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1.低迷する岸田内閣支持率
10月14~15日の両日、毎日新聞は、全国世論調査を実施しました。
岸田内閣の支持率は、発足以来最低だった9月16、17日実施の前回調査と同じ25%で横這い。支持率が30%を下回るのは4ヶ月連続で、不支持率も前回調査と同じ68%でした。
岸田総理が9月に行った内閣改造を行いましたが、どうやら支持質上昇には繋がらなかったようです。
これは他の世論調査でも同じで、時事通信が10月6~9日に実施した10月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の26.3%、不支持率は2.3ポイント増の46.3%でした。自民党の支持率は1.0ポイント減の21.0%で、いずれも岸田政権発足以来、最低を記録しました。
内閣支持率を世代別に見ると、シニアが比較的高く、若者が低い傾向があり、「18~29歳」の内閣支持率は10.3%。「30歳代」は18.1%。これに対し、「70歳以上」36.0%、「60歳代」32.4%。「40歳代」「50歳代」はその中間で、それぞれ、25.1%と24.0%となっています。
2.暮らし向きは悪くなった
先述の毎日新聞の世論調査では、政府が10月中に策定する予定の総合経済対策への期待感についても聞いています。その結果は、「期待しない」が63%で、「期待する」の21%、「どちらとも言えない」の16%を大きく上回りました。
内閣支持層では経済対策に「期待する」との回答が55%に及んだものの、内閣不支持層では7%にとどまった。年代別では、30代の8割近く、50代の7割近く、70歳以上の約6割が「期待しない」と答えています。
岸田総理は、物価高対策や賃上げ支援など五つの柱からなる総合経済対策の策定を閣僚に指示し、「税収増など成長の成果を国民に適切に還元する」とアピールしているにも関わらずこの結果です。
また、岸田内閣が発足してからの2年間で暮らし向きがどうなったかについては、「悪くなった」は60%で、「良くなった」は3%にとどまり、「変わらない」は36%となっています。
暮らし向きが「良くなった」と回答した人の大半は経済対策にも「期待する」と答えた一方、暮らし向きが「悪くなった」とした人の8割弱は経済対策に「期待しない」と回答しています。つまり、政府の経済対策に期待する層は、今の岸田政権で、暮らし向きが「良くなった」と答えたほんのひと握りの層が中心になっているということです。
3.やっぱりダメか
岸田総理は、構造的な賃上げを政権の重要課題に掲げ、最低賃金の引き上げや賃上げ企業への支援などに取り組んできましたけれども、物価は賃上げを上回る勢いで上昇を続けていて、厚生労働省が6日発表した8月の実質賃金は前年同月比2.5%減と17ヶ月連続のマイナスとなっています。
そんな中、政府が今月中に取りまとめる総合経済対策に向け、減税を盛り込むべきだという声が政権内外から出ていたのですけれども、15日、自民党の森山裕総務会長は大分市内で記者団の質問に「所得税減税は過去にも実施したことがあり、その時の検証結果をよく見ながらということだと思う。慎重なのが正しい方向だ」と答え、与党内での所得税減税を求める声を牽制しました。
そのせいなのかどうか分かりませんけれども、一部マスコミからは、自民党が党の提言に所得税減税を盛り込まない方向で調整に入ったと報じています。
一方で公明党は11日に三つの「国民還元策」として、現役世代や中間所得層を支援するための一時的な所得税減税、住民税非課税世帯を対象とした給付金支給、ガソリン価格や電気・ガス代を抑制する補助金を来春まで延長。食料品などを購入した際のポイント還元も盛り込んだ提言案を纏めたようです。
自民党が所得税減税を盛り込まない経済対策を考えていることについて、国民民主の玉木代表は、「やっぱりダメか。所得税減税もダメ 消費税減税もダメ ガソリン減税(トリガー)もダメ となると残された減税は法人税減税それと低所得者と子育て世帯への「給付」といういつものメニュー これで「税収増の国民への還元」と言えるのか? 自民党の心ある議員もっと頑張れ」と呆れ果てたかのようなツイートをしています。
やっぱりダメか。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) October 14, 2023
所得税減税もダメ
消費税減税もダメ
ガソリン減税(トリガー)もダメ
となると残された減税は
法人税減税
それと
低所得者と子育て世帯への「給付」といういつものメニュー
これで「税収増の国民への還元」と言えるのか?
自民党の心ある議員もっと頑張れ。 https://t.co/NImP1Qc5xb
4.所得税減税という共通項
10月11日、嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演し、2ヵ月連続で低下した景気ウォッチャー調査について次のように解説しています。
飯田)調査期間は直近9月25~30日で、好景気と不況の分かれ目となる50を8ヵ月ぶりに下回りました。高橋教授はこれとは別に自身の動画チャンネルで、政府の経済対策について、いろんな報道が出ていることについて、今は「球出し」といって色んな案を出させる時期であって、その段階で減税という案が出ていることは悪い話ではないとした上で、自民党の積極財政議連は「消費税と所得税の減税で20兆円」と主張。世耕弘成参院幹事長が「所得税と法人税で15兆円」と発言。更に茂木幹事長が「所得税・法人税」と口にして、公明党が「所得税の減税が必要だ」と言っていることを挙げています。
高橋)「ちょっと一服」という感じなのでしょうね。街角ウォッチャーは実態を出しているのですよ。マクロの数字を見ると、内閣府の方は「需給ギャップは解消した」と言っているでしょう。
飯田)そのようですね。
高橋)それは嘘だということです。解消していないからこういう形になる。需給ギャップが解消しなければ、所得は上がりません。そういう意味では、所得の上がりと物価の上がりで、「所得の上がりが鈍い」ことを表しているのではないでしょうか。
飯田)物価の上昇に比べて所得の上昇が鈍い。
高橋)だからこのような数字が出るのです。有効求人倍率も同じような感じですね。少し高くなっていますが、少しずつ下がっている。ウォッチャー調査と有効求人倍率の動きは似ているのです。
高橋)それを見ると、「需給ギャップが解消したというのは嘘ではないか」と思いました。はっきり言えば、もともと嘘なのです。2%ぐらいサバを読んでいて、GDP統計では1%サバを読んだから、いまでも3%ほどあるはずです。
飯田)需給ギャップの部分が。需要が足りていない。
高橋)3%以上ね。だから経済対策で「15兆円以上が必要」と言っているのです。そこでも「需給ギャップがなくなったのだから大丈夫だろう」と言いますが、有効求人倍率や街角ウォッチャー調査を見ると、「いまひとつではないか」とみんな思うのではないでしょうか。
飯田)確かに足元の実感としても、賃金が上がらないなかで物価が上がっており、苦しいですよね。
高橋)賃金と物価の上がり方の問題です。少しのズレはありますが、需給ギャップがなくなると、賃金の方が上になる確率が高くなります。
飯田)需給ギャップが埋まれば。
高橋)「もう需給ギャップは解消した」と言っているけれど、同じ内閣府でいろいろと調査するので、「そうではない」とわかってしまうのです。
飯田)9月の企業倒産も18ヵ月連続で増加しています。
高橋)需給ギャップがあるうちは企業倒産があり、失業率も少し残るのです。失業率が残って賃金が上がりにくくなるのだけれど、それを企業の方に直すと、企業倒産という形で出るわけです。こういう状況も、「需給ギャップが解消されたわりに変ではないか」と言えます。
飯田)企業倒産を報じる記事では、いわゆる無利子・無担保、「ゼロゼロ融資の返済」によるものだと指摘されていますが。
高橋)それもあるけれど、根本的なところは需給ギャップが関係していると思います。
飯田)補正予算はどうなるのでしょうか?
高橋)いまのところ、何となく減税の話が出ているからいいけれど、あとは規模感ですよね。「減税15兆円」くらいできれば立派なものです。ただ、財務省は「需給ギャップが解消されたからそんな必要はない」という言い方をするのではないでしょうか。
飯田)財務省は。
高橋)税収はあるけれど、「それは他のところに使いましょう」というような言い方をしていますよね。
飯田)需給ギャップが3%程度あるという話ですが、GDP比で3%と言うと、1%で約5兆円余り。
高橋)だから「15~20兆円の間」という規模感です。それを埋めなければ悪い統計や、景気に対してよくない数字が出てきやすい。需給ギャップをなくせば改善するのですが。
飯田)自民党のなかでも、「積極財政を進めよう」という人たちが声を上げています。
高橋)いまのところ数字をきちんと言っているのは、自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」と、世耕弘成さんぐらいです。世耕さんは消費税については言いませんが、「所得税と法人税で15兆円」と言っています。
飯田)所得税と法人税で15兆円。
高橋)積極財政議連は「消費税と所得税の減税で20兆円」と言っており、多分ここが正しい解なのだと思います。それに引きずられて茂木さんも「税収増を国民や企業に還元することもあり得る」と言っていますが、数字は言わない。公明党も「所得税の減税が必要だ」と言っていますが、数字は言わないですね。
飯田)公明党も。
高橋)いまや数字の議論になりつつあるような気がしますが、財務省もまた巻き返していて、「減税はダメだ」と言っています。
高橋教授はそれらには「所得税減税」という共通項があると指摘し、その辺りが落としどころではないかと予測しています。
なるほど、水面下でその辺りで調整を進めて置きながら、「球出し」をマスコミにリークさせて世論を様子見しているのかもしれません。
ただ、仮に「所得税減税」したとしても、それで世論が納得してくれるのかどうか。「増税メガネ」と揶揄される岸田総理が、その二つ名を払拭できるのかどうか、注目したいと思います。
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