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1.実質賃金15ヶ月連続マイナス
8月8日、厚労省は従業員5人以上の3万あまりの事業所を対象に行っている、「毎月勤労統計調査」の6月速報値を発表しました。
それによると、基本給や残業代などをあわせた働く人1人あたりの現金給与総額は平均で46万2040円と去年6月に比べて2.3%増え、18ヶ月連続でプラス。このうち、夏のボーナスなど特別に支払われた給与は18万9812円と去年6月に比べて3.5%増加しました。
一方、持家の住宅費用を除いた消費者物価指数は去年の同じ月と比べて3.9%上昇。労働者が実際に受け取った給与から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は、去年の同じ月と比べて1.6%減り15ヶ月連続のマイナスとなりました。
労働団体の「連合」の調査では、春闘での賃上げ率が平均で3.58%と、今年はおよそ30年ぶりの水準となったものの、依然として物価の上昇に追いついていない状態が続いており、厚労省は「前の年の同じ時期と比べて現金給与総額はプラスが続いているが、依然として物価の上昇の影響が強く実質賃金はマイナスが続いていて、今後も注視が必要だ」としています。
2.引き下げられる補助金と値上げのガソリン
資源エネルギー庁は、7月24日時点におけるレギュラーガソリンの店頭販売価格を発表しました。それによると、全国平均で前の週と比べて0.8円値上がり、174.8円となりました。
また、全国のガソリン価格やガソリンスタンドのサービス情報を共有するガソリン価格比較サイト「gogo.gs https://gogo.gs/」が発表している8月7日時点のレギュラーガソリンの全国平均は、176.0円と、先週から3.3円の値上がり。12週連続の値上がりとなっています。
今週のガソリン価格は、47都道府県全てで値上がりとなり、上り幅も先週までと比べかなり大きくなっています。特に高速道路などのSAに設置されている給油所は軒並み190円台後半となっていて、中には200円超えのところもあります。
「gogo.gs」は、7月27日のレポートで、ガソリン価格の値上がりが止まらないのは、6月以降ガソリン補助金の補助率が2週間ごとに1割ずつ引き下げられていることが要因の一つだとしています。
レポートによると、6月初めはガソリン補助金補助率は90%だったのですけれども、7月は補助率70%から始まり、7月最終週の補助率は50%となっています。6月の1ヶ月間での値上がりは 2.8円だったのが、7月は 4.1円となっています。更に8月はガソリン補助金補助率が30%まで下がるため、さらに値上がりが加速すると予想しています。
3.怒りのJAF
このガソリン価格の上昇にJAF(日本自動車連盟)が怒りの声を上げています。
7月25日、JAF(日本自動車連盟)は、ガソリン代に含まれる税金の割合について公式ツイッターで公開、改めて二重課税となっていると訴えました。
JAFでは「ガソリン1リットル当たり168円(税込)の場合」と題して、どれだけの税金割合なのかをわかりやすく記しています。それによるとガソリン自体の価格は98.9円で、これにガソリン税と消費税(10%)が上乗せされた結果、168円になるとしています。
JAFは単純計算で、税金上乗せによって約1.7倍に価格が膨らんでいると訴えており、「ガソリン代が高すぎます! 二重課税反対!!」との姿勢を明確に示しています。
このガソリン価格高騰に、国民民主党の玉木代表は、「短期的には当初の補助水準での支援策の半年延長やトリガー条項の発動、中期的には消費税の二重課税の見直しなど抜本的な税制改正による減税をやるべき」とツイート。政府与党にも強く働きかけていきますと述べています。
ガソリン代に含まれるガソリン税には、消費税もかかっており、二重課税になっています🚗💸💸
— JAF (@jaf_jp) July 25, 2023
私たちが払っているガソリン代は、ガソリン自体の価格の約1.7倍🔥🔥
ガソリン代が高すぎます❗️二重課税反対‼️
▼自動車税制に関する意見募集中
抽選でQUOカードプレゼント🎁https://t.co/UqZS5V86MP pic.twitter.com/qZMP1KYsKP
ガソリン価格の高騰が続いています。国民民主党が6/20に西村大臣に提言したように、短期的には当初の補助水準での支援策の半年延長やトリガー条項の発動、中期的には消費税の二重課税の見直しなど抜本的な税制改正による減税をやるべき。政府与党にも強く働きかけていきます。 https://t.co/Mliw0iA2eq
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) July 31, 2023
4.トリガー条項の発動条件は整った
筆者は2021年10月22日のエントリー「原油トリガーを引け」で、トリガー条項発動を検討すべきだ、と述べたことがありますけれども、国会でもトリガー条項を発動すべきだ、との議論はありました。
2022年3月16日、参議院財政金融委員会で、旧NHK党(政治家女子48党)の浜田聡議員が質疑をしています。
該当部分を議事録から引用すると次の通りです。
○浜田聡君 補助金も政策として必要であるとは思いますので、選択肢としてはありだと思います。ただ、配るための手間が掛かるというデメリットについては繰り返し申し上げておきたいと思います。浜田議員がトリガー条項発動で廃止される特別上乗せ分は、もとは期間限定の上乗せであったこと、ガソリン税が消費税との二重課税であること、日本自動車会議所やJAFから税制改正要望が出ていることからトリガー条項発動を迫ったのですけれども、鈴木財務相は「燃料課税の当分の間税率を廃止した場合、国、地方で年間約一・六兆円の大幅な減収となる」からと拒否しました。
次に、ガソリン価格高騰に対応するため幾つかの選択肢が存在する中、このトリガー条項凍結解除という選択肢に対して、政府・与党、先ほども御答弁ありましたが、いろいろな理由によって及び腰のような感じがしております。選択肢としてトリガー条項凍結解除を取りたくないということ自体は様々な考えがあるから仕方ないとは思います。ただ、名指しをするのはちょっと避けますが、一部与党の議員からSNS上などで、やらない言い訳として、トリガー条項凍結解除には法改正が必要で時間が掛かるという理由でガソリン減税行わないという旨の表明については、ちょっと気になりました。
そこで、大臣にお聞きします。
法改正が必要だからという理由でガソリン減税行わないというのは、ちょっと立法府の議員として、しかも法改正が可能な与党の議員としては少しふさわしくないんじゃないかと思うんですが、大臣の意見教えていただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 手続の面から申し上げますと、トリガー条項の凍結解除については法改正が必要であるということは、これは事実であります。そして、こういう発言をされた方の個々の議員の言動については、私からコメントするのはふさわしくないと思います。
○浜田聡君 分かりました。
次に、今回話題になっているトリガー条項というものがそもそも存在する原因になっている当分の間税率、いわゆる暫定税率について質問、提案をしていきたいと思います。
トリガー条項は、ガソリン価格がある一定の値段を超えるくらい値上がりした場合、ガソリン税の半分ほどをストップさせる決まりのことを指していると思います。現在、ガソリン税、一リットル当たり約五十円となっているんですが、本来約二十五円で、残りの約二十五円は特別上乗せ分とされております。トリガー条項が出ると、この特別上乗せ分がストップされるということでございます。ただ、現在トリガー条項は御存じのとおり凍結されており、現在その解除に向けてけんけんがくがくやっているところでございます。
この特別上乗せ分ですが、一九七〇年代に道路を造るための財源として設定されて、期間限定ということで当分の間税率と名付けられていると承知しております。期間限定ながらも、長年、現在に至るまで更新が繰り返されております。トリガー条項凍結解除はこの際必ず進めていただきたいとは思いますが、このトリガー条項がそもそも存在する原因となっている当分の間税率、これを廃止するという選択肢、重要ではないかと思います。
そこで、大臣にお聞きします。
ウクライナ情勢などで、今後のガソリン価格高騰について多くの国民の不安を払拭するため、この当分の間税率廃止することについて、御意見いただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 揮発油税等の燃料課税につきましては、先生御指摘のように、昭和四十九年度以来、暫定措置として本則よりも高い税率が設定されてきたところでありますが、平成二十一年の道路特定財源の廃止を踏まえ、民主党政権下において検討が行われた結果、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情を踏まえて、それまでの税率が維持され、当分の間税率とされたと承知をいたしております。
地球温暖化対策の必要性や厳しい財政事情といった状況は、現在、より深刻となっていることに加えまして、仮に燃料課税の当分の間税率を廃止した場合、国、地方で年間約一・六兆円の大幅な減収となることも踏まえますと、廃止することについては慎重であるべきであると考えております。
○浜田聡君 分かりました。
そもそもこのトリガー条項というのが何なのかということについて、国民の皆様、知らない方が多いのではないかと思うんですね。この国民の理解が進めば、当分の間税率廃止を求める声が多く出てくるのではないかと思います。政府におかれましては、そういった声に耳を傾けていただきたいと思っております。
次に、日本自動車会議所やJAFによる税制改正要望について大臣にお聞きしたいと思います。
先ほどまで何度も口にしてきた当分の間税率は、ガソリン税への上乗せだけではありません。自動車重量税にも同じように当分の間税率の上乗せがあります。現在、この税率の意義について、私は、いろんな意見ある中、疑問を持っております。また、昨年の委員会で私が取り上げたことですが、ガソリンに掛かっている税金では、ガソリン税のみならず消費税も掛かっており、二重課税となっている不可解な状況です。そのほかにも、自動車の利用者には様々な税負担がのしかかっております。このような負担を解決すべく、日本自動車会議所やJAFによる税制改正要望は毎年出されていると承知をしております。
そこで、大臣にお聞きします。これらの要望に対して、財務大臣から今後の方針を教えていただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 自動車に関する税制については、当分の間税率の廃止を含め、様々な税制改正要望をいただいているところでございます。
当分の間税率については先ほど申し上げたとおりでございますが、今後の車体課税の在り方については、与党税制改正大綱におきまして、カーボンニュートラル目標の実現への貢献、自動車を取り巻く環境変化の動向、インフラの維持管理の必要性、国、地方を通じた財源の安定的な確保、受益と負担の関係等を踏まえつつ、中長期的な視点に立って検討を行うこととされておりまして、政府といたしましても、これを踏まえて検討を行う必要があると考えております。
○浜田聡君 これまで何度も粘り強い要望がされてきた中、なかなか前進しない状況、もどかしく思いますが、私自身、今後も自動車ユーザーの皆様の声を国会で伝えていきたいと思います。
けれども、昨年度の国の税収は初めて70兆円を超えて3年連続で過去最高を更新。決算剰余金も2兆6000億円あまりと過去2番目の規模の決算剰余金を計上しています。このうち半分は防衛力強化の財源に活用される見込みとしていますけれども、残り半分でトリガー条項発動による減収をほぼカバーできてしまいます。
筆者はこれまで、国民が政治に求めているのは「現状維持」であると、述べてきましたけれども、冒頭で述べたように、実質賃金は、15ヶ月連続のマイナスになるなど、既に現状維持が崩れてきています。それに加えてガソリンの補助金を減らしていくなど、現状維持の崩壊速度を速める政策を続けています。
これで内閣支持率が上がる筈もありません。
果たして、岸田総理が夏の全国行脚で、国民の声が聞こえたのかどうか分かりませんけれども、国民無視を続けるならば、その報いは遠からず訪れるのではないかと思いますね。
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日本男児