中国経済はデフレになったか

今日はこの話題です。
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1.中国消費者物価指数上昇率0%の衝撃


7月10日、中国国家統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)が話題となっています。

発表によると、6月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比0.0%と5月から0.2ポイント低下。ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値である0.2%上昇も下回り、2021年2月のー0.2%以来の低い水準となりました。

ゼロコロナ政策を3年ぶりに解除した今年1月の上昇率は2.1%と、その後のV字回復が期待された中国経済ですけれども、逆に需要不足に直面していることが露わになった形です。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは0.4%上昇と、5月の0.6%上昇から伸びが鈍化。前年同月比7.2%低下。5月は3.2%低下となりました。

また、6月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比5.4%低下と、マイナス幅がさらに拡大。2022年の後半からずっとマイナス圏に沈んだままです。

その背景には、倒産と失業があります。コロナによる大規模都市封鎖で多くの中小企業が倒産しました。日本のような経済封鎖に伴う企業への支援金は「1元も出なかった」そうで、東京財団政策研究所主席研究員の柯隆氏は、「中小企業400万社が倒産した」と分析し、「中国経済はすでにデフレ入りしたと判断して良い」と話しています。


2.中国の賃金が伸びない理由


今回、中国のCPIが減速した原因は、エネルギー価格の低下と食品価格の減速にあると指摘されています。

中国は原油などのエネルギーを多く輸入しているのですけれども、人民元建て輸入価格指数は今年の3月から前年比マイナスまで落ち込んでいます。また、生産者物価指数(PPI)も下落が続き、価格転嫁の動きは急速にしぼんています。これを受けて、CPIのうち特に食品やエネルギーなどの財の価格に急ブレーキがかかっている状況のようです。

このように中国のCPIの減速がエネルギー、食品価格といった供給要因であることを考えると、中期的に続くとは限らず、ソニーフィナンシャルグループ金融市場調査部 シニアエコノミストの宮嶋貴之氏は、現状の中国のCPIの減速をもって、中国がデフレに陥るサインと断定するのは早計だ、とコメントしています。

けれども、宮嶋氏は、物価の基調が弱含んでいることは事実とし、その要因は賃金の弱さだと指摘しています。

宮嶋氏は、賃金が伸びない理由として「①外需停滞などの循環的要因」、「②ミスマッチなどによる若年失業率の上昇」、「③不動産市況悪化等による資産所得の減少」、「④コロナ禍での家計支援策の未実施」、「⑤プラットフォーマーの監督強化による企業の採用意欲低下」などを挙げ、それゆえに、ディスインフレが長引くリスクは高まっているのではないかと述べています。

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3.中国経済はデフレになったか


7月17日、中国国家統計局は6月までの主要経済指標を発表しました。1~6月の実質GDP成長率は前年同期比5.5%、第2四半期(4~6月)は6.3%、前四半期の(2023年1~3月、4.5%)と比べて1.8ポイント上昇したとしています。

ただ、6月の都市部調査失業率は5.2%と前月比横ばいだったものの、大卒者を含む16~24歳の失業率は21.3%と、2023年4月以降3ヶ月連続で過去最高を更新しました。これは記録が確認できる2018年以降で最悪の数字です。

国家統計局は、経済動向は通常の軌道に戻りつつあり、第2四半期も回復の勢いが続いたことから、上半期の中国経済は全体として上向きの傾向を示しているとの認識を示していますけれども、識者は必ずしもそうは見ていないようです。

キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之・研究主幹は「輸出も弱い、消費も弱い。本当に中国経済元気がないなと実感されるようなデータが並んでいる。やはり思ったよりもゼロコロナの後遺症が効いている」と指摘し、今後の見通しとして、「今の中国経済が直面している問題は、非常に重い問題ばかりなので、構造問題ときちんと取り組む、その姿勢が貫けるかどうか。苦しいんだけど、貫けるかどうか。私は本当に霧が晴れたと思えるのは、2025年以降ではないかと思う」と述べています。

また、丸紅中国の鈴木貴元・経済研究チーム長は、「低・中所得者の所得が伸びず、解決策も見いだせず……不動産投資の低迷は、来年春先まで続くのではないか」と指摘。前述の東京財団政策研究所主席研究員の柯隆氏は、「V字ではなくL字回復。すでにデフレ……新指導部がまだ有効的な対策を打てておらず、状況は長引く可能性もある」と述べています。


4.若者失業率46.5%


中国国家統計局は若者の失業率は21.3%と発表していますけれども、これは就職活動を行っている人を対象とした統計で、実際はもっと酷いのではないかという見方もあります。

中国国家統計局が17日に若者の失業率に関するデータを発表した後、この日の夕方に財新網は「若者の失業率が過小評価されている可能性」と題する記事を掲載しました。この記事は既に消されてしまったようですけれども、掲載後2日間で内容の一部およびすべてのスクリーンショットが中国のインターネット上で急速に出回り、話題になっているそうです。

記事によると、中国の若者の失業率が高いのは、まず2020年から3年間続いた新型コロナウイルス感染症の流行が原因であり、消費や企業の経営環境、さらには経済全体の活力に継続的な影響を与えているとしています。

記事は、北京大学の張丹丹准教授の研究チームが長江デルタの人材採用プラットフォームから、2022年末の疫病が蘇州や昆山などの製造業に深刻な打撃を与えることを発見したとし、流行が去った今年3月まで、就業者数は流行前の水準の3分の2までしか回復しなかったと指摘しています。

記事では、中国の熟練労働者の雇用市場は今年3月以降実際に改善しているとする一方、3月以降の若年失業率の上昇は、一般の大卒者の就職市場を反映したものであり、具体的なデータから大卒者の就職市場が深刻な供給過剰に陥っていることがわかるとしています。

中国国家統計局の3月のデータによると、全国の都市部の16~24歳の人口は約9600万人で、その3分の1にあたる3200万人が労働力人口としているものの、そのうち630万人が失業者としてリストされており、残りの3分の2にあたる6400万人は非労働者で、そのうち4800万人が学生、残りの1600万人は非就学の学生で、主に働く代わりに「横になって」「老いていく」ことを選択していると指摘しています。

昨今、中国の若者の中に、寝そべって、何も求めない。マンションも車も買わず、結婚もせず、消費もしない。最低限の生存レベルを維持し、他人の金儲けの道具や搾取される奴隷になることを拒絶する、いわゆる「寝そべり族」が登場に話題になっていますけれども、張丹丹准教授は、彼らを考慮すると、実際の失業率は「46.5%」になる可能性があると指摘しています。

本当の中国の失業率が46.5%もあるのなら、それだけ需要が低迷しているということであり、デフレ目前ではないかという気もします。

仮にデフレだとして、それが誰の目にもはっきりするにはもう少しかかるかもしれませんけれども、市場が大きい分、その影響は半端ないことが予想されます。日本、ひいては世界も、これまでのような中国依存を見直してもよいのかもしれませんね。


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