スパイ戦争と12+2の秘密基地

今日はこの話題です。
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1.地上部隊派遣は排除されるべきでない


2月26日、ロシアによるウクライナ侵攻から2年となるのに合わせ、ヨーロッパ各国やアメリカなど、20か国以上の首脳や閣僚らが、ウクライナへの支援について話し合う会合が、フランスのパリで開かれました。

会合に先立ってロイター通信などが、ウクライナへの軍事支援に否定的な立場を取るスロバキアのフィツォ首相が「一部の欧米諸国がウクライナへの派兵を検討している」などと発言したと報じていたのですけれども、会合後の記者会見で、フランスのマクロン大統領は、欧米側がウクライナへ地上部隊を派遣する可能性について質問されたのに対し「会合では、自由で直接的にさまざまな議論が行われた。正式な形で地上部隊を派遣することについて合意はない。しかし、一定の要素の配備が正当化される、安全保障上の必要性が生じるかもしれない。それを排除すべきではない……しかし、フランスがどういう姿勢を維持するか、私は皆さんに明確に話した。私が支持するのは、戦略的なあいまいさだ。ロシアを勝たせないというわれわれの目的のためだ」と答える一方、会合の中での具体的なやりとりなどについては、明らかにしませんでした。

ただ、今回の会合では、参加国が、ウクライナへの中長距離ミサイルのさらなる供与を目的とした、新たな枠組みを結成することで合意したということです。


2.部隊を派遣することはない


このマクロン大統領の発言に、欧州各国やNATO加盟国は即座に反応しました。

アメリカのホワイトハウスは声明で「勝利への道」は軍事支援を提供し、「ウクライナ軍が自衛に必要な武器と弾薬を持つこと」だと信じているとし、「バイデン大統領はアメリカがウクライナでの戦闘のために部隊を派遣することはないと明言している」と付け加えました。

また、ドイツのショルツ首相も、「極めて良い討論が行われた。これまでの合意を将来的にも適用することが議論された。つまり、欧州諸国やNATO加盟国が地上部隊や兵士をウクライナに派遣することはないということだ」と述べ、欧州諸国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに地上軍を派遣する可能性を否定しました。

そして、イギリスのリシ・スナク首相の報道官は、イギリスは現在ウクライナ軍を訓練している少人数の軍人以外に、ウクライナに大規模な軍事派遣をする計画はないと述べ、イタリアのメローニ首相の事務所も、イタリアの「支援には欧州やNATO加盟国の軍隊がウクライナ領土に滞在することは含まれていない」としました。

こうした姿勢は、スペインやポーランド、チェコといった多くのNATO加盟国も同調しています。

更に、NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長もウクライナに部隊を送る可能性を否定。一方で、NATOに加盟していないウクライナを引き続き支援すると強調しました。

NATOの当局者も「NATOと加盟国はウクライナに前例のない軍事支援を行っている。2014年から支援しているが、ロシアの全面侵攻を受けて強化した……だがウクライナにNATOの戦闘部隊を送る計画はない……国際法に従って、ウクライナにはロシアの侵略から自国を守る権利があり、我々にはウクライナを支援する権利がある。これはNATOが現在行っていることであり、今後も継続する」と派兵以外の支援の継続を明らかにしています。


3.共に戦ってくれる国はいないのか


マクロン大統領のウクライナ派兵可能性発言について、記者質問をうけたロシア大統領府のドミトリ・ペスコフ報道官は「NATO加盟国がウクライナに部隊を派遣する可能性を議論するという事実そのものが非常に重要な新しい要素だ」と指摘しました。

そして、実際に部隊を派遣した場合、ロシアとNATOが直接衝突するリスクはどうなるかとの質問には「その場合は可能性ではなく、(直接的な衝突の)必然性について話す必要があるだろう」と答えました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は2月25日、「我々に助けは来ないようだ。共に戦ってくれる国はいないのか。我々はNATOに加盟できないのか。誰もが恐れている」などと訴え、「この戦争で3万1000人のウクライナ兵が死亡した。30万人とか15万人とか、プーチンとその嘘つきな取り巻きが言っているような人数ではない。しかし、一人ひとりの損失が、我々にとっては甚大な損失だ」と、兵士の死者数について明らかにしました。

そして、ロシア占領下のウクライナの複数の地域での市民の死者についてが、「何人が死亡し、何人が殺され、何人が殺害され、拷問されたのか、何人が強制移送されたのか、私にはわからない」と、その正確な数は不明だと述べました。

ウクライナが軍の死者数を公表するのは稀なことだそうですけれども、複数の推計では、ゼレンスキー氏の発表よりはるかに多くの兵士が死亡したとするものもあるようです。

稀な自軍兵士の死亡数を公表することで、NATO諸国から派兵させたい思惑もあるのかもしれません。

この訴えが効いたのかどうか分かりませんけれども、25日夜、イギリスのウォレス国防相は、ウクライナへの軍事的、人道的支援を各国に呼び掛けるオンライン緊急会合を開催しました。会合には、アメリカやカナダ、NATO非加盟の数ヶ国を含む計25ヶ国以上が参加。銃砲弾や対戦車兵器、対空兵器のほか、医薬品などの申し出があり、これらの武器類の輸送作戦をイギリスが指揮するとのことです。派兵しない代わりに、武器弾薬を送るという訳です。


4.CIAはどのようにウクライナとプーチンとの戦いを密かに支援しているか


偶然か必然か、同じ25日、ニューヨークタイムズ紙が「スパイ戦争: CIAはどのようにウクライナとプーチンとの戦いを密かに支援しているか」という記事を掲載しました。

要点は次の通りです(ChatGPTによる)
・CIAはウクライナとの諜報協力を通じて、ウクライナの防衛能力を強化し、ロシアとの戦いに支援を提供している。
・CIAはウクライナの盗聴基地を支援し、ロシアの通信を傍受するためのネットワークを構築している。
・10年以上にわたるパートナーシップにより、ウクライナはワシントンの重要な諜報パートナーとなった。
・CIAはウクライナの特殊部隊の訓練を行い、技術的な支援も提供している。
・ロシアの侵攻に備え、CIAはウクライナのスパイネットワークを拡大し、重要な情報を提供している。
・ウクライナとCIAの関係は、互いに価値を見出し、強固なものとなっている。
・CIAの介入は、ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの干渉に対抗する一環として位置付けられている。
・2014年2月24日の夜、ウクライナでのCIAの協力関係が始まる。
・ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領がロシアに逃亡し、ウクライナで混乱が勃発。
・新政府のスパイ長官ヴァレンティン・ナリバイチェンコ氏がCIAとMI6に協力を要請。
・ロシアがクリミアを掌握し、ウクライナ東部での分離主義者の反乱が始まる。
・ナリバイチェンコ氏がCIAに上空からの画像や情報の提供を求める。
・当時のCIA長官であるジョン・O・ブレナンがウクライナに協力を表明。
・CIAはロシアのスパイを粛清し、ウクライナ人がアメリカに価値のある情報を提供することを要求。
・ナリバイチェンコ氏がCIAとの協力を求めるため、混乱の中での対応を迫られる。
・CIAはウクライナの国内情報機関と連携し、情報提供や訓練を行う。
・新政府の設立後、CIAとウクライナの関係は深まり、情報提供や訓練が行われる。
・ウクライナの国防情報機関がCIAとの関係を強化し、情報収集を担当。
・ロシアの機密文書の提供や協力を通じて、CIAとウクライナの関係が発展。
・将軍とCIAの間で信頼関係が築かれ、情報提供や訓練が進む。
・ウクライナの新しい署長とCIAの関係が深まり、協力が拡大。
・2016年1月、コンドラティウク将軍はCIAキャンパス内での会談のためにワシントンに飛び、HURの近代化と情報提供に同意。
・ロシアの侵攻後、地雷原で囲まれた秘密基地が設置され、CIAからの支援で再建が行われる。
・基地での活動は地下で行われ、ロシアの偵察衛星の探知を避けるために夜間に行われる。
・CIAは基地に通信機器とコンピューターサーバーを提供し、ロシア軍の通信をハッキングする能力を向上させる。
・2016年の重要な会議後、CIAは装備品を送付し、ロシアの通信を傍受するための暗号化された無線機を提供。
・「金魚作戦」と呼ばれるプログラムを開始し、ウクライナ諜報員にスパイ活動を教える。
・CIAが外国機関に対する信頼を築き、共同作戦を開始。ウクライナ人スパイを訓練し、ロシア情報源に接触。
・ロシアに対する攻撃的な致死作戦はCIAによって制限され、ウクライナ人の不満を引き起こす。
・コンドラティウク将軍はCIAの支援を求めず、クリミア半島の攻撃ヘリコプターを爆破する計画を立案。
・特殊部隊2245に焦点を当て、攻撃的な技術を教え、ウクライナの防衛技術を向上させる。
・ウクライナ軍事情報局長官となるブダノフ将軍は、特殊部隊2245の一員としてクリミアへの攻撃を指揮し、CIAとの深い関係を持つ。
・ウクライナの特殊部隊はロシアの精鋭特殊部隊と遭遇し、戦闘が発生。
・将軍の息子を含む数人のロシア戦闘員が殺害され、ウクライナ側は海岸線に後退し海へ逃れる。
・プーチン大統領はウクライナを非難し、復讐を約束。
・オバマ大統領の顧問や副大統領はウクライナの行動を非難し、CIAの計画を巡って議論。
・将軍は職を失い、ウクライナは行動を続ける。
・謎の爆発でロシア分離主義者の上級司令官が暗殺される。
・暗殺者がCIAの訓練を受けたスパイ集団であることが明らかになる。
・ウクライナの工作員が反乱軍司令官をロケットランチャーで暗殺。
・ロシア人が自動車爆弾を使用してウクライナの特殊部隊責任者を暗殺。
・大佐の通夜で、CIA職員とウクライナ側職員らがシャポヴァル大佐に乾杯する。
・2016年11月、トランプ氏の当選によりウクライナとCIAの関係が緊張。
・トランプ氏はプーチン氏を称賛し、ロシアの選挙介入を否定。ウクライナに圧力をかけ、バイデン氏を調査するよう求めた。
・しかし、政権はマイク・ポンペオ氏をCIA長官に、ジョン・ボルトン氏を国家安全保障担当補佐官に任命するなど、ロシア強硬派を要職に据え、ウクライナとの秘密パートナーシップを強化。
・CIAはウクライナ諜報員を増強し、ロシアの選挙介入阻止に焦点を合わせる。
・対ロシア秘密連合が結成され、ウクライナは重要なメンバーとして参加。
・2021年3月、ロシア軍のウクライナ国境集結開始。対ロシア準備に集中。
・2022年2月24日、ロシアがウクライナ侵攻開始。CIAがウクライナに対する諜報支援を拡大。
・CIAはロシアの作戦概要を把握し、ウクライナに情報提供。
・ウクライナ諜報員がロシア船団の情報をMI6に通報し、共同作戦で破壊。
・CIAとHURはロシア通信を傍受するための新しい基地を建設。情報共有を強化。
要するに、2014年からCIAとウクライナ政府との協力関係が始まり、ロシア国境沿いに12の前方作戦秘密基地と2つの通信傍受用の秘密基地を持つようになったというのですね。

ただ、この記事は最後の段は次のように結ばれています。
一部のウクライナ諜報員が現在アメリカ側に尋ねている疑問は、CIAが彼らを見捨てるかどうかだ。ウクライナのある高官は「以前にもアフガニスタンで同じことが起きたが、今度はウクライナでも起きるだろう」と述べた。

バーンズ氏の先週のキエフ訪問に言及し、CIA当局者は「われわれは長年にわたりウクライナへの明確なコミットメントを示してきたが、今回の訪問は米国のコミットメントが継続することを示すもう一つの強力なシグナルだった」と述べた。

CIAとHURはロシアの通信を傍受するために他の2つの秘密基地を建設しており、コンドラティウク将軍によればまだ運用されている12の前方作戦基地と組み合わせると、HURは現在、戦争中のどの時点よりも多くの情報を収集し、生成している。そのうちCIAと共有している。

「このような情報はどこからも入手できない。今、ここを除いては」とドヴォレツキー将軍は語った。
このように、ウクライナの一部高官は、アメリカはアフガンの時と同じようにウクライナを見捨てるのではないかと恐れ、CIAはバーンズCIA長官がウクライナを訪問したことが見捨てない証だと、主張しているというのですね。

けれども、アメリカのウクライナ支援予算が可決されなければ、その支援とて終わりを迎えることになります。

10年に渡って蜜月関係を続けてきたウクライナとCIAですけれども、このタイミングで両者の関係が報じられることといい、隙間風が吹いたのか、あるいは、吹かせたのか。ウクライナ・ロシア戦争も大分煮詰まってきたのではないかと思いますね。



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