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1.ウクライナの戦争終結計画
6月30日、アメリカのワシントン・ポスト紙は「CIA director, on secret trip to Ukraine, hears plan for war’s endgame(CIA長官、ウクライナへの極秘出張で戦争終結計画を聞く)」という記事を掲載しました。
これは、ウクライナが大規模な反転攻勢でロシア軍から南・東部の広範囲にわたる領土を今秋までに奪還した上で、プーチンとの停戦交渉を年内に始める計画を立て、それをバーンズCIA長官に明かした、という内容です。
件の記事の概要は次のとおり。
・今月初め、ウィリアム・J・バーンズCIA長官が極秘にウクライナを訪問した際、ウクライナ当局はロシア占領地を奪還し、年内にモスクワとの停戦交渉を開始するという野心的な戦略を明らかにした。停戦交渉は自らが優勢な時に行うというのは、常道といえば常道ですけれども、ウクライナが停戦を真剣に模索し始めているのが本当であれば、再び停戦への道が開けたことになります。
・これまで報道されていなかったバーンズの訪問には、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領やウクライナの情報当局トップとの会談も含まれていた。ウクライナ軍が待ち望んでいた反攻で早期に優位に立とうと奮闘しているが、欧米で訓練され、装備された突撃旅団のほとんどをまだ配備していないという、紛争における重要な局面での訪問となった。
・「バーンズ長官は、1年以上前にロシアによる侵略が始まって以来、定期的にウクライナを訪問している。その目的は、バイデン政権がウクライナの防衛に役立つ情報を共有するというコミットメントを再確認することだと、その高官は付け加えた。
・公的には、ウクライナ政府高官は、これまでの反攻のペースに対する批判に不満を表明している。しかし、キエフの軍事計画関係者3人によれば、秋までにかなりの領土を奪還し、ロシアが支配するクリミアの境界線近くに大砲やミサイルシステムを移動させ、ウクライナ東部へさらに攻め込み、昨年3月に和平交渉が決裂して以来初めてモスクワとの交渉を開始するという強気の自信を、キエフの軍事計画担当者たちはバーンズ氏らに伝えているという。
・「ロシアが交渉するのは、脅威を感じたときだけだ」とウクライナ高官は言う。
・ウクライナがこのような計画を、このような切り詰められたスケジュールで実現できるかどうかは、まだわからない。CIAは、攻勢の見通しについてバーンズの評価を求めたところ、コメントを拒否した。
・ウクライナは攻勢初期の数週間、地雷とマンパワーの課題に直面する。バーンズの出張は、ロシアの傭兵リーダー、エフゲニー・プリゴジンによるロシア防衛組織に対する反乱が頓挫する直前に行われた。アメリカ情報機関は6月中旬に、プリゴジンが何らかの武力攻撃を計画していることを察知していたが、ゼレンスキーらとの会談ではそのようなことは話し合われなかった、とアメリカ政府高官は語った。
・バイデン政権高官は、失敗したモスクワ進軍とワシントンとキエフは無関係だと繰り返し強調してきた。
・ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、この主張を補強するため、バーンズが事件後、ロシアのセルゲイ・ナリーシキンと電話で会談し、米国は一切関与していないことを強調したと報じた。
・ウクライナの東部と南部を占領し、深く根を張ったロシア軍と対峙しているゼレンスキーとその軍司令官たちは、反攻に先立ちキエフに数十億ドルもの最新兵器と訓練を提供した西側諸国から、並々ならぬ圧力を受けている。
・ウクライナは、部隊と装甲車が広大な領土に広がる厚い地雷原と要塞化された塹壕を移動するため、多くの死傷者を出している。厳しい地形のため、部隊はロシアの空爆やミサイル攻撃に弱い。
・ゼレンスキーは、反攻が「期待より遅れている」ことを認めており、当局者は西側から供与されたレオパルド2戦車とブラッドレー戦闘車の破壊を確認している。
・しかし、ウクライナのオレクシイ・レズニコフ国防相は、「メインイベント」はまだこれからだと懐疑的な見方を否定し、同国軍トップのヴァレリー・ザルジニー司令官は、攻撃は可能な限り熱心に「遂行」されていると忍耐を求めた。
・「しかし、それは彼らの問題だ」とザルジニーは今週、ワシントン・ポスト紙に語った。
・軍事アナリストによれば、ウクライナの目標である交渉の強行は、ロシアの強固な防衛を考えれば野心的だが、不可能ではないという。
・「クリミアへの陸橋を断ち切ることは可能だ。地形を占領するか、HIMARSやその他の大砲の射程圏内に入れるかだが、消耗の度合いによるところが大きい」と、フォーリン・ポリシー・リサーチ・インスティチュートの軍事アナリスト、ロブ・リーは言う。「ウクライナが多くの損害を被れば、攻撃は早期に終了する可能性がある。しかし、ウクライナがロシア軍と装備に十分な損害を与え、増援部隊の移動を妨害できれば、ウクライナは突破口を開くのに十分なほどモスクワの防衛力を弱めることができるかもしれない」と付け加えた。
・秋に備え、ゼレンスキーとその側近たちは、1年半に及ぶ暴力、強制移住、残虐行為、食糧・電力不足にさらされてきたロシアとウクライナ国民が受け入れ可能な条件で、キエフが戦闘を終結させる方法について考え始めている。
・キエフが好む理想的なシナリオでは、ウクライナ軍はクリミアとの境界線ギリギリまで兵力と強力な武器を前進させ、ロシアが誇る黒海艦隊の本拠地である半島を人質に取ることで、ロシアに対する影響力を得ることになる。
・「ウクライナがさらに重要な飛行場、橋、鉄道、ロジスティクスのハブを標的にする能力を持てば、ロシアが戦争を維持することをより困難にできる」と軍事アナリストのリー氏は言う。
・クリミアを武力で占領しないことに同意すれば、キエフはロシアに対し、ウクライナが西側諸国から確保できる安全保障を受け入れるよう要求するだろう、とウクライナ政府関係者は言う。しかし、そのような保証を得ることは難しい。
・ゼレンスキー政権は、ウクライナのNATO加盟とEU加盟について、アメリカとヨーロッパが確固とした約束をするよう強く求めている。しかし、アメリカと西ヨーロッパ政府はこの考えに冷淡で、ロシアと直接衝突する危険性のあるNATOの拡大よりも、長期的な安全保障支援の約束をすることに関心を示している。
・来月リトアニアで開催されるNATO首脳会議に向け、アントニー・ブリンケン国務長官をはじめとする西側諸国首脳は、ウクライナに「非常に強力なパッケージ」を提供するつもりだと述べている。このパッケージの内容をめぐっては強い意見の相違があり、NATO首脳会議では不統一のイメージが広がる恐れがある。
・しかし、アメリカとウクライナの高官たちは、NATO加盟というテーマでは意見が異なるものの、キエフの攻勢に対する狙いについては大筋で一致しているという。
・ウクライナ高官によると、アメリカは、ウクライナが強い立場で交渉に臨むことに同意している。「アメリカは、ウクライナの司令部が愚かなことをせず、兵士と装備を維持することに満足している。支援は強力で、我々のモチベーションを高めてくれる」。
・それでもストレスの影響は大きい。アメリカの軍事指導者たちはウクライナが攻勢を加速させることを望んでいるが、ザルジニーは、西側諸国が弾薬や戦闘機を十分に早く戦場に送ってくれないと不満を漏らし始めている。反攻がなかなか進まないという不満に対して、ザルジニーは「腹が立つ」と述べた。
・ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は金曜日、武器に関するウクライナの不満に同調し、「追加的な支援について、それが量であれ、能力の質であれ、世界に話すことを非難することはできない」と述べた。
・しかし彼は、ワシントンが傍観者として"アームチェア・クォーターバック(自分ではプレーできないのに,知ったかぶりに解説を加えるテレビ中継スポーツの愛好者の意)"の役割を果たすことを否定した。
・「どこに行くのか、どのくらいの速度で行くのか、それは本当に彼らが決めることだ」。
・ウクライナの攻撃開始数日の慎重なアプローチは、この先に待ち受ける難題の表れだとアナリストは言う。
・問題は、ロシアが主要防衛線の前方にも後方にも大量の地雷を設置していることだ。「ウクライナが突破口を開くことができたとしても、それを利用するには時間がかかる。数週間かかるかもしれないし、数ヶ月かかるかもしれない。
2.CIA長官との対話は常に舞台裏で行われねばならない
7月1日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、この日行われたたスペインのサンチェス首相との共同記者会見で、「ウクライナは、私たちが確かに私たちの国境、国際法に従った私たちの真の国境に到達した時に、何らかの外交フォーマットへの準備ができるようになる」と述べ、ロシアとの停戦交渉について、南部クリミア半島を含む自国本来の領土を回復した後にのみ可能だとする認識を示しました。
また、ゼレンスキー大統領は翌2日に、CNNのインタビューで「私たちにはクリミア抜きのウクライナは想像できない。クリミアがロシアの占領下にある間は、それが意味するのは一つ、『戦争はまだ終わっていない』ということだ」と述べ、クリミア抜きに平和に到達するというシナリオはあるか、との質問に「その時は、それは、勝利とはならない」と答えました。
このゼレンスキー大統領の発言は先述したワシントンポスト紙が、反攻作戦で秋までに相当の領土を奪還し、クリミアを攻撃射程圏内に収めた上で年内にも対露交渉を始める計画をウクライナがバーンズCIA長官に伝えたという記事とは矛盾するのですけれども、反攻が当初、欧米が期待したほどの成果を挙げていないとの見方も出る中、原則的立場を強調することで、国際的な軍事支援の縮小や停戦圧力が強まる事態を防ぐ思惑があるのではないかとも指摘されています。
そして、ワシントン・ポスト紙がゼレンスキー大統領とバーンズCIA長官の会談を報じたことについて、ゼレンスキー大統領は、驚いたとし、「私とCIA長官の対話は、常に舞台裏で行われねばならないものだ……私たちは重要なことを協議している。ウクライナには何が必要か、ウクライナはどのように行動する準備ができているかだ……私たちには、CIAとの間に秘密はない。なぜなら、良い関係が築かれているからであり、私たちの情報機関も対話している……私は、戦場に関係し、私たちに必要な、重要なことを全て話している」と述べました。
けれども、「CIA長官との対話は常に舞台裏で行われねばならない」といっているところをみると、この会談とその内容が表にでたことに相当不満に思っていることが窺えます。
3.一週間で山手線内側半分を奪還
当初、思っていた程ではないと指摘されるウクライナ側の反転攻勢ですけれども、現在、どの程度まで進んでいるのか。
7月3日、ウクライナのマリャル国防次官は、東・南部戦線について、激しい戦闘の中、ウクライナ軍が少しずつ前進しており、過去1週間で37.4平方キロメートルの領土を奪還したと述べました。
ウクライナ軍は東部ドネツク州の要衝バフムート方面に前進。ロシア軍はドネツク州のリマン、アブデーフカ、マリンカ方面を攻撃しているとのことで、マリャル国防次官はメッセージアプリ「テレグラム」で「激しい戦闘が続いている」と指摘。東部戦線では過去1週間で9平方キロ、南部戦線では28.4平方キロの領土を奪還した。南部戦線でこれまでに奪還した領土は158.4平方キロに達したとしています。
更に、マリャル国防次官は、バフムート付近での戦闘が激化し「主導権を握るための戦闘が行われている……きょう、ロシア軍はこの方面で前進を試みたが、ウクライナ軍は一定の成功を収めた。状況は刻々と変化しており、1日のうちに複数回、領土の支配を失ったり取り戻したりすることもある」と述べた上でロシア軍は一部の前線で3カ所に防衛線を設置していると指摘。ウクライナ軍はバフムートの南にある集落の近くまで前進したとし、北側では戦闘が続き、市街地では激しい銃撃戦があったと明らかにしていあす。
また、ウクライナ陸軍のオレクサンドル・シルスキー司令官は、バフムート周辺でウクライナ軍部隊が前進したとし、ロシア軍を「効果的に殲滅」したと報告しています。
これを受け、ゼレンスキー大統領は「前線での状況は先週は困難だったが、われわれは前進している」と「テレグラム」に投稿。「われわれは一歩一歩前進している。ウクライナを守る全ての人、この戦争をウクライナの勝利へと導く全ての人に感謝する」とコメントしています。
ただ、マリャル国防次官によると、領土は取ったり取られたりとのことですから、要するに殆ど膠着状態ということです。
取り返したという、37.4平方キロとて、山手線の内側の総面積である63平方キロの半分強に過ぎません。
今年2月現在、ロシア軍が統制あるいは占領している地域は、およそ10万2000平方キロでウクライナ領土全体の約6分の1を占めています。ウクライナがロシアから占領地域を取り返すのは遠い道のりであることは否定できません。
4.全領土を奪還するのは16年後になる
当然、この事態を指摘する識者は少なくありません。
6月27日、ハーバード大学ダグラス・ディロン記念講座政治学教授のグレアム・アリソン氏は、ワシントンポスト紙に「キエフはこの瞬間をとらえなければならない。さもなければ、膠着状態は避けられないだろう」という記事を寄稿しています。
件の記事の概要は次の通りです。
・ロシアの傭兵リーダーによる異常なクーデター未遂は、ウクライナにモスクワとの戦争で優位に立つための予期せぬ機会を与えている。このチャンスをつかみ、ウクライナ東部の戦場を支配している停滞を打破しなければ、この紛争はまったく異なる章に突入することになる。このように、アリソン教授は、ウクライナ軍の攻勢はほとんど成就しておらず、このテンポでは全領土の奪還に16年はかかると試算。戦場での成功はここ数週間の間に収めねばならず、最悪の場合、長年にわたって領土を失うと警告を発しています。
・ウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にウクライナに侵攻したとき、ロシア軍は1週間あたり1000平方マイル以上のウクライナ領土を占領した。その後、ウクライナの反攻がロシア軍を押し戻し、毎週数百平方マイルを回復するという第2段階が続いた。
・しかし、昨年11月、戦争は第3段階に入った: この8カ月間、双方の死傷率は依然として高いものの、両軍とも1週間で100平方キロメートルの領土を獲得することはできなかった。
・ウクライナの反攻が始まって4週目に入った今、この基準からすれば、予後は同じことの繰り返しであることは避けられない事実だ。これまでのところ、ウクライナの攻撃隊が毎週奪還できているのは50平方マイルにも満たない。分断の両側で、それぞれが塹壕を掘り、地雷を設置し、防御を構築しているため、他方が突破口を開くために通常必要とされる3対1の有利な攻撃力を動員することは難しい。
・この問題を整理してみよう: 現在、ロシアはウクライナの領土の約17%を支配している。ウクライナ軍が今後数週間、これまで以上の成功を収めなければ、ウクライナが全領土を奪還するのは16年後になる。
・ロイド・オースティン国防長官が認めているように、この作戦のためにウクライナ軍を武装させ訓練してきたアメリカ人は、「圧倒的な成功」を期待していた。なぜウクライナがより効果的でなかったのか、その理由はいまだ不明である。また、ウクライナが攻撃を開始するまでにこれほど長い時間を要した理由についても、まだ誰も説明していない。
・歴史は、戦争が多くの偶発的要因に左右されることを思い出させてくれる。その結果は、NBAのチャンピオンシップやワールドカップの結果ほど、あらかじめ決まっているものではない。反乱の失敗によって、最前線に立つロシア兵が命を賭けることを厭わなくなれば、エフゲニー・プリゴージンの反乱は、ラクダの背を折る藁のことわざとなるかもしれない。
・一方、ウクライナ軍が夏の間泥沼化したままであれば、この戦争の政治的側面が事態を左右することになるだろう。欧州や米国のウクライナ支持者の多くも、両軍に殺戮をやめさせ、停戦に向けた真剣な交渉を開始するよう求めるグローバル・サウスの大合唱に加わるだろう。
・もし両者が合意に達すれば、あるいは事実上の停戦にさえ至れば、すべての当事者が現時点で達成したことに対して「勝利」を宣言し、そのストーリーを主要な有権者に売り込むことに全力を尽くすだろう。そうなれば、世界は戦闘の終結を祝い、それを「平和」と呼ぶだろう。
・この可能性と、2016年から2022年にかけてロシアとウクライナの間で起こったことの類似性は、偶然の一致ではない。思い出してほしい: 2014年、プーチンはクリミアを占領し、ドンバスに侵攻した。翌年には激しい戦闘が繰り広げられたが、双方が前進することができなくなり、戦闘は激減した。
・その後6年間、停戦と交渉が繰り返され、国防総省が「低強度紛争」と呼ぶ統制線に沿って軍隊が対峙した。この間、毎週殺された戦闘員の数は、シカゴ市内で市民に殺されたアメリカ人の数よりも少なかった。
・また長い中断があっても、戦争の終結を意味するわけではない。どんな交渉が行われ、捕虜の交換など選択的な問題で合意に達したとしても、プーチンはウクライナを自分のものにしたいという野望を捨てないだろうし、ウクライナ人も自国の領土をすべて取り戻すという主張を諦めることはないだろう。とはいえ、もし再び数年の休止期間が設けられれば、ウクライナとロシアは(どちらが主導権を握ろうと)、不確実な未来に向けて自国の社会と軍事力を再構築する機会を得ることになる。
・自国を地図から消し去ろうとするロシアの試みを打ち破ったゼレンスキーと彼のウクライナの仲間たちの勇気と回復力は、あらゆる予想を覆すものだった。もし彼らが国の再建に成功すれば、ウクライナは21世紀の西ドイツや韓国のような存在になるかもしれない。
5.ダグラス・マクレガーの予測
では、ウクライナは領土を奪還するまで停戦もできず、延々と戦争し続けるのか。
これについて、米軍退役大佐のダグラス・マクレガー氏は、5月20日、逆に戦線が拡大する懸念があるとする注目すべきツイートをしています。
件のツイートの内容は次の通りです。
「いや、私が思うに、この戦争は軍事的なものだけでなく、経済的なものにもなっている。グローバリストはこの戦争に負けることを理解している。マクレガー氏は、昨年12月、ユーチューブチャンネル「StraightCalls with Douglas Macgregor」のインタビューでアメリカとその同盟国はロシアを破壊するために出来る限りのことをしているが、その結果、自分たちの経済を損ね、自分たちの国の状況を不安定にしていると語っています。
その結果、BRICSのメンバーが81人増えることになる。そしてこれらの人々はすべて、金に裏打ちされた通貨に移行することになる。一旦、金に裏打ちされた通貨に移行すれば、それが1つの通貨であろうと、通貨バスケットであろうと、何の違いもない。
グローバリストたちはそのことを知っているからこそ、今、必死になっているのだ。
私が最も恐れているのは、ロシアが攻撃を仕掛けてきて、ウクライナが終わりを告げたことが明白になったとき、つまり、ウクライナを長く訪れている人なら誰でも知っていることだが、ウクライナが廃墟と化したことが明らかになったとき、ポーランドの米軍とポーランド軍、そしてルーマニア軍をウクライナ西部に派遣するよう圧力がかかることだ。
そうなれば、手袋は外されるだろう。というのも、正直なところ、これまでプーチンは非常に大きな自制心と忍耐力を発揮してきた。彼は西側諸国との戦争を望んでいない。彼がそれを望むなら、我々はすでにそれを手にしている。
しかし、もし我々がウクライナ西部に介入すれば、終わりである。本格的な戦争に突入するだろう」
マクレガー氏によると、アメリカの公的債務残高は30兆または31兆ドル(約4200兆円)。アメリカ経済は目の前で崩壊しており、これは主にウクライナ危機に国が巻き込まれているのが原因だが、大多数のアメリカ人はウクライナがどこにあるのかさえ知らず、気にもかけていないと指摘。
更に、マクレガー氏は当局に対して何度も「西側はなぜロシアと対立しようとしているのか?」「どこでロシアの利益と米国の利益が衝突しているのか?」と質問を投げかけたが、まともな回答は得られなかったと語り、ワシントンとロンドンでは豊富な資金を持つ少数派がロシアを破壊することに深い関心を持っており、リベラルなスローガンで自分たちの見苦しい行為をカモフラージュしていることを理解したとしています。
そして、最後にマクレガー氏は「したがって、すべてが我々にとって不利な状況となっている。なぜなら、アメリカの覇権やアメリカ主導の英米覇権をその他の世界に押し付けようとすることはもはやできないからだ。その他の世界はこれを望んでいない。正直に言えば、我々にとってもこれは必要ではない。これは私たちを零落させている。そしてロシアとウクライナの紛争は、このプロセスを加速させているだけだ」と述べています。
筆者が気になるのは、ウクライナの敗北が決定的になったとき、ポーランドのアメリカ軍とポーランド軍、そしてルーマニア軍をウクライナ西部に派遣するよう圧力がかかることだと述べている点です。マクレガー氏が我々がウクライナ西部に介入すれば、本格的な戦争に突入するとしていますけれども、もしそうなったら、ウクライナ全土はもとよりNATOを巻き込んだ戦争に拡大することになります。
そんなことにはなって欲しくありません。どんな形であれ、年内の停戦を期待したいですね。
Col. Douglas Macgregor:
— Daniel Burke — Exonerate LaRouche (@Burke4Senate) May 19, 2023
“No, I think what you're seeing is this war has become financial as well as military. And the globalists understand that they’re going to lose this war.
And what will come of this is that the BRICS are going to be increased by 81 additional members. And… pic.twitter.com/mwaKdU6ocE
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