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1.これ以上協議しても意味がない
2月6日、衆院予算委員会で、国民民主党の玉木代表がガソリンの高騰時にガソリン税を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除の決断を岸田総理に求めました。
玉木代表は、今年4月末に石油元売り各社に補助金を出してガソリン価格を抑える現在の激変緩和措置が終わることを踏まえ「今のままいくと5月1日以降は何もない。ガソリン代は上がりますよ……補助金による値下げではなくシンプルに恩恵がユーザーにいく減税措置に移行すべきということでトリガー発動を提案してきた」と述べ、法律改正が必要なことを見越して2月中の法案提出と3月中の成立、周知期間を経てやっと5月1日に間に合うとして「今日にも総理の判断が必要だ。トリガー発動、やりませんか」と迫りました。
これに対し、岸田総理は「被災地の生活なりわいのためにも、燃油価格の安定が不可欠ということは共有できている。3党検討チームで結論を出していきたい……5月以降の燃油価格の安定が重要なのは同感だ。今日も新しい提案をいただいたが、事務処理は大丈夫だと言うが、今までの議論を振り返りると事務的対応が可能かも大きな論点だったことは事実だ。しかし新しい提案をいただいたわけだから至急検討する」と答弁しました。
玉木代表は、「要はやるか、やらないかだ」と迫ったのですけれども、岸田総理は「新たな提案について協議する」と繰り返すだけでした。
業を煮やした玉木代表は「5月からやらないならこれ以上協議しても意味がない。国民民主党として協議の離脱を決断せざるを得ない……いろいろあっても、自民党は公党間の約束は守る政党。我々もいろいろあったが、補正予算に賛成した。1つ1つの信頼の中でやってきた……この2ヶ月、話が進まなくなった。裏金で政策どころではなくなっているのは極めて残念だし、くやしい……この2ヶ月、総理の頭は裏金でいっぱいだったはずだが、期限は迫っている」と、再度、岸田総理の見解を質したのですけれども、答弁内容は変わらず、玉木代表は「信頼がなくて推進はできない。裏金はその意味でも極めて残念だ」と、三行半を叩きつけました。
トリガー条項は、総務省が毎月発表しているガソリンの全国平均小売価格が3ヶ月連続で1リットル当たり160円を超えた場合、価格に上乗せされるガソリン税53.8円のうち上乗せ分25.1円が免除される制度です。
発動されれば、単純にガソリン価格が1リットル当たり約25円安くなります。民主党政権時代の税制改正で導入されたのですけれども、東日本大震災の復興財源確保のために凍結されています。
現在政府が円安・燃油高を背景に実施している「激変緩和措置」は4月末に終了するため、5月以降のガソリン価格対策が焦点となっていたのですね。
2.政策を追求する政党
この答弁に、ネットでは失望の声が上がっています。例えば次の通りです
昨日の国会答弁、玉木さんの熱量に比べて岸田のやる気のない態度。検討議論のオンパレード…。
もう玉木さんも泥舟の自民党に擦り寄るのではなく、他の野党との間で政策協定を結んだほうが得策なのでは。予算案に乗っかってしまったのは不味かったけど、もう自民党と手を組む必要もないし、何のメリットもない。昨日のトリガー条項解除を岸田に迫る姿勢は鬼気迫るものがあって良かったです!
岸田さんは自分の派閥は解散する決断が出来てなぜ国民のための決断が出来ないのか。派閥解散も単なる保身のためのパフォーマンスと見られてもおかしくはない。
トリガー条項凍結解除が正しい決断だと思わないのなら最初から協議なんかしなければいいが、協議するということは、本当は正しいことなんだけど政治的に決断出来ない理由があると言っていることと同じ。背後に財務省が存在することは明らかであるが、国民より財務省を向いた政治をするなら、本末転倒という以外にない。さっさとやめた方がいい。これだけ様々な問題が噴出して尚、開き直って国民に目を向けることも出来ないのは一体何なのか。自派閥を解散することが出来たなら、財務省も解体してほしいですね。どのみち遅かれ早かれ首相の座を降りるようになることは間違いない。そうであるならば、捨て石を覚悟で徹底して古きものを打破して歴史に名を残す首相になって頂きたい。
トリガー条項という決まり事があって、その条件に当てはまった時点で発動しなければ、トリガー条項ではない。「自分の派閥は解散する決断が出来てなぜ国民のための決断が出来ないのか、保身のためのパフォーマンスだ」、「条件に当てはまった時点で発動しなければ、トリガー条項ではない」。至極ごもっともな意見です。
トリガー条項に当てはまったのに、トリガー条項を発動するかを検討なんておかしい。
こんな調子で決められたことを実行出来ないと、国防に関する対応を求められた時、素早く対応できるか心配になる
この日の玉木代表と岸田総理の質疑答弁について、法政大学大学院の白鳥浩教授は次のように述べています。
「政策を追求する」政党としての国民民主党の在り方を示した対応である、とみてよい。また、経済評論家でエコノミストの門倉貴史氏は次のようにコメントしています。
自民党は、必ずしもトリガー条項の解除に会しては前向きではないことが、これまでの経緯を見ても理解できる。
玉木代表の、今後はその政策の実現ができる勢力との連携も視野にという趣旨の発言は、あくまでも「政策を追求する」「政策の実現を目指す」という決意とみてよいだろう。
物価高、ガソリン高にあえぐ国民は、こういった消費者目線、国民本位の「政策の実現」を、政党に対して求めていると考える。
見解今頃になって「至急検討する」では遅きに失した感がある。もっと早い段階でトリガー条項の凍結解除を実施していれば、ガソリン価格を抑制するために国民の税金を大量に投入せずにすんだはずだ。このように、国民は消費者目線の政策を求めているにも関わらず、今頃検討云々とは遅すぎると指摘しています。まぁ、仰る通りです。
現在政府が実施している補助金政策は、ガソリン高が続く限りずっと続けていかなければならず、補助金のために国民の税金が大量に投入されることになる。ガソリンの補助金には昨年9月までに6兆円の税金が投入されており、今年4月末までにさらに大きく膨らむ公算が大きい。
一方、トリガー条項の凍結解除によってガソリン税の暫定税率分(1リットル当たり25.1円)を一時停止にすれば補助金政策より政策コストが安くつく。たとえば、トリガー条項の凍結解除を1年間続けても、国で約1兆円、地方で約5千億円、合計では約1兆5000億円の減収にとどまる。
3.ガソリン二重課税から国民を守る党
前述の白鳥浩教授は、国民民主党について「政策を追求する政党としての国民民主党の在り方を示した対応だ」と評価していますけれども、少数政党は、包括的に政策を挙げつつも、何某かの政策一つに絞って、与党にガンガン求めていくほうが、訴求力はより高いのではないかと思います。
まぁ、その最たるものは党名から「NHKから国民を守る」と銘打ったNHK党だと思いますけれども、その政策は実に明確です。
そういえば、国民民主から離脱した前原氏が立ち上げた新党の名前も「教育無償化を実現する会」ですからね。政党名がそのまま目指す政策を表すというやり方は、とりわけ少数政党には向いているのかもしれません。
仮に今後、少数政党、少数野党が国民民主のように「政策を追求し、その実現を目指す」形に特化していくのであれば、それはある意味「政策集団化」するともいえます。
岸田総理が進めた政治刷新本部の中間とりまとめでは、派閥を「本来の政策集団」へ移行させ、「お金と人事から完全に決別する」と明記していますけれども、少数野党は野党でいる限り、ポストなど望めません。
したがって、政治資金の部分をクリアにして、なおかつ「政策を追求し、その実現を目指す」形に特化すれば、少数野党は「本来の政策集団」になり得る存在になるともいえる訳です。
そして、もし、今後の選挙で連立与党が過半数割れになったとしたら、与党は野党を連立に加えるか、法案ごとに野党と連携する「パーシャル連合」的な政権運営を図ることになります。
国民にしてみれば、こちらのほうが分かりやすいと思います。
まぁ、国民民主党がNHK党のように次々と政党名を変えることはないでしょうけれども、今であればサブタイトル的に「ガソリン二重課税から国民を守る党」とアピールしてもいいのかもしれませんね。
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