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1.岸田総理の証人喚問要求
3月21日、教育無償化を実現する会の前原誠司代表は記者会見で、自民党の政治資金問題を巡り「政治不信を自ら払拭する責務がある」と岸田総理の証人喚問が必要だと述べました。
前原代表は、「証人喚問に出ないのであれば、政治倫理審査会の出席は予算成立のためのパフォーマンスだ」と指摘し、岸田総理が4月28日投開票の衆院3補欠選挙と衆院解散・総選挙に踏み切る可能性が高まっているとも述べています。
先日行われた政倫審では、出席議員が揃って「知らない」を連発し、結局何も分からなかったのですけれども、立憲民主党の岡田克也幹事長は「事実解明が全く不十分なまま終わってしまった。事実が明らかでない中でどうやって処分するのか、説得力ある処分ができるのか、岸田さんに問いたい」と批判。
日本維新の会の藤田文武幹事長は「危機対応ができない自民党というドタバタの組織が日本国を動かしているのは悲劇だ」と痛烈に批判し、共産党の穀田恵二国対委員長は「首相の答弁は報告書をなぞっているだけだ。やっぱり証人喚問して事実を問い詰める以外にない」と訴えています。
こうしたことから、立憲民主党の安住国対委員長は「偽証が罰せられる証人喚問を改めて行わないと真相解明ができないと判断した」と、塩谷元文科大臣など安倍派の幹部5人と、一連の裏金事件で国会議員として唯一逮捕され起訴された池田佳隆被告の6人の証人喚問を正式に求めることで、野党4党が一致したことを明かしていますけれども、前原氏の岸田総理証人喚問要求はその上をいくものです。
2.話が違うじゃないか
野党4党が安倍派幹部ら6人の証人喚問を要求したことは、自民党内に少なからず動揺を与えているようです。
というのも、証人喚問は政治倫理審査会とは異なり、虚偽の証言や理由なき出席拒否が処罰の対象になり得るからです。
3月19日、自民の浜田靖一国対委員長は、証人喚問の実施について「かなりハードルの高い話だ。飲めるかどうかは今のところ判断しがたい」と記者団に話し、公明党の山口那津男代表も記者会見で同様の意見を述べました。
政倫審に出席した安倍派幹部は「我々を引っ張り出して騒ぎたいだけだ」と野党側への憤りを隠さず、自民幹部からは政倫審に出席すれば証人喚問などは行われないとの見通しを伝えられていたとして、「話が違うじゃないか」とも怒りを露わにし、別の安倍派幹部は「もう滅茶苦茶だ」と語っています。
自民としては、これまでに開かれた衆参両院の政倫審で幕引きを図りたい考えで、自民の党三役経験者は野党の求めに応じて政倫審を全面公開で行ったことを念頭に、「野党にはすでに相当譲歩している。自民国対が『防衛ライン』を引けていない」と不満を口にしています。
事件の影響で岸田内閣の支持率が低迷する中、自民関係者は「野党の提案を受け入れれば、支持率は上がる面もある。最終的には首相の決断次第だ」と指摘していますけれども、このままでは政倫審は不発に終わったことになるかと思われます。
3.やってる感に騙されてはいけない
3月22日のエントリー「二階氏処分と新しい保守主義」で、自民党内で安倍派と二階派で不記載があった80人以上の議員全てを処分の対象とする案が検討され、二階元幹事長や岸田総理本人についても処分を行う話が出ていることにつて取り上げましたけれども、二階元幹事長の処分については、党内で賛否もあるようです。
これについて、3月20日、関西テレビ「newsランナー」コメンテーターのジャーナリスト・鈴木哲夫氏が次のように解説しています。
・二階元幹事長に重い処分を科すという話はわざとリークさせている可能性があるこのように、鈴木氏は、二階元幹事長の処分をめぐっては情報戦の最中にあり、岸田総理の「やってる感」に騙されてはいけないと警告しています。
・二階元幹事長程の人を処分することについては賛否ある
・二階元幹事長は処分されたら何でもバンバン喋るぞという観測もある
・一方、リークすることで二階元幹事長に辞表を出させる、辞職させる流れを作ろうとしているという見方もある
・情報戦になっているので、しっかり見ていく必要がある
・80人以上の処分についてもどこで線引きするかの問題がある
・自民党ベテラン議員曰く線引きには3つの次元がある
1)額の多寡に関わらず全員処分。ただし処分自体は低めで、党の役職停止ないしは戒告。
2)役職がある重要な議員は選挙非公認。ただし党籍は残る。中途半端
3)岸田総理が自分を処分。(選挙非公認)
・処分を下すことで、「やってる感」を見せるんじゃないか
・事実関係も何にも明らかになってない。何に使ったかも分かってないのに処分するっておかしな話。そちらが先。
・処分したからって、すごいことやったという風に見ないで、事実関係が分かるまでちゃんとウォッチしなきゃいけない
4.そんなことを言った覚えがない
情報戦という意味では、二階元幹事長だけではありません。岸田総理にも行われている感があります。
3月22日、甘利前幹事長は、官邸を訪れ、岸田総理と最先端技術の研究を行う海外の大学を日本に誘致し企業との連携などを図る「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」について意見交換しました。
会談後、甘利氏は記者団の取材に答え、政治資金問題を受けた自民党の処分についても話題にあがったことを明らかにしました。
甘利氏は岸田総理が自身も処分すると検討しているとの一部報道を踏まえ、「なぜ自分も含めるとおっしゃったのか」とたずねたところ、岸田総理は「そんなことを言った覚えがない」と話したと明かしました。
報道が間違っているのか、岸田総理がシラを切ったのか、本当のところは分かりませんけれども、このやりとりを明かしたこと自体が情報戦になっているような気がします。
なぜなら、世論は、自分自身も処分すると言っておきながら、言った覚えがないと嘘をついたと受け取るであろうからです。すでにXでは「嘘つきメガネ」というハッシュタグや言葉が躍っているようです。
甘利氏は麻生派の重鎮ですけれども、あるいは岸田総理が野党が要求する証人喚問を受けたり、裏金議員に厳しい処分を下すことがないように牽制した可能性はあると思います。
証人喚問について、自民幹部は「飲めるわけがない」と完全否定した上で「仮に開いたとしても政倫審以上の話は出ない」と語ったそうですけれども、政倫審以上の話がでないとなると、実態解明は何も行われないということになります。
事件の真相が有耶無耶のまま、関係議員の処分や再発防止に向けた法改正の議論をして、事が収まるとでも思っているのでしょうか。
自民党中堅議員は「重くても軽くても、国民の信頼は戻らない」、若手議員は「国民が納得するわけがない」と、語っていますけれども、これで支持率の回復はあまり望めないのではないかと思いますね。
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