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1.九割の批判
12月9、10日、産経新聞社とFNNが実施した合同世論調査で、岸田内閣の支持率は11月11~12日の前回調査から5.3ポイント減の22.5%となり、岸田政権発足後3ヶ月連続で最低を更新しました。不支持率も過去最高を更新し、前回比3.1ポイント増の71.9%でした。
そして、自民党のパーティーを巡る裏金疑惑に関し、党と各派閥の対応は「大いに問題」「やや問題」との回答が計93.2%に上り、これに対する岸田総理の責任に関しては「大いにある」「ややある」が計87.7%と、「あまりない」「全くない」の計11.2%を大きく上回りました。
また、裏金疑惑で1000万円超のキックバックを受けたとされる松野官房長官の説明は「納得できない」が87.4%で、「納得できる」はわずか8.9%。政治資金や役職を配分する役割を担う自民党の派閥については「大いに問題」「やや問題」との回答が計88.3%でした。
このようにパーティ券の裏金疑惑ではどの質問でも軒並み9割が問題としています。
更に岸田総理にいつまで続けてほしいかの質問では「来年9月の党総裁任期まで」が最も多く46.3%。次いで「すぐに交代」が40.5%、「来年9月以降も続けてほしい」は9.3%でした。
また、次の総理に相応しい人を尋ねたところ、石破茂元自民幹事長が18.2%でトップ。小泉進次郎元環境相は16.0%、河野太郎デジタル相は11.9%と、相変わらず「小石河連合」が上位を占めました。因みに、高市氏は5.4%で4位、今回から選択肢に加えた上川陽子外相は4.3%で5位でした。
2.岸田派も過少記載
自民党のパーティ券問題については、これまで報じられてきた安倍派「清和政策研究会」や二階派「志帥会」だけではなく、岸田派の「宏池政策研究会」でも、派閥が実際に集めた収入より少ない金額が収支報告書に記載されていたとみられることが明らかになったと報じられています。
ただ、収支報告書に記載されていなかったとみられる収入の規模は、安倍派や二階派と比べ少ないということで、東京地検特捜部はこうした経緯を把握し、派閥の担当者から任意で事情を聴いていて、資金の流れや収支報告書が作成された経緯などについて慎重に調べを進めているものとみられています。
岸田総理は今月7日、より中立的な立場で国民の信頼回復に努めたいとして、2012年から務めていた岸田派会長を離脱していますけれども、この報道を聞いた後では、「逃げたのか!」と受け取られても仕方ないかと思います。
3.小便刑で終わる可能性
拡大するパーティ券問題について、元産経新聞社員でフリーライターの三枝玄太郎氏は、自身の動画チャンネルで次のように述べています。
・朝日新聞などが、またまた自民党のパーティー券キックバック問題を報じました。三枝氏によると、報じられているキックバックされた金額から、政治資金規正法違反罪での立件は微妙で、脱税でも3年しか訴追できないことから、難しく、蓋を開けてみれば、「小便刑」で終わる可能性もあり、様子をみるべきだと述べています。
・自民党の大野泰正参院議員(安倍派)が5000万円超、池田佳隆衆院議員(安倍派)が4000万円超、谷川弥一衆院議員が4000万円超のキックバックを受け取り、裏金化していることが分かりました。
・しかし、敢えて言いたいのですが、この程度の金額では政治資金規正法違反罪での立件は微妙です。それどころか、議員本人を訴追できる可能性はあまりないのです。
・政治資金規正法違反は会計責任者は秘書であるのが普通なので「自分は知らなかった。秘書がやった」と言えば、通ってしまうのです。
・また脱税を言う人がいますが、これも十中八九、無理です。
・国税担当を東京・大阪で8年ほど担当しましたが、仮に最も多い大野参院議員の5000万円を調査するとしましょう。全額、政治資金に充てられずに遊興費などに使われていたら脱税になる可能性はあります。
・しかし、5000万円を5年間など、立件できるわけありません。脱税は3年しか訴追できません。
・仮に3000万円だとすると、3000万円の所得隠し、脱税額は1000万円、そんな少額の脱税など聞いたことがありません。ですからこれも現実的ではありません。
・すると、検察側は何をやりたいのでしょうか? 安倍派潰しだという人もいますが、もしパーティー券収入を裏金化したことの立件を目指しているとしたならば、その通りの「安倍派潰し」、陰謀だといえるでしょう。
・誰か、別の派に話をふられてやっているのか、検察の個人的な安倍派憎しの感情なのか、それは今後の捜査の展開をよく見てから評価すべきで、今の段階で「令和のリクルート事件」だなどと囃し立てるのは、検察ファッショに乗っかるような話です。リクルート事件とは全く性質が異なり、比較にもなりません。
・しかし、今回のパーティー券収入の先にほかの疑惑がある場合は、その限りではありません。例えば、先日も動画でご説明したパーティー券を派閥に預けて、キックバックを受けることにより、一種のロンダリングをしている。それを贈収賄と検察が見ている場合です。
・X(旧ツイッター)にも「パーティー券収入の裏金だけで捜査を終結させることはありませんよね」と皮肉をポストしましたが、今回のパーティー券収入の裏に贈収賄がなかったら、これは「検察の安倍派への意趣返し」という、検察ファッショと見られても仕方がないと思います。
・テレビも新聞も東京地検特捜部が捜査を始めると、諸手を挙げて後押ししますが、1914年のシーメンス事件(薩摩閥の海軍を潰すための陸軍と検察の陰謀と言われた)、1957年から58年の売春汚職事件をめぐる検察内部の暗闘(読売新聞の立松和博記者が逮捕され、職を追われた)、2010年の大阪地検特捜部の証拠ねつ造事件のように、検察が権力を濫用した歴史があることも忘れてはいけません。
・アベガ~な新聞、テレビは検察が正義の具現者であるかのように報道していますが、現段階では、いわゆる犯罪者が言う「小便刑」にしかならない話が出てきていないことにはもっとメディアも留意すべきだと思います。今後、大きな事件が控えているのか、ここで終わってしまうのか、推移を見守ってからでも評価は遅くありません。
政治資金収支法での立件について、12月4日、フジテレビの情報番組「めざまし8(エイト)」の取材を受けた、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、「厳しい。収支報告書不記載が慣習化されており、会計責任者に記入しないよう指示したことを立証することが難しい」とコメントしています。
また、受領議員の立件の可能性については「受け取った事実が明らかになれば立件の可能性がある」とし、捜査のポイントについて「収支報告書を修正し、処罰されずに終わる可能性もあるが……大きな事件でないと行われない全国からの検事の招集を実施した。大人数で多角的な裏金捜査の準備をし、本気度が高いことがうかがえる」と述べています。
昨日のエントリーで、ジャーナリストの山口敬之氏は、9000万のキックバッグの話があると述べていることを取り上げましたけれども、特捜部が全国から検事の招集を実施していることを考えると、やはり何等かの形で立件にまで持っていくのではないかという気もします。
4.ウォームアップを始めた人達
ただ、何にせよ、この問題が尾を引けば引くほど、自民党の派閥政治は駄目だ、という風に世論が流れる可能性は十分にあります。何せ、冒頭で取り上げたように、産経・FNNの世論調査で、実に9割が党と各派閥の対応に問題があるとしているのです。
もし、派閥は絶対にダメという世論が形成されるようであれば、自民党としても無派閥や裏金と無関係な人物を次期総裁候補として担ぎ上げることを考えざるを得なくなります。
こうした風を期待しているのか、早くも肩をグルグルと回し始めた人がいます。石破茂・元幹事長です。
12月11日、石破茂・元幹事長はBSフジ番組で、安倍派の裏金疑惑に言及。岸田総理の責任の取り方を巡り「予算が通ったら辞めるというのはありだ……心中ひそかに思っていてもいい。責任は取るものというのをどこかで示すことが必要だ」と発言しました。
これなんか、岸田総理に早く退陣しろ、といっているようなもので、またしても「背中から弾」を打っています。
尤も、石破氏は安倍派所属議員の政務三役の全員交代案が調査結果に先行して浮上している現状についても、「他の派閥からも出たらどうするか。自民党政権が終わる」とも指摘し、危機感を露わにしています。実際、岸田派からも収支報告書の過少記載があったと報じられているところを見ると、石破氏もなんらかの情報を持っているとも考えられます。
肩を回しているのは石破氏だけではありません。河野太郎デジタル相もそうです。
12月10日、河野太郎デジタル相は、フジテレビ番組で、パーティー裏金問題を巡り「きちんと膿みを出し切ることが大事だ」と述べ、キックバック疑惑に関し政治資金収支報告書に「記載していないのは法律に違反する。申し開きできない」と述べました。
その一方で、自身が所属する麻生派の資金管理については「特に問題はないと聞いている……国民の政治不信が高まる中、ルールに基づいて政治資金を取り扱うのは最低限のことだ」と語っています。
これは、麻生派は他派閥と違って裏金疑惑はないから、次期総裁選に麻生派から立候補しても問題ないんだぞ、と予め牽制しているように見えなくもありません。
ただ、これまでの流れをみれば、今後麻生派からも、岸田派のように収支報告書の過少記載が出てこないとは言い切れません。
もっとも河野デジタル相は「特に問題はないと”聞いている”」と予防線を張ってますからね。もし、後で問題になっても、例の「運び屋」発言の時のように、”言い逃れ”できるようにしているのかもしれません。
こうして見てくると、事態は完全に政局に入っているのではないかと思いますね。
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