

1.国民が期待するリーダー像
10月25日、自民党の世耕弘成参院幹事長は、参院本会議で岸田総理の指導力に厳しく注文を付ける異例の代表質問を行いました。
代表質問で総理が「身内」である与党議員から重ねて苦言を呈されたことに議場からはどよめきが沸き起こりました。
代表質問の全文はこちらで公開されていますけれども、世耕参院幹事長は、税収増の還元について次のように述べました。
9月25日に総理は「税収増を国民に適切に還元する」と表明されました。しかしこの「還元」という言葉が分かりにくかった。自分で決断するのではなく、検討を丸投げしたように国民には映った。総理のパッションが伝わらなかった。その後「還元」という「言葉」が一人歩きして、「給付なのか減税なのか」、「はたまた両方なのか」、総理の真意について与党内でも様々な憶測を呼んでしまいました。世の中に対しても、物価高に対応して総理が何をやろうとしているのか、全く伝わりませんでした。何をやりたいのか「全く伝わらない」と断言しています。ここまで言い切られてしまうとは相当なことです。
この世耕参院幹事長の質問に、岸田総理は、表情を変えずに、「これまでも自ら決断し、国民に直接発信することを心掛けてきたが、国会でも経済政策や物価対策を中心にしっかりと議論を重ね、国民に丁寧に説明していく」と答弁しましたけれども、これまで岸田総理は、何かを検討するたびに「丁寧に説明」と言い続けてきました。けれども、その結果が「総理が何をやろうとしているのか、全く伝わらない」のであれば、結果として説明していないことになります。
また、世耕氏は政策決定のスピードについても、次のように述べています。
国民が岸田政権に対し、もう一つ物足りないと感じているのは、スピード感ではないでしょうか。例えば、民間も含めたAIや防衛関連技術の漏洩を防ぐセキュリティ・クリアランスの制度化にどれだけの時間をかけているのでしょうか。来年の通常国会に法案が提出されるとは聞いていますが、有識者会議などによる詳細な詰めはこれからだとも聞きます。もう導入は決まっているのですから、総理が明確に期限を切って気迫を見せしっかりと実行に移すべきです。また、コロナ後の需要回復などにより、各地でタクシー不足・バス不足が顕在化し、地方における生活、観光が破綻しかかっています。ライドシェアについてもいつまでも議論するのではなく、期限を切ったスピード感を持って関係者の調整を行い、腹をくくって、実現しなければなりません。このように、明確に期限を切って気迫を見せしっかりと実行しろ、と厳しく注文しています。ただ、LGBT法案については、気迫か何か知りませんけれども、強引にかつ超短期間で成立させてしまったことを見ると、本気でやろうとすればやれなくないのです。それをダラダラといつまでも時間をかけてしまう。これは、LGBT法案との対比で、岸田総理の「気迫の無さ」を露呈してしまっているようにも思えます。
2.減税までしてやったのに
岸田総理が税収増を国民に還元すると言い出したのは9月25日ですけれども、10月の世論調査では、内閣支持率は、時事通信では26.3%、「毎日新聞」では25%と過去最低となりました。
これを受けてのことなのか、自民党関係者によると、岸田総理は「俺は減税までしてやったのに……」と、周囲に愚痴をこぼしているそうだ、と報じられています。いくら岸田総理が、党内で減税を検討するよう、萩生田政調会長に指示したといっても、何も具体策が見えていない段階では支持率も何もありません。
そんな「リップサービス」で支持率が上がるとすれば、「言ったことは確実にやってくれる」という総理に対する国民の高い信頼があってのことで、そうでないということは、それだけの信は得られていないということです。
案の定、岸田総理のこの発言が報道されるや、ネットは大炎上しました。
ネットには「国民逆恨み」「落選危機」「萩生田政調会長」「木原前官房副長官ら大物議員」といった関連ワードが続々とトレンド入り。
ユーザーからは、「つぎの選挙でこういう感覚のくるった政治家たちを、ひとり残らず落としたい」「消費税減税せず、激的にしょぼい減税で国民逆うらみしてるってのは違うだろ」「逆うらみ…冗談じゃないよ、うらみたいのは国民のほうだ!」「あまりの不人気で国民逆うらみで、『してやった』ですか!」などと怒りの声で溢れました。
岸田政権の発足から2年を迎える10月3日、岸田総理は記者会見で「大きな変化の中で、変化を力にする、明日は今日より必ず良くなる日本を作るために努力を続けていきたい」と国民に希望を持つことを訴えかけました。
けれども、やはりというか、この発言もネットで炎上。「「明日は今日より必ず良くなる」ためにも一刻も早い退陣を国民は願ってます」「寝言は寝てから言ってもらえますか? あなたが今まで何を実行しましたか? 何を良くしましたか?」「これからもって事は今までやって結果を残した人が言うセリフですよ」などボロクソです。
26日の読売の報道によると、政府が検討している税収増に伴う還元策として、1人あたり4万円の減税は、所得税3万円、住民税1万円の定額減税で所得制限を設けずに来年6月頃に実施する方向で調整。住民税非課税の低所得世帯向けは1世帯あたり7万円を年内給付する方針のようです。
増税メガネから増税クソメガネへと進化した岸田総理、満を持して減税策を発表
— 滝沢ガレソ🌟 (@takigare3) October 26, 2023
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👓️「納税者は年間4万円減税します!」
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👓️「なお、非課税世帯には年間7万円を配ります」
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結局労働者から吸い上げた金を高齢者にバラ撒いてるだけじゃねえか!!と批判殺到
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新たなアダ名“減税ウソメガネ”爆誕 pic.twitter.com/gdw9IOXiVd
3.社会保険料が気になるのは当然
それに世間の目は還元云々よりも、社会保険料の高さに目を向け始めているように思います。
10月25日、政治評論家の田崎史郎氏がテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で、18日の放送で「社会保険料を見ていない」との自身の発言について、「反省した」と述べました。
この日の放送は、岸田内閣での減税政策などについて特集だったのですけれども、視聴者からは、減税よりも「社会保険の軽減の方がいいんじゃないか」という声を「非常に多くいただいた」と羽鳥アナが説明しました。
これに田崎氏は「先週、ぼく、社会保険のことを『見てない』っていって、いろいろ御意見を頂いたんですが……うちの孫娘が今年の春から社会人になったんですね。給与明細を見せてもらったんです。これなら社会保険料を見るようになるなと思った。所得税は数千円だけど社会保険はトータルすると3万、4万なんです……ずっと所得税は下がってきているけど、僕らの現役時代に比べると、社会保険料ぐーんと増えてる。社会保険料が気になるのは当然」と、若い世代にとっては無視できない高額であることに気付いたと吐露。
コメンテーターの安部敏樹氏から「反省しました?」と聞かれると「反省した」と素直に認めていました。
財務省が2023年度の国民負担率を46.8%と発表し、その負担率からネットでは「五公五民」だと話題になったことがありましたけれども、今後、世間の目が社会保険料の高さに移っていけばいくほど、4万だか、7万だかの定額減税、給付など霞んでしまいます。
「減税までしてやったのに……」と愚痴る暇があるのなら、問題の本質に踏み込んでの対策を取っていただきたいと思いますね。
羽鳥さん
— 125 (@siroiwannko1) October 25, 2023
「みんなが気が付かないから社会保険料を増やしたのでは?って言う人もいますが」
田崎史郎氏
「それはメディアの責任も大きくて、増税とか消費税になると物凄く大きく報道するが、社会保険料が上がる時は一回報道したら次からは報道しない、⇒
#モーニングショー pic.twitter.com/m1d22oy4DP
日本の消費税、法人税、所得税の推移。消費税と法人税の大どんでん返しをご覧ください。
— 裏丘忍🌻ネトウヨ夫を矯正中 (@uraokashinobu) October 2, 2022
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