、加藤厚生労働大臣、松本総務大臣ら関係閣僚と総理官邸で会談し、「現行の健康保険証の廃止には、国民の不安を払拭するための措置が完了することが大前提となる。しっかり取り組んでほしい」と、8月上旬に、総点検の中間報告を公表するよう指示しました。
会談後、松本総務相は、記者団に対し「中間報告とともに、国民の不安を取り除けるような対策を取りまとめるよう指示があった。状況を正確にお知らせするように努めるという趣旨だと理解している」と述べています。
岸田総理は、この日の夜、再び河野デジタル相と松本総務相、加藤厚労相らと、東京都内で食事をとりながら2時間近くにわたって会談しています。会談では、マイナンバーをめぐる問題が相次いでいることによる国民の不安をできるだけ早期に払拭するため、総点検と再発防止の取り組みを着実に進めていくことを確認したそうですから、相当、この問題を重く見ていることが分かります。
これを受け、7月2日、NHKの報道番組に出演した、河野デジタル大臣は、「本当に間に合わない場合は、お尻ありきではなく、点検をしっかりやることを優先せざるを得ない」との認識を示し、総点検の結果次第で、今の健康保険証を来年秋に廃止するとの方針を見直すかどうかについては、「来年の秋にマイナンバーカードに一本化した後も猶予期間が1年ある。おそらく問題はない」とコメントしました。
さらに、マイナンバー制度とマイナンバーカードの違いが一般的に理解されず「混乱している」と指摘し、「次に更新する時には、マイナンバーカードという名前をやめた方がいいのではないかと個人的に思っている」と述べています。
岸田総理は何かと「丁寧に説明」という文言を繰り返していますけれども、その割に、丁寧に説明して貰った印象は殆どありません。
マイナンバーカードの問題についても、河野デジタル相は富士通システムが悪いだの、マイナンバーを始めたのは民主党だだのと、「逃げの答弁」ばかり印象に残っています。
4.改めて皆様方の声を伺うことに注力していく
岸田総理は、通常国会閉幕に合わせた6月21日の記者会見で「今年の夏、再度、政権発足の原点、政治家・岸田文雄の原点に立ち返って、できる限り全国津々浦々の皆様の現場にお邪魔して、改めて皆様方の声を伺うことに注力していく所存です。『信なくば立たず』。私が一昨年の8月、総裁選挙に出馬する際に述べた言葉です。その言葉を胸に、今年下半期の政権運営にも全力で当たってまいります」と述べていますけれども、マスコミ各社は、7月から岸田総理が、地方視察や対話集会を行う全国行脚に乗り出すと報じています。
岸田総理は、一般市民らと車座集会を重ねることで「聞く力」を改めてアピールし、政権浮揚につなげたい考えだと見られていますけれども、関係者によると、少子化対策や賃上げなど、政権の重要政策に対する国民の率直な意見を聞く対話を想定しているとのことです。
更に、マイナンバーを巡るトラブルへの政府対応や、デジタル社会に向けたマイナ活用の意義を説明する内容も検討しているとのことで、政権幹部は「これまで訪れていない地域を回ってもらいたい」とコメント、岸田総理周辺も「10月の政権発足から2年を前に、国民の意見を真摯に受け止める姿を改めて見てもらう」としています。
ただ、いくら「聞く姿勢」を見せたところで、その後何もしないのであれば、ただのガス抜きになってしまいます。
いみじくも、岸田総理自ら「信なくば立たず」といったように、内閣支持率が「国民の信」を表しているとするならば、今や「岸田総理への信」は崩れつつあるともいえる訳です。
実は、岸田総理は、全国行脚とは別に、今年2月に対話集会をつい最近行っています。
これは2月25日、憲法改正実現本部が自民党党本部で対話集会を開催。この対話集会で、改憲への理解を深める活動に従事する学生らから意見を聞いたとのことですけれども、この集会に二つ返事で出席を決めたという岸田総理は、集会冒頭、「憲法改正について多くの国民に考えてもらい、機運を高めていかなければならない。特に日本の未来を担っていく若い皆さんにしっかり思いを巡らせていただきたいと心から願っている」と述べています。
確かに先の国会では衆院憲法審査会がほぼ週一ペースで開催はされたものの、聞こえてきたのは、立憲民主・小西参院議員の「サル発言」ばかりで、中身について殆ど聞こえてきません。
埼玉工業大学非常勤講師の藤崎剛人氏は、参議院の憲法審査会に関し、昨年行われた第208回国会~第210国会までの議事録を全て読んでみた結果、参院憲法審査会は毎週開催する必要がないくらい内容がない会議だったと指摘しています。
藤崎氏は、「憲法審査会の議論が進まない原因は、山添拓委員が繰り返し述べているように、国民の間に憲法を改正する機運が醸成されていないからだろう」とズバリ指摘していますけれども、それではと、憲法改正についての対話集会をやった結果、憲法改正への機運が高まったのかというと、正直そうは見えません。
というか、本気で機運を高めたいのであれば、政府から国民に語り掛けるなど、もっとやるべきことがある筈で、それこそマイナカードとかワクチン接種とか、テレビCMを打つくらいの広報があってしかるべきと思います。
それをせずに、公約にもないLGBT法を可決してみたり、参院選の時に「増税しない」といっていたのが、選挙に勝ったら途端に増税ラッシュしておいて、一体どうやって、国民の信を得るというのでしょうか。
かつて、”ルーピー”鳩山首相は、自身の退任に際し「国民が聞く耳を持たなくなった」と述べたことがありますけれども、政治家は国民の信を失うことの意味を重く受け取める必要があると思います。
どんなに岸田総理が「聞く力」を発揮したところで、信を失ってしまえば、国民は岸田総理の言葉を聞かなくなります。
今回の岸田総理の全国行脚は岸田総理の「信」がいかほど残っているのかを、知らしめる機会になるのかもしれませんね。
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