中国の外交哲学と日本の決意

今日はこの話題です。
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1.寸土足りとも領土は譲らぬ


中国の習近平国家主席が11月下旬、軍指揮下の海警局に対し、沖縄県・尖閣諸島について「1ミリたりとも領土は譲らない。釣魚島(尖閣の中国名)の主権を守る闘争を不断に強化しなければならない」と述べ、領有権主張の活動増強を指示したことが明らかになったと報じられています。

関係筋によると、中国海警局は、2024年は毎日必ず尖閣周辺に艦船を派遣し、必要時には日本の漁船に立ち入り検査する計画を策定したことも判明したようです。

岸田総理は昨年11月中旬の日中首脳会談で習近平主席に、尖閣を含む東シナ海情勢への「深刻な懸念」を直接伝えたのですけれども、習主席はそれを無視し、行動で、領有権主張を強める方針であることが明確になりました。

中国が日本漁船の立ち入り検査計画を策定したことが明らかになるのは初めてのことで、実際に検査を行おうとすれば、海上保安庁の船舶との摩擦拡大は必至とみられています。


2.更に踏み込んだ中国


この習近平主席の指示を受け、中国の挑発はエスカレートしています。

中国海警局の艦船が1月から、尖閣諸島周辺の日本領空を飛行する自衛隊機に対して、中国の「領空」を侵犯する恐れがあるとして退去するよう無線で警告し始めていたことを、2月3日、複数の関係筋が明らかにしました。

既に数回警告しており、海警局の新たな任務として開始した可能性があると見られています。

日本政府は、警告は「断じて受け入れられない」として外交ルートで反論したが、公表は見送っています。

海警局はこれまで、尖閣周辺で領海侵入や接続水域航行を日常的に繰り返し、日本の漁船を追尾してきたのですけれども、空域への領有権主張も始めたとなれば、更に一歩踏み込んできたといえます。


3.決意と能力を正しく理解させること


先日、タッカーカールソンのインタビューに応じたプーチン大統領は、中国外交について「中国の外交哲学は攻撃的ではない。妥協点を探すやり方だ」と興味深い指摘をしています。

妥協点を探すというのは、相手の反応を見ながら落としどころを探るということです。

けれども、これは逆にいえば、しっかりと反応しなければ、どこまでも踏み込んでくることを意味します。

中国海警局の艦船が毎日のように尖閣を領海侵犯しても、日本はただ抗議するだけで、中国は踏み込みを止めません。これは、中国がまだ妥協点に達していないと考えているということです。実際、1月からは領空侵犯だから出ていけと警告を発し、もう一歩踏み込んできた訳です。

中ロ国境は4249kmありますけれども、中国人は国境近くの省や自治区に、約1億1000万人が居住しています。対するロシアの人口は全土で1.4億人。ロシア極東に至っては、約630万人しか居住者がいません。

このロシア極東からシベリアにかけて不法滞在者を含む中国人が流入し、ロシアの頭を悩ませていたことは昔から指摘されていた話です。これなども、中国海警局の艦船が尖閣周辺を我が物顔で巡回しているのと良く似た構造です。

先日、ロシアが不法滞在の中国人を戦場に送ると表明した途端、中国人帰国ラッシュになったなんて動画がネットにアップされていましたけれども、昨年11月中旬にロシアが、フィンランドとの国境でビザの期限切れを理由に拘束した外国人移民を、ウクライナでの戦争に参加させようとしているとBBCが報じています。

なんでも、拘束中にロシア軍が接触してきて、強制送還かロシア軍に入隊するかどちらかを選べ、と圧力をかけられたそうです。

それを考えると、中ロ国境でも同じことをやっている、あるいはやろうとしていることは十分考えられるのですけれども、線上に送られるかもしれないとなった途端に、出国ラッシュとは、実に現金というかわかりやすい動きですけれども、これに中国が文句をいったとは聞きません。

逆にいえば、ここまではっきりと反応してやることが、中国に「妥協点」を探らせることになるようにも思います。

2021年7月、安倍元総理はアメリカのマクマスター元大統領補佐官と対談した際、安倍政権でミサイル能力の向上などに取り組んだことに言及し、「中国に、日本の決意と能力を正しく理解させることは非常に重要だ……確固たるメッセージを送り、中国の行動が非生産的だと理解させることにより、中国との対立を避けることができる」と述べています。

ですから、日本もプーチン大統領程でなくとも、安倍元総理のように、中国に落としどころはこのあたりか、と考えさせるくらいのはっきりしたメッセージを出すべきだと思いますし、その裏打ちとして、憲法9条改正含め、防衛力整備など、いざとなれば戦う意思と覚悟があることを示すことが重要なのではないかと思いますね。





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