虚栄に生きるか名誉に死ぬか

今日はこの話題です。
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1.新型武漢ウイルスワクチンの定期接種


厚生労働省は、来年度からの武漢ウイルスのワクチン接種について、来年3月までは接種費用を全額公費で負担して行われる現在の対応を見直し、来年度以降の費用負担について、季節性インフルエンザなどと同様に原則費用の一部自己負担を求める「定期接種」とする方針を固めました。

具体的には、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人について、国の交付税で接種費用の3割程度を補助した上で、接種を受ける人に原則、費用の一部自己負担を求めるとし、接種の時期は年に1回、秋から冬の間に行う予定としています。

また、65歳未満で重症化リスクが高くない人については国の補助がなく、全額自己負担や自治体からの補助を受けて接種する「任意接種」とする方針だそうです。

無論、武漢ウイルスは次々と変異するとされていますから、インフルエンザと同様に当面の間、使用するワクチンの株を毎年見直すようです。

厚生労働省は来週開かれる部会で専門家の意見を聞いたうえで、正式に決めるとしています。


2.ワクチン接種なければ36万人死亡していた


11月17日、武漢ウイルスワクチンの接種によって、国内の令和3年2~11月の感染者と死者をいずれも90%以上減らせたとの推計結果を京都大の西浦博教授らのチームがまとめたと報じられました。

これは、1、2回目の接種をしていた2021年2月17日〜11月30日を対象に、接種した人が増加するペース、当時主流だったデルタ型の感染力、別の研究で示されていたデルタ型に対するワクチンの効果、人の移動の活発さといったデータを分析し、感染者数や死者数がどう変化するかを見積もった結果です。

この間の感染者数を470万人だと仮定した場合、ワクチン接種によって感染者数を92.6%、死者数を97.2%減らせたと推計。接種した人の感染が防がれると、その人が感染させる人も減る効果が特に大きかったとしています。

実際には、感染者は約470万人で死者は約1万人だったのですけれども、西浦氏は、ワクチンがなければ感染者は約6330万人、死者は約36万人に達した恐れがあるとしています。

ただ、筆者がちょっと引っ掛かったのは、2年も前のデータを解析した結果がなぜ、今になって報じられるのかということです。

確かに、件の集計を纏めた論文と思われる「Evaluating the COVID-19 vaccination program in Japan, 2021 using the counterfactual reproduction number」が、英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に掲載された日付が2023年10月18日ですから、それを受けて、今になっての掲載になったのかもしれません。あるいは、ワクチン接種が定期接種になることに合わせて報じた部分もあるのかもしれません。


3.右手に掲げた論文見つめて


件の論文が「サイエンティフィックリポーツ」に受領されたのは2023年5月17日ですから、論文自体はそのころまでには出来ていたことになります。

実際、今年の4月14日、西浦氏は日本内科学会総会・講演会のシンポジウムで、今回の推計について述べています。

その概要は次の通りです。
・数理モデルに基づくリアルタイム分析によると、ワクチン接種の直接的な効果によって第5波では1万8622人の死亡を防ぐことができた
・仮にワクチン接種が存在していなかった場合を想定すると、2021年8月時点で6300万人が感染し、そのうち36万人が死亡していた可能性がある
「ワクチン接種は生物学的な作用としての直接効果だけでなく、集団レベルで感染機会を減らすことによる間接効果も大きい。ワクチン接種が全く実施されなかった仮定のシナリオと比較して、死亡は97%減少したと推定される
・人口の85%超が自然感染による抗N抗体を有しているイギリスにおいて、減衰振動が見られる。一定規模の流行を繰り返しながら、人口の約2%が常にRT-PCR陽性となるエンデミック化に向かっている。自然感染による免疫保持者が他国に比べ低い水準にある日本では今後も大規模な新型コロナの感染拡大が続く可能性が高い。
・新型コロナはいつかはエンデミック化することになるが、日本の後期高齢者の人口規模は他の先進国と比較しても大きいため、今後の日本におけるコロナ死者は世界的に比較するとトップクラスになると予想される。そうした中で、医療はいかに対応すべきかを皆で考えていく必要がある
・まず分かったのはとても難しい事実だった。新型コロナには無症候状態からの2次感染が存在する。新型コロナの2次感染の約半数が発症前に起きていると推定される。これが感染者一人一人を厳密に隔離したとしても、それだけでは新型コロナの封じ込めが困難な理由だ。
・新型コロナのクラスター発生リスクについて通常の飲食店を1とすると、アルコールが提供されるとば8.8倍、追加でカラオケ設備があれば37倍、異性などに目の前で接待される形式の飲食店では73倍に膨れ上がる。どこでクラスターが発生していたのかを明示するこうしたデータが、日本独自のコロナ対策を下支えしていたこと
・どのような場面に介入を行えば社会に大きな歪みを生まずに、実効再生産数を抑制することができるのかを模索してきた
・緊急事態宣言というオプションだけでなく、ハイリスクな場に限定して介入を行うことで、実効再生産数が1を下回るという日本の感染抑制のストラテジーの基本的考え方が第2波の対応時に完成した。2020年夏頃に起きた第2波は緊急事態宣言を発出することなく、ピークアウトした。
・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置について、もっとスマートに事前計画を行えればできることはあった……都道府県ごとに、ここではこの対策を実行するが、ここではしないといった形で事前に分けることが計画されていれば、それぞれの有効性を分解して推定することも可能なはずだった。次のパンデミックに備える上では、こうした事前の研究計画を常に準備している状況を築いていきたい」

西浦氏は、日本の感染抑制のストラテジーの基本的考え方が第2波の対応時に完成したとして、「2020年夏の第2波は緊急事態宣言を発出することなく、ピークアウトした」と述べていますけれども、ワクチン接種が本格化したのは2021年5月くらいからです。つまり、第2波のときには殆ど誰もワクチンを打っていなかったはずです。それでも感染者はほとんど出なくて、日本には「ファクターX」があるんだ、なんて言われていたのです。

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数量経済学者の高橋洋一氏が「さざ波」投稿で批判され、内閣参与を辞任したのが2021年5月ですから、ワクチンを打たなくても感染者は殆どいなかったのですね。

第2派で日本の感染抑制のストラテジーが完成したのなら、それを推し進めればよいと思いますし、ワクチンなしで、感染者も死亡者も驚くほど少なかったのに、いきなりワクチンを打たなかったら、2021年8月時点で「6300万人が感染し、そのうち36万人が死亡していた」という推計を出されても、筆者には、そのギャップにちょっと違和感を感じてしまいます。

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無論、この推計をすんなり受け容れる人もいる訳で、ひろゆき氏は、11月16日に「コロナワクチンで死者9割以上減 京都大チームが推計 。コロナワクチン接種のために自衛隊を動員したり、かなり無茶をしましたが、結果として35万人の命を救った事になります。当時の菅首相と河野大臣は、評価されてもいいと思う」とツイートしています。


一方、この西浦氏の論文を疑問視する人もいます。

筑波大学システム情報系准教授の掛谷英紀氏は、件の西浦氏の論文について、「話題の西浦論文を読みました。主な問題点 (1)クロスバリデーションの評価なし (2)短期予想モデルの結果を繋ぎ合わせて長期のシナリオを作っている 明日の天気を高確率で当てるモデルを作っても、その予想を繋ぎ合わせた一ヶ月後の天気や翌月の降雨の総量予測は当たらない」とツイートし、更に「OECDかEUに加盟の43ヶ国のデータに基づき、ワクチン接種なしで、感染者がどのくらいになるか推計してみました。人口の9~10%程度というのが私の計算です。国情の違いは一切考慮していませんが、西浦論文の日本で6330万人感染は絶対ありえない数字です。この結果は論文化しますので少々お待ちください」と述べています。

工学系の准教授からみれば、西浦論文は色々と穴が見えるようです。





4.求めるはただ真実それだけ


西浦論文がネットで話題になる一方、大学から追い立てられた人もいます。西浦氏と同じ京大の宮澤孝幸准教授です。

宮澤准教授については、10月13日のエントリー「トップウイルス学者吼ゆる」でも取り上げたことがありますけれども、宮澤准教授は武漢ウイルスやワクチンの危険性について警鐘を鳴らしていました。

10月31日、宮沢准教授は、「私儀、このたび2024年5月をもちまして京都大学を退職することとなりました。つきましては、大学の取り決め通り医生物学研究所附属感染症モデル研究センター ウイルス共進化分野 宮沢研究室は、私の退職に伴い閉鎖となりますことを皆様にご報告申し上げます。」とツイートし、退職することを明かしました。


添付の文書には「研究所にはミッションがあり、職員はその研究に専念することが求められます。それに合致しないことは評価しないという大学と私ではスタンスの違いが大きいということは十分にわかります。しかしながら、国難に当たっては、正しい情報を国民に発信することは大学教員、研究者としての責務であると私は考えています。自分の研究を大事にしつつも、そこから逃げずに対処するというのが私の行動原則でありました。 この考えに至った経緯は、これまでに拙書『ウイルス学者の責任』(PHP新書)などでも述べてきた通りです。しかしながら、コロナ禍においても私の本業での業績は十分であったにもかかわらず、大学からは最後まで理解を得ることはかないませんでした。まだ研究を続けたいというのが私の本意ですが、心血を注いで築き上げてきた研究に必要な環境、研究室を来春で閉鎖する事態に至りました」と、退職の理由を明かしていますけれども、業績を上げていたにも関わらず、大学の理解を得られず、退職させられてしまう。さぞかし無念だろうと思います。

この宮澤准教授のツイートには、数々の感謝と励ましと応援のリツイートが寄せられていますけれども、宮澤准教授の魂の訴えを受けとった人は少なくない筈です。

武漢ウイルスとワクチンの真実が明らかになる日がくるのかどうか分かりませんけれども、確かに宮澤准教授は、一瞬とはいえ、歴史の頂きに立っていたのではないかと思いますね。




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