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1.補助金延長じゃなく減税しろ
ガソリン価格が高騰を続ける中、岸田総理が9月末に期限を迎える石油元売り会社への補助金を延長する検討に入ったと報じられた件が注目を集めているようです。
ネット上でも「ガソリン補助金」などの関連ワードが続々トレンド入りし、8月22日、岸田総理はSNSに「先ほど、自民党の萩生田政調会長に、まずガソリン価格高騰対策について今月中にまとめるよう指示を出しました。
物価高から国民生活を守るため、政府と与党が一体となって、取り組みを進めてまいります」とツイートしました。
ところがこれが大炎上。この投稿に「歳入に占める揮発油税は約2兆円。しかしガソリン補助金は6.2兆円使っている。減税すれば2兆円で約50円下がるのに無駄な補助金。防衛費1兆円の国民負担とか言ってるが減税してこの2兆円に1兆円足しても3兆円で済む話。増税の前にこういう所を見直し減税しろ」とか、「そんな手間なんか掛けないでもトリガー条項の一言でいいのではないのか?販売業者に補助金出す手間と高騰対策を取りまとめる手間なんていらないでしょ!」とか、減税を求める声や、円安もガソリン価格高騰につながっていることから、「110円まで為替介入すべきです。なぜ財務省に一声かければ出来る事をしないのでしょうか?」と疑問をぶつける投稿もでるなど、補助金延長で、火消しになるどころか、逆になっているかのようにさえ見えます。
野党では国民民主党の玉木代表が、X(旧ツイッター)で連日、「補助金の半年延長」「トリガー条項発動」「暫定税率・二重課税の廃止」を訴えていますけれども、補助金延長検討の報を受け、「ようやく。国民民主党が提言してから2ヶ月経過したが、補助金の延長は実現に向けて動き始めた。補助金を延長している間にトリガー条項発動や税制改正による暫定税率&二重課税の廃止も早よ」と発信しています。
先ほど、自民党の萩生田政調会長に、まずガソリン価格高騰対策について今月中にまとめるよう指示を出しました。
— 岸田文雄 (@kishida230) August 22, 2023
物価高から国民生活を守るため、政府と与党が一体となって、取り組みを進めてまいります。
2.ガソリン補助金制度の問題点
筆者は8月24日のエントリー「ガソリン補助金という無駄遣い」で、ガソリン補助金延長は非効率だと述べましたけれども、では、補助金延長でどれくらいの効果があるのか。
これについて、野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は8月23日付のコラムで次のように述べています。
【前略】木内氏は、ガソリン補助金延長で物価は0.27%低下、実質個人消費は0.13%上昇するとの見積もりを示す一方、原油先物価格が大きく下がり、また日本の4ー6月期の実質GDPが年率+6.0%の高成長となる中でのガソリン補助金延長は、今後、何を基準に補助金を廃止するのかが分からなくさせるだけでなく、その根拠そのものが乏しいと指摘した上で、「価格上昇によって特に打撃を受ける低所得層や零細企業に絞った、セーフティネットの施策へと転換していくことが望ましい」と主張しています。
ガソリン価格の上昇を受けて、国民の間で先行きのガソリン価格上昇に対する警戒感が予想以上に強まり、世論に突き動かされる形で、政府はガソリン補助金制度廃止の見直しを強いられる方向だ。実際、補助金制度が10月以降も延長される可能性は高まったと言える。
ガソリン補助金延長の財源には、予備費が用いられる可能性が高い。2023年度予算で予備費は5.5兆円計上された。そのうち4兆円が、新型コロナウイルス対策や原油・物価高対策を目的にしたものだ。しかし、国会の承認を必要としない予備費の活用には、国会及び国民の監視が及ばない予算執行、という問題点がある。
さらに自民党内では、ガソリン価格が3か月連続で1リットル160円を超えた際にガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結を解除する案も出ている。ただし、それは臨時国会での法改正が必要になるため、当面のガソリン価格上昇への対応とはならない。また、東日本大震災の復興財源の確保が困難になるとの理由で過去にトリガー条項を凍結した経緯があるが、現状でトリガー条項の凍結を解除すれば、財政環境が厳しい中でさらに税収を減らしてしまうという問題点もある。
ガソリン補助金が延長される場合に、どのようなスキームとなるかはまだ分からないが、従来のように、補助金を通じて全国の平均価格を一定程度の水準に抑える施策となる可能性が高いのではないか。
補助金が予定通りに廃止される場合には、10月時点でガソリン価格は199円程度になると推定される(WTI価格81ドル/バレル、1ドル145円の前提)。これを再び170円程度に下げる場合、消費者物価は0.27%低下する計算だ。また延長された補助金制度が1年続く場合には、実質個人消費を1年間で+0.13%押し上げる計算だ(内閣府短期日本経済マクロ計量モデル・2022年版)。
他方、1月に導入した電気代、ガス代の補助金制度も延長される場合、現在の予定通り9月に終了する場合と比べ、消費者物価は0.99%低下する。これは実質個人消費を1年間で+0.47%押し上げる計算だ。
両者を合計すれば、消費者物価への影響は-1.26%、実質個人消費への影響は1年間で+0.59%となる。物価押し下げ効果や消費押し上げ効果は相応に期待できるが、以下に見る様々な副作用、問題点との比較でその妥当性を判断せねばならない。
ガソリン補助金の延長は、ほぼ決まった感があるが、実際にはなお慎重な検討を期待したい。
ガソリン補助金制度には3つの大きな問題点があり、長期化するほどその問題は大きくなる。第1は、市場価格を歪めてしまうこと、第2に、脱炭素社会実現の政策方針と矛盾してしまうこと、第3に、財政負担が膨らむことだ。
ガソリン補助金制度で既に4兆円規模の財政資金が投入されたとみられる。延長されれば財政負担はさらに膨らむ。補助金によって国民が助かると感じていることは確かであるが、その財源は税金や国債発行によって賄われており、結局は国民の負担である。本当の意味では、国民は助かっていないことになる。広く国民から資金を徴収して広く国民にばらまくような施策に、あまり付加価値はないのではないか。
また、海外での原油先物価格が昨年の1バレル120ドル程度から足元で80ドル程度まで大きく下がる中でガソリン補助金の延長を決めれば、この先は、何を基準に補助金を廃止するのかが分からなくなってしまう。出口が見えなくなるのである。
さらに、一時的な外需の改善によるところが大きいとはいえ、4-6月期の実質GDPが年率+6.0%の高成長となる中で、ガソリン補助金の延長や新たな経済対策を実施しなければならない根拠は乏しいのではないか。
それよりも、現在の物価高対策を、電気・ガス料金の補助金制度も含めて、価格上昇によって特に打撃を受ける低所得層や零細企業に絞った、セーフティネットの施策へと転換していくことが望ましいのではないか。例えば、所得制限を付けた給付金制度などが考えられるだろう。それであれば、価値のある政策と言える。
要するに、安易なバラマキは駄目だ、と言っている訳です。
3.トリガー条項凍結解除の可能性
その一方、ここにきて、トリガー条項凍結解除がされるのではないか、という話があるようです。
8月27日、元朝日新聞記者でジャーナリストの佐藤章氏は、自身の動画で岸田総理と木原官房副長官はガソリン税のトリガー凍結解除の方針を固めたと語っています。
その該当部分の概要は次の通りです。
・ちょっとした特ダネというのは、今ねガソリンなどのその石油価格ですねまあこれ高騰を続けていて大変な事態になってますよね。佐藤氏によると、岸田総理と木原官房副長官は、トリガー条項凍結解除によって、内閣支持率を回復させ、その勢いを持って解散総選挙に持っていく腹積もりだ、と述べています。
・とにかくこのガソリン価格ですね石油化学というのはもうねこの流通経路から何からですねもう生活物資のあらゆるところに値上げの波を押し寄せさせているということでもう国民生活に大々的な影響を与えるものです。
・ガソリンというのはレギュラー価格でね1リッターあたり180円ね、それを超えるというですね非常に驚きの価格高騰を示している。
・岸田政権はずっとねこれ石油元売り会社に対する補助金をずっと続けてきたけれど、あんまりね効果がない。
・それに対してねこの効果ある対策として、野党なんかがずっと要求していたのはこのガソリン税をね直接的に引き下げるこのトリガー条項の凍結解除というものがあるんです。
・トリガー条項の解除をやれば、まあだいたい25円ぐらいリッターあたり25円税金分がなくなるんですよ。ということはリッター180円だとすれば一気にね155円にまで下がっちゃうんです。
・これ野党ねずーっと要求していたんですよ。ところが岸田さんは全然やらずにですよ。
・実を言えばこのトリガー条項解除を岸田さん、木原さんがどうやら9月になってようやくこれを発動すると。
・このトリガー条項凍結の解除ですねでここに来てやっとそういう考えになったということなんですよね。
・なんでここに来てそういうように考えたかと言えば、もちろん岸田内閣の下がり続ける支持率の問題なんですよね。
・これをなんとか回復させようという考えなんですよ。
・念のためにちょっと言っておくと、もちろんこれ岸田さんと、木原さんが考えていることであって、まだね自民党全体の総意となったわけじゃないんですよ。
・なのでまだ、これ不確定要素としてあるんですよね。潰れる可能性もあるんですよ。
・さらにね、この岸田さん木原さんのね狙いは一体どこにあるかというと、9月の解散総選挙ですね。これをやっぱりねなんとしてもやりたいということなんですよ。
・なので、今国民の間で一番問題になってるガソリン価格を目に見える形で下げて、岸田内閣の支持率をなんとか上向かせてそこで解散総選挙に突入したいというね狙いなんですよ。
・野党それから国民はねみんなこれを求めていたんですよ。トリガー条項の凍結を解除せよと、それをずーっとやらないで国民を苦しめるだけ苦しめて、手をつけないでここまで取ってを取っておいたんですよ。
・僕の情報ではね。全部ねこれ考えていたのは木原さんですよ。
・つまりどういうことかというと解散総選挙その前にやるんだと。それまでは国民がどれだけ苦しもうと、流通経路がどれだけ混乱しようとこれはやらないんだとなんとしても解散総選挙の直前までねこれをやらないでずっと貯めておくんだということですよ。
【後略】
4.支持率を気にする岸田総理
岸田総理がトリガー条項凍結解除を考えたのは、何も今になってからのことではありません。昨年初めにもガソリン価格高騰対策として、トリガー条項は取り沙汰されていました。
2022年1月31日、テレ朝ニュースは次のような記事を配信しています。
ガソリン高騰巡り「トリガー条項」凍結解除に岸田総理、否定的このように岸田総理は、昨年1月の段階では、トリガー条項凍結解除は否定していたのですけれども、それから一ヶ月経たないうちに様子が変わります。
ガソリン価格が高騰するなか、ガソリン税を一時的に引き下げるための「トリガー条項」の凍結解除について、岸田総理大臣は否定的な考えを示しました。
岸田総理大臣:「あらゆる状況を見ながら、あらゆる選択肢を排除するものではありませんが、少なくとも今現在ではトリガー条項の解除等は政府としては考えていないということであります」
「トリガー条項」はガソリン税の暫定上乗せ分の約25円を一時停止する仕組みで、現在は凍結されています。
ガソリン価格の高騰に対する追加的な対策として野党などから求める声が上がっています。
岸田総理はトリガー条項の発動で流通の混乱や財政への影響があると指摘したうえで、業種ごとの補助金などの支援策を進める方針を強調しました。
2022年2月21日、衆議院予算委員会の集中審議で、自民党の越智隆雄氏から「ウクライナ情勢をはじめ国際情勢やエネルギー価格の動向が今後ますます緊迫する可能性を考えると、凍結解除の発動も含めて、あらゆる選択肢を具体的に検討する必要があるのではないか」と「トリガー条項」の解除について問われた岸田総理は、「松野官房長官のもと、トリガー条項も含めてあらゆる選択肢を排除せず、さらなる対策を早急に検討したい。今後の状況を見据えながら、追加の対策を検討したい」と、「トリガー条項」の凍結解除も含めて、さらなる追加の対策を早急に検討する考えを示しました。
なぜ、急にこうなったのか。
これについて、オートモーティブ・メディアの「Responce」は2022年2月21日付で次の記事を配信しています。
支持率低下の岸田首相、ガソリン税軽減のトリガー条項も選択肢[新聞ウォッチ]「Responce」は岸田総理の「朝令暮改」を特技を揶揄し、そうなった理由として、内閣支持率の低下を挙げています。
朝令暮改が“特技”とも思える岸田文雄首相が、衆院予算委員会の集中審議で、ガソリン価格高騰への対策について「トリガー条項も含めて、あらゆる選択肢を排除せず、さらなる対策を早急に検討したい」と述べたそうだ。
これまで否定的だったガソリン税を一時的に軽減するトリガー条項の発動も含めて対応を検討する考えを示したという。トリガー条項とは、指標となるガソリン価格の平均が3か月続けて1リットル当たり160円超となった場合、ガソリン税の暫定上乗せ分(約25円)を一時停止する措置。
きょうの各紙も政府のガソリン高への対策について取り上げているが、日経は、石油元売りに配る補助金の増額・延長や、ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も取り沙汰される中で、「いずれも効果は限られ、手詰まり感が漂う。価格抑制を強めようとするほど、市場機能のゆがみや財源確保などの難しさも増す。困窮する中小企業や家計に絞った『賢い支援』が求められる」と指摘する。
また、産経は「実現には法改正が必要となるため一定の時間がかかるほか、国・地方の税収減、給油所など流通現場の混乱が懸念されており、取り組むべき課題は少なくない」と伝えている。
こうした中で、きょうの朝日と産経・FNNが2月19、20日に実施した世論調査を掲載。朝日によると、岸田内閣の支持率は45%(前回1月調査49%)に下がり、不支持率は30%(同21%)に上がり、内閣発足後初めて3割台になった。なかでも、岸田首相が新型コロナ対策で指導力を発揮していると思うか尋ねると、「発揮している」34%(同37%)に対し、「発揮していない」は53%(同41%)と半数を超えたという。
一方、産経・FNNの合同調査でも、岸田内閣の支持率は62.6%と比較的高いものの、前回調査からは4.3%も減ったそうだ。
きょうの東京には、岸田首相の衆院予算委員会の審議について「曖昧な答弁や『検討』を連発するなど、具体策を欠いた実質的に答えなかったりする姿勢が目立った」としながら「質問に真正面から答えないことが多く、議論が深まらないまま、2022年度予算案は異例の早さでの可決となった」と取り上げている。指導力や決断力などに欠けている点からも言い得て妙である。
ただ、当時はたった4ポイント程度の低下に過ぎず、支持率は4~6割ありました。今の支持率とは比べようもありません。もしこの程度でトリガー条項凍結解除を考えたのだとしたら、岸田総理は相当支持率低下を気にしていたことになります。
筆者は、2022年2月24日のエントリー「リスクを取って名を上げた国民民主と岸田総理の毛針」で、当時、国民民主の玉木代表が、岸田総理と話して「トリガー条項凍結解除実現」はある、と自信を持っていることを取り上げる一方、国会審議の日程を考えるとただのブラフに過ぎないという嘉悦大学教授の高橋洋一氏の説も取りあげていますけれども、あるいは、このとき、岸田総理は本当に「トリガー条項凍結解除」を考えていた可能性は否定できません。
結果として、この時はトリガー条項解除はされなかった訳ですけれども、あるいは、こんな「切り札」はもっと大切に取っておくべきだ、などと木原官房副長官に言われたのかもしれません。
5.反岸田の総帥
今回、トリガー条項凍結解除がされるかもしれないという、「ちょっとした特ダネ」を明かした、ジャーナリストの佐藤章氏は、動画の続きで次のように述べています。
・読売新聞の8月23日の記事。見出しがですねガソリン価格抑制へ 、補助金の支給延長を検討来月には大型経済対策もと。佐藤氏は8月23日の読売の記事の書き方から、トリガー凍結解除を読売だけ察知していたのだとする一方で、そうはっきりと「特ダネ」に出来なかった理由として、自民党内でまだ確定してないからだ、と述べています。
・岸田首相は22日自民党の萩生田政調会長と首相官邸で会談し ガソリンなど燃料価格の高騰対策を8月中にまとめるよう指示した。
・トリガー条項解除ね、岸田さん木原さんのねこのケチケチシナリオですねこれを考え合わせると、読売の記事というのは次のように読み解ける。
・岸田さんは政調会長の萩生田さんに対して、ガソリンなど燃料価格の高騰対策を8月中にまとめるよう指示した。
・ここで岸田さんは、トリガー条項凍結解除政策を、おそらく萩生田さんに内々に示して、自民党内をまとめてくれと指示したと思うんです。
・読売の記事は、「首相は会談後、9月上旬には国民が効果を実感できるようにする」と記者団に語ったということ。
・これも重要な言葉。9月上旬には国民が効果を実感できるようにするとはどういう意味かというと、もうトリガー条項の凍結解除しかない。
・臨時国会ですぐにやれば、あるいはそれをねアナウンスすれば9月旬には 国民が効果を実感できるようになる。
・180円が一気に155円か、今度これは実感したぞみたいなねことになるわけじゃないですか。それでこの岸田さんの言葉にねなって出ているわけなんですよ。
・読売新聞の政治部というのは、もうすでにこの岸田・木原のケチケチ戦略を知ってる。トリガー条項凍結解除を既に知っている。知っているのでこういう含みのある記事を書ける。
・8月中にねこの高騰対策をまとめるということですから、月曜日、8月28日から木曜日の31日までの間に何らかのガソリン高騰の対策を出す。
・読売の記者もデスクもこれを知ってる。ざっと見た限り、読売の記事しかなかった。朝日も毎日もこういう風には読み解けなかった。なので読売だけが知っているということだと思います。
・けども、読売の政治部が、そこまで知っていながら、なぜトリガー解除という特ダネを打てないかというと、自民党内の動きはまだまだ読めない部分があるということなんです。
【後略】
これについて、佐藤氏は更に次のように述べています。
・今自民党内では反岸田の空気っていうのはすごく強まってるんですよ。なのでこの岸田さんと木原さんがこういう戦略は、反岸田のグループにとっては岸田ごときにこんなことをやられてたまるか、とそういう風に考えてるわけですよ。佐藤氏によると、自民党内で「反岸田」の空気が強まっていて、今、トリガー条項凍結解除をやって支持率回復・解散総選挙勝利となったら、岸田総理を引きずり降ろせなくなるからだ、というのですね。そして、その反岸田の旗を振っているのが、菅前総理と二階元幹事長なのだ、と。
・そしてその勢力が巻き返して、この岸田のトリガー解除なんてぶっ潰してやれという風になって、本当に潰されるかもしれない可能性は残ってるんですよ。なので読売としては、トリガー解除という風には見出しを打てない。
・今になってトリガー解除という、ケチケチ戦略が今僕のところに漏れてきているのかというと、自民党内で反岸田アンチ岸田の空気がものすごく強まって自民党はもはや一枚岩ではないということなんですよ。なので情報が漏れてくるんです。
・このトリガー凍結解除っていうのは、石油価格高騰に対して 即効薬として聞くものです。自分達に都合のいい、解散総選挙の直前まで取っておいて、凍結解除しましたよ、石油価格が劇的に下がりましたよっていう風に恩を売って、支持率がばーっとこう上がったと、そして解散総選挙を打って勝ち抜こうとそういう戦略です。
・これね自民党内で、反岸田陣営にしてみれば 冗談じゃないぞと、岸田の思うようにさせてたまるかと。要するにね岸田さんについては来年秋の総裁選にも出られないようにしてやると。
・政策的に悪いのはとにかく岸田と木原のせいだと、岸田と木原に全責任をかぶせろとねということになるわけです。なのでこういう話も漏れてくる。
・この反岸田勢力の総帥というのは、菅前首相なんですよ。菅さんと二階さんですね。
・菅さんと二階さんにとっては 岸田さんというのはもう仇敵なんですよね。2年前に菅さんが首相でねあったにも関わらず総裁選にも出られなかったのは、どうしてかというと最終的にはね岸田さんですよ。
・菅さんに迫って二階幹事長を切らせた。これが直接の引き金なんですよ。それで、菅さんの人気って言ったら地に落ちていたんだけども、最終的に引導を渡したのが岸田さんなんですよ。
・なので菅さんと二階さんとしてはとにかく岸田さんをズタボロ状態にしたいと。
週刊文春に対して、木原さんの妻に関する捜査報告書。木原事件。これを提供したのはやっぱり菅さんだとね僕はそう思うし、僕に入ってきた情報でもやっぱり総合するとそういうことしか考えられない。
・最終的には、岸田さんがねボロボロになって、来年秋の総裁選にも出られず、自民党の重鎮が菅さんに、菅さんやっぱりあんたしかいないよ、なんとかもう1回総裁をやってくれませんかみたいに、そういうふうに頼まれる形が菅さん、二階さんにとって理想的なんです。
・そして菅さんが再度首相になって、岸田さんのやったこの悪政ですね悪い政治を一つ一つ正しい形に直していくというのが、菅さんのシナリオということなんです。
・だからねそれで言うと今岸田さん木原さんにトリガー条項解除をやらせて、解散総選挙に勝利でもされたらシナリオは全部狂っちゃうわけです。
【後略】
つまり、トリガー条項凍結解除が政争の具になっているというのですね。
現在苦しんでいる国民のためにガソリン価格を下げることは、すぐやるべきことです。ただ、それと、解散総選挙で勝利することは別の話です。
なぜなら、トリガー条項凍結解除で、支持率がどこまで回復するのかまだ分からないからです。
確かにトリガー条項凍結解除すれば、幾許かの支持率は回復するかもしれません。けれどもそれで、離れてしまった保守層が全部戻ってくるとも思えない。保守層が岸田政権から離れた理由はガソリン価格高騰だけではないからです。
トリガー条項凍結解除が、国民の為ではなく、選挙対策のためだ、と見抜かれてしまえば、支持率とて期待したほど上がらない可能性がある。
岸田総理と木原官房副長官は、トリガー条項凍結解除を「異次元の切り札」と思っているかもしれません。けれども、その岸田総理の心の中に、どれだけ国民の姿が映っているか。それがポイントになるのではないかと思いますね。
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