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1.オスプレイ墜落
11月29日午後2時47分ごろ、鹿児島県の屋久島沖で輸送機「オスプレイ」が墜落しました。
機体は東京のアメリカ軍横田基地の第353特殊作戦航空団に所属しており、日常訓練任務中に墜落。8人の乗組員を乗せていたとのことです。
墜落現場は、屋久島空港から南東に2キロから4キロほどの海上で、機体とみられる灰色の多数の残骸が見つかったほか、オスプレイに乗っていたとみられる男性1人が救助されましたが、死亡したということです。
オスプレイは、プロペラの向きを変えて垂直離着陸もできる特殊な構造を持つ輸送機で、2012年に米軍普天間飛行場に配備されました。
墜落の模様を目撃した男性によると、「機体が突然、ひっくり返り、真っ逆さまになった。火が出て爆発しそのまま海に垂直に落ちていった」とのことです。
墜落について、横田飛行場の第374空輸航空団の広報担当者の二等軍曹は「詳細を明らかにする前に、さらなる情報を得るためにこの事件を調査している」とコメントしています。
2.不時着水
11月29日、オスプレイ墜落に関し、防衛副大臣が臨時会見を行っています。その一部を抜粋すると次の通りです。
Q:米軍のオスプレイが墜落しました。把握しているですね、最新の事実関係について、また、その事故原因や乗員の安否などについても情報が入っていればお願いします。報道では墜落となっているのに対し、防衛省は「不時着水」だとし、その理由として、パイロットが最後までコントロールしようとしていたからだ、と述べています。
A:本日14時40分頃、鹿児島県の屋久島の沖合におきまして、アメリカ空軍横田基地所属CV-22オスプレイ1機が不時着水をいたしました。この事案を踏まえまして、防衛大臣から関係の部署に対しまして、海上保安庁と連携し、被害者の有無を確認し、救助等の対応に全力を挙げること、情報収集を徹底し、状況の把握に努めること、関係機関との連携に万全を期すこと、についての指示が出ているところでございます。防衛省・自衛隊といたしましても、航空機を利用した捜索・救難活動を行っております。人命の救出に全力を尽くすとともに、米軍に対して、事故の状況に関する事実関係の確認を求めてまいりたいと思っております。また、先ほど質問のあった乗員についてですけれども、海上保安庁の巡視船がですね、乗員のうち1名を救助したとの情報に接しておりますけれども、細部は確認中でございます。
Q:オスプレイに関しては、陸上自衛隊も運用してますが、今後の配備計画であるとか、現在の運用の今後の考え方についてお伺いできればと思います。
A: まずは今回の事案ですけれども、急を要することでございますから、まずは、人命の救出に全力を尽くすことが第一かと考えております。そして、米軍に対して、事故の状況に関する事実関係、この確認を求めてまいります。その後ですね、やはり原因究明ということになってくると思いますが、それらがあった段階でですね、検討ということにようやく入っていくと思いますね。とにかく、人命の救出に全力を挙げることだと考えております。
Q:陸自のオスプレイなんですけれども、今、目達原の駐屯地の記念行事に参加してるかと思います。訓練飛行もあるかと思いますが、そちらの方はどういうふうに運用されるのでしょうか、というのがまず一点、二点目は、先ほど不時着水というふうに表現されましたけども、これは墜落ではなく不時着水とした根拠を教えてください。
A: 一点目のオスプレイについては、こちらとしては、情報がまだ来ておりませんのでなんとも答えようがございません。それで、不時着水に関しては、これは、最後の最後まで、米側から説明を受けてますけども、最後の最後までパイロット頑張ってらっしゃったということでございますから、不時着水という言葉でございます。
Q:最後まで頑張ってたってどういうことですか。コントロールしていたという趣旨。
A:そういうことです。
【以下略】
3.ハード・クラッチ・エンゲージメント
オスプレイの墜落は何も今回が初めてではありません。例えば、2022年6月8日、アメリカ・カリフォルニア州南部のメキシコ国境にも近い砂漠地帯で、訓練中だった米海兵隊の輸送機オスプレイが墜落し、乗組員5人が死亡する事故が発生しています。
この墜落については、今年7月21日にアメリカ軍が事故調査報告書を公表しています。
それによると、両方のエンジンにおいて、プロペラとそのエンジンをつなぐクラッチが離れ、再結合する際に衝撃が発生する現象(HCE:ハード・クラッチ・エンゲージメント)が発生することにより、航空機の片側のエンジンから他方のローターへ動力を伝達する系統(ICDS:Interconnect Drive System)が故障したため、右側のプロップローターが推力を失う一方、左側のプロップローターは一定の推力を維持していたことから、左右のバランスが崩れて墜落したとのことのようです。
米軍は、これまで発生した「ハード・クラッチ・エンゲージメント」16件に関わるクラッチ関連部品の使用時間が800時間を超えていたことから、再発防止として、使用時間が800時間を超えるクラッチに関連する部品(IQA:Input Quill Assembly)を交換することや、これまで発生した16件の内10件については、垂直離陸後3秒以内に発生していることから、これまでと同様、離陸直後に一定時間ホバリングを行い、クラッチを含む機体の状況を確認した上で飛行に移ることを徹底するとしています。
実際、報告書が公表される5ヶ月前の今年2月には、アメリカ政府が日本政府に対し、オスプレイのクラッチ関連部品の交換を行うと伝えています。
日本政府関係者によると、アメリカ側は対象機の所属先や機数などの詳細は示していないとのことで、今回墜落した機体が対象だったのかどうか分かりませんけれども、墜落を目撃した人が「機体がひっくり返り、真っ逆さまになった」と証言していることから、片方のプロペラだけが止まってしまい、バランスを崩してひっくり返った可能性が考えられます。つまり、ハード・クラッチ・エンゲージメントか何かでエンジンからプロペラへの動力伝達系統が故障したかもしれないということです。
もし、今回の事故も「ハード・クラッチ・エンゲージメント」起因による推力喪失だったとしたら、単にクラッチの交換だけでは不十分かもしれません。事故の原因究明と更なる安全対策に努めていただきたいと思いますね。
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