岸田総理は木原官房副長官を更迭できるか

今日はこの話題です。
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1.自殺を示す証拠はない


7月28日、岸田総理の側近である木原誠二官房副長官を連続追及している週刊文春が東京・紀尾井町の文藝春秋本社で記者会見を開きました。

文春の8月3日号の記事「木原事件 妻の取調官 実名告発18時間」に登場した警視庁捜査一課の元捜査員、佐藤誠氏が会見に登場し、報道各社の取材に応じました。

佐藤氏は、現在64歳で、既に警察は定年退職されていますけれども、木原事件を担当した当時は、警部補として、警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係(通称:サツイチ)で活躍していました。

2006年に都内で遺体で発見された男性をめぐり、警視庁は2018年に再捜査を始め、佐藤氏はかつて男性と夫婦関係にあった木原氏の妻の事情聴取を行っていました。

会見の冒頭、佐藤氏は「警察庁の長官の『事件性が認められない』という発言にカチンと来た。被害者がかわいそうだと思った。正義感とかの話じゃない。そう思っちゃったんですよ。火に油をそそぐものだ。正義感というより、頭にきた。私は取調官であり、証拠と供述が集中していた。自殺を示すような証拠はなかった。断言します。事件です。どうせ話すなら、すべてを話すしかないと思った。ヤバイが言うしかないと思った」と話しました。

そして、捜査が打ち切りになったことについて、「終わり方が異常だった。殺しを100件近くやっているけど、こんな終わり方はなかった……こういう殺人事件は、時効はない。この場合だと自殺か捕まえるかしかない。もし灰色だったら終わらない。ただ、終わり方で被害者に対して説明がまったくない。殺人事件だったら、刑事があいさつして始めます。最後の締めとして、こういう理由で終わります、と言わなきゃいけない。どこでも一緒。それがなかった。締めがなかった。警視庁が自殺と認定したのであれば行かなきゃいけない。だけど、それをやってないから、こういうことになる」と語りました。

そして、遺族に対しても「かわいそうですよね。一番に考えないといけないのは遺族。警察に『感謝しています』と言ってくれた。こんな終わり方をしているのに。普通だったら『ちゃんとやれ』という人もいる。だけども、ああやって言ってくれて非常にありがたい」と胸の内を明かした上で、「頭にきますよね。なんで、そこまで遺族の気持ちを逆撫でるのか」と憤りを見せています。

佐藤氏は更に、木原氏の妻への事情聴取の内容のほか、木原氏と妻が乗ったタクシーのドライブレコーダーを警視庁が回収して分析していたことを明かし、木原氏の捜査介入を疑わせる発言まで紹介しました。




2.報道各社を脅した木原官房副長官


同じ28日午後、松野官房長官は記者会見で、木原官房副長官と再婚した女性が警視庁の任意聴取を受けた際、木原氏が「俺が手を回しておいたから心配するな」などと発言していたと文春が報じたことについて、「調査、捜査に圧力を加えたとの指摘は事実無根だ……警察の対応に関わる事実関係については、人権上の観点もあることから、捜査当局に尋ねるよう求めてきた。こうした立場はまったく変わっていないと報告を受けた」とし、木原氏を続投させるかを問われると「それ以上の対応を求めることは考えていない」と語り、続投させる考えを示しています。

ただ、木原氏は文春を刑事告訴すると宣言しています。

7月5日、木原氏の代理人弁護士が司法記者クラブ、新聞社、テレビ局にあてて「御通知(至急)」と題したA4判で3枚にわたる文書を出しています。

文書では文春の7月6日発売の「岸田最側近 木原副長官 俺がいないと妻がすぐ連行される 衝撃音声」という記事に対し、「週刊文春の記事は、事実無根のもの」「捏造されたであろう風説」とし、「マスコミ史上稀にみる深刻な人権侵害」と批判し、即刻記事を削除するよう求めています。

そして、代理人弁護士も、「速やかに文藝春秋社及び記事掲載にかかる関与者について刑事告訴を行い、法治国家における、このような取材及び報道のあり方の公正さ、社会的相当性について公に問うとともに、法務省の人権擁護機関に対しても救済を求めることとなります」と語っています。

この刑事告訴宣言について、経済評論家の渡邉哲也氏は、報道各社全てに対し、週刊文春を刑事告訴すると明言したことを脅している部分があると述べています。そして、未だ週刊文春が告訴された話はないとした上で、告訴の内容に嘘があれば「虚偽告訴罪」となり、告訴しなかったら自分が脅していることを認めるも同然になると指摘しています。

木原副官房長官は、文春の記事は「事実無根」と主張していますけれども、文春を刑事告訴する、と宣言したのは事実ですし、それをわざわざ報道各社に対して言った上で、刑事告訴しなかったとなれば、結果として報道各社を脅したと受け取られても当然かなと思います。




3.永田町に飛び交う怪文書


木原官房副長官は報道に対する正式見解を示すという名目で、28日に都内で会見をセッティングしたとの情報が流れていたそうなのですけれども、結局会見は行われませんでした。

その理由は定かではありませんけれども、官邸事情通によれば、文春の最新記事が生々しすぎるため、「急きょ、会見をキャンセルした」ということのようです。

文春の木原事件を巡る記事ははや4週連続で報じられているのですけれども、冒頭で紹介した、当時捜査を担当した佐藤氏の会見が行われるなど、その勢いはとどまることを知りません。

この一連の報道で政権中枢を揺るがしているとも言われています。

日刊ゲンダイは、永田町では、先週末から今週にかけて、〈いよいよ精神的に参り始めた“渦中”の木原官房副長官……〉と題された「怪文書」が出回り、岸田総理に対しても〈来年9月の自民党総裁選への不出馬を示唆した岸田首相 支持率続落で一転弱気に。伝家の宝刀も抜けず仕舞いか〉という怪文書も出たと報じています。

木原氏についての怪文書では木原氏は文春の”ネタ元”をほぼ特定したが、相次ぐ報道を受け、精神的に参っており、〈とても首相側近として岸田首相を支える状況ではないようだ〉と書かれ、岸田総理の怪文書では、岸田首相が今月中旬、官邸内でごく少数の側近と打ち合わせし、その席で「総裁選には出ないかもな……」とポツリとこぼしたと記され、あまりにも衝撃的な発言に箝口令まで敷かれたとしています。

そして、怪文書には、総理周辺のコメントとして「本当に痛い」「内閣改造・党役員人事で木原氏を斬らざるを得ない状況だが、代わりになる最側近はいない」と記されているそうです。

まぁ、所詮、ゲンダイ発のしかも怪文書ですから、その信憑性には疑問符がないとはいいませんけれども、こんな怪文書情報が報じられること自体、政権のグリップが効いていない証左ともいえます。


4.岸田総理は木原官房副長官を更迭できるか


自民党内でも閣僚経験者が「このまま放置していたら党全体へのダメージになる。早く木原氏を交代させた方がいい」と、警戒する声が上がり始めたそうで、党のある中堅議員は「総理の外遊には衆参の副長官がほぼ交代で同行しますが、文春の報道以降、NATO首脳会議などに出席するための欧州訪問も、立て続けの中東歴訪も、同行したのは参院の磯崎副長官でした。中東は木原さんの担当だったのに、直前に交代したそうです。松野官房長官不在時の代行会見もずっと磯崎さんが担当していて、木原さんは出てこない。23日に千秋楽を迎えた大相撲名古屋場所では河野デジタル相が優勝力士に賜杯を授与していたが、これも本来は副長官の役目です。表に出てこられない副長官で、職務をまっとうできるのか。文春報道がいつまで続くのか分かりませんが、内閣改造で交代は避けられないでしょう。それ以前に、木原さんは9月まで持たないのではないか」とコメントしています。

こういった事情から内閣改造の前倒し説が囁かれ始め、霞が関関係者は「8月下旬は日米韓首脳会談で訪米する予定が入っているし、さまざまな政治日程を考慮すると、早めに改造人事をやるとしたらやはり8月10日ごろでしょう。昨年も引き継ぎや新大臣対応でお盆休みが潰れたのに、2年連続で夏休み返上なんて勘弁して欲しいのが本音です」とコメントしています。

けれども、だからといって木原氏を簡単に更迭できるかというとそうとも限らないようです。というのも、木原氏は今の官邸と取り仕切っているからです。

自民党岸田派関係者は、「総理は木原さんを簡単には切れないでしょうね……現在の官邸は木原さんがいないと回らないと言われている。岸田政権の重要政策ほぼすべてを差配しているため、木原さんは『陰の総理』とまで呼ばれる実力者になっています。今の岸田派には、残念ながら代わりを務められる人材がいない。閣僚経験者の上川や根本が今さら副長官というわけにはいかないし、木原さんより下の世代は経験が足りない。そもそも、岸田総理には腹心と呼べるような存在が他にいません。心を許せるのは家族だけで、長男を政務秘書官に抜擢したくらいですからね。それも裏目に出てしまいましたが……。木原さんの処遇をどうするのか、総理の判断は非常に重要になってきます」と述べています。

この通りだとすれば、木原氏を更迭したら、その後岸田政権は、碌に法案も通せなくなるほど弱体化することも考えられます。かといって、長男の翔太郎秘書官が、総理公邸でどんちゃん騒ぎしたことで更迭した手前、ここまで騒ぎになり、マスコミを脅している疑惑され出ている木原氏を続投させたら、政権へのダメージは避けられません。

行くも地獄、退くも地獄。岸田総理も大分追い詰められてきたのかもしれませんね。





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