パーティー裏金疑惑に揺れる岸田政権

今日はこの話題です。
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1.松野官房長官更迭へ


12月9日、岸田総理は政治資金パーティー収入の一部を還流させるなどして裏金化していた疑惑を巡り、還流を受けた疑いのある安倍派の松野博一官房長官を交代させる方針を固めたと複数の政府・与党関係者が明らかにしました。

松野氏は2019年9月~2021年10月に安倍派の事務総長として派閥の実務を取り仕切っていたのですけれども、還流疑惑に関して定例記者会見などで説明を拒み続けています。8日の参院予算委員会では、自らへの還流疑惑について、「私の政治団体に関しては適切に処理してきた」と釈明したうえで、「精査して適切に対応していく」との答弁を繰り返していました。

この日の衆院予算委員会で、野党議員が松野氏の更迭を求めたとき、岸田総理は「政府のスポークスマンとしての役割をしっかり果たしていただきたい」と強調し、松野氏も「引き続き責任を果たしていく」と述べていました。

けれども、政府・与党内では、松野氏を巡り、閣僚経験者から「疑惑を払拭できない以上、官房長官の任を果たせず、速やかに身を引くべきだ」との声が強まってきたことから、岸田総理も続投は困難との判断に傾いたとみられています。

松野官房長官の交代は、事実上の更迭であり、政権への打撃は避けられないと見られています。


2.離れるのが適切な対応


その岸田総理とて、パーティ券問題と無関係ではいられません。自民党の総裁でもある訳ですから、当然といえば当然です。

12月7日、岸田総理は記者団に対し、「昨日、党幹部を集めて、この問題は党にとって大変強い危機感を持って臨まなければならない課題で、一致結束して国民の信頼回復に向け努力しなければならないと指示したところだ……私自身、先頭に立って努力すると申し上げたが、党内に無派閥の人も大勢いるので、総理・総裁の任にあるうちは派閥を離れるのが適切な対応だと考え決断した」と、総理大臣と党総裁の間は、自らが会長を務める岸田派「宏池会」を離脱する意向を明らかにしました。

岸田派の後任の会長については、「派閥の体制は派閥で判断するものだ」と述べ、他の派閥で幹部を務める党幹部にも、同様の対応を求めるのか問われると、「他の役員に対して派閥の離脱などを求めることは考えていない」と答えています。

従来は、総理総裁になったら、自派閥の会長は辞任するというのが自民党の慣例になっていたにも関わらず、岸田総理はそれを破って、岸田派会長の座に居座り続けていました。自民内では、無派閥の菅義偉前首相が「派閥政治を引きずっているというメッセージになって、国民の見る目は厳しくなる」と苦言を呈していたのですね。

一説には会長を降りると、岸田派No2の林芳正元外相に派閥を乗っ取られるからだ、などという憶測もされていたのですけれども、それはもうよくなったのかと思いきや、複数の関係者によると、岸田派会長は空席のままとするようです。


3.危機の感度が低い宰相


岸田総理が派閥を離れることについて、中央大の中北浩爾教授は「首相自身が派閥の会長という利害関係者だから対応が遅れていると見える。そもそも、最初から離脱しておくべきだった……派閥バランスで運営する古い自民党の政治手法に戻っていたのが岸田政権。今回の問題がその政権運営を直撃することになった」と指摘しています。

また、野党・立憲民主党の泉代表は、党の会合で「これで過去のことが免責されるかと言えば、全くそんなことはない。きちんと説明して真実を明かせというのが国民の声だ。目先のごまかしに決して惑わされてはならない。大臣や官房長官も言い逃ればかりしているが、みずから会見をして説明すべきだ。裏金であれば本当に問題で、汚い政治を一掃していきたい」と批判。立憲民主の幹部も、8日に衆参予算委の集中審議で、派閥会長に居座ってきた岸田総理の問題を追及する予定だったと明かした上で「敵前逃亡で本当に見苦しい」と述べています。

岸田総理は、派閥のパーティー券問題で、五派閥の関係者が東京地検特捜部から聴取を受けたと報じられた際には「それぞれの政治団体で責任をもって適切に対応するべきものだ」と述べ、安倍派などの還流疑惑が浮上しても「国民に疑念を持たれるとすれば遺憾だ」と繰り返し、各派に忘年会や新年会、パーティーの自粛を求めただけでした。

また、11月21日の衆院予算委員会で、野党議員から会長職を退くよう求められたのに対し、「現職の首相で派閥の会長を続けた例は過去にいくつもある」と譲りませんでした。

それが、批判の声が高まり、抑えきれないとみるや派閥の会長を離脱するのが「適切な対応」とする。この後手後手の対応に、岸田総理は、適切と考える「感度」が低いのではないとさえ筆者には思えます。


4.ポスト岸田


今回の問題について、政治評論家の有馬晴海氏は「今回の疑惑で、派閥の悪いイメージが強調され、『無派閥』の塊が出来上がる可能性がある。岸田政権への距離感なども合わせて注目されるのは、反主流派の中心人物である菅氏の動向だ。菅氏の判断が、総裁選に影響する可能性がある。女性という観点なら、保守派の支持が根強い高市氏は前回総裁選に出馬した実績がある。高市氏については『勝手連的に応援しよう』という機運が高まれば支持が拡大するかもしれない」と、来年の総裁選に「無派閥」が浮上する可能性を指摘しています。

総裁選は毎回、派閥間の激しい駆け引きが繰り広げられますけれども、今回の疑惑を受け、国民は「政治とカネ」の問題だけでなく、「派閥政治」という古い体質にも厳しい視線を向けるとも見られています。

岸田内閣の支持率が「危険水域」の30%を割り込む中、派閥領袖も含め、複数の有力者が「ポスト岸田」として取り沙汰されていたのですけれども、今回の問題はそれに影を落とすかもしれないというのですね。

ある自民党中堅議員は「総裁選は派閥の『政治闘争』であり、派閥の異様な集金実態を見せつけられた国民にとっては不快だ。後々の総選挙などに影を落としかねない」と険しい表情で語ったそうですけれども、ベテラン議員は、次期総裁選は「選挙に勝てる顔選び」の様相が強く、新味のある候補や、女性候補を推す声があると漏らしています。

これに「無派閥」が加わるとなると、先述した有馬氏が指摘するとおり、菅氏、高市氏、あるいは小泉進次郎氏や青山繁晴氏などを推す可能性が出てきたように思います。

一方、日本維新の会の馬場伸幸代表は8日の記者会見で、立憲民主党に対し「あれほど予算委員会で追及するなら、堂々と内閣不信任決議案を出すべきだ」と述べ、立民が提出した場合、国会議員の調査研究広報滞在費の改革を与党が行わないことを理由に「賛成せざるを得ない」と同調する考えも示していますから、近いうちに岸田内閣が総辞職する噂も浮上しています。

その意味でも、岸田内閣の命運は来年の総裁選までなのかもしれませんね。



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