くまクマ熊ベアー

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。


2023-11-10 101501.jpg


1.くまクマ熊ベアー


全国で熊被害が相次いでいます。

環境省によると、今年4月から9月までにクマによる被害にあった人の数はあわせて109人と、国が統計を取り始めて以降、過去最悪の被害となると見込まれているそうで、国や自治体などが対策の徹底を呼びかけています。

その原因について、野生生物などを研究している新潟大学農学部の箕口秀夫教授は次のように述べています。
・この林でも並作であれば、もう今の時季にどんぐりが落ちているんだけれども、こうやって見渡してみても、なかなかドングリが見つからない
・『餌不足』から、クマ棚が多くみられ、クマの行動圏も変わっている。例年以上に広範囲で移動している
・冬眠までにはまだ2か月以上あると考えると、その間クマは餌がない状況の中で餌を求めなければいけないということで、人里や市街地といった所に気をつけなければいけない
・アーバンベアと言われているのは、私達の生活の場所に出てくるクマ。人里に降りるクマが今、どんどんどんどん増えているという状況です
・餌を探して食べ物を探してヒョイっと出てくると、もう人里になってしまう…。それは新潟県だけではなくて多くの中山間地で起こっているし、もっと人口の多い都市などにも、同じような場所ができあがっている
・アーバンベアが増えている理由は、農村地域の高齢化や過疎化によって耕作放棄地が増えたり狩猟者が減り、クマと人との距離が近くなったことなどがある。
・私達が暮らしている場所と動物たちが暮らす場所との間にわざと、動物たちが行動しづらいような環境を作り出してあげること。時間がかかるかもしれませんけれども、これを計画的に進めていく必要がある
簔口教授は、餌不足で熊が人里に降りるだけでなく、農村地域の高齢化や過疎化によって耕作放棄地が増えたり狩猟者が減り、クマと人との距離が近くなったというのですね。


2.これは『ガチャン』です


この自体に自治体は熊の駆除を行っている訳ですけれども、熊被害が多い東北各県に対し、駆除に抗議する電話やメールが殺到しているようです。

人身被害が全国最悪の秋田県はピークの10月上旬からは減ったものの、1日数件は「なぜ殺す」など強い口調の苦情も来るとのことで、秋田県によると、抗議が最も多かったのは、美郷町の畳店の作業小屋に10月4日朝から親子とみられる3頭がとどまった直後。駆除したため「かわいそう」といった電話やメールが殺到し、電話口で号泣する人もいて対応した職員の業務に支障が出たそうです。

秋田県の佐竹敬久知事は11月6日の記者会見で「電話は乱暴なんです。これ付き合ってますと仕事できません。これ業務妨害です。最初からこられたら、これは『ガチャン』です……感情論が非常に多いものですから。国がクマのいないような地域に対し、理解を得るような行動をとっていただければいいなと思っています」と、述べています。

秋田県内の自治体では、1500件近くのクレームが殺到しているそうですけれども、一人で何件も抗議する人もいるようです。

マスコミが行政に30件電話を掛けたという人物が取材したところ、件の女性は次のように語りました。
自治体に抗議した女性:「当たり前のように馬鹿みたいに来たら殺す。それしかできないのっておかしい。みんな野生の生き物って、癒やしてるわけじゃない。クマは怖い汚い恐ろしいというイメージを植え付けられている。悪者じゃないよ、そう思わない? もともと人の責任でしょ。高速道路造ってゴルフ場やリゾートで山を削ったので、とにかく自然を破壊して今に至っているわけですよね。結局、人が手を加えてそういうことをしているから、野生の生き物の生きる場所がなくなっているんですよ」

ーーかなりの暴言をいう人もいるが?

 自治体に抗議した女性:「私はそんな攻撃的な、そこまでは私はしないです。それは逆に無駄な抗議という気がします。そういう過激な人はいます」

ーー何か指示をしてくる人も中にはいらっしゃる?
 自治体に抗議した女性:「電話しなさいって言われても、自分でニュースを聞かないと。自分が本当に納得して、おかしいなとか、これは何でと自分で思った時、自分の意思で電話してますよ」

ーーどういうふうにしてほしいとお伝えしたのでしょうか
 自治体に抗議した女性:「親子のクマは山に戻してほしいと。麻酔銃でおりに入れたら静かにしている。その間に運んで、山に帰してほしいって言いましたよ」

ーー自治体にはどれくらいの数電話した?」
 自治体に抗議した女性:「あちこち数え切れないですね。30件はしてますね」

ーー自治体によると死者出ているが?
 自治体に抗議した女性:「そうですね、急に襲われるということも恐ろしいけどね。番犬、だいたい番犬。山に近い所にお住まいの方って、番犬飼っておけば犬が騒ぐと分かるじゃない」

ーークレームが殺到して、自治体も困っているという話についてはいかがですか
 自治体に抗議した女性:「逆に電話したくないです。本当に。今年はこうして諦めるしかないんだなって。山を管理する人たちが、色々対策考えなくちゃいけないと思うんですよ。環境省が役所の環境、農林課とかいろいろ。だから、もっと一生懸命、頑張って……クマは母親一人で子育てするわけ。若い母親だったらどこに行っていいか分からなくて、やっとの思いで餌を探しているところを見つかって殺されて。想像すると、本当涙出ないの、あなた。やっとの思いで生きているのに、人の手で殺されて……そう言いながらも、私は実際のところ、都市部に住んでるから、農村部に住んでクマの被害におびえている人の気持ち、分からないところもあるから、なんか自分でも微妙」
この人は、クマの被害におびえている人の気持ちは分からないと述べていますけれども、秋田県などの自治体は、「クマが出没した町内に住む人からの苦情は一切来ていない」と説明しています。要は「他人事」と「現実」の違いが表れたのかなという気がします。




3.全員一度クマに襲われるべきですよね


この熊の駆除に対する自治体への抗議について、10月26日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で、司会の羽鳥慎一アナウンサーは、「もちろん、クマに罪はないんですけど、抗議する方々の主張も分かります」とした上で駆除について「ただ、住んでいる方の安全、命を考えるということだと思います……駆除に抗議をするという主張はもちろんあると思いますけど、本来、業務を妨害する抗議の方法はどうなのかな?と思います」とコメントしました。

また、10月29日、TBSの安住紳一郎アナウンサーは、自身がパーソナリティーを務めるTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」で、天気の話題の中で、東京都心や千葉県などで25日夜に大気の状態が不安定になって雨雲が急速に発達し、雨や雷に加えて雹の降ったことに言及。「私、大分県に出張だったのでニュースで知ったんですけども、自分は東京に住んでいるんだけれども、自分がいない時に雹が降ったとして、さほど興味ないんですよね。人間って怖いですね。今すごくそう思いました」と切り出し、大分県に出張していたスタッフについて「誰も東京にいる人たちのことは心配しませんでした。人間ってそういうところがありますね……実体験したりとか自分が怖いって思ったっていう、そういう経験が直接ないと。だから全員1度クマに襲われるべきですよね、うーん」と発言しました。

安住アナの発言は人によっては過激に聞こえるかもしれませんけれども、北海道出身なだけあって、熊被害も身近に感じられたのかもしれませんけれども、実体験がないと他人事になってしまうというのは肝に銘じておくべきかと思います。




4.熊犬の牙


ただ、熊が出没する全ての自治体が深刻な熊被害に遭っているかというと、必ずしもそうとは限りません。

長野県軽井沢町では、12年間にわたり、熊の人的被害をゼロにしています。その鍵は対熊の訓練を受けた犬。通称「ベアドッグ」です。

ベアドッグとは、熊の匂いや気配を察知するための特別な訓練を受けた犬のことで、スタッフの指示に従い、大きな声で吠えたてて、熊を森の奥に追い払うことができるそうです。

ベアドックによる熊の追い払い活動をしているNPO法人「ピッキオ」は、2000年から軽井沢町の委託を受け、熊の保護管理を行っています。

なんでも、熊は学習能力が高いため、追い払いを繰り返すうちに「居てはいけない場所」を理解するようになるそうです。ベアドッグは熊に襲いかかることはせず、一定の距離を保つことで、熊も犬も保護しているとのこと。また、ベアドッグは、熊の匂いに反応するように訓練されているため、住民からの通報を受けて目撃現場に駆け付けた際に熊の姿が見当たらなくても、匂いでクマの移動経路を特定し、付近の安全を確認することができるとしています。



ベアドッグにはカレリア犬というロシアとフィンランドの国境地帯を原産とする犬を使っているそうです。

カレリア犬は、古くからヒグマ猟の場で活躍してきた、独立心が強い大型犬。吠え声が大きく、運動量が多いことから、愛玩犬としての飼育にはあまり向かないそうですけれども、熊対策にはうってつけという訳です。

動物研究家のパンク町田氏は「犬は我々からしてみれば犬だが、彼ら(クマ)からするとオオカミ。オオカミのいない所で生活したいというのがクマの望み」と述べていますけれども、「ピッキオ」は人間と熊の境界線を明確にすることで、軽井沢町のクマ被害を抑え続けているそうです。

冒頭で紹介した新潟大学農学部の箕口秀夫教授は、熊被害対策として「私達が暮らしている場所と動物たちが暮らす場所との間に、動物たちが行動しづらいような環境を作り出してあげること」と指摘していますけれども、「ピッキオ」が行っている人間と熊の境界線を明確にすることは、まさにこれに当たると思います。

脅威から身を護るために、住宅地を巨大な壁で囲うよりは、犬を使って境界線を熊に覚えさせる方がずっと自然です。我々も熊被害を他人事にせず、「ピッキオ」のようなNPOを支援するようにできればよいと思いますね。




  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント

  • 簑島

    きぐるみが重要
    2023年11月11日 09:31
  • yoshi

    ベアドックが有効なんて知りませんでした。ありがとうございます。
    2023年11月12日 11:00