

1.第二段階に入った対ハマス戦
10月28日夜、イスラエルのネタニヤフ首相はハマスの奇襲攻撃を受けて発足した挙国一致の戦時内閣のガラント国防相、中道右派野党のガンツ前国防相とテルアビブで会見に臨みました。
ネタニヤフ首相は、ハマスとの戦闘について、「第2段階」に入ったと述べ、その目的は明確で、ハマスの壊滅にあるとしながらも、「地上攻撃の拡大は、人質を返還する我々の能力と何ら衝突するものではない」と主張しました。
ネタニヤフ首相は、ハマスとの戦いは始まったばかりだとし、「長く、厳しいものになる。準備はできている。これは我々にとっての2度目の独立戦争である……我々は陸で、海で、空で戦う。敵を地上からも地下からも壊滅する」と強調する一方、「イスラエルが戦っているのは人類のための戦争だ。西側諸国やアラブ世界のパートナーは、イスラエルが勝利しなければ、次は自分たちが巻き込まれると理解している」と述べて支持を訴えました。
会見で、ハマスの指導者が求めている、人質全員を解放し、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人警備員全員を釈放する、いわゆる「オール・フォー・オール」協定の可能性についても質問されました。
これに対し、ネタニヤフ首相は「この問題について議論している」と述べたものの、詳細には踏み込まず、内閣が議論している情報や検討事項を共有することはできないと回答を避けました。
ネタニヤフ首相は、あらゆる年齢層の民間人を含む人質の拉致を「人道に対する犯罪」と呼び、そして「我が国の兵士を戦争犯罪で告発しようとする者たち」を偽善者で嘘つきだと非難。「イスラエル国防軍は世界で最も道徳的な軍隊です。IDFは非戦闘員への危害を避けるためにあらゆる努力をしている」と、ガザ北部の住民に対しガザ地区南部へ向かうよう改めて呼び掛けました。
2.犠牲を覚悟したネタニヤフ政権
同じく会見に臨んだ、ガラント国防相は人質のことを考えない瞬間はなく、イスラエルは人質を連れ戻すために全力を尽くしているとし、「これは二次的な任務ではない」と述べ、イスラエルがハマスを厳しく攻撃すればするほど、ハマスが人質解放に同意する可能性が高まると主張しました。
ガラント国防相は、「この最後の日で、我々は戦争の新たな段階に進んだ……火災の強さはガザの地面を揺るがし、ハマスが創設以来経験してきたものとは異なっていた……IDF部隊は関連する場所で機動しており、現在、地上と地下でハマスの陣地を攻撃している……ハマスはこれまで経験したことのない衝撃に苦しんでいる」と述べました。
また、ガラント国防相はイスラエル国防軍参謀長、シンベト(治安・テロ対策機関)とモサドのトップ、そして現場の兵士たちを「全面的に信頼している」としながらも、「それは短い戦争ではない。長期戦になるだろう」と述べています。
続いて、ガンツ前国防相は「われわれにとって正しいことを行う……これは完全な正義に対する完全な悪だ。そして正義は勝つだろう」と、ハマスへの圧力を継続するよう世界に呼び掛け、イスラエルは「戦わなければならない場所で、戦わなければならないときに……我々は最終的にはより強くなるだけでなく、より団結する」と述べました。
また、ガンツ前国防相は戦争は多大な犠牲を伴う多段階の取り組みであり、戦場で勝利し南部を復興するには長い時間がかかるだろうとも語っています。
どうやらイスラエル首脳部は、今回の対ハマス戦は長期に渡り、かつ多大な犠牲が出ることを想定しているようです。
3.餓死か虐殺か
ガザの地上戦に向けて、イスラエルはすでに36万人以上の予備兵を動員していますけれども、内部関係者によると、イスラエル地上部隊は「戦闘訓練を受けておらず、地上戦で兵士たちが直面するであろう『特殊な状況』を成功させる能力があるか確証が持てないのだそうです。
この内部関係者は、イスラエル空軍はもはやアラブ民間人に爆撃について警告を発していないと指摘しています。昨日のエントリーで述べたとおり、ガザ地区内では、既にネットを初めとして通信断絶状態ですから、ハマス諸共民間人を虐殺してもリアルタイムでは分かりません。
ある情報筋は「今日の大きな議論は、ハマスを餓死させるか、それともガザで10万人もの人々を殺害するかだ」と語っているそうですけれども、この通りだとすれば、このどちらも有り得ることになります。
10月25日、イラン通信は情報筋の話として、ガザ北部におけるイスラエルの夜間地上作戦に合計5000人の米軍人が参加したと報じました。
それによると、イスラエルの作戦には米軍の3個師団といくつかの旅団が参加したとのことで、イスラエル軍はガザ地区を2つか3つの地域に分割し、これらの地域から進入を試みました。
AP通信によると、この作戦は本格的な地上侵攻の前に「戦場を準備する」ための偵察的なものだったようです。
25日、ハマス関係者のアリ・バラカ氏は、ガザ地区の3方向から地上攻撃を開始するというイスラエルの一夜の試みは失敗し、イスラエル軍は大きな損失を被ったと述べました。一方、イスラエル軍は、兵士と戦車が戦闘機を破壊し、トンネルや対戦車ミサイル発射地点を破壊したとし、イスラエル軍に死傷者は出ていないと発表しています。
どちらが本当でどちらが大本営発表なのか分かりませんけれども、戦争は双方自身に都合がよいように発表するものです。ただイスラエル軍が一晩の軍事作戦でこんな簡単に戦果を挙げられるのであれば、長期間の戦闘にはならないような気もします。ここらあたりは、戦争が終わってからでないと分からないかもしれません。
ハマスはイスラエル軍の攻撃に対し、人質を「人間の盾」として使ってくるのではないかと思われますけれども、情報筋がいうようにネタニヤフ政権が「ハマスを餓死させるか、ガザで10万人を殺害するか」のレベルで考えているのであれば、あっさりと人質を見殺しにすることだってないとはいえません。
国際社会が人道支援で水や食糧を援助すればするほど、前者の成功確率はどんどん減っていきます。となると後者の選択をする可能性が高まります。
ネットでは、「イスラエル指導部はガザ地区を第二の広島に変える計画を立てている」なんて情報があるなんて噂も流れています。
果たしてネタニヤフ政権が10万人の虐殺者と呼ばれるリスクを負ってでもハマス壊滅をするのか。カタストロフィにならないことを祈ります。
Israel wants to destroy Gaza like Hiroshima
— Sprinter (@Sprinter99800) October 24, 2023
The Israeli leadership plans to transform the Gaza Strip into a second Hiroshima. This was reported by American journalist Seymour Hirsch, relying on his sources in the IDF.
After the bombing, Prime Minister Netanyahu intends to…
この記事へのコメント
金 国鎮
プーチンとネタにエフは仲がいい。ネタにエフはロシアで育ったユダヤ人の一人だろう。
彼らは赤の広場でナチスによって亡くなった多くの人たちの写真を持ちながら行進していた写真を見た。しかし今回のプーチンの発言はこれまでのプーチンの対応とは異なる。
プーチンと会ったハマスの指導者はプーチンの肉声に感銘を受けたようだ。
彼らは恐らく子供のように喜んだ、正直な反応だ。
プーチン・エルドアンどれもこれもイスラエルにとっては破局を意味する言葉が並んでいる。
ルシファード