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1.現在確認できることはない
9月7日、ジャニーズ事務所は、ジャニー喜多川氏の性加害問題で、再発防止特別チームによる報告書を受け、会見を開きました。
内容については、既に色んなところで報じられていますから、割愛させていただきますけれども、NHKの記事から見出しを拾うと次の通りです。
ポイント【1】性加害の事実認定と謝罪これまで、ジャニーズ事務所は創業家一族がほとんど公に姿を現さず、閉鎖性が指摘されてきたのですけれども、今回、欠席の意向も報道されていた藤島ジュリー景子前社長も登壇したことで、ジャニーズ事務所がこれまでになく追い詰められた証左でもあるという見方もあるようです。
ポイント【2】藤島ジュリー氏の進退
ポイント【3】新社長の東山紀之氏の芸能活動
ポイント【4】被害者への補償・救済・対話
ポイント【5】性加害への認識があったか
ポイント【6】「ジャニーズ事務所」の社名を変更するか
ポイント【7】「メディアの沈黙」
ポイント【8】ファンに対して
ポイント【9】所属タレントや保護者に対して
この会見を受け、13日、テレビ朝日はオンラインで10月番組改編説明会を実施したのですけれども、ジャニーズ事務所タレントのスポンサーの撤退が相次いでいることについて言及しました。
テレビ朝日は『相葉マナブ』『関ジャム 完全燃SHOW』『まだアプデしてないの?presents『逆転男子』』『あなたの代わりに見てきます!リア突WEST』(ABC)『#裸の少年』などジャニーズ事務所タレントのレギュラー番組を抱えるのですけれども、いずれも終了しないとし、記者からスポンサー撤退について、改編に影響があるかの質問に、テレビ朝日総合編成部長の河野太一氏は「改編についての影響というのは特に現在確認できることはない」と回答しました。
2.大手スポンサーの撤退
テレビ朝日は、影響は現在確認できない、といっていますけれども、この言い回しは、かつて福島第一原発事故発生後、どこぞの官房長官が「ただちに影響はない」と連日繰り返していたことを思い起こさせます。
確かに、ジャニーズ事務所の会見後、大手企業のスポンサー撤退が相次いでいます。有名どころを挙げると次の通りです。
日本航空:9月7日、日本航空は故ジャニー喜多川氏の性加害を受け、ジャニーズ事務所のタレントの広告起用の見送ることを発表。理由は、JALグループの「人権方針」に乗っ取った対応。このように名だたる企業はスポンサー撤退を表明しています。
東京海上日動:9月7日、ジャニーズ事務所との広告契約更新を行わないことを発表。「人権尊重の観点で、いかなる形態のハラスメントも認めておりません。」
アサヒグループホールディングス:9月8日、ジャニーズ事務所の契約タレントを起用したCMや販促活動を展開しない。現時点での契約更新もしない。
キリンホールディングス:9月8日、ジャニーズ事務所との契約更新をしないと発表。
サントリーホールディングス:9月11日、契約更新はせず、新しい契約も結ばないと発表。
日本生命:9月11日、契約更新しないことを発表。今後も起用しない方針。
日産自動車:9月11日、契約更新しないことを発表。
日本マクドナルド:9月12日、「現行の広告契約の期間が満了後、更新はしない方針」と発表。
第一三共:新たな契約や契約更新を行わない方針。「第一三共グループで定める『コンプライアンス行動基準』、お取引先様に提示する『ビジネスパートナー行動規範』に則り、性加害はもとより、いかなるハラスメントも容認いたしません」
花王:9月12日、当面ジャニーズ所属タレントのCM起用を継続すると発表していたが方針を変え、打ち切りを決定。
伊藤ハム:9月12日に契約を更新しないことを発表。
ただ、この中で、アサヒグループホールディングスは、「調査によって明らかになった性加害の事実、およびジャニーズ事務所のこれまでの姿勢は誠に遺憾」としたうえで、7日には「再発防止策のすみやかな実行と被害者の救済をはじめとした迅速な解決に向け、真摯な対応をのぞむ」とのコメントを出し、今後の対応については、「公表された再発防止策の内容を精査したうえで、今後のタレント起用の是非について検討する」としています。
3.テレビはジャニーズの子会社
一方、ジャニーズ事務所が会見する前から「取引続行宣言」を出している企業群があります。テレビ局です。
8月31日、TBSの渡辺真二郎編成部長は番組改編説明会で「タレント個人が起こした問題ではないので、バラエティーやドラマに関しては、出演はこれまで通り続けていく」と明言。フジテレビ、テレビ朝日、日本テレビが、それに続けとばかり9月7日までに相次いでジャニーズタレントの起用続行を宣言しました。
その一方、NHKは「出演者の起用については、番組の内容や演出に合わせて、ふさわしい人を選定してきましたが、今後は、所属事務所の人権を尊重する姿勢なども考慮して、出演者の起用を検討したいと考えております」と留保をつけ、テレビ東京も「経営ガバナンスの強化など、残された課題は多く、今後も人権デューデリジェンスの考え方に基づき、取引先としての対話を通じて、状況の改善を働きかけていく所存です」と結論を出すのを見送っています。
ただ、それでも、取引停止を明言した訳ではありません。
テレビ局の「取引続行宣言」について、あるキー局の社員は、「スポンサー企業の一部がジャニーズとの取引を見直す、CMで使わないという決断をしたことには驚きました。しかし、社内では様子をみているような状態です。このさき、『ジャニーズタレントを使っている番組からはスポンサーを降りる』と宣言されない限りは、経営陣の対応は変わらないでしょう」と漏らしています。
また、人気グループ嵐の海外ツアーに参加したあるテレビ関係者は、「私が参加したときは制作系と報道系で総勢100人近くいたかな。全員ビジネスクラスで、高級ホテルの宿泊代と滞在中の毎日3度の食事代も含めて旅費はすべてジャニーズ事務所の負担でした。びっくりしたのは、出発空港で現地での携帯電話が一人ひとりに配布されたこと。私有携帯だと日本への国際電話をかけるのも高額な電話代がかかるからでしょうが、『財布を開かせるな』と言わんばかりの至れり尽くせりの接待でした。総額数千万円ぐらいは軽く経費がかかってましたね」と、結成5年、15年などの節目に合わせて、ジャニーズ事務所がテレビ局の制作局幹部、ディレクター、芸能レポーター、スポーツ新聞記者らの一行を招待するのが恒例だったと明かしています。
こうしたことから、あるディレクターは「テレビはジャニーズ事務所の子会社のようなものだった」と指摘する始末です。
一般企業とは大分感覚がズレているように見えます。
4.危機の連鎖は止まらない
こうした芸能界の状況について、テレビ東京の元ディレクターで、PR戦略コンサルタントの下矢一良氏は「『ジャニーズ事務所とのCM契約更新せず』が相次いでいるが、このまま全滅するだろう」との見通しを述べ、「というのも、上場企業だと決算会見などで社長登壇が必ずある。毎回、社長は記者から『なんで起用を続けるのか』と質問されるようになるが、社長が抗弁できるだけの理屈をつけられないからだ……企業の担当者は『せっかくイメージが定着してきたので、ジャニーズを使い続けたい』と思うかもしれない。だが社長からしたら、『俺が毎回、どうでも良いことで責められるのはかなわん。替わりくらい、何とかしろ』となる。そして社長と戦う理由もないので、CM降板がドミノ倒し的に続くことになる」と、説明しています。
下矢氏はさらに、「現在のCM降板の連鎖だけでは終わらないはずだ……CM降板が続いたあとは、ジャニーズが主演、あるいは司会の番組にスポンサーとして付くことも批判されるようになるからだ。そうなると、ジャニーズがメインだと番組にスポンサーがつかない事態となる。テレビ局が『使い続ける』と言っても、もはや続けられないのだ」と、影響がテレビ番組にも及ぶことを予測。そして「ジャニーズ事務所がこの終わりそうもない危機を打開するにはどうしたら良いか」として、「先日の会見のように『長時間をなんとなく、しのぐ』のではなく、今、ジャニーズを起用している企業の社長が公の場で記者に追及されても『再発防止策を見守りたい』と抗弁しても納得を得られるほどの、つまり相当にインパクトのある策を『早急に』打たないと、危機の連鎖は止まらない」と指摘しています。
5.終わりの始まり
一方、今のままでは、ジャニーズ事務所そのものの存続も危ういという指摘もあります。
桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授の西山守氏は、次の様に述べています。
現状では、どこまでスポンサー企業が離れていくのか、予想はつかない。しかし、被害者への補償・救済を、迅速かつ全力で行わないと、スポンサー企業は次々と離反していくだろうことは間違いない。このように、西山准教授も、被害者への補償・救済を、迅速かつ全力で行ってスポンサー離れを食い止めないと解体することになると警告しています。
スポンサー離反の雪崩現象が起きると、ジャニーズ事務所の収入源の大きな部分が失われる。CMへの出演は、事務所にとってはタレントのプロモーション活動の役割も担っている。それが消えていくと、タレント活動にもダメージが出てくる。
影響はそれに留まらない。いずれ、テレビ番組でのジャニーズタレントの起用も控えられるようになるだろう。現状においては、テレビ局の大半はジャニーズタレントの起用に関して、実質「現状維持」を表明している状況だ。民放テレビ局においては、収入のおおむね80%が広告収入である。スポンサー企業が「ジャニーズタレントを使っている番組には広告を出さない」という判断をしていくと、テレビ局だけが現状維持で使用を継続するというわけにはいかなくなる。
ジャニーズ事務所は、広告収入を失い、テレビの出演料も失うという「ダブルパンチ」を食らうことになるのだ。
ジャニーズ事務所のビジネス活動において、最速で取り組まなければならないのが、このスポンサー離れだ。新体制となったジャニーズ事務所が、今後どれだけ性加害問題に向き合い、改革を加速できるか、スピード感も今後重要な焦点となってくる。
最後に、スポンサー離れ以外のもうひとつの緊急課題について述べておきたい。
会見に出席した藤島ジュリー前社長、東山新社長、井ノ原氏は、全員ジャニー喜多川氏の性加害について、異口同音に「うわさでは聞いていたが、見たことはないし、ジュニアから直接話を聞いたこともない」といった発言をしている。会見後、数名の所属タレントが同様の発言をしている。この点に関しては、事務所側と被害者側の主張に大きな齟齬が見られる。
東山社長については、かつて所属タレントに対して性加害を行ったという疑惑も浮上している。元タレントによる書籍などでそのことが描かれている。東山社長はそれを記憶にないなどとして否定しているが、この点についても、被害者の主張と食い違いが生じている。
事務所側と被害者側で重要な事実関係について「あった」「なかった」という争いが生じてしまうと、補償と救済に関して同じテーブルにつくことさえ難しくなってしまう。そうなってしまうと、スポンサー離れがさらに加速することになりかねない。
再発防止特別チームが提案する「解体的出直し」を実現するうえで、多くの課題が山積しているのだ。
1.スポンサー離れの阻止
2.被害者との合意形成
特にこれらの2点は、ジャニーズ事務所が緊急で取り組まなければならない課題である。それができなければ、ジャニーズ事務所の「出直し」は難しくなり、「解体」の道をたどることになるだろう。
6.テレビ局のコンプライアンス感覚
こうしてみると、先にも述べましたけれども、ジャニーズ事務所とテレビ局の危機意識の薄さというか、コンプライアンスの感覚が一般企業と大分ズレていることが根本にあるように思えてきます。
9月8日、テレビ朝日系情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」に生出演した元テレビ朝日社員の玉川徹氏は、ジャニーズ事務所の会見について、次のように述べています。
ジャニー喜多川氏の所業っていうのは言語道断で、許されるものではないって思うんですね。最も大きい責任はジャニー氏にあると。それを分かっていながら黙認したメリー氏の責任、それから事務所としてそういうものを放置してきたという責任。その責任はジャニーズ事務所に当然ある。ですけども昨日、会見をずっと聞いててですね、そこだけかなって思ったんですね。このように玉川氏は、ジャニー氏の一連の問題について、メディアの責任を認め「テレビは恥じなければいけない」と殊勝っぽいことをいっていますけれども、これに対し、ジャーナリストの江川紹子氏はX(旧ツイッター)で「恥じるべきは、そうじゃなくて、ずっと前に文春が報じ、それについての裁判所の判決が出ても報じなかったことでは?」と突っ込まれています。
再発防止特別チームの提言にもありましたけど”メディアの沈黙”、ここの部分について会見でどういう話が行われるかというのも、僕はすごく関心をもって見ていたんですね。やはりテレビの責任…我々日々、報道でどのテーマを扱うかというのは議論してですね、どういうふうな問題が重要か、どういうものだったら関心を持ってもらえるか、どういうものだったら見てもらえるかっていうのを、毎日考えながらやってるんですよね。そういうふうな中で、”あ、これはやれないな”とか、井ノ原さんがおっしゃっていた”触れてはいけない空気”みたいなものがやっぱりあったんじゃないかと
僕自身の個人の話で言うと、原発事故前の原発の問題というのはそんな感じでした……でもやらなきゃいけないと思って各方面に働きかけて、それで放送しましたけども、ただそれで十分だったのかというと、あの後あの過酷な事故が起こったということを考えると、僕も含めてテレビ全体も含めて、決して十分ではなかったという反省をすごく持ってんですね。じゃあ、この喜多川氏の性加害において僕はどう思ってたかというと、何となく自分の仕事ではないんじゃないかと思いながら、ある種見過ごしてきたという責任は僕にもあるんだろうなと、そういうふうに思います
やっぱりテレビの中にはこれは伝えるべきだ、と思ってそれを言った人もいたかもしれないです。だけど再発防止チームが、テレビ番組に出演させたり雑誌に掲載したりするのをできなくなるのではという危惧から報道するのを控えていた状況があったのではないか…という指摘をされたのであれば、やっぱり、そういうふうなやりにくい雰囲気があった結果として、こういうふうな犯罪がずっと続いてしまったというふうなことは確かにあろうと思います。こんなことが続いたら、テレビは報道機関であるとかジャーナリズムの一翼を担っているとか、そういうことは今後言えなくなってくるんじゃないかと思う。恥ずかしいのは、今回はBBCの報道をきっかけにして始まっているということですね
僕はやはりテレビはそれを恥じなければいけないと思ってまして。ジャニーズ事務所はこれから、信頼の回復に長い時間と困難をともなうというのは昨日の会見でも伝わってきました。だけど同じことはテレビにも言えるんじゃないかというふうに思います。
今に始まった問題ではないのに、BBSで報じられて初めて自覚したかのように振舞っているだとしたら確かに問題です。今回のジャニーズ問題以外に「しらんぷり」していることはないのですか、と問うてみたくなります。
筆者は、かねてより、2019年からの10年は既得権益の破壊がトレンドになる、評論家の岡田斗司夫氏のいう「ホワイト革命」が進行すると述べてきましたけれども、芸能界やテレビにもその波が押し寄せてきたように思います。
奇しくも、Colabo問題でその闇を追及している一般人の「暇空茜」氏は最近のツイートで「日本を食い物にしようとする利権族との戦いになってしまった」と述べていますけれども、やはり色んなところで、既得権益との戦いと破壊が進んでいくのではないかと思いますね。
恥じるべきは、そうじゃなくて、ずっと前に文春が報じ、それについての裁判所の判決が出ても報じなかったことでは? →玉川徹氏「BBCの報道がきっかけ…テレビは恥じるべき」ジャニー氏の性加害問題でメディアの責任に言及― スポニチ Sponichi Annex 芸能 https://t.co/HubgrDobjS
— Shoko Egawa (@amneris84) September 8, 2023
テレビ朝日関係者から情報提供が届いた。…
— 伊藤喜之「ジャニーズとメディア」連載中 (@yoshiyukiito227) September 14, 2023
ジャニーズ問題も、困難女性支援法も、最近聞かないアニメ漫画規制も
— 暇空茜 (@himasoraakane) September 13, 2023
俺が動いてなかったらもっと酷かったと思う人は応援してください
不当な攻撃で黙らせようとしてくるのは、そこに何百、何千億円の利権があるからです。
日本を食い物にしようとする利権族との戦いになってしまいました。
この記事へのコメント
みどりこ
これを知られたくなくて隠しているのもあるかもしれません。
あと、遠藤健太郎氏が、「ジャニーズを潰してその空いた席に韓国系を入れようとしている」と予想されてます。
テレビマスコミはあちら系ですから、さもありなんと思います。