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1.千葉の群発地震
千葉県内を中心として地震が続いています。
1月27日から震度1~4の地震が10回以上発生。3月1日午前5時43分頃には、千葉県と埼玉県で震度4を観測する地震がありました。震源は千葉県東方沖で、気象庁のデータベースによると、2月27日から3月1日午前6時までに、震度1以上が15回、震度3は3回、震度4は2回。M4以上は7回を記録しています。
銚子地方気象台によると、昨年12月21日~22日にも同沖を震源とした地震が活発化し、震度2を4回観測。担当者は「前回よりも地震回数が多い。今後の地震に注意してほしい」と呼び掛けています。
また、災害史に詳しい立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は「東日本大震災後、震源の北端である北海道や南端の茨城、千葉で〝動き残り〟による地震が続いている。ただ、今回は群発地震の割にはM4~5と規模が大きく、頻度が密なのはやや異常だ」と指摘しています。
更に、東京大学の平田直・名誉教授は、今回の地震が直ちに大地震に結び付くとは考えていないとしたうえで、南関東ではマグニチュード7程度の大地震が起きる確率が30年以内に70%と、いつ起きてもおかしくないと指摘。そのうえで「この領域でマグニチュード7クラスの大地震が起きると、激しい揺れのほか、高い津波が起きるおそれもある。家具の固定や住宅の耐震化、避難経路の確認など、地震への備えを改めて確認してほしい」と話しています。
2.スロースリップ
気象庁によると、千葉県東方沖ではマグニチュード5程度の地震が発生したあと1週間から数ヶ月程度、地震活動が活発になったケースが、1996年から2018年にかけて3年から6年の間隔で起きているそうです。
このときの地震活動は、いわゆる地盤の"ゆっくりすべり(スロースリップ)"に起因すると考えられています。
スロースリップはスロー地震と呼ばれる現象の一つです。
通常の地震はプレート運動等によって地下の岩盤に蓄積されたひずみエネルギーが断層運動によって解放される現象で、断層が高速でずれ動くことで、蓄積されたひずみエネルギーの解放に伴って、地震波を放射し、その揺れに気づきます。
一方、スロー地震はプレート境界の断層がゆっくり動く現象で、それ自体は私たちが気づくような揺れを発生させないのですけれども、スロー地震に伴い、わずかな地殻変動や、通常より周期が長いわずかな地震波を放出する低周波地震(または低周波微動)が捉えられることがあります。
もっとも、千葉県東方沖を震源とするスロー地震の場合は、有感地震を伴うことが知られています。
スロー地震はそれ自体が直接被害を発生させるものではないのですけれども、南海トラフ地震など、巨大地震との関連性が指摘されていて、スロー地震が巨大地震の震源域に与える影響等、巨大地震の発生メカニズム解明のための研究対象として注目されています。
3.太平洋プレートと南海トラフ
これだけみると、周期的なスロースリップが起こっているだけのように聞こえるのですけれども、なぜか今回の群発地震は、ニュースで何度も取り上げられていることは少し気になります。
過去、関東地方東方沖合から福島県沖にかけてのプレート境界付近で発生した大きな地震としては、明治以降では、1909年の房総半島南東沖の地震(1日に6.7とM7.5の2つの地震が発生)、1938年の福島県東方沖地震(M7.5)、1953年の房総沖地震(M7.4)などが知られていますけれども、これらの地震による大きな被害は伝わっていませんし、M8を越えるような巨大地震の発生も知られていません。
1953年の房総沖地震は太平洋プレート内部で発生した正断層型の地震と考えられており、銚子付近に最大2~3mの高さの津波が襲来したのですけれども、被害は軽微でした。
ただ、資料によると、1677年にM8規模で房総半島東方沖に発生したと考えられる地震では、津波や強い揺れによって、千葉県内で溺死者246名などの被害が生じたことがあると記録されています。
被害という意味では、南海トラフの太平洋側を警戒すべきかと思います。
相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震としては、1703年の元禄地震(M7.9~M8.2)と1923年の関東地震(M7.9)の二つのM8クラスの巨大地震が知られています。
これらの地震の震源域は房総半島南端を含んでいると考えられていて、房総半島南部を中心に強い揺れが生じました。これらの地震では、一部の地域では震度7相当の揺れであったと推定されているそうで、更に、二つの地震とも大きな津波が発生しました。
震源域が陸に近いために、津波は地震発生後すぐに来襲したと考えられているのですけれども、1703年の元禄地震では、房総半島での津波による死者は6500名以上と考えられています。
また、1923年の関東地震では、地震動と津波による被害を合わせて、千葉県内で死者・行方不明者1342名などの被害が生じ、房総半島南端の野島崎では、元禄地震では約6m、関東地震では約2m地面が隆起したとされています。
まぁ、来る来ないで騒いでも仕方ありません。いつきてもよいように備えは整えておくべきだと思いますね。
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