秋本真利議員の疑惑は入口なのか

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。


2023-08-06 103100.jpg


1.自民を離党した秋本真利衆院議員


8月5日、自民党の秋本真利衆議院議員は代理人を通じて自民党に離党届を提出し、離党しました。

秋本議員は、洋上風力発電事業を手がける日本風力開発側から数千万円の不透明な資金を受領したとされる疑惑で、前日4日、東京地検特捜部から、自身の議員会館事務所や秋本氏の自宅マンションや千葉県佐倉市の地元事務所の家宅捜索を受けていました。

捜索容疑は収賄とみられ、特捜部は既に日本風力開発社長を任意で事情聴取しています。

秋本氏は2012年に初当選し現在4期目。脱原発を掲げ、洋上風力発電を推進してきました。2018年10月までの1年余りは国土交通政務官を務め、洋上風力発電を普及させるために、再エネ海域利用法の制定を後押ししています。

与党側からは、今後の捜査によっては政権運営への影響が避けられないと懸念する声が出ているのですけれども、秋本議員は家宅捜査当日の4日に外務政務官を辞任。翌5日に党を離党していますから、逆にいえば、政権や党に影響が及ぶと認識しているということです。


2.日本風力開発


実際、秋本議員は日本風力開発に便宜を図っていたことが、明らかになっています。

政府の洋上風力発電事業の中に、秋田県沖での洋上風力発電プロジェクトがあったのですけれども、「日本風力開発」は、政府が第1ラウンドとして3年前からおととしにかけて入札を実施した秋田県沖2エリアの洋上風力発電プロジェクトへの参入を目指していました。けれども、圧倒的に低い供給価格を示した三菱商事を中心とする企業連合が受注し、落札できませんでした。

それでも「日本風力開発」は、第2ラウンドとして公募された秋田県沖の別の海域で行うプロジェクトへの参入も目指し、政府公募のルール変更を求め、秋本議員が事務局長を務める「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟(再エネ議連)」に働きかけていたとされています。

実際、秋本議員は洋上風力発電事業を管轄する経済産業省側に対し、ルール変更を猛烈に訴えた。22年2月の衆院予算委員会でも、当時の萩生田光一経産相に対し、「評価の仕方を見直していただきたい」などと求めています。

結果、22年3月に政府はプロジェクトの公募を停止、22年10月に洋上風力発電の運転開始時期を最も早く提示した事業者を評価するなど、先行事業者へ有利に働く公募ルールの変更に踏み切りました。そして、洋上風力公募第2弾は、新たなルールの下で公募が行われました。

こうした背景を聞くと、秋本議員の関与が疑われても仕方ありませんし、国会質問で発言もばっちり残っていますから、隠すこともできません。

特捜部は秋本議員が国会で日本風力開発が有利になるような質問をしていたことから、多額の資金提供は国会議員としての職務に関する賄賂に当たる可能性があるとみて国会質問の詳しい経緯を調べているものとみられています。


3.パープルパッチレーシング


秋本議員が賄賂を受け取った疑いについて、日本風力開発塚脇正幸社長が約3000万円を支出した馬主組合の収支を、秋本議員が実質的に管理していたことがわかったと報じられています。

塚脇社長の弁護人などによると、塚脇社長は2021年秋、秋本議員らと馬主組合「パープルパッチレーシング」を設立しました。組合の持ち分割合は、秋本議員と塚脇社長が各45%、秋本議員の知人とみられる人物が10%。塚脇社長は「自分の名義が表に出ることを避けたい」として自身の知人名義で保有していたとうです。

秋本議員はSNSで競走馬に関する投稿を繰り返すなど競馬を愛好し、「パープルパッチレーシング」では、馬の購入やレースの出走を差配し、餌代や厩舎に必要な費用の支出など口座管理も一手に担い、塚脇社長はこうした組合運営の業務を秋本議員に任せていたそうです。

秋本議員は「パープルパッチレーシング」の資金が不足した時や、購入希望の馬を見つけた際に塚脇社長に連絡。塚脇社長は求めに応じ、2021年10月から今年6月まで20回以上にわたって、現金を秋本議員に渡したり、組合の口座に送金したりするなど計約3000万円を支出したようです。

8月5日、塚脇社長の弁護人は「社長が組合の持ち分の45%を持っている証拠がある。組合の一員として負担すべき債務を支出しただけで、秋本氏に提供したわけではなく、賄賂にはあたらない」と述べていますけれども、特捜部が動いた以上、それなりの証拠を掴んでいるのではないかと思われます。


4.再生可能エネルギー普及拡大議員連盟


ただ、今回の問題の成り行きによっては、秋本議員だけに留まらない可能性もあります。それは先述した入札ルール変更に秋山議員のみならず再エネ議連が噛んでいることも考えられるからです。

秋本議員は再エネ議連の事務局長でしたけれども、会長は柴山昌彦元文科相、会長代理は小泉進次郎前環境相。そして顧問は河野太郎デジタル相です。

第1ラウンドの入札で三菱商事が勝利したのは、徹底的にコストの削減を図り、どの事業者よりも断トツに安い値段で電気を売れるという数字を示したからです。

入札は「価格点」と「事業実現性」の合計点で競われたのですけれども、三菱は3事業すべての「価格点」で満点を出したのですね。

これに、他の中小再エネ企業が「1企業だけが、価格点で満点を取れる仕組みは、価格に評価の軸を置きすぎている」と不満を露わにしました。

これに小泉進次郎前環境相と自民党の再エネ議連の面々が反応。再エネ議連の面々が経産省の幹部に対し、”入札基準の不備”が三菱の独占受注を招いたと口々に注文をつけたそうです。

その結果、第2ラウンドの公募から入札基準が見直されることになったのですけれども、経産省の洋上風力促進ワーキンググループの委員として、入札基準を検討している早稲田大学名誉教授の清宮理氏は「国が行う入札制度ですので、採点のルールを入札のたび大幅に変更するのは好ましくありません」とコメントしています。

当の入札基準を検討している清宮理氏が好ましくないとしているにも関わらず、入札基準が変更されたということに、政治圧力以外の理由を見出すのは難しいでしょう。

これらルール変更について、昨年6月、週刊新潮の取材を受けた秋本議員は「自民党内で私のように脱原発派で再エネ推進を語る議員はほんの一握りです。だからこそ私は、再エネ業者さんから応援をされているのです。特定の業者に有利なルールにしようとしていると言われるのは、まったく不本意ですよ」と答えていますけれども、その裏で賄賂を受け取っていたのなら、言い逃れできないのではないかと思います。

2023-08-06 103101.jpg



5.秋本疑惑は入口か


当然ながら、今回の件について、野党側からは岸田総理が説明責任を果たすべきだとか、事実であれば秋本議員は議員辞職に値するといった指摘が出るなど批判を強めています。

自民党の茂木幹事長は「今回の件は極めて遺憾であり、秋本議員は説明責任をしっかりと果たし、事案の解明に努めてほしい」とコメント。立憲民主党の安住国会対策委員長は仙台市で記者団に対し「国会の質問を使って利益誘導をはかり見返りに金をもらった疑いがあれば、舞台は国会なので徹底的に追及したい。自民党は責任を持って調べて報告すべきで『離党したから関係ない』という頬かぶりはダメだ」と述べています。

秋本議員は河野太郎デジタル相の最側近とも目され、ある政治記者は「じつは、この件で内心穏やかではないのが、現在マイナンバーカードで揺れる河野太郎デジタル担当相です。というのも、2021年の衆院選の応援演説で、河野大臣は秋本議員を『私の右腕です』『自民でも5本の指に入るほどエネルギー政策を理解している』とずいぶん持ち上げているんです。そもそも秋本議員は河野大臣に誘われて政界に入ったといわれ、『河野太郎はアニキ』と触れ回っていたとも報じられています」と漏らしています。

自民党内では事件の広がりを危惧する声が上がっているそうで、自民党関係者は、「政府が掲げる2050年の脱炭素社会実現に向けて欠かせないのが再生可能エネルギーで、太陽光や洋上風力をはじめとする再エネは巨大利権になりつつある。秋本氏は”入り口”に過ぎず、もっと大物まで捜査の手が伸びる可能性があるのではないか」と述べています。

もし、今回の事件が燃え広がり、「大物」にまで捜査の手が伸びるようなことになれば、岸田政権にもダメージとなると思われます。岸田総理も段々と足元が危うくなってきたようです。


  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント