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1.鈴木財務相の反論になってない反論
11月24日、鈴木俊一財務相は閣議後会見で、鈴木財務相は「昨年の3党での協議の際に、発動に際しさまざまな課題があるとの指摘がなされ、脱炭素に向けた国際的な潮流、さらに財務大臣としての立場から言えば、国・地方合計で1.5兆円もの巨額の財源が必要となることなどの課題がある……今後3党間で検討の進め方について相談がなされるものと承知している……具体的な検討にあたっては今申し上げたような課題も含めて議論がされるのではと考えている。財務省としてはそうした協議を踏まえつつ適切に対応していきたいと考えている」と、「トリガー条項」凍結を解除すれば、国・地方で1.5兆円の財源が必要になるとの考えを改めて示しました。
鈴木財務相は昨年2月の衆院予算委員会で、国で年1兆円、地方で0.5兆円の計1兆5700億円の税収減になるとの試算を示し、凍結解除に慎重な姿勢を示していました。
一昨日のエントリーで国民民主党の玉木雄一郎代表がトリガー条項発動について岸田総理に迫っていましたけれども、その質疑の際、玉木代表は「トリガー条項発動した際に、地方の減収分なんかも補わなきゃいけないので、月1300億ぐらいかかる一方、今回補助金でやってきたことを整理すると月、ガソリンと軽油に関しては1600億掛かっている」と指摘しています。
月1300億は年では1.56兆円ですから、鈴木財務相のいうトリガー発動時の1.5兆円の財源と平仄が合います。一方、これまでの補助金はガソリンと軽油で月1600億、年で1.92兆ですから、トリガー発動の方が安い訳です。
実際、この鈴木財務相の発言に対し、玉木代表は「鈴木大臣、お言葉ですが、今の補助金制度は1.9兆円/年の財源を使っているので、トリガー条項凍結解除の1.5兆円の方が安くつきます。また、会計検査院から無駄だと指摘されたガソリン価格調査も要らなくなるので。財務省の反論は反論になっていません」とツイートして反論しています。
また、SNSでも「やる気がないから、やらない言い訳は100個でも並べるでしょうね。やり方一つ考えるのが本来の仕事!財務省の操り人形かなぁ😱」「補助金は税金でしょ、出してた分税金下げれるだろ。トリガー発動で国民はガソリン代安く成り税金も下がる」「15兆の取り過ぎ分どこ行ったよ?1.5兆の10倍だぞ。もう無い、てZが勝手にどうこうできるんかい?財源言うたら何でも言い逃れできると思うなよ…と後ろにいるZに言うとけ!」と鈴木財務相というより、背後の財務省への批判の声が多いようです。
鈴木大臣、お言葉ですが、今の補助金制度は1.9兆円/年の財源を使っているので、トリガー条項凍結解除の1.5兆円の方が安くつきます。また、会計検査院から無駄だと指摘されたガソリン価格調査も要らなくなるので。財務省の反論は反論になっていません。 https://t.co/O0NQH9qhqC
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) November 24, 2023
2.本来消費税率は柔軟性があるもの
減税について、鈴木財務相はトコトン消極的な姿勢を見せています。
11月8日、衆院財務金融委員会で、鈴木財務相は、物価高対策としての消費税減税について、共産党の田村貴昭委員への答弁で次のように述べています。
【前略】鈴木財務相は、消費税は「社会保障目的税だから弄れない」「低所得者への支援が手薄になる」という理由で拒否しています。
○田村(貴)委員 では、大臣、何でこういう事態になっているんですか。これはまた論議しますけれども、これでは現実に起こっている問題を解決できないんですよ、こういうことをやっていると。だって、病院だって、お金をためたい、使いたくないと、抑制効果が働いてくるわけですから。病院のお金は、やはり病院のために使うべきです。まして、軍拡財源に召し上げることは許されません。
次に、総合経済対策について伺います。
岸田内閣の支持率は、どの世論調査を見ても最低であります。そして、鳴り物入りの経済対策も、評価をしない、大体これが六割を超えています。JNNの最新の世論調査で、経済対策について、期待すると答えた人は一八%にすぎず、期待しないと答えた人は七二%にも上っています。デフレに後戻りさせないための一時的な措置として政府は定額減税などを行うとしていますけれども、この措置について何がよいのかという問いがありました。消費税の減税が四一%と最も多かったのであります。ちなみに、定額減税については、評価をしないが六四%にも達しています。
鈴木大臣、もう明らかになったんじゃないですか、国民世論的にも。いっときの減税の後に負担増と増税があることを国民はもう見抜いていますよ。だから、こういう結果になるんです、どの世論調査を見ても。
今、やはり、かじを切り直さないといけない。国民が望む経済対策、すなわち消費税の減税、物価高騰に有効な対策、すなわち消費税の税率引下げ、ここに踏み切るべきではありませんか。いかがですか。
○鈴木(俊)国務大臣 田村先生から、確実に可処分所得を伸ばし消費拡大につなげるためには消費減税が一番効果的だというお話がございましたが、消費税につきましては、急速な高齢化に伴い、社会保障給付費、これが大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられております。したがいまして、政府としては、その引下げを行うことは適当ではないと考えております。
また、物価高対策という観点から見ましても、消費税減税は、高額消費を含めて負担軽減がなされることとなり、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者への支援が相対的に手薄になってしまうもの、そのように考えているところであります。
○田村(貴)委員 鈴木大臣、国民の声に耳を傾ける政権ではないのですか。あらゆる方が今おっしゃっていますよ。与党自民党の若手の集団の方だって、消費税率の引下げを岸田総理に要求しているじゃないですか。野党も要求していますよ。頭から消費税減税を否定するのではなくて、これは強く要望しておきます。
財務省は、減税による効果を検証していないと言います。財務省だからこそ、減税による効果を検証すべきではありませんか。そのことはまた議論しますので、強く要望しておきます。
【後略】
けれども、消費税は導入時に目的税として設定されていませんでした。
この点について、11月9日に行われた経済産業委員会で、青山繁晴参院議員は次のように述べています。
そもそも消費税を竹下内閣で導入した時に目的税にしないはずだったんですよねそれ が財務省の指導によって目的税化されて社会保障の財源になってしまってるから硬直してるんであって、本来は消費税率というのは、例えば英国でも上げたり下げたりしますように柔軟性があるものなんですね。
柔軟性を持ってる税を目的税にしちゃいけいうのは、実は税のイロハの意だと思います。だから安倍さんとの議論でもまそういうこと私申し上げましたのでやっぱり内閣全体としてもう1度水面下では検討していただきたいと考えます。
前述の衆院財務金融委員委員会で、田村貴昭議員は、消費減税による効果を検証していないと指摘していますけれども、10月10日に野村総研が発表した、5兆円の減税・給付金の経済効果試算では、法人税率引き下げが+0.48%で最大、消費税率引き下げが+0.43%と続き、所得税率引き下げでは+0.25%、個人に対する給付金の場合には+0.21%と最も小さくなるとなっています。
つまり、個人への可処分所得でみれば、補助金をばら撒くより消費税率引き下げの方が効果がある訳です。
本来はこうした減税による経済効果の検証こそ財務省がやるべきなのに、それをやらない。これでは検証したら、減税するほうがよいとバレるから隠しているのだと疑いたくなります。
3.経済効果がない財務省
財務省は昔から、減税による経済効果をまるっきり無視しているきらいがあるように思います。
2016年06月04日のエントリー「もしも財務省がゲーム会社だったら」というエントリーで、筆者は、財務省が財政再建ゲームをつくったことを取り上げたことがあります。一部抜粋すると次の通りです。
少し前に話題となった財務省作成の財政再建ゲームもそうですね。この中で高橋洋一・嘉悦大教授がボロクソに言っているように、増税・減税によって、経済の拡大・縮小の動き、つまり経済効果を全く考慮しないクソゲー仕様となっています。
こちらは、「財務大臣になって財政改革をし、2020年までに日本を黒字化するゲーム」なのですけれども、こちらは各種予算を増減させるだけで、こちらも経済の変動が考慮されていません。先に取り上げた嘉悦大の高橋洋一教授がこちらのゲームについても、「こうしたゲームは10年ほど前から財務省のサイトにあるが、いずれも単純に歳入と歳出の足し算や引き算をしているだけのものだ。現実との違いは、歳出カットや増税をしても、経済状況が変わらないという前提だ。つまり、財務省のゲームは、マクロ経済、つまり経済の拡大・縮小の動きに連動させず、財政の中で足し算引き算をしている。しかし、実際には財政とマクロ経済とは相互に関係しながら動いている」と酷評しています。
こちらの記事で、このゲームをやってみたリポートがあるのですけれども、超増税と社会保障予算をカットすることで黒字化になる、というどんな悪代官ですか、という代物です。
はっきりいえば、増税による影響を全く無視している段階で、シミュレーションの意味を失っています。これならまだ、「シムシティ」とか「A列車で行こう」で遊んでいた方がマシではないかと思える程です。
もし、「シムシティ」や「A列車で行こう」で、増税とか運賃の値上げをしても、人口も乗降客も減ることもなければ、不満も持たないという設定だったとしたら、散々に叩かれるのではないかと思いますね。そんな架空な設定にはしない筈です。
4.財務省が国民の敵と認知される日
11月24日、国民民主党は衆議院予算委員会で政府提出の令和5年度補正予算に賛成しました。賛成する理由として、11月22日の衆議院予算委員会において岸田総理が物価高騰対策として、国民民主党が従来から主張する「トリガー条項の凍結解除」の検討を行う方向性を示したことを挙げていますけれども、これについて玉木代表は記者団に対し、「これが最後の挑戦だと思っている」とした上で、実現しなかった場合の自身の進退について「問われる覚悟は出来ている」と述べています。
このように、玉木代表は、進退をかけてトリガー発動を求める、とした訳ですけれども、ここまで突っ張って注目を集めておくのは一つの戦略のようにも見えます。
というのも、もし、トリガー発動となってガソリン代が安くなれば、国民民主の手柄になりますし、発動されなければ、与党の責任にできるからです。これは次の衆院選を見据えての大きなアピールポイントになると思います。
それに、今回、岸田総理がトリガー発動のための検討を指示したのに対し、鈴木財務相と背後の財務省が異を唱えるという構図が明確化したことで、国民の批判の矛先が岸田総理ではなく財務省に向かう可能性がでてきたように思います。つまり、「財務省が国民の敵」として認知されるといううことです。
もし、仮にトリガー発動して、経済が活性化しようものなら、減税は効果があったとなり、財務省のこれまでの主張が「ウソ」だったということになります。となれば、それ以外も減税しろという動きだって出ないとも限りません。
その意味では、たかがトリガー条項とはいえ、これは外せるか外せないかは、これまでの「財務省の呪い」が解けるか否かの正念場ともいえ、かなり重要な局面を迎えているといえるのかもしれませんね。
この記事へのコメント
素浪人
罪務宦官府はもう何十年も前から日本国民の敵ですね。未だにそれを認識していない人が多過ぎます。怒らない・大人しくしていることが日本人の美徳みたいに思っている人は人間の本能を忘れた一生命体、とも言えるかと思います。
もし、日本国民の大多数が政府の経済政策の不作為に怒り狂い、その怒りが罪務宦官府に向くならば、我が国は速やかに経済的に立ち直るでしょう。その過程で、多くの日本国民が決起し、罪務宦官府を襲撃し、宦官共を処刑する(国民裁判の実施)ならば、それは日本国民として当たり前のことだと思います。ただ、喩えは悪いですが、『赤信号、皆で渡れば怖くない』ということで、大多数の日本国民が決起することで初めて、ジョン・ロックの抵抗権(民主制度下の国民の抵抗権)発動=令和の日本革命、につながります。
naga