

1.中国での呼吸器疾患急増
中国で子供を中心にマイコプラズマ肺炎などの呼吸器疾患が急増しています。
現地メディアによると、過去数週間で病院の受診者数が急激に増え、SNSでは、子供が病院の診察室に入りきらず、待合室で点滴を受けている様子などを収めた動画が拡散しているようです。
11月22日、世界保健機関(WHO)は、中国当局に対して詳細な報告を求め、中国国内で暮らす人々に対し、マスク着用や手洗いなど感染防止策の徹底を呼びかけました。
中国当局は新型ウイルスが原因ではないかとの懸念の払拭に努め、マイコプラズマが中心で病原体は既知のものだと23日時点で世界保健機関(WHO)に報告したとしています。
ただ、北京市の保健当局は、同市最大の小児科医療センターの患者から最も頻繁に検出される病原体は、インフルエンザウイルスとアデノウイルス、RSウイルスがマイコプラズマを上回っていると説明しており、現地メディアによれば、北京市に隣接する天津市と上海市でもマイコプラズマの陽性率はここ数日低下傾向にあるとのことです。
もっとも、中国国家衛生健康委員会は子どものマイコプラズマの危険は低下したが、複数の呼吸器疾患の感染拡大が、来春にかけ大流行に向かう恐れがあると警告しています。
24日、この中国での子供の肺炎急増について、武見敬三厚生労働相は閣議後記者会見で、「中国政府には外交ルートを通じて情報提供してほしい旨伝達している。今後も情報収集に努め、内閣感染症危機管理統括庁と連携して対応していく」と述べていますけれども、これについて、橋下徹・元大阪市長は、テレビ番組で、「“問題ない、問題ない”って新型コロナの時と同じですよね。もう少し誠実に情報提供してほしいですよね」と苦言を呈しました。
前回のやらかしもありますし、やはり中国の発表に全幅の信頼を置くことは危険だと思います。
2.国立感染症研究所のリスク評価
今回の中国の感染症について、国立感染症研究所は24日、状況の解説と評価を行っています。
その概要は次の通りです。
・中国における原因不明の呼吸器感染症の発生状況このように、国立感染症研究所も、情報不足で判断できないとしています。
2023年11月22日未明に国際感染症学会の主催する感染症情報共有サービスであるPromed mailが中国北京市、遼寧省などで小児の呼吸器感染症が増加し、外来診療が圧迫されているとのメディアの報道を取り上げたi。本記事では、北京や遼寧省の小児病院の外来が混雑していること、発熱はあるものの咳はなく、胸部X線検査で陰影がみられることを指摘しており、また教員の罹患があり学校での曝露があったことを報じているが、病原体診断に関する記述はなかった。Promed mailではこれに加え、北京と遼寧省が800km程度離れていることから、より広い地域で発生している可能性について言及した。
本件に関連して、中国政府や北京市政府から、原因不明の肺炎が発生及び流行している旨の公式発表はない。一方で、北京市疾病予防・管理センター(北京市CDC)、遼寧省政府は現在インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、ライノウイルス、RSウイルスなど複数の呼吸器感染症が地域の小児で流行していることを発表している。
また、11月23日にWHOは中国国家衛生委員会、中国国家疾病管理予防管理総局(中国CDC)、北京小児病院と会談を行い、この中で中国は2023年5月以降マイコプラズマ肺炎、10月以降インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルスの各感染症が小児で流行し、外来、入院共に患者が増加しているが、COVID-19による感染対策が解除されたことの影響と想定され予想外の事態ではないこと、現時点で新規の感染症や異常な臨床症状の報告はなく、既知の感染症によるものとして矛盾はしないと報告している。
・中国における既知の病原体による呼吸器感染症の発生状況
複数のメディアが、中国では2023年5月以降マイコプラズマ肺炎の患者が増加し始め、8月から9月以降に急速に患者数が増加し、特に6歳以下の小児で多く発生していると報道しているvi,vii,viii。過去の報告では北京市では8月から翌年1月にかけて流行し、10月頃にピークを迎え、また5歳から14歳の小児での陽性率が高いとしておりix、今回の流行状況と矛盾しない。
なお、中国においては、これまで肺炎マイコプラズマのうちマクロライド系抗菌薬に耐性を示すものの割合が高いことが知られておりx、北京市CDCによると、2023年に報告されている肺炎マイコプラズマにおいても、遺伝子変異により、アジスロマイシンに対して一定の薬剤耐性を持つ可能性が指摘されている。
また、中国CDCによるインフルエンザ様疾患(ILI)サーベイランスでは、2023年10月初旬から中国北部でのILIの定点当たり報告数が増加しており、またインフルエンザウイルスの亜型検出状況ではA(H3N2)の検出数が増加している。また、報道ベースであるが、北京市CDCは、11月21日に記者ブリーフィングを行っており、マイコプラズマ肺炎の報告数は減少しており、ILIのうち40.75%でインフルエンザウイルスが検出されており、次いでライノウイルス、RSウイルスの検出が多いとしている。
・リスク評価と対応
WHOは現在の呼吸器感染症の発生について、呼吸器感染症に共通する症状であり、現在の中国の情報からはマイコプラズマを含む既知の病原体によって引き起こされているとしている一方で、今後冬季に入ることで呼吸器疾患が増加し、今後の医療施設の負荷が増大することが懸念されるとしているv。
一方で、現時点では情報は限られており、今後の中国での呼吸器感染症の発生状況、病原体の検出状況を注視する必要がある。
また、国内においてもインフルエンザの発生が続いていること、中国同様に冬季に入ることから、引き続き呼吸器感染症に対する一般的な感染対策が推奨される。
3.復活する武漢ウイルス研究所流出説
政府は中国に情報提供を求めるとしていますけれども、求めたところでまともな答えが返ってくる保証はありません。実際、武漢ウイルスとて、その真相はいまだに不明な点が多々あります。
11月24日、週刊現代は「「深入りするな。消されるぞ」と忠告され…アメリカ亡命中の研究者が決死の告発「新型コロナは『中国軍の生物兵器』として開発された」と「中国が「武漢ウイルス研究所流出説」を抑え込むことができた「ヤバすぎる理由」」の連続記事を掲載しました。
その概要は次の通りです。
・かつては根拠薄弱な陰謀論とも言われていた「研究所流出説」。しかし、ここに来て米エネルギー省やFBIが、ウイルスは中国の研究所から流出した可能性が高いと指摘した今、再び、武漢ウイルス研究所流出説が脚光を浴びているというのですね。
・誰よりも早く「武漢起源説」を唱えて中国を追われ、アメリカに亡命中の閻麗夢博士は、「新型コロナウイルスは中国軍の生物兵器として開発され、意図的に武漢にあるウイルスの研究施設から漏洩されたものです。世界はその起源を知るスタートラインに立っています」と断言した
・今年2月に米エネルギー省が、「武漢のウイルス研究所から流出した可能性が高い」とする報告書をまとめたことをはじめ、米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官も、2月28日放映のFOXニュースで「研究所の事故である可能性がもっとも高い」と述べるなど、次々と「研究所起源説」を支持する声が上がっている
・世界保健機関(WHO)認定のウイルス研究の権威である香港大学公衆衛生学院の研究員だった閻麗夢博士は、'19年12月、武漢で広がり始めた原因不明の感染症の調査を命じられ、感染拡大の隠蔽に躍起になる中国政府の姿を目の当たりにする。
・「調査を始めた時、すでに武漢はパニックでした。調査を命じられた翌日、最前線で奮戦していた李文亮医師(後に感染して死亡)は、原因不明の肺炎が広がっているとSNSで警鐘を鳴らしたところ、中国政府に処分されました」
・閻麗夢博士はその後、香港大学の研究所の上司から「武漢の人々がラクーンドッグ(タヌキ)を食べるという情報を集めてほしい」という不可解な指示を受ける。
・「同じコロナウイルスで肺炎を引き起こすSARSが'02~'03年に流行した時、まずハクビシンが宿主となって人間に感染したことを突き止めたのは香港大学でした。中国政府は新型コロナでも、中間宿主を動物とするストーリーを描き、それを権威ある香港大学に公表させたかったのでしょう」と閻麗夢博士は語る
・いくら調べても武漢の市場にタヌキは売られておらず、武漢の住民がタヌキを食べるという情報はなかった。
・一刻も早く感染拡大の危機を世界に公表しなければならないはずだが、政府や香港大学にその様子は見られない。'20年1月19日、閻麗夢博士はやむなく、アメリカの中国語メディア『路徳社』で武漢の惨状を公表する。
・閻麗夢博士は「香港大学の上司から『深入りするな。消されるぞ』と警告されました。背後に中国当局の意向があることは明白でした。私は身の危険を感じ、4月28日にアメリカへ亡命しました」と述べた
・亡命を果たした閻麗夢博士はは、新型コロナの特徴と中国のプロパガンダ戦を告発する3つの論文、いわゆる「イェン・レポート」を、研究データのオンラインプラットフォーム「Zondo」に発表。'20年9月に公表された第1弾では、新型コロナが人為的に作製されたことを告発している。
・閻麗夢博士は「自然発生説によれば、新型コロナウイルスはセンザンコウやハクビシンなどの中間宿主内で変異し、人間への感染確率を高めるとされています。しかし、新型コロナウイルスには人間の細胞と結合しやすいスパイクタンパク質が含まれており、これは自然発生説の中間宿主に関する理論や実験結果と一致しません。そして、これらの部位には、人為的な改変の痕跡がはっきりとあります」と指摘する
・イェン・レポートは、発表されると即座にマサチューセッツ工科大学出版社(MITpress)やジョンズ・ホプキンス大学の研究機関によって、「根拠薄弱」と否定された。しかし、発生から4年もたったいまでも、新型コロナが人への感染力を強めるために変異した中間宿主は、自然界に見つかってはいない。
・ジョンズ・ホプキンス大学はじめ米国の権威ある大学が研究所漏洩説を受け入れない理由について、閻麗夢博士は「世界のウイルス研究は、中国政府の強い影響を受けているからです。欧米先進国に比して人権意識の低い中国は、実験もしやすい。様々なウイルス研究のメインフィールドになっています。学術界の権威には中国政府への偏向が見られます」と述べた
・一方、現場で奮闘した医師やウイルス学者には、新型コロナが人工的に作られたとする「人為説」を支持する者が多い。米国疫病予防管理センター(CDC)の第18代所長で新型コロナのパンデミックに現場のトップとして対応した、エイズ・ウイルス研究の権威であるロバート・レッドフィールドJr.博士は、「私は、新型コロナが人為的に作られたという点でイェン博士の指摘を百パーセント支持します。その遺伝子配列を見れば、人工的に作られたことは疑いようがない。SARSやMERSのウイルスは人から人への感染力は弱いのですが、新型コロナは最初から強すぎる能力を持っていた。これは自然界で進化したコロナに見られない特徴です」と述べた。
・さらに、レッドフィールドJr.博士は「パンデミック当初の'20年2月1日、アンソニー・ファウチ元大統領首席医療顧問は、CDCトップの私を、対応策を練る重要な議論から排除しました。なぜなら、米政府も武漢ウイルス研究所に膨大な資金を提供していたという『不都合な真実』を抱えているからです」と米国政府が武漢ウイルス研究所と共犯関係にあったと指摘する。
・ところが、関係者の証言や決死の告発によって、米政府も動かざるを得なくなっている。
・今年3月、米下院は「コロナウイルスのパンデミックに関する特別小委員会」を開会。ロバート博士が招致され、「武漢研究所から漏洩した結果である可能性が高い」と証言した。そのうえで、現在、中国や欧米など世界の最先端の研究所で行われる、ウイルスを人為的に変異させる「機能獲得研究」の監視体制の整備と強化を説いたのだった。
・機能獲得研究とは、将来発生しうるウイルスをあらかじめ人工的に作り出し、ワクチンや治療薬の開発に役立てる研究だ。
・閻麗夢博士は「機能獲得研究は、感染症の治療法やワクチン開発において医療技術を飛躍的に向上させますが、生物兵器として国際秩序の混乱を狙う国家やテロリズムに利用される可能性もある。世界に拡散されれば、核兵器と同じように人類の脅威になりかねないのです」と述べた。
・閻麗夢博士は亡命後、両親を人質に取られ、中国政府のコントロール下に置かれた香港大学の同僚でもある夫に、居場所を探られるという冷酷な仕打ちを受けたという。
・閻麗夢博士は「現在の私の立場はインディペンデント・リサーチャー(独立系研究者)です。中国共産党のスパイネットワークは非常に強く、私の居場所は誰にも知られないようにしなければなりません。そのため、どこにも所属せずに研究を続けています……一刻も早く世界が新型コロナの真実に向き合うことを願っています」と語った。
4.パンデミックを起こしたい者達
これらを考えると、今回の感染症も中国の研究所からの流出である可能性も否定できません。ただ、中国は武漢ウイルス流行時に厳しいゼロコロナ政策をやりました。その結果、経済がボロボロになるという返り血を浴びることになったのですね。
現在、経済危機に見舞われている中、また事故で新規のウイルスが流出しようものなら目も当てられません。それこそ、全力で「隠蔽」して、ゼロコロナ政策をせずに済むようしてくるだろうと思われます。ただ、いくら隠蔽しても感染そのものが防げるはずもなく、いずれは抑えきれなくなると思います。
その他には、パンデミックを起こしたい誰かが仕掛けたことも可能性としては考えられます。なぜなら、パンデミックが起こることで、それを梃子として、対応する国際的枠組みや条約が制定される可能性があるからです。
6月25日のエントリー「参政党のワクチン政策とパンデミック条約」で、取り上げたことがありますけれども、既にWHOはパンデミック条約の制定に向けて動いています。
パンデミック条約については、先述のエントリー記事で取り上げたことがありますけれども、最近になって様々な懸念の声が上がってきているようです。
これについて、ジャーナリストの楊井人文氏は、11月3日、自身のサイトに「パンデミック条約でワクチン強制は本当?それより警戒すべき条文とその理由」という記事を掲載しています。
楊井氏は、パンデミック条約/IHR改訂をめぐって流布されている「ワクチン強制」「主権剥奪」「基本的人権の制限」といった疑念について、最新版の条文案から検討しています。その概要は次の通りです。
a)パンデミック条約およびIHR改定案において、「ワクチン強制」につながるような規定は見当たらず、公平なワクチンアクセスや補償制度に焦点が当てられている。このように、楊井氏は、パンデミック条約/IHR改訂について、具体的な法的拘束や制限につながるような内容は見当たらない、としています。
b)主権剥奪について、改定案ではWHOの勧告が法的拘束力を持つように変更されているが、これは協力を促進するものであり、主権の制限や剥奪を意味するものではない。
c)人権制限について、IHR改定案が「基本的人権の尊重」を削除したが、パンデミック条約においては人権尊重が確認されている。憲法においても身体への侵襲を受けない自由が保障されているが、その制約については各国が憲法上で判断するべきであり、無条件の絶対的な自由ではない。
d)パンデミック条約の前文に主権の確認が追加された可能性は、主権剥奪の懸念を払拭するためかもしれない。
e)IHR改定案で「人権の尊重」の規定が変更されたことは懸念されるが、パンデミック条約においては引き続き人権尊重が明記されている。
f)パンデミック条約・IHR改定案には表現・報道の自由を制約する可能性がある条文が含まれており、これに対して警戒が必要である。
g)全体として、懸念される点がいくつか見られるものの、具体的な法的拘束や制限につながるような内容は見当たらない。議論や検証が続けられるべきであり、国際社会において適切なバランスと透明性を確保する必要がある。
5.パンデミック条約18条
一方、楊井氏は、パンデミック条約18条について、警鐘を鳴らしています。
その18条は次の通りです
第18条(コミュニケーションと市民意識)楊井氏は、18条の「誤情報・偽情報への対抗」の文言に着目し、言論の自由の制限あるいは弾圧に繋がる危険があるというのですね。
1. 締約国は、科学、公衆衛生及びパンデミックに関する国民のリテラシーを強化すると ともに、パンデミック及びその影響並びに推進要因に関する情報へのアクセスを強化し、本条第16項にいう効果的な国際協力及び協力を通じてを含め、虚偽の、誤解を招く、誤情報又は偽情報と闘う。
楊井氏はその理由として次の3つを挙げています。
① 誤情報・偽情報についての定義・基準が条約等に全く記されていない。現在、武漢ウイルスワクチン接種後の健康被害が増大し、ワクチンの安全性に問題があるのではないかという疑問の声が上がってくるようになりましたけれども、今でも、Youtubeでは、ワクチンについてのネガティブな削除されています。よってセンシティブな動画は他の動画サイトに移っていたりするのですけれども、パンデミック条約/IHR改訂が制定されるとそれがもっと酷くなる危険性があるということです。
②誰がどのような手続で誤情報・偽情報と判断するのか、「対抗」(combat / counter)とはどのような行動・施策までを含むのか、全く記されていない。
③本来的に定義の難しい概念であり、仮に何らかの定義や手続・対策の範囲を定めたとしても、こうした「対抗」策を締約国の国内法で整備することを求めるとなれば、WHO・政府の公的な見解・認識と整合しないものは誤情報・偽情報として扱われ、言論・情報空間から締め出される危険性がある。
X(旧ツイッター)でコミュニティノートという機能が実装されたように、ある意見が間違っていれば都度訂正すればよいのであって、発言者の口を塞いでしまえ、というのは左翼的な考えで筆者は是としません。
楊井氏は18条に「インフォデミック」という言葉も取り入れられていることを指摘していますけれども、仮に中国の肺炎が世界中に感染拡大しなかったとしても、おそらく、出所が中国というだけで、様々な「憶測」や「疑念」が渦巻くであろうことは容易に想像できます。そこにはウソもホントもごちゃまぜになっている筈です。
けれども、それこそが「インフォデミック」であるから、取り締まらなければならないと宣伝して、一気にパンデミック条約制定とIHR改訂をやってしまうという狙いが「仕掛け人」にあるのだとしたら、実に巧妙かつ狡猾な計画だと言わざるを得ません。
私達は、しっかりと目を見開いて、「自由を守ることを捨ててはいけないのだ」と肝に銘じる必要があるのではないかと思いますね。
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