一喜一憂しない岸田総理のヤケクソ解散

今日はこの話題です。
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1.一喜一憂しない


9月19日、岸田総理は、報道各社の世論調査、で第2次岸田再改造内閣の支持率が概ね横ばいだったことについて、「一喜一憂するのではなく、先送りできない課題に取り組み、結果を出すことで国民の期待に応えていく姿勢を大事にすることが重要だ」と述べました。

内閣改造で支持率アップを狙った岸田政権ですけれども、期待した通りにはならなかったことを岸田総理自ら認めた形です。

まぁ、わざわざ「一喜一憂しない」と枕詞を付ける時点で、一喜一憂していることが、バレバレです。

それでも、先送りできない課題に取り組むと言った手前なのか、翌20日、岸田総理は、訪問先のニューヨークで記者会見を開き、「来週前半には経済対策の柱立てを指示する。先週発足した新体制による経済対策の検討を本格的に動かす」と物価高などに対応する経済対策について、帰国後の来週前半に柱立てを示してとりまとめを指示し、政府・与党で本格的な検討に入る考えを明らかにしました。

そして、経済対策の内容については「消費、投資など内需がまだ不安定……日本経済が積極的に投資拡大を行う攻めの姿勢に変わりつつある。思い切った経済対策の策定に臨みたい」と語りました。

ただ、補正予算案については、「適切な時期に国会に提出する」と話すにとどめました。

これに対し、野党側は岸田総理が補正予算案の提出時期を明言しないのは、経済対策を打ち出した上で早期の衆議院の解散・総選挙を模索しているのではと警戒感を強めていますけれども、横這いの支持率に与党内からは「解散どころではない」などの慎重な意見も上がっているようです。


2.年内解散では来年度予算編成ができない


では、年内解散があるかどうかについて、政治評論家の伊藤達美氏は、内閣改造した13日の記者会見で岸田総理が、「今は、まず思い切った経済対策を作り、早急に実行することを最優先に日程を検討していく」と述べたことに触れ、ここから想定される政治日程は、10月に経済対策を作成し、それを具体化する補正予算の編成にとりかかり、その後の臨時国会で成立を図る、ということになると指摘。通常なら補正予算成立は11月中旬ぐらいになるだろうとした上で、年内に解散総選挙を行うのは日程的に簡単ではないと述べています。

というのも、年内解散すると、年内の予算編成作業ができず、来年度予算の国会審議に支障が生ずるからだというのですね。

その一方で、伊藤氏は岸田政権が打ち出したマイナンバーカードに象徴されるDX(デジタルトランスフォーメーション)や、原子力活用を含むGX(グリーントランスフォーメーション)推進といった賛否が大きく分かれる政策や、これまでの政策を大きく方向転換する防衛力の抜本的強化や、少子化対策といった課題が山積していることから、「国民の信」を得ないまま、来年度予算でこうした政策を具体化できるとは思えないと述べています。

更に、伊藤氏は、年内解散がないとすれば、次の解散のタイミングは、早くて来年度予算や関連法が成立する来年6月以降、場合によっては来年10月以降になる可能性もあるとして、そこまで国民は政府のやることを黙ってみていられるのか、と疑念を呈しています。

ただ、伊藤氏は永田町には別な見方が流れているとして、岸田総理は、補正予算編成について「経済対策の取りまとめ後、その内容を踏まえてしかるべき時期に指示する」と述べるにとどめ、明言していない。つまり、経済対策を取りまとめ直後に解散すれば、予算編成に支障をきたさない日程が可能という説もあると紹介しています。


3.早期解散に反対した麻生副総裁


伊藤氏は「そんなウルトラCがあるのか」として、岸田総理の動きをもう少し見ようと述べていますけれども、9月23日、自民党の石破茂元幹事長はBSテレ東の番組で、政府が検討を進める防衛費増額と少子化対策について、「財源を示さないで解散し、『議席をたくさん取りました、これからやらせていただきます』というのは民主主義の在り方として邪道だ……財源はこれだ。どうぞご判断ください、ということであれば解散する意味は非常にある」とも述べました。

ただ、来年秋の党総裁選への対応については具体的な言及を避け、「首相は国会議員から選ばれるので、誰だってその準備をしておくことは国会議員たるもの当たり前だ」と語りました。

この石破氏の発言は、岸田総理が財源示さずに解散に打って出るという見方を裏打ちし、それを牽制した発言のようにみえます。つまり、裏を返せば、石破氏は今の状況で解散するのは反対だということです。

早期解散に反対なのは石破氏だけではありません。党の重鎮もそうです。麻生副総裁です。

9月15日に配信された「返ってきた虎ノ門ニュース」に出演したジャーナリストの須田慎一郎氏は、番組内で次のように述べています。
須田慎一郎:その麻生さんが解散について何を言ってるのか。年内解散反対なんですよ、麻生さんは。麻生さんは要するに自分の息子さんに代替わりしたいわけ。交代させたいわけ。それは息子さんって、今JCって日本青年会議所の会長で、まあ年内いっぱい任期途中でやめてっていうのはこれ無責任なんですよ。まあもちろん年明けになると直前会長っていうことになるけれども、直前会長って別に正式な役職かもしれないけど、やめてもねこれ構わないということで、やっぱり年内解散反対だ反対だって言い続けてる。やっぱりこれは、麻生一族の禅譲というところに私はあるんだろうと。
この見方について、同じく番組に出演した、自民党の青山繁晴参院議員は次のように述べました。
青山繁晴:6月16日、金曜日だったと思いますけど本当に解散しようとしました……その時に解散を思いとどまったのは、一番大きかったのは、自由民主党は発表しない世論調査を何十年やってんですよ、定点観測で。これはオールドメディアのやってる世論調査よりも規模とお金が全然違ってて、信頼性が一番高いんです。それでまったくバツで。負けだとそれできるわけないので、それでやめたのが大きかったんですが、その結果を見る前に麻生さんは強い反対論だったんですよ。だから麻生さんの反対だけでやめたんではないけれど、麻生さんが早期の解散に反対されたのは事実です。


麻生副総裁は早期解散にずっと反対しているのに加え、6月に解散を打てなかったのは党の世論調査で敗北が見えていたからだというのですね。




4.今解散すれば与党17議席減


では、それでも解散したら議席はどうなるのか。

選挙プランナーの松田馨氏は、現時点で衆院解散した場合の議席について、次のように予測しています。
・投票率は前回21年衆院選の55.93%から数ポイント下落する想定
・自民党:現有261議席から9議席減の「252議席」。絶対安定多数(261)は失うが、衆院の全委員会で委員長を出せる安定多数(244)は確保。岸田政権への批判はあるが、支持政党なしの無党派層が4割超に達している。支持政党ありの層に比べて選挙に行かない傾向が強い。さらに、野党連携が進まず候補者が乱立傾向で、地力と組織力がある自公与党に有利に働く。
・公明党:現有32議席から8議席減の24議席。今春の統一地方選で伸び悩み、得票数も減少気味だ。支持層の高齢化で厳しい戦いだ。関西の選挙区も、日本維新の会との競り合いが厳しい。
・立憲民主党:現有95議席から7議席減の88議席。政党支持率も低位で推移しているが、旧民主党時代からの個々人の強さがある。最近は話題が少なく、目立った不祥事や失言がない。〝存在感〟の薄さが逆に奏功している面もある
・日本維新の会:党史上最多となる68議席。勢いは確かだが、政党支持率の調査で2ケタに乗ってこない。2009年に民主党が政権交代を果たした際は、政党支持率が自民党を上回る勢いがあった。小選挙区で候補者乱立となるなか、票が割れれば自民党が有利になる傾向がある。比例区での『野党第一党』は堅そうだが、お膝元の近畿・関西以外で議席を伸ばすのは、まだ難しそうだ。勢力拡大で候補者が増えればスキャンダルなどのリスクも増える。
・国民民主党:2議席増の12議席。若い世代の支持率がジワジワ広がっている。
・共産党:1議席減の9議席。福島第1原発の処理水をめぐり、擁立予定者が『汚染魚』と表現する〝失言〟もあった。多くの国民の理解は得られない。支持者も高齢化している。
社民党:現状維持の1議席。最後の砦である沖縄の小選挙区で競り勝てるか。
れいわ新選組:現状維持の3議席。統一地方選で着実に議員が誕生した。自民党への反対の『受け皿』として足場を固め、安定した存在感を示しつつある。
参政党:新たに3議席を獲得。自民党への反対の『受け皿』として足場を固め首都圏、関西圏などのブロックで候補者をそろえ、議席を伸ばす勢い
日本保守党:過去にも、NHKから国民を守る党、参政党などもSNSを活用した支持拡大で議席を得た。ただ、衆院選は小選挙区比例代表並立制で、参院の全国比例と違い比例は11ブロックある。議席獲得には候補者擁立も含めた戦略や、各選挙区に足場をつくる取り組みも必要。ネット上の盛り上がりが議席獲得につながるかは未知数
松田氏の予測通りなら、自公与党は政権を維持することになるのですけれども、松田氏自身は「年内の解散の可能性は低い。岸田政権は、政策実現に重点を置くだろう。国際情勢の緊迫もあり、選挙による政治空白を避ける意味でも解散には慎重だろう。今後も駆け引きが続いていく」と分析しています。


5.試金石となる衆参補選


筆者も年内解散は難しいのではないかと見ているのですけれども、なんだかんだで支持率次第という面も否定できません。その試金石となるのは10月の補選ではないかと思います。

10月22日に衆院長崎4区、参院徳島・高知選挙区の補欠選挙が行われますけれども、9月22日、自民党の森山総務会長は「長崎、徳島・高知いずれも勝利を目指して努力していかなければならない」と、いずれも敗北が許されない戦いだとの考えを強調しました。

衆院長崎4区は自民の北村誠吾・元地方創生相の死去に伴うもので、自民は金子原二郎・元農相の長男で新人の金子容三氏を公認。立憲民主党は末次精一衆院議員を擁立し、社民党が推薦し、国民民主、共産両党の地元組織が支援します。

そして参院徳島・高知選挙区は、自民を離党した高野光二郎参院議員の不祥事を受けた辞職を受けてのもので、自公は前高知県議の西内健氏を推薦。立民と社民の地元組織は、無所属で出馬する前立民衆院議員の広田一氏を支援するようです。

これら、2つの議席はいずれも自民が得ていたことから、岸田総理はこの補選で2勝し、政権基盤を安定させたい考えで、党幹部や閣僚を積極的に投入し、支持拡大を目指すようです。

これについて、自民のベテラン議員は「補選で負ければ解散どころの話ではない。来年まで無理だという雰囲気になる」と指摘。立民は、野党が1勝すれば岸田政権に打撃を与えることが可能だとする一方、立民幹部は「2敗すれば『泉氏では次期衆院選は戦えない』という声が強まる」との見方もしているようです。

岸田総理は「来週前半には経済対策の柱立てを指示する」としているのも、あるいは、この補選も睨んで早く経済対策を出したいのかもしれません。

年内にやけくそ解散なのか、それとも見送りか。注目していきたいと思います。


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この記事へのコメント

  • ルシファード

    今の自民党はまともな議員と魑魅魍魎な(媚中や財務省のポチや反日連中)議員が要るから支持率が落ちるのは当然じゃないのですか?
    2023年09月25日 11:37