迫りくるガザ地上戦

今日はこの話題です。
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1.我らは光の民であり、奴らは闇の民だ



10月25日、イスラエルのネタニヤフ首相は、テレビで声明を発表し、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻に踏み切る準備を進めていると言明した。作戦の詳細については明確にすることを避け、侵攻のタイミングについては戦時内閣が決定すると述べました。

ネタニヤフ首相は「すべてのハマスの活動家は地上でも地下でも、ガザ内でもガザ外でも死ななければならない……私たちはキャンペーンを支援するために世界の指導者の支持を結集している……ハマスはISISであり、ISISはハマスである。ハマスに対する我々の戦争は彼らの戦争でもある。ハマスに対する我々の戦争は全人類に対する試練である。それはイラン、ヒズボラ、ハマスの悪の枢軸と枢軸との間の闘争だ……我らは光の民であり、奴らは闇の民だ。光は闇に勝利するだろう」と述べました。

そして、ハマスからの攻撃を許した責任については「私も含め、私たち全員が10月7日に何が起こったのかについて答えを出さなければならないが、それは戦後になってからだ」と言及し、「今こそ、我々の正義への深い信念、ユダヤ民族の永遠への深い信念のもと、一つの目的のために団結し、共同軍で突撃して勝利を収める時だ。我々はイザヤの預言を実現するだろう。 もうあなたの国境で盗みを働くことはなくなり、あなたの門は栄光となるでしょう。私たちは一緒に戦い、一緒に勝利しよう」と呼びかけました。




2.あらゆる前線で激しい作戦を展開している


10月27日、イスラエル軍のハガリ報道官は、ガザへの地上作戦をさらに拡大し「あらゆる前線で激しい作戦を展開している」と発表しました。ハガリ報道官によると、ハマスの地下拠点やインフラなどを標的とした空爆も強化。現地からの映像によると、イスラエルとガザの境界で大きな爆発が起きているようです。

アメリカABCテレビは、イスラエル軍の報道官は地上侵攻の開始ではないとしていますけれども、イスラエルは13日以降、局地的な地上作戦を複数回実施しています。これまでは人質の居場所の情報収集や、本格的な侵攻に備えた準備としてハマスの拠点を攻撃。25〜26日には戦車を投入し、その後撤収したとしていました。

一方、ハマスは通信アプリ「テレグラム」において、ガザ北部や中部で「イスラエルの地上侵攻と対峙している。暴力的な衝突が起きている」と投稿しています。

ハマスは外国人を含む200人以上の人質を捕らえており、アメリカなどは解放に向けて交渉を続けているとのことで、CNNによると、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は27日、人質解放のための短期間の停戦について「イスラエルと活発に協議している」と述べています。


3.やったもの勝ち


ガザへの空爆は激しいもので、インターネットと電話の通信はすべて領土内で遮断されているとの情報もあります。

インターネット監視サービスのNetblocksは、X(旧Twitter)に「接続の崩壊」があったと投稿。パレスチナ赤新月社は、ガザのチームと話すことはできないとし、「私たちは、特にこの混乱が中央緊急電話番号『101』に影響を与えるため、私たちのチームが救急医療サービスを提供し続けることができるかについて非常に懸念しています」とXへ投稿しています。

BBCは WhatsApp メッセージを送信しようとしたのですけれども、先方の電話では受信されず、携帯電話に電話をかけても、取得できないメッセージが表示されるだけ。他の数回の通話試行でも同様のことがあり、メッセージも通話もつながらないそうです。

またBBCのアラビア語記者メフディ・ムサウィ氏はガザ地区のジャーナリストや保健当局者らと一日中連絡を取ろうとしたものの、WhatsAppでは短い返事しか得られていません。最終的に彼らはガザのアル・シファ病院に到着したのですけれども、夕方までにすべての通信回線がダウンしたそうです。

7日以降の衝突で、イスラエル側では1400人超、ガザでは少なくとも7000人以上が死亡したとされ、地上侵攻が本格化すれば双方の犠牲が拡大するのは必至で、ガザでは多くの民間人が巻き込まれる恐れが高いと見られています。けれども、筆者が気にしているのは、この状況で、地上戦が行われることです。

なぜなら、ネットや電話など外部からの通信手段が完全に途絶した状態での地上戦は、それが終わるまで中で何が起こったのか他国を含めた一般人には何も分からないからです。

なんとなれば、イスラエル軍がハマスを民間人諸共虐殺しても、分からない。全てが終わって、ガザを占領してからハマス掃討のための尊い犠牲だったとかなんとかいくらでも言い訳できます。もっともそれを理由として、世界がイスラエルを経済制裁するなりなんなりするなら別でしょうけれども、おそらくそんなことはできないでしょう。要するにやったもの勝ちになる可能性が高いということです。

10月22日のエントリー「ハマスは戦略目標を達成した」で紹介しましたけれども、イスラエルはハマス掃討について「空爆や地上侵攻によるハマス戦闘員とインフラを破壊」「ハマス拠点の殲滅」「ガザに新政権樹立」の3段階の作戦を発表しています。

今は、最初の段階を実行していますけれども、見事に、インターネットを含む通信インフラを破壊して外部からの通信を遮断してみせた訳です。

ハマスは人質を盾にして、交渉の時間稼ぎをするのではないかと思いますけれども、よくドラマで、悪党が「人質がどうなってもいいのか」と喉元にナイフを突きつけて凄んでみせたりするシーンがありますけれども、そのシーンとて「放送」されなければ、世界の世論は惹起されません。

これまでハマスは、残虐な殺害映像を公開して、恐怖を煽っていましたけれども、それも「放送」できなくなれば、それすら意味を無くします。

27日、国連総会はパレスチナとイスラエル双方の民間人に対する暴力を非難し、「人道的休戦」を求めるヨルダン提出の決議案を採択しましたけれども、イスラエルはそれを横目に着々と地上戦に向けて動いています。

大規模地上戦はもはや避けられないのではないかと思いますね。


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