イスラエルはハマスの奇襲攻撃を知っていた

今日はこの話題です。
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1.イスラエル邦人退避へ


イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫の度合いを増していることを受け、アメリカなど各国ではイスラエルから自国民を退避させる動きが出ています。

日本もイスラエルにいる日本人の国外退避を支援するため、チャーター機を手配することを明らかにしました。

松野官房長官は閣議後の記者会見で、日本政府としてもイスラエルにいる日本人の国外退避を支援するため、14日に現地のテルアビブを出発し、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイに向かうチャーター機1機を手配すると表明しました。

松野官房長官は「商用便は運航されているものの、航空会社は通常よりも運航便数を制限しており、情勢は非常に流動的だ。この機会に改めて希望する方に早期に出国いただくよう呼びかける。政府としては関係国や関係機関と連携しつつ、引き続き、邦人の安全確保に万全を期したい……邦人の出国を支援し、その安全確保に万全を期す観点からチャーター機を手配することとした」と述べました。

また外務省は13日、早期出国を希望する場合は、韓国政府が手配した無料の緊急特別出国便を利用するよう呼びかけています。これは、12日夜に在イスラエル韓国大使館から情報提供があったとして、邦人向けの領事メールを出したそうです。原則として在留邦人と、その配偶者、子どもが対象。13日午後11時半を目途にテルアビブの空港を出発し、スリランカ経由でソウルに到着するとのことです。


2.そんなことも分からんのか


ハマスの攻撃とイスラエルの報復攻撃について、日本の識者の意見も分かれているようです。

10日、政治評論家の橋下徹氏は、ハマスの攻撃について、X(旧ツイッター)で、ハマスの攻撃を批判しつつも「イスラエルの今回の自衛権の行使を盲目的に支持する威勢のいい政治家は危険だ」「ウクライナ人は祖国のために戦っている!祖国のために命かけることは尊いと普段言っている者は、パレスチナ人が命をかけて祖国を守る行為を尊いとは言わない」などと持論を展開しました。

これに対し、同じく政治評論家の加藤清隆氏が「聞いたふうなこと言っているが、今回ハマスは野外音楽会を急襲し、250人以上を殺害し、100人以上を拉致し殺している。これが『祖国を守る尊い行為』なのか?これではイスラエルの徹底した報復を受けてもやむを得ないのではないか?」と批判しました。

これに対し、橋下氏が「イスラエルがパレスチナにやってきたことを少しでも調べてから言え」「徹底報復の権利を主張できるのは、自分に徹底報復を受けるだけの非がない者だけや。そんなことも分からんのか」と応戦。バトルになっています。


3.イスラエルはハマスの奇襲攻撃を3日前に知らされていた


マスコミでは、イスラエルがハマスの奇襲攻撃を受けたという風な論調が強いようですけれども、いや実は事前に知っていたのだ、という情報も出てきました。

13日、BBCは「エジプトはハマスが攻撃する数日前にイスラエルに警告していた、と米委員長が発表」という記事を掲載しました。

件の記事の概要は次の通りです。
イスラエルは、ハマスによる国境を越えた致命的な襲撃の3日前に、エジプトから暴力の可能性について警告を受けていた、と米議会の委員長が語った。

下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長は、この警告について記者団に語った。

【中略】

イスラエルの諜報機関は、イスラエルの75年の歴史の中で最も致命的なパレスチナ武装勢力による攻撃を防ぐことができなかったとして、精査を受けている。

AFP通信によると、「エジプトがイスラエルに対し、3日前にこのような事態が起こりうると警告したことは知っている」と、マッコール委員長は水曜日に行われた中東危機に関する議員向けの非公開の情報ブリーフィングの後、記者団に語った。

「あまり機密には触れたくないが、警告はあった」とテキサス州選出の共和党議員は付け加えた。「問題はどのレベルかだったと思う」。

あるエジプト情報当局者が今週、AP通信社に語ったところによると、カイロはイスラエルに対し、ガザから「何か大きなもの」が計画されていると繰り返し警告してきたという。

「われわれは彼らに、事態の爆発が近いうちに、しかも非常に近いうちに、そしてそれは大きなものになると警告してきた。しかし、彼らはそのような警告を過小評価していた」

カイロ当局者によれば、イスラエル当局はガザからの脅威を軽視し、その代わりにヨルダン川西岸に焦点を当てたという。

2014年から2020年にかけてイギリスの対外情報機関のチーフを務めたアレックス・ヤンガー卿は、ハマスの戦闘員が10月7日に攻撃を実行できたのは、イスラエルの「組織的自己満足」のためだと述べた。

彼はBBCラジオ4の『Today Podcast』に対し、イスラエルにはハマスが新たな紛争に関心がないという思い込みがあり、それに反する情報はすべて割り引かれていた可能性があると語った。

「私は内部の人間ではありませんが、後知恵で違った解釈ができるような情報が入ってくるというのが私の推測です」

また、ガザを監視する技術的手段に過度に依存した結果、自己満足に陥り、誤った安心感につながった可能性もあると付け加えた。

「フィナンシャル・タイムズ」紙によると、この件に詳しい2人の無名の政府関係者の証言によると、具体的な攻撃に関する確かな情報はなかったという。

水曜日、ネタニヤフ首相は、イスラエルが致命的な侵攻の前に具体的な警告を受けたといういかなる示唆も、「全くのフェイクニュース」だと述べた。

ガザとの国境を越える人々を管理するエジプトは、しばしばイスラエルとハマスの仲介役を務めている。

土曜日、1500人以上の武装勢力が、陸・空・海の共同攻撃でガザのセキュリティバリアを突破した。

ハマスの攻撃によるイスラエル国内の死者は1,200人に達した。イスラエルによるガザ空爆で1000人以上が死亡した。

イスラエルはこれに対し、ガザにあるハマスの標的を攻撃している。ガザの住民は、唯一の発電所が燃料切れとなり、主電源がないと言っている。

一方ハマス側は、ジョー・バイデン米大統領が火曜日、イスラエルには攻撃に対応する義務があると発言したことを非難した。

パレスチナのグループは、バイデン氏の発言は「扇動的」であり、ガザ地区の緊張をエスカレートさせることを目的としていると述べた。

ハマスの攻撃を受けて、アメリカは空母、艦船、ジェット機を地中海東部に移動させ、イスラエルに追加の装備と弾薬を提供すると発表した。
このように、イスラエルはハマス攻撃の3日前に、それを知っていたというのですね。イスラエルのネタニヤフ首相は、フェイクニュースだ、と否定していますけれども、イスラエル最大の後ろ盾であるアメリカから、こんなことを言われたのです。全くのフェイクだとするには怪しさが残ります。

もしも、これが本当で、警告を受けていたにも関わらず、イスラエルがわざと放置したとするならば、大変なスキャンダルになることも考えられます。というのも、イスラエルが、ガザを攻撃・あるいは占領するための口実として、利用した可能性も出てくるからです。


4.どちらにも正義はない


イスラエルのネタニヤフ政権は敵どころか獣呼ばわりしています。

10月9日、ガラント国防相は、ガザ地区を完全封鎖するとし、「動物のような人間」との戦いだと述べ、11日、戦時内閣を樹立したネタニヤフ首相は、テレビ演説で「我々は肉食動物を見た……我々はハマスを粉砕し、破壊する」と強調。中道野党「国民連合」を率いるベニー・ガンツ前国防相も「我々はハマスを地球上から消し去るであろう」と宣言しています。

これを受けてのことなのか、11日、在東京イスラエル大使館の公式X(旧ツイッター)アカウントは「これは、野蛮で非人道的な行為を行う組織、ハマスによってガザに誘拐された子どもや赤ちゃんです」と子どもたちの写真を投稿。さらに「これに加え、先週の土曜日には40人もの赤ちゃんが彼らに殺害されています」など、SNSで拡散している真偽不明の情報を付け加えて「今こそイスラエルをサポートし、歴史の正しい側に立つ時です」と正当性を主張しました。

ところがこの投稿に対し「つい80年前にホロコーストで迫害され虐殺されていたユダヤ人達が、その後、パレスチナ人を迫害する側にまわって報復を受けて泣いている。私はなるべく正しい側に立っていたいので、イスラエルもハマスも支持しません。犠牲になる子供達については、イスラエル人でもパレスチナ人でも助けてあげたい」とか、「ハマスが民間人を殺害する凶悪な組織なのは事実、けれどもイスラエルも同じ穴の狢なので『正義』はどちらにも無い」とか、「どっちが正しいか、なんて自信を持って言える日本人なんて何人いるんだろうか?これ以上悲しい思いをする人がどっちの国にも出ませんように、とただただ祈るばかりです」とか「イスラエル軍がone shot,two killという標語を使ってパレスチナ人の妊婦と胎児を虐殺し、その遺体を切り刻んだ事が伝えられたのはそんなに昔のことではない。どうせそんな事はなかったと主張するだろうね」など、疑問の声が続々と寄せられているようです。

流石に過去の経緯や言動が知られていることもあってか、どちらにも正義はない、といった投稿が目立ちます。

こういった反応は日本だけではありません。もっと激しいのが中国です。

先週、在中国イスラエル大使館の公式SNSが、ハマスのイスラエル攻撃を非難する投稿をしたところ、中国ネット民から憎悪に満ちたコメントが相次ぎ、閉鎖に追い込まれています。

在中のイスラエル大使館は、ハマスの蛮行を非難し、犠牲者との連帯を示す投稿を「微博(ウェイボー)」に行ったのですけれども、犠牲者に哀悼の意を示す書き込みがある一方、冷淡な意見や、「ウクライナ人を支持するなら、パレスチナ人のことも支持するべきだ!」、「ユダヤのナチたちは、パレスチナ人を毎日虐殺している。さあ行け、ハマス、同胞たちよ、ユダヤのナチどもを、国のために殺せ!」など、憎悪をぶつける者もいました。

ある中国人は、イスラエルが攻撃を受けたのは当然の報いだと指摘。2006年、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラとイスラエルが戦っていたとき、国連レバノン暫定駐留軍に参加していた中国人の杜照宇氏が誤爆を受けて死亡した件について、イスラエルがまだ謝罪していないからだとしています。

9日の時点で、中国のイスラエル大使館は公式「微博(ウェイボー)」アカウントへの新規コメントは止めたままで、既存のコメントについては、イスラエルの立場を支持するひと握りのコメントだけを掲載しているようです。

ハマスのテロ行為は当然、断罪されるべきですけれども、そのために、全く関係のないパレスチナ人が殺されてよい道理はありません。もし、イスラエル軍がガザ地区への地上戦に踏み切れば、犠牲はもっとひどくなります。

更にイスラエルが、ハマスの攻撃を知っていながら、それを無視したとなれば、報復の正当性も揺らいできます。反射的に対応せず、まずは何が起こったのか、何が事実なのかを確認するのが大事ではないかと思いますね。




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