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1.続落する内閣支持率
時事通信が7月7~10日に実施した7月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比4.3ポイント減の30.8%だった。支持率下落は2ヶ月連続。不支持率は4.3ポイント増の39.3%で、3ヶ月ぶりに不支持が支持を上回りました。
マイナンバーカードのトラブルについて、政府の対応が適切だと思うか尋ねたところ、「思わない」が64.2%と、「思う」の12.9%を大幅に上回りまりました。
また、政府はマイナカードと健康保険証の一体化を進め、現行保険証を来年秋に廃止する方針でいますけれども、これについて「延期すべきだ」との回答が39.0%、「撤回すべきだ」が30.9%。とほぼ7割が延期ないし撤回を求め、「堅持すべきだ」は21.0%。「分からない」は9.0%。
更に、マイナンバーの利用範囲拡大は「反対」が44.5%で、「賛成」の29.7%を引き離しています。
内閣を支持する理由は、「他に適当な人がいない」が13.6%で最多。「首相を信頼する」6.1%、「首相の属する党を支持している」4.6%であるのに対し、支持しない理由は「期待が持てない」が22.0%、「政策がだめ」が17.9%、「首相を信頼できない」が15.3%でした。
支持する理由が「他に適当な人がいない」という消極的支持ですら13.6%しかなく、積極的支持である「首相を信頼する」に至っては6.1%しかありません。これに対して、支持しない理由で「期待が持てない」が22.0%、「政策がだめ」が17.9%と、比較的明確な不支持が合わせて4割近くあります。
一方、政党支持率は自民党が23.6%、日本維新の会5.2%、公明党3.6%、立憲民主党3.2%、れいわ新選組1.7%、共産党1.5%、参政党0.9%、国民民主党0.8%、社民党0.2%、政治家女子48党0.1%で、「支持政党なし」は56.8%でした。
0.1%とはいえ参政党が国民民主より上に来たのは少し驚きですけれども、去年の参院選で初めて国政政党になって、わずかな間に支持を伸ばしているということは、注目に値するかもしれません。
2.危険水域突入を示す青木率
今回の岸田内閣支持率の下落について、ある政治担当記者は「各社の世論調査でも同じ傾向ですが、個人情報の誤ったひも付けや他人の住民票交付などによる個人情報の漏洩といったマイナンバーのトラブルがこの数字につながっています……今回の調査でも『これらのトラブルについて、政府の対応が適切だと思うか』という質問に『思わない』が64.2%となり、『思う』の12.9%を大幅に上回りました」とマイナカードの問題が原因だとしています。
けれども、自民党関係者は、「今回の世論調査は『支持率が低下した』というだけの問題では終わりません……永田町には『青木の法則』というものがあります。これは元参院議員の青木幹雄さんが提唱したとされる、内閣がどれくらい安定しているかを示す経験則です。具体的には、内閣支持率と政党支持率を足して、50%を切ると『政権がもたない』というものです。今回の自民党支持率は23.6%ですから、内閣支持率30.8%を足すと54.4%。危険水域に近づいてきました」と指摘しています。
青木率については、このブログでも何度か取り上げたことがありますけれども、過去の青木率を振り返ると次の通りです。
■2009年9月16日に退陣した麻生太郎内閣:NHK世論調査(2009年8月)で49.9%、※内閣支持率23%、自民党支持率26.6%安倍、菅内閣は7割近い青木率で退陣していますけれども、安倍元総理は「余力を持っての辞任」でしたし、菅前総理も自民党総裁選に出馬せずの辞任で、選挙をやった結果の退陣でありませんでした。一方、麻生、野田内閣は総選挙で敗北しての退陣です。
■2012年1月13日に退陣した野田佳彦内閣:NHK世論調査(2011年12月)で53.9%、※内閣支持率37%、民主党支持率16.9%
■2020年9月16日に退陣した安倍晋三内閣:NHK世論調査(2020年8月)で69.5%、※内閣支持率34%、政党支持率35.5%
■2021年10月4日に退陣した菅義偉内閣:NHK世論調査(2021年9月)で67.6%、※内閣支持率30%、自民党支持率37.6%
3.安倍元総理の特別講義
2021年7月15日、ドワンゴのN高、S高が、安倍元総理を招いて特別講義を行っています。
この時の質疑応答で、平和安保法制を提出したことに関する質問がありました。その時のやりとりは次の通りです。
質問:安倍さんは、総理在職中に国論を二分し内閣支持率低下のリスクがあった特定秘密保護法・平和安全法制・テロ等準備罪といった法案を提出されました。究極に支持率のことだけを考えれば、支持率が下がる法案の提出は断念した方が良いはずでした。支持率低下のリスクという自己犠牲を払ってまで法案を提出することのメリットはどのようなものだったのかををお聞かせください。巷では、トランプ前大統領が安倍元総理にサムライだ、といったことのみ話題になっていたように思いますけれども、筆者はその前の部分に注目しています。
安倍元総理:私は何のために総理大臣になったのか。総理大臣という力を生かしてやるべきことをやっていく。もちろん厳しい事を連発したら、政権はただちに倒れてしまう。まずは経済をしっかりと回復していく。期待に応えていく中で、信頼関係を高めていき、支持率を高めていった。積み重ねた上で、それを使っていく。トランプさん、「日本が北朝鮮から攻撃されたら日本を助けるために全力で戦うんだよ、でも私達が戦ってても、安倍さん達はSONYのテレビ見てるだけだろ。不公平じゃないか」、「だからトランプさん、私は集団的自衛権の行使一部容認をして、助け合えるようになりましたよ。そのために私は支持率10数ポイント削ったんですよ」と言ったら、トランプさん、何と言ったか、「GREAT!安倍さんはサムライだね」と言ったことがありました。
安倍元総理は、国民との信頼関係から内閣支持率を積み重ね、本当にやりたいことをやるときに、積み立てた支持率を使っていくと述べたのですね。あたかも内閣支持率を「貯金」かなにかのように表現したのは、少し意外に思ったのですけれども、総理という立場からはそう見えるのかもしれません。
翻って、岸田総理はどうか。
安倍元総理は「厳しい事を連発したら、政権はただちに倒れる」と述べていますけれども、今の岸田政権は、増税にマイナカード、LGBT法と厳しい事を連発しています。支持率は下落傾向でとても、国民とは信頼関係を高め、支持率を積み上げるなどという状況ではありません。むしろ逆行している。
もっとも岸田総理に、総理になってやりたい事があるのかどうか分かりません。あるいは、増税、マイナカード、LGBT法がやりたいことだったかもしれませんけれども、これらが国民の期待するものだったのかというと、とてもそうは思えません。
そう考えていくと、今後、岸田内閣が支持率を回復させるためには、国民が真に期待していることに応える必要があると思います。マスコミは次の内閣改造で支持率回復を考えている云々と報じていますけれども、それが通じるのは、内閣の顔ぶれをみて、国民が「期待してくれる」場合であって、内閣をどう弄ろうと「どうせ口だけだ」と期待してくれなければ、支持率回復など望めません。
これまで岸田内閣は国民の期待と逆行することを多くやってきた以上、単なる顔ぶれだけでは期待してくれないのではないかという気がします。要するに「信なくば立たず」ならぬ「信なくて立たず」ではないかと思うのですね。
先の国会で解散できなかった岸田総理。支持率回復の道はかなり厳しいものになるのではないかと思いますね。
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