国益で繋がる日露

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。



2023-10-08 132000.jpg

1.私は信念を持って行動している


10月5日、日本維新の会の鈴木宗男参院議員は、自身のブログを更新。ロシア訪問からこの日帰国したことを報告し、「誰よりもロシアと向き合って来た政治家として、私は信念を持って行動して参りたい」などと語りました。

鈴木参院議員はロシア滞在中に外務次官を訪問した際の写真などを添付。「モスクワ・シェレメーチェヴォ空港から北京経由で昼過ぎ羽田に到着し、マスコミの方々が取材に来ており短時間のぶら下がり会見をする。15時過ぎから日本維新の会馬場代表、藤田幹事長に呼ばれ、今回のロシア訪問につき聞かれる。手続きについて事前になされていないことを指摘された。私から『事務所の単純な手続きミスではあるが、そのこと自体、私が責任者であるので全責任は私にある』と答えた。明日役員会等を開き手続きを取りたいということであり、どういう流れになるのかしっかり見て参りたい」と説明しました。

そして、「私は元島民の皆さんと一番接触している政治家と自負している。元島民の皆さんの平均年齢は88歳、人生時間が限られている。その方々が『鈴木先生、今一度元気なうちに先祖のお墓参りをしたい。故郷を訪問したいのです』と涙ながらに訴えられると黙ってはいられない。根室市、羅臼町はじめ根室管内の漁業関係者が『なんとか安全操業を再開してほしい』と切実に言われると、この仕組み、制度を作った私としてはいても立ってもいられない。国益の観点から私はロシアを訪問し、実状を伝え、今の日露関係は最悪と言ってもよい状況であり、だからこそ誰かが国益の観点から動かなくてはならない」と揺るがぬ思いを記しています。

昨日のエントリー「訪露した鈴木宗男と余裕のプーチン」で、バルダイ会議でのプーチン大統領の質疑応答について紹介しましたけれども、鈴木参院議員の6日のブログ記事でもこれに触れた後、次のように綴っています。

今朝の夜中1時47分に国際電話が入り「鈴木先生がロシアで会われた方々に、こんな時だからこそ対話が必要だ」と話されたことをプーチン大統領はきちんと答えていますと連絡が入った。

プーチン大統領の発言を聞き、モスクワを訪問した意義があったとホッとしたものである。

日本維新の会で雑音が流れているが「鈴木宗男は国益の観点から結果を出している」と言いたい。

しっかり心して日露関係に取り組んで行く決意を新たにするものである。

更に翌7日のブログ記事では次のように述べています。

報道で私がロシアを訪問したことについて、日本維新の会が処分をするとテレビ、新聞が報じている。

当初、日本維新の会はロシアに行ったことが問題だという声を上げているが、4日以降、ロシアのスプートニクのインタビューの「切り取り」がネットに出てから「ロシアが勝利する」と言ったことがケシカランという話になって来ている。

政治家が自分の認識を述べるのは当たり前で、人それぞれの認識を否定する権限は誰しも持ちえない。

私は昨年来からいつでも言っているフレーズであり、それは「一にも二にも停戦」で、紛争が長引くと尊い命が亡くなる。子供、女性、お年寄りが多く犠牲になる。それぞれ世界でたった一つの命であり、それを守るには戦争をやめるしかない。私にとって当たり前のことを今までも、今も言っているに過ぎない。

ウクライナが勝つとは、イーロン・マスクもキッシンジャーも言っていない。ウクライナ頑張れと言って武器や資金を供与すると戦争が長引くだけではないか。私は一貫して「一にも二にも停戦」である。その思いで発言し、行動している。

今回のモスクワ訪問で私の方に瑕疵があるのが、党の方に事務的連絡が遅れただけで、それ以外指摘を受けることはない。

「鈴木さん、政治家の認識で処分されるなら、政治家は自由にものが言えなくなります。政治家の尊厳と身分、民主主義の根幹に関わることです。ここは闘って下さい」と言った声が沢山寄せられた。

弁護士に相談すると「鈴木さん、処分によって裁判する値がありますよ。民主主義の一番である言論の自由と、間違った解釈、判断で政治生命に関わり、何よりも人権を毀損きそんすることになりますから、裁判すると認識を問う初めての判例となります。極めて重いことでいつでも対応します」とのことだった。

また、著名な方から「どう考えても事務的なミスで身分に関する処分というのは聞いたことがないので、鈴木さん、闘った方がいいですよ」と勧められた。

なるほどと思いながら意を強くした次第だ。連休期間中、しっかり後援者と相談して参りたい。

有難いことに事務所には「頑張れ」「維新に負けるな」「我々は鈴木党だ。何があっても鈴木だ」等々の有難い応援を戴く。ここは信念を持って闘って参りたい。

それにしても一国会議員にすぎない私に対し、メディアがこれほど反応することに驚くばかりである。

先ほど高名な方から「鈴木さん、あなたの存在は軽くないですから、自信を持って言うべきことはしっかり主張した方が良いです」と電話が入った。私は私の筋を通して行く。

読者の皆さん宜しくお願い致します。
このように鈴木参院議員は、自分に瑕疵があるのは、党に渡航の連絡をするのが遅れただけで、自身の発言に対し咎めを受ける謂れはない、として真っ向戦う姿勢を見せています。

10月8日、鈴木参院議員は札幌市内で記者会見し、党が処分を検討していることについて、処分を受け入れるとする一方、現地での発言などが理由だった場合は「法律の専門家に対応を相談したい」と述べていることから、発言を咎められることについては戦う意思を見せています。


2.日本の元首相がロシア訪問議員を支援


鈴木参院議員の今回の訪露については、ロシアでもそれなりに注目を集めているようで、7日にタス通信が「日本の元首相がロシア訪問議員を支援」という記事を掲載しています。

件の記事の概要は次の通りです。
森喜朗元首相は、事前の通告なしにロシアに渡航し、ロシアのメディアとのインタビューで発言したことで党から除名される可能性のある野党・日本一新の会の鈴木宗男代表を支持した。これは鈴木氏自身が関西テレビの放送で発表した。

森元首相から電話があった: 「頑張れ!あなたは間違ったことは何も言っていない、日露関係は重要だ』と」。

産経新聞が先に報じたように、日本一新の会の指導部は、党則で定められている事前通告なしのロシア訪問だけでなく、鈴木議員のロシア・メディアとのインタビューでの発言も問題視した。特に、同議員はロシアの勝利を確信しており、ロシア連邦の未来を信じていると述べた。これに対して鈴木氏は、ビデオはトリミングされたもので、彼自身はより広い文脈で発言し、戦闘の停止を呼びかけたのだと反論した。「間違ったことは言っていない。トリミングされた(ビデオ)にもとづいて決定が下されるのは不公平だ」と同議員は付け加えた。処分の最終決定は10月10日に下される。

与党・自民党の森元首相は、1月に東京で行われた公式行事で、ウクライナを支援し、そのために予算を配分することの是非について、「ロシアが負けることは単純に考えられない」と疑問を呈していた。

同時に、鈴木氏は自身のブログで、ロシアのプーチン大統領がバルダイ討論クラブの会合で、対ロ制裁を科した日本が対応策を打ち出せば対話の用意があると発言したことについてもコメントした。「プーチン大統領の発言を聞いて、モスクワに行った意味があったと安心した。日本維新の会では(いろいろ)騒がれているが、私は『鈴木宗男は国益の面で結果を出している』と言いたい」と書いている。

これに先立ち、鈴木議員自身は10月1日夜にモスクワに到着し、その後数日間、ユーラシア経済委員会のセルゲイ・グラジエフ統合・マクロ経済担当相、アンドレイ・ルデンコ外務副大臣、ミハイル・ガルージン元駐日大使、コンスタンティン・コサチョフ連邦評議会副議長らと会談したという。10月5日に帰国した鈴木氏は、2022年2月以降、日本の国会議員として初めてロシアを訪問した。

自身のブログで、現状におけるモスクワとの対話の重要性を述べた。同議員はロシアでの会談で、過去数年間に両国関係で達成された肯定的な結果が破壊されたことを嘆いた。また、鈴木議員はロシア訪問中、日本政府や政党を代表していたわけではないことを明らかにした。鈴木議員によれば、彼は国会の合間を縫って副議長個人としてロシアを訪れたという。

鈴木氏はロシアとの関係で知られている。特に、安倍晋三と菅義偉が首相を務めていたとき、ロシアとの関係について助言した。鈴木氏は、現在の日本政府のウクライナに対する姿勢を繰り返し非難しており、この問題に関して東京は米国の政策に過度に追随していると述べている。
鈴木議員が党を除名されかけていることも、森元首相に励まされていることにも言及するあたり、それなりに注目されているのではないかと思います。




3.国益の観点から適切に対応する


10月6日、上川外相が定例会見を行いましたけれども、この中で、バルダイ会議でのプーチン大統領の回答や、鈴木議員の件について質問が飛びました。

その質疑の内容は次の通りです。
▲ロシア情勢(プーチン大統領の発言等)
【共同通信 林記者】ロシアのことについてお伺いいたします。プーチン大統領が日本の対ロ制裁を批判した上で、日本が対話する時期だと考えるのであれば応じる準備があると発言しました。このことへの受け止めと、改めて今後の北方領土問題を含めたロシア外交の方針についてお伺いいたします。あと、あわせまして、ウクライナの発表で、ロシア軍のミサイル攻撃によって、50人の犠牲者が出たということを発表しておりますけれども、併せて、そのことについても受け止めをお願いいたします。

【上川外務大臣】御指摘のプーチン大統領の発言につきましては、承知しているところでございます。
ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。まずは、一刻も早くロシアによる侵略を止めさせることが必要と考えております。我が国は、G7を始めとすると国際社会と連携しつつ、今後も厳しい制裁等の外交的取組をしっかりと進めてまいります。

同時に、日露が隣国として対処する必要のある事項につきましては、我が国外交全体において何が我が国の国益に資するかという観点から、適切に対応してまいりたいと考えております。

また、北方領土問題につきましては、この問題を解決して平和条約を締結するという方針を堅持してまいりたいと考えております。

2点目のご質問でございますが、昨日5日でありますけれども、ウクライナ東部のハルキウへの攻撃が行われまして、ウクライナ政府の発表によりますと、民間人に多数の死傷者が出ているものと承知しております。

我が国といたしましては、ロシアの攻撃によりウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めております。民間人や民間施設への攻撃は、国際法違反であります。断じて正当化できないものであり、強く非難いたします。

今なお侵略が続く中、公正かつ永続的な平和をウクライナに実現するため、我が国として、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進してきております。今後とも、国際社会と緊密に連携しながら、この取組を継続してまいりたいと考えております。


▲鈴木参院議員の訪露
【タス通信 アガフォノフ記者】日露関係の関連で日本維新の会、鈴木参議院議員のロシア訪問について伺います。鈴木議員はモスクワでルデンコ外務次官と会談し、元島民の墓参りの再開と日本漁船の安全操業の交渉開始を求めたということです。外務省は、帰国した鈴木議員から会談の内容、ロシア側が示された立場について説明を受ける予定はありますでしょうか。

【上川外務大臣】御指摘の鈴木宗男参議院議員の発言に関する報道や、またロシア側の報道発表については承知しております。

現時点におきまして、外務省として、お尋ねのように、鈴木議員のロシア訪問の詳細について説明を受ける予定はありません。

いずれにせよ、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、我が国は、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、ロシアに対して厳しい制裁を行う等の外交的取組を進めてきており、今後もしっかりと進めてまいりたいと考えております。
上川外相は鈴木参院議員の訪露について、説明を受ける予定はないと突き放しているのですけれども、バルダイ会議については、国益を考えて対応するとし、北方領土問題を解決して平和条約を締結するという方針を堅持する、と述べています。

これは考えすぎかもしれませんけれども、上川外相が「国益」という言葉を出したことが少し引っかかっています。なぜなら、件のバルダイ会議で、プーチン大統領が「国益」になるなら日本との対話も拒否しない、と述べているからです。これがプーチン大統領の言葉を受けての返答だったとしたら、表ではロシアを批判している裏で、双方の国益を考えての日露対話も考えている、と取れなくもありません。

7日、パレスチナのガザ地区から、イスラエルに向けて大量のロケット弾が発射されたほか、ガザ地区から武装組織メンバーがイスラエル内に侵入し、イスラエルのネタニヤフ首相が「これは戦争」だと宣言するなど、不穏な空気が流れています。

中東で戦争が起こったり、台湾有事が起これば、シーレーンが使えなくなり、石油・ガスが止まってしまう最悪の事態もないとはいえません。そのとき、ロシア産の石油・ガスを輸入できるのとできないとでは全然違ってきます。実際、輸入量の1割とはいえ、今も日本はサハリン2のガスを輸入しています。

また、平和条約を結べなくとも、交渉できるくらいに関係改善できれば、台湾有事で中国と連携してロシアによる日本近海の牽制を鈍らせることも期待できます。

その意味ではロシアとの関係を100%閉じるのは得策ではなく、鈴木議員を”野党の跳ね返り者”扱いにしてでも生かしておくというか、ロシアとのパイプとして放置・確保するのは無駄ではないと思いますね。





  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント

  • HY

    「国益」とは言いえて妙です。つい数十年前は「国防」という言葉は右翼の言葉であり、日本は国家戦略を持ってはいけないことになっていました。当然「国益」という概念も否定され、日本は日本を守ることを放棄していたのです。
     ここ70年余り、日本は「国」ではなかったのです。
     それがにわか「国益」などという言葉を使っても、その内容は三者三様になります。
     一方から見れば「売国」になるものも、もう一方からは「国益」になってしまうのです。
     はっきり言って日本はロシアのガスを使うべきではありません。
     ロシアの極東戦略は米軍の排除であり、中国と利害を深く共有しているからです。
     台湾有事にはロシアは中国を支援し、日本には米国に与しないよう圧力を加えます。
     天然ガスはロシアにとって政治の道具です。
     むろん敵対せよというわけではありませんが、在日米軍を擁する以上、ロシアからそうみられている冷酷な現実を見るべきです。ロシアからすれば日本は「主権国家」ではありません。
    「国益」を考える前に自らの国の在り方を真剣に見直す必要があります。
    2023年10月09日 08:23