マクロンの「暴動はゲームのせいだ」論

今日はこの話題です。
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1.ビデオゲームに毒されているように感じる


フランスの暴動が続いています。

フランスの警察官による少年射殺事件に端を発してた、暴動はフランス全土に広がり、放火や略奪が横行。多数の逮捕者を出しています。

暴動の中心となったのは、移民を父祖に持ち、パリをはじめとする主要都市の郊外で生まれ育った移民2世、3世の若者たちとされています。

6月30日、フランス紙「ル・モンド」は、暴動の背景として、「多くの移民系の若者が警察官に身分証明書の提示を求められると『移民出身だから差別された』と不満を募らせ、その経験は尾を引く」との専門家の指摘を掲載しました。

また、警察の対応に国際社会からも批判の声が上がり、同じく6月30日、国連人権高等弁務官事務所は「フランス政府は警察内部の人種差別問題に取り組む時だ」との声明を発表しました。これに対し、フランス政府は「指摘は全く根拠がない」と反論しています。

暴動の原因を移民や人種差別にしたくないのかどうか分かりませんけれども、同じく6月30日、マクロン大統領は、この日に開かれた危機管理会議にて、「あの路上にいる何人かはビデオゲームに毒されているように感じる(On a le sentiment que certains vivent dans la rue les jeux vidéos qui les ont intoxiqués)」という旨の発言をしました。

そして、マクロン大統領は「暴動に伴う逮捕者の多くが若者である」ことを明かし、国内の保護者に向けて「子供たちを家に留めて置くよう」呼びかけを行なったほか、フランス当局はソーシャル・メディアに対し暴動に関連した「繊細なコンテンツ」を削除するように求めました。

この発言に対し、暴徒を支持する人々から、事件の悲劇から目をそらし、若者を失ったことに対する人間の対応を矮小化するものだという批判が寄せられているようです。


2.人口の半分はゲーマー


では、フランスはそんなにビデオゲームが流行っているのか。

少し古いデータですけれども、2018年、欧州インタラクティブ・ソフトウェア連盟(InteractiveSoftwareFederationofEurope:ISFE)によると、ヨーロッパの主要なゲーム市場であるドイツ、イギリス、フランス、スペインでの売上をみると、プラットフォーム別では、据置型ゲーム機が最も多く47%、次いで、モバイル・タブレットが34%、PCが18%、携帯型ゲーム機が2%、メディア別では、オンラインが最も多く40%、アプリが34%、パッケージ等の物理メディアが26%であり、ゲームのデジタル配信が進展しています。

一方、ヨーロッパの主要なゲーム市場における年齢層別ゲーマーの割合は、6〜10歳が76%、11〜14歳が84%、15〜24歳が74%、25〜34歳が67%、35〜44歳が49%、45〜64歳が34%で、これら6〜64歳のゲーマーのゲームプレイ頻度は、1週間あたり少なくとも1時間が77%、1ヶ月あたり少なくとも1時間が16%、1年に少なくとも1回が7%となっています。

また、ゲーマーが使用しているプラットフォームは、PCが最も多く56%、次いで、据置型ゲーム機が50%、スマートフォンが48%、タブレットが27%、携帯型ゲーム機が17%、これらすべての端末が17%となっています。

更に、欧州インタラクティブ・ソフトウェア連盟(ISFE)は、保護者と子どものゲームの関わり方についても報告をしていて、同じ画面で子どもと協力して一緒にゲームをプレイする保護者は28%、同じ画面で子どもと競い合ってゲームをプレイする保護者は26%、異なる画面やオンラインで子どもと協力して一緒にゲームをプレイする保護者は18%、異なる画面やオンラインで競い合って子どもとゲームをプレイする保護者は17%存在するとのことです。

このように、ヨーロッパでは、ゲーム市場の拡大や多様なプラットフォームの普及を背景として、多くの児童や青少年がオンラインやアプリなどでゲームをプレイしているものの、子供と一緒にゲームをプレイしている保護者は2〜3割に留まっているとしています。

ヨーロッパの主要なゲーム市場における年齢層別ゲーマーの割合からみると、大体人口の半分はビデオゲーマーであり、24歳以下の若者は8割近くそうだ、ということはいえそうです。


3.日本とフランスのゲームユーザーは似ている


翻って、日本はどうか。

角川アスキー総合研究所は2022年8月25日に発売した、『ファミ通ゲーム白書2022』で国内外ゲーム業界の最新動向を分析しています。

それによると、21年のゲーム市場は、ワールドワイドで前年比6.1%増の21.9兆円。日本国内はほぼ横這いであるものの、2兆円規模を維持。そのうち1.3兆円はゲームアプリで、市場を牽引しています。

世界のゲームコンテンツ市場は、2020年に武漢ウイルス禍による巣ごもり需要の影響などから31.6%増と大きく伸び、20兆円の大台に乗りました。21年はその反動による縮小が懸念されるところだったのですけれども、実際には6.1%増と引き続き伸びる結果となりました。地域別にみると、伸びが大きいのは北米市場で前年比10.4%増。次いで欧州も同7.9%増となっています。

2021年の日本国内ゲーム人口は5535万人で、初の5000万人超えとなった前年の5273万人からさらに増加しているとのことですけれども、日本国内ゲーム人口が5000万人を超えているということは、ここでも人口の半分がゲーマーであるということになります。

また、サイバーエージェントとシード・プランニング デジタルインファクトによるヨーロッパ主要4ヶ国のモバイルゲームの市場動向調査によると、フランスについて次のように報告されています。
フランスもまた、国内ゲーム産業が発達しており、グローバル展開を行う大手ゲーム会社も多数存在します。フランスのゲームユーザーは、コンシューマーゲームに対する支持が高く、RPGの高い人気や、キャラクター志向が強い点など、比較的日本のゲームユーザーとの類似性がみられます。

スマートフォンやクレジットカードの普及率は、イギリスに次いで高く、市場環境は整備が進んでいます。モバイルゲームは、男女問わず幅広く支持を得ており、特に女性のユーザー層からはカジュアルゲームが支持を得ています。 
このように、日本とフランスのゲームユーザーは、それぞれ人口の約半分を占め、更に双方のユーザー同士で類似性があることになります。

けれども、フランスと似たゲームユーザーを抱える日本では、今回のフランス暴動のようなことは起きていません。川口市の騒ぎにしても、クルド人その他の外国人同士の争いです。

従って、マクロン大統領がいうような、「暴動はビデオゲームのせいだ」論は、無理があるように思います。


4.性暴力はマンガ・アニメ・ゲームの影響なのか


2021年10月のエントリー「世間からズレているフェミニスト議連」でも取り上げたことがありますけれども、マクロン大統領の「暴動はビデオゲームのせいだ」論を聞くと、筆者には、日本でも以前一部でいわれたことのある「性暴力はマンガ・アニメ・ゲームのせいだ」論を思い出してしまいます。

これについて、2016年に、「変化を求めるビジネスパーソン」のために情報を発信するメディア「ログミー」は、2016年に自民党の山田太郎参議院議員インタビューし、「性暴力は本当にマンガ・アニメ・ゲームの影響なのか? 『日本は性犯罪大国」の嘘を暴く』」という記事を配信しています。

件の記事から一部抜粋すると次の通りです。
山田太郎氏(以下、山田):今週の表現の自由なんですけれども、前回の余韻がまださめやらぬ中で……。今日は図書館に国際比較の調査をしてもらいまして、私のFacebookやTwitterのほうでは上げさせていただいたんですが、こういう資料を作ってもらいました。

山田:これは何かというと、国連が発表している性犯罪に対する各国の実態件数、それから10万人あたりの割合です。(データは)2013年ということでちょっと古いんですけども、比較したものを作ってもらいました。調査は国連の……。

坂井:UNODCと略するんですかね。

山田:(おもに)ドラッグね。いわゆる薬物と犯罪等に関する国連の……。

坂井:国連薬物犯罪事務所という名前ですね。

山田:そういうところが調査したものでありまして、これはホームページでもちゃんと出ているものです。ちょっと見てもらいたいんですけど、日本は強姦が2013年に1409件、アメリカは79770、およそ8万件ですね。イギリスが約2万件、ドイツが7408件、フランスが約11000件ということで、日本は10万人あたり1.1件だと。

ゼロじゃないから「少ない少ない」って喜んでいてはダメだし、これをゼロにしていかなくちゃいけないんですが、やっぱり比較的、ケタが違うくらい少ないといわれています。

性暴力。今日はこれがポイントになると思いますが、これは日本の場合約9000件。アメリカは州によって統計の取り方とかがいろいろ違ったりするということで、集められてないようです。イギリスは約56000件、ドイツが46000件、フランスが約27000件ということです。人口10万人あたりでも日本は7.1件ということで、他がおおよそ50件~100件ということにおいては、やっぱり少ないのかなと。

子どもに対する性犯罪も、日本の場合は2013年に4515件です。イギリスは約24000件、ドイツは約12000件、フランスは約16000件ということで、(10万人あたりで)おおよそ100~200件に対して日本は22.4件ということであります。

これを見ると「日本は取り締まりが甘いからこうなってるんじゃないか」とか、逆の意味で批判をする人がいるかもしれませんが、それを加味したとしてもケタが違います。勘違いしないでくださいよ? 私は「性犯罪が少ないからいい」とは、決して言いません。ただ諸外国と比べて比較論としては少ないのではないかと、要は数値として言えるんですよね。

山田:にもかかわらず、日本はなんとなく国連から……今日はここがテーマなんですよ。言われっぱなしというか、「日本は非常に性犯罪が多くて、特にマンガ・アニメ・ゲームに起因している」という文脈でもって国連が勧告するという。

国連が自分たちの資料で「日本は圧倒的に少ないよ」ということをちゃんと指摘しているにもかかわらず、日本は非常に性犯罪ならびに性暴力が多い(と言われている)という。それはなぜかというと、マンガ・アニメ・ゲームのせいであると。

こういうことを主張しているような論調が多い、また出ているということで、どうしてそういうふうに言っているのか少し中身を見ていきたいと思っています。

今日取り上げたいのは、冒頭でも説明しましたが去年の11月27日に「児童ポルノ排除対策推進協議会」というものが開かれまして、その詳細な内容、資料・議事録等が出ました。ここでどんなことが話されていたのかというと、「なぜマンガ・アニメ・ゲームや創作物が児童ポルノとしてよくないか、規制するべきなのか」というものがあった。

その理屈の研究をしてみたいと。良いとか悪いとかではなく、規制したい人はどういう論拠で言っているのかということを研究していきたいと思います。

まず「国際社会における児童ポルノの位置付け」ということで、いろんな人権条約があります。子どもの権利条約とか。それで「創作物も人権侵害である」と、こういう主張がされてるんですね。とくにどういうふうに発言されてるかというと、例えばこれの位置付けをしている人は「実在する子どもに見せて『君がやろうとしていることは普通である』と性行為を促すといったことが懸念されているわけです」と、こういうこと。

要は、実在している普通の子どもに見せて「マンガとかアニメとかゲームでみんながやってるから!」「こういうふうにみんなやってるじゃん」「君がこれからやろうとしていることは普通だよ、性行為しようよ」と促しちゃう懸念が強いんだと。こういうふうに言うんですけれども、どうでしょう。

遊佐めぐみ氏(以下、遊佐):うーん、バカじゃないのかなって思いました。

坂井:(笑)。

山田:そうですか。わからなくなくもない……まあわからないんだけども、まず整理しないといけないのは「性表現を見てる人は成人なのか子どもなのか」という分類が要るんですよ。それで、見られている対象のポルノらしきものは「成人のものなのか、児童のものなのか」ということを整理しないといけないわけですよ。

まず、児童が何を見てるのかというのを取り上げてみたいんですけども、「児童が成人のポルノを見ている」「児童が児童のポルノを見ている」というそれぞれの理屈を考えたとき、問題視してるのは児童が児童のポルノを見ていることについてよろしくないんだと言っているわけなんですよ。

でもね、考えてほしいんですけど、性虐待をするのは児童より成人のほうが多いと僕は思っているんです。だから問題視するべきは、「成人が」児童のもの、または「成人が」成人のものを見ているということ。そこをまず対象にして議論をスタートするべきなんじゃないかなと思うわけですよね。

遊佐:はい。

マンガやアニメはダメで小説やテレビドラマはいいのか?
山田:逆に、この論理で言えば「成人が成人のものを見ていること」も否定されなきゃいけないんですよ。そうでしょ? 強姦されても「みんなこういうふうなことで性行為やってるんだから」となる。児童であるとか成人であるとかいうことは、全然関係ないと僕は思うんですよね。分類としては。

最初から「児童が児童のものを見ている」という項目的にいうと極めて少数のケースを扱って、これが普通であるということで「じゃあやりましょう」と。本当にそれで性行為が促されるのかというと、ちょっとどうなのか。しかもCGとかマンガとかアニメとかゲームですよ。子どもが見てるってことだから。

それともうひとつ。そんな創作物が問題だとしちゃったりすると……もし、仮にこれが事実だったとするよ。「ある子どもが創作物を見てそういう性行為をすることを促される」ということが仮に是だったとすると、どういうことが言えるか。「小説はいいんですか?」って議論になるんです。

それから、テレビでやっているような殺人シーンみたいなもの。刑事ドラマみたいなのあるじゃないですか。そうすると、殺人が促されちゃうからやめましょうと。こういう議論にもなるわけですよね。

遊佐:はい。

山田:だから、僕は何でも議論はできると思うし、そういうことも確率的にはあるかもしれません。あるかもしれませんが、どうしてマンガとアニメとゲームだけを取り上げて議論するかがわからないんです。

坂井:そう。

山田:毎日ニュースが流れていて「こんなことがありました」と言ったら「(視聴者が)ああ、みんなやってるんだからやりましょう」。あるかもしれない。あると思うよ、もしかしたら。だからといってそれを全部取り締まってしまったら、何にも情報発信ができなくなっちゃうんじゃないの? こういうことなわけですよね。

殺人だけじゃないですよ。傷害事件なんていったら殴り合うドラマは全部ダメということになりますし、「子どもには何も見せないのが一番だ」となるわけです。子どもはテレビも見てるし、小説も読んでるし、ニュースも見てるし、いろんな話も聞いていると。

その中で、どうしてソースとしてマンガ・アニメ・ゲームだけが対象になるのかがまずわからない。たぶんね、最初から子どもに見せたくない。

坂井:そういうことなんですよね。

山田:あるいは嫌いなんじゃないのかなと思うんですけども、ただ理屈としてきちっと理解したいのは「創作物も人権侵害である」と。ただ、ちょっとこれは間違いだと思ってるのは、子どもの権利条約やサイバー犯罪に関する条約、子どもの性搾取および性的虐待からの保護に関する条約は、創作物も人権侵害であるとは断定していませんから。基本的には。

創作物について問題視している箇所は書いてあるけど、イコール創作物自体、しかもマンガ・アニメ・ゲーム自体が人権侵害であるということを決定的に位置づけてるわけではないので、ちょっと極端だよと。こういうふうに思ってます。

それから次の論点が何かというと「創作物の有害性というのは、実在する子どもも性的に虐待可能な存在であるとみなされかねないことだ」と、こういうことを言ってるんですよね。これはどういうことかというと、日本製のそういった創作物……マンガとかアニメとかゲームを指してるんですけど、(犯罪者が)それを所持していたり実際の犯罪に使用した事例が報告されていると言っているわけです。

だから、創作物に有害性があると。つまり、児童ポルノを描いているマンガ・アニメ・ゲームは「実在する子どもが性的虐待可能な存在である」とみなされちゃう。そんなことを言っちゃったら集合の話をしなきゃいけないんですが、「犯罪を犯している集合体」と「児童ポルノを持っていた集合体」が同じ円に入ってるんですか?

児童ポルノを所持している人は犯罪者予備軍なのか
山田:「犯罪を犯していない集合体」を一番大きなものとして考えたときに、児童ポルノを持っている団体は犯罪者予備軍なんですかと。しかも、児童ポルノと呼んでしまうところがいけない。いわゆる、そういうマンガ・アニメ・ゲームですよ。性的なものを扱っているマンガ・アニメ・ゲームを持っている人は、基本的に児童ポルノ犯罪を犯す犯罪者予備軍なのかと。こういうことになっちゃうわけでして。

しかも、創作物をマンガ・アニメ・ゲームに限定していることが解せない。そんなことを言っちゃったら、さっきも言ったドラマや小説はどうなんですかと。(判断基準は)「影響を受けているかもしれないし、受けてないかもしれない。たぶん受けてるんでしょう」と。なぜマンガ・アニメ・ゲームだけがその対象物なのかということは、ちょっと理解できない。そういう理屈なんですね。

坂井:まさにあれですよね。包丁で殺人を犯した人の家には絶対包丁があるし、交通事故を起こす人は絶対に車を持ってるんですよ(笑)。

【後略】
山田議員のインタビューをみると、「マンガ・アニメ・ゲーム」が殊更に問題視されているように感じます。特に、山田議員の「『犯罪を犯している集合体』」と『児童ポルノを持っていた集合体』が同じ円に入ってるんですか?」「そんなことを言っちゃったら、さっきも言ったドラマや小説はどうなんですかと」という指摘はその通りだと思います。


5.ゲームレイティングの三類型


巷の映画では、R指定などのように映画観覧に年齢制限が付けられています。

この映画のレイティングシステム(film rating system)は、先進国を中心に多くの国で規定されており、日本では映画倫理機構(通称:映倫)、アメリカではアメリカ映画協会(通称:MPAA)が映画のレーティング審査を行っています。

日本の映画倫理機構が審査するポイントは、かつては性的シーンの有無が重要な判断要素とされていたのですけれども、1990年代以降は犯罪や差別行為などに関する描写も重要な判断要素の1つとなっています。

一方、アメリカ映画協会がチェックするのは、主に映画内での暴力的な表現や性的な表現の度合いや、反社会的で、犯罪の助長にならないかという観点で、一般的にアメリカの方が暴力表現や恐怖表現の規制が日本より厳しくなっています。

たとえば、かの有名な「アベンジャーズ」シリーズは、日本ではG指定でしたが、本国ではPG-13指定に、『もののけ姫』はPG-13指定、『千と千尋の神隠し』はPG指定を受けています。なんでも、『もののけ姫』には暴力的なシーンがあり、『千と千尋の神隠し』は妖怪などホラー要素がある、と判断されたようです。

では、ゲームも映画みたいに年齢制限をつければいいじゃないか、という議論も出てくるかと思いますけれども、当然ながら、既にあります。

ヨーロッパでは、EU圏内を中心にコンピュータゲームのレイティング審査を実施する機関として、全ヨーロッパゲーム情報、通称PEGI(ペギー:Pan European Game Information)が2003年に設立されています。

レイティングの審査基準は、1994年に公表されたイギリスの業界団体・Entertainment and Leisure Software Publishers Association(ELSPA)による自主審査基準をベースにしていて、ゲームパッケージ表面には対象年齢が表示されることいなっています。

このPEGIのレイティングシステムは2019年7月現在38ヶ国で採用されているのですけれども、各国の文化や教育課程の相違を尊重する観点から、は絶対的な拘束力を持たせておらず、国単位において±1歳の範囲で指値を設定することは認められているそうです。

また、採用国によってPEGIのレイティングシステムの法的地位は国ごとに異なり、大きく、「自主適用」、「自主規制」、「共同規制」の 3つに分類されるとしています。
それぞれの規制概要は次の通りです。
「自主適用」=メディアの青少年保護に焦点が当てられておらず、PEGIは市場のスタンダードであり、業界で自主的に適用されているグループ
「自主規制」=ゲームレーティングシステムとしてPEGIを正式に認めているが、具体的な法的枠組みが存在しないグループ
「共同規制」=業界による自主規制の代わりに、政府と業界が共同で PEGIレーティングを適用し実施する共同規制について話し合い、PEGIシステムを合法的に受け入れたグループ
下図は、欧州各国の国別のPEGI採用状況と類型を示したものですけれども、フランスはPEGIを採用するも、政府と業界が共同でレーティングを行う「共同規制」に分類されています。

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マクロン大統領が今回の暴動の原因を「ビデオゲーム」のせいにした以上、今後行政として何らかの対応をする必要が出てくるかもしれませんけれども、フランスのゲームレイティングは政府も搦める「共同規制」であることを考えると、これまで以上の規制を掛けてくることも考えられます。

ただ、先述したとおり、暴動の原因を「ビデオゲーム」のせいにすること自体、無理がある論理であり、仮に規制強化したとしても後々反動がくるような気もしますね。


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この記事へのコメント

  • 簑島

    東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件が1989年
    ゲーム脳が2002年
    いろいろと長い道のりで
    2023年07月07日 15:32