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1.説明責任を果たしていない
3月2~3日、JNNは全国18歳以上の男女2581人(固定975人、携帯1606人)を対象に世論調査を行いました。有効回答数は47.0%にあたる1212人(固定電話606人、携帯606人)です。
その結果、岸田内閣の支持率は政権発足後、過去最低だった先月の調査からさらに0.8ポイント下落し、22.9%と、5ヶ月連続で過去最低を更新したことが明らかになりました。
不支持率も先月の調査から0.2ポイント上昇し、74.4%で過去最高。不支持率についても3ヶ月連続で過去最高を更新しています。
政党支持率では、自民党の支持が前月の調査から0.3ポイント上昇し24.7%、立憲民主党は2.1ポイント上昇し7.1%、日本維新の会は1.2ポイント下落し4.0%でした。
また、自民党派閥の裏金事件を受け、先週開催された衆議院・政治倫理審査会に出席した安倍派・二階派の幹部5人について「説明責任を果たした」と答えた人はわずか6%。「説明責任を果たしていない」と答えた人は86%に達しています。
更に、今回、政倫審が開催されたことで、今回の裏金事件の解明が進んだと思うかどうか聞いたところ、「あまり」と「全く」をあわせて84%の人が「進んでいない」と回答。「進んだ」と答えた人は、「非常に」と「ある程度」をあわせて13%でした。
2.衆院補選と解散総選挙
このように自民党派閥の裏金事件で政府・与党に逆風が吹く中、永田町は「岸田文雄総理が令和6年度の予算成立後に衆院解散に踏み切る」との噂が流れています。
というのも、麻生副総裁、茂木幹事長の連合軍に引きずり下ろされるというのですね。
岸田総理が派閥解散を打ち出した際、事前に麻生副総裁に相談しなかったことは知られていますけれども、麻生副総裁は周囲に「俺はポピュリストじゃない」と暗に総理を批判する一方で、上川外相を「大したもんだ」と持ち上げ、岸田総理を牽制しました。
これに岸田総理は不快感を示し、二人の関係は修復不可能なレベルまで悪化しているとも言われています。
ある麻生派幹部は「麻生さんの支持を失った岸田が、総理の座にあり続ける道はただ一つ。総裁選前に解散・総選挙に打って出て勝利し、その勢いに乗って総裁選に臨むこと。具体的な時期は、政治資金規正法改正にメドがついた後。6月が剣が峰だ」と述べています。
ただ、この作戦が成功するためには、解散総選挙で勝つという大前提があります。
仮に、6月がそのタイミングだとしても、その前に大きなハードルがあります。4月の衆院補選です。
4月28日に衆院島根1区、長崎3区、東京15区の補欠選挙が予定されていますけれども、ここで負け越せば「岸田おろし」が始まるとの見方も出ています。
現状、この3選挙区のうち、細田博之前衆院議長の死を受けた島根1区は勝てると見られているのですけれども、買収容疑で柿沢未途氏が逮捕された東京15区と裏金事件で谷川弥一氏が辞職した長崎3区の情勢は芳しくないようです。それどころか、ポスト岸田の座をうかがう茂木幹事長のサボタージュで、東京と長崎は不戦敗となる可能性すら指摘されているそうです。
岸田派のあるベテラン議員は「そうなる前に決断するしかない。補選の実施前に解散すれば、補選は総選挙に吸収される。そこで政治改革に後ろ向きな茂木幹事長を交代させ、麻生副総裁には引退を迫る。麻生派と茂木派が抵抗するなら“守旧派”と名指しして選挙区に刺客を差し向けてもいい。小泉純一郎元総理ばりの、“岸田劇場”で局面打開を図るべきだ」と述べていますけれども、その劇場には、改革派と守旧派の対立構造がなくては成立しません。
前述の麻生派幹部は「仮に政治改革が骨抜きになれば、政権は世論の支持を得られずジ・エンド。総理は衆院を解散できないまま、退陣に追い込まれることになるだろうな」と述べていますけれども、岸田総理がそれこそ"火の玉"となって、リーダーシップを発揮して、実際に改革してみせないと難しいのではないかと思います。
3.岸田降ろしの発動条件
2024年予算案は3月2日に衆院で開かれた「異例の土曜国会」で可決し、参院に送られましたけれども、野党幹部は「能登半島地震対策も含まれた予算案の年度内成立ができなければ、首相としての求心力失墜は決定的だ。野党の協力を何とか得たい本音があった」と指摘しています。
そのため、岸田総理は現職として初めて政治倫理審査会に出席したとも見られているのですけれども、野党は攻勢を強めています。
3月2日、立憲民主党の安住淳国対委員長は党会合で、「逃げ切れると思ったら大間違い」と断言。参考人招致や証人喚問をチラつかせています。
また、自民党を支える地方も反発しています。
ある自民党関係者は「地方組織から『岸田首相の顔では選挙は戦えない』との声が強まっている。派閥の裏金事件に加え、岸田首相がロシアのウクライナ侵攻が始まり、安倍晋三元首相の暗殺事件があった22年に、年7回もパーティーを開いていた件もダメージだ。協力者から、自民党のポスター撤去を要求されるケースも増えているようだ」と述べています。
先程、取り上げた、衆院3補選にしても、裏金事件で略式命令を受けた谷川弥一前議員の辞職による長崎3区は、候補を擁立しない〝不戦敗〟で調整が進んでいるとのことで、公選法違反罪で起訴された柿沢未途被告の議員辞職を受けた東京15区も大逆風とのことです。
自民党ベテラン議員は「岸田首相は衆院解散を狙っているのかもしれないが、求心力は日に日に失われつつある。3補選全敗となれば、『岸田降ろし』のトリガーになるだろう」と語っています。
4.自民党をぶっ壊す
このように4月解散説が噂される中、4日から参院予算委員会で2024年度予算の審議が始まりました。
立憲民主党の辻元清美代表代行は、衆院予算委で土曜日国会を行って、予算案の衆院通過を急いだ件に触れ、「私は別の思惑があると思っている」と指摘。「ひょっとして4月に補欠選挙があり、その補欠選挙に合わせて解散のフリーハンドを持ちたい。そのために自然成立の期限、土曜日中の採決を何が何でも強行したい。補選に負けたら総裁選の再選が危うくなる。だから4月、一か八かの裏金解散、総理、ちょっと考えているんじゃないですか」と、「裏金解散」の可能性を質しました。
これに対し、岸田総理は「まったく考えておりません……今、政府与党としては、国民にとって大切な24年度予算の成立をはかること、これに尽きる……予算を成立させることが重要と再三申し上げている。今、考えていることはそれに尽きる」と答えました。
まぁ、この「目の前の課題に取り組む。これに尽きる」的な発言はこれまで何度も聞いてきましたから、半分眉唾でいいとは思いますけれども、辻元議員が、自民党派閥の裏金事件について、政治資金規正法改正に当たっては会計責任者だけでなく議員本人の責任も問う「連座制」を導入するよう主張したところ、岸田総理は「一定の悪質な場面においては政治家自身が責任をしっかり取っていく。法改正を考えていくべきだ」と答えました。
そして、裏金事件に関係する議員に関して、「説明責任を尽くしたかどうかは、最終的には広く国民がどう考えるかにつながる……引き続き政治倫理審査会などでの説明も行われなければならない」と答弁しました。
先週行われた衆議院政治倫理審査会には、岸田総理を除いて、安倍派幹部4人と二階派の武田元総務大臣の合わせて5人が出席しました。
なぜ、5人になったのかというと、もともと岸田総理は二階元幹事長も呼ぶつもりであったところ、麻生副総裁から「絶対にダメだ! 大変なことになるぞ」と止められたのだそうです。
というのも、二階派関係者によると「二階さんは周囲に『(政治資金について)何か問題あるのか』と声を荒らげていて、政倫審に出ろと言われたら出てくる可能性が高かった。政策活動費から出した約3500万円の書籍代についても、内訳を公表した。『いくらでも説明してやる』という意思表示でした……裏金や政策活動費は、選挙や野党対策、飲み代などにも使われており、生々しい話はいくらでも出てくる。派閥解散後、二階さんのもとからは人が離れ始めている。この際、巻き返しのためにすべてをぶちまけて自民党をぶっ壊し、かわいがっている小池百合子都知事を総理にする道筋を作る、なんてこともしかねないと警戒されている」という裏事情があったようなのですね。
最終的にはどうなるかは、分かりませんけれども、JNNの世論調査を見る限り、国民は、衆議院政治倫理審査会をやっても、裏金問題で説明責任を果たしたとは思っていません。
普通は、ここまで内閣支持率が下がると、普通は辞職なり解散なりして、ご破算にしてしまうのがこれまでの自民党でした。
けれども、岸田総理は内閣支持率が最低を更新し続けているのに一向に辞めません。ただ、逆説的ですけれども、どんなに支持率が下がっても辞めないという「謎の粘り」を見せることが、結果として、自民党の「膿」を国民に見せ続けることに繋がっていることは事実です。
筆者は、昨年12月22日のエントリー「時は戦国の令和日本」で、岸田政権は、政界の闇や既得権益の存在を世に曝露する役目があるのではないか、と述べたことがありますけれども、現実もそのようになってきています。
果たして、自覚しているのかどうか分かりませんけれども、岸田総理は「自民党をぶっ壊す」ことでその役目を終えるのではないかと思えてきました。
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