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1.電気料金値上げ
3月21日、5月の家庭向け電気料金が大手電力10社全てで、4月に比べ値上がりする見通しであることが明らかになりました。
これは、再生可能エネルギーの普及に向け、電気料金に上乗せされる再エネ賦課金が上がることが理由です。
現在、太陽光や風力といった再生可能エネルギーなどで発電した電気は電力会社が一定価格で買い取り、この費用を賄うため消費者が賦課金を負担しているのですけれども、3月19日、経済産業省は2024年度の賦課金単価を1キロワット時当たり3.49円と23年度から2.09円引き上げると発表しました。
これにともない、大手電力各社の電気料金も4月利用分から全て値上がりする見通しで、値上げり幅は中部の574円が最大。東京559円、関西543円、東北537円、九州520円、四国511円、中国509円、沖縄499円、北陸457円、北海道441円となる模様です。
2.国家電網公司の透かしロゴ
そんな中、3月22日に行われた内閣府の、第30回再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの資料に、中国の「国家電網公司」のロゴの透かしが入っていることが発覚し騒ぎになっています。
この資料はタスクフォース構成員である、大林ミカ(自然エネルギー財団 事業局長)、高橋洋(都留文科大学 地域社会学科 教授)、原英史(株式会社政策工房 代表取締役社長)、川本明(慶応義塾大学 経済学部 特任教授)の各氏らによる提言書・意見書に関して委員を代表する立場として大林ミカ氏が説明する際、会議で示されたものです。
資料の趣旨は「エネルギー転換を支える太陽光発電等のさらなる導入促進」を求めるものでした。
当初、内閣府は「不正アクセス等による資料改ざんがあったのではないかとの問い合わせがあったため、一時的に資料を削除」していたのですけれども、3月23日、内閣府規制改革推進室が一連のツイートで次のように報告しています。
・【内閣府よりご報告】再生可能エネルギータスクフォースについてご報告です。昨日開催の同タスクフォース資料3-2、及び昨年12月25日開催の資料4-2について、中国企業の透かしが入っているとの問い合わせをいただきました。内閣府は「自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はない」と報告していますけれども、ならばなぜ、ロゴが入った資料が存在するのか。
・内閣府において事実確認を行ったところ、こちらは同タスクフォースの民間構成員の大林ミカ氏により提出された資料でありました。
・事務局より大林氏に確認したところ、大林氏が事業局長を務める自然エネルギー財団の数年前のシンポジウムに中国の当該企業関係者が登壇した際の資料の一部を使用したところ、テンプレートにロゴが残ってしまっていたとのことでした。なお、自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はないとのことです。念のため内閣府でも確認を行います。
付け加えるならば、自然エネルギー財団の他の資料にも同じロゴがあるという指摘もネットで為されており、すんなりと内閣府のいうことをそのまま信じるのは難しいという印象です。
2021年6月の資料にも中国の「国家電網公司」の透かしがあることが判明しました。やはり自然エネルギー財団の大林ミカ氏のスライドです。原子力市民委員会のウェブサイトにありました。 https://t.co/p9gHkR0Cve pic.twitter.com/ZnLVKlCfSt
— 牧村直樹 (@blue03520) March 23, 2024
3.大炎上の河野太郎
当然ながらネットでは、批判が集まっています。
《数年前のシンポジウムに中国の当該企業関係者が登壇した際の資料の一部を使用した」とのご説明ですが、当該透かしが入った資料には2023年までのデータが使用されています。「数年前」とは具体的に何年前の話でしょうか?》
《もうダメでしょ岸田内閣 どんな言い訳しても「関与」があったと言うこと。》
《内閣府の資料に「国家電網公司」の透かしが入っていた件、それだけでも大問題であるが、その公開リンクを一時停止して書き換えようなど、国の「資料」が何故公開されるのかの根本理念を無視している上、一次情報の「一次」情報性を毀損する行いであるから、当事者らが思う以上に大問題だろうと思う次第》
など、厳しい声が上がっています。当然だと思います。
今回の問題について、河野太郎デジタル相は、「先ほど報告がありました。チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」とツイートしていますけれども、この発言も炎上。
《こんなのツイート一つで済ましていい問題じゃないよ。》と批判が集中しています。
《内容を見ると、まぎれこんだレベルではないと思います》
《エネルギー政策は国としての根幹をなす部分であり「スパイ防止法制定」の流れもある状況を鑑みて、適切な原因究明と対策を取っていただくことが国民の為だと思いますのでよろしくお願いいたします》
《どこから出した資料かも分からない状態で会議するんですか。杜撰な体制をしっかり管理してください。》
《反原発のポジショントークで自然エネルギーに利益誘導する自然エネルギー財団がタスクフォースに入っていることが大問題》
著述家の山本一郎氏は、元資料を提出した大林ミカ氏について「成田市一坪地主系統でも割と活躍していたNPO団体原子力資料情報室という反原発団体で要職を占めていた方です。その後、飯田哲也さんの環境エネルギー政策研究所を経てソフトバンク系の自然エネルギー財団の事業局長なるポジションにいらっしゃいます」であると指摘した上で、「自民党側では再生エネルギー議連の事務局長であったのは河野太郎さんの側近でもあり先日受託収賄で逮捕された秋本真利さんであることは押さえておく必要があります」と述べています。
河野デジタル相は、チェックを徹底するなんて言っていますけれども、この態度は、例の裏金問題の実態解明が何一つ為されないまま、当該議員に追加納税もさせず、政治資金規正法を修正して幕引きを図ろうとする自民党と同じです。
いや、政倫審を開いたり、世間の批判に当該議員を処分するというだけ、まだ岸田総理の方がマシだといえます。
4.再エネありきのタスクフォース
2021年7月30日、「第4 回総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」が行われていますけれども、ここで件の再エネタスクフォースは、各委員からボコボコに突っ込まれています。
議事録からいくつか拾うと次の通りです。
○豊田委員委員の意見の大半は、再エネはベースロード電源にはならないから現実的な案にすべきだというものだったのですけれども、これに対し、タスクフォースは基本認識として、次のように答えています。
総点検タスクフォースのご意見は大変興味深いのですけれども、賛成しかねるところも多々ございます。1つだけに絞って質問させてください。ベースロード重視から柔軟性重視というご指摘がございますけれども、S+3Eという原則を踏まえれば、安全保障・安定供給の観点から、可能な限りベースロードを持つべきというのは当然だと思いますし、とりわけドイツやヨーロッパの他国と比べると、国際連系線に囲まれていない日本にとっては、非常に重要な点だと思います。
原子力に加えて、石炭火力もやがてはゼロカーボンアンモニア火力となって、ベース電源となる可能性もあると思います。一方、再エネはとりわけ増加を期待される太陽光、風力については、間欠性、インタミテンシーの電源であって、安定供給のためには慣性力の補完をする必要がございます。蓄電池水素が必要な、独り立ちしにくい電源であるということは周知だと思います。柔軟性だけでは安定供給は図れないと思うのですけれども、この点いかがでしょうかというのがタスクフォースの皆さんへのご質問です。
○隅委員
私からは再エネタスクフォースに申し上げたいと思います。
この分科会では、2050年のゴールを見据えながら、2030年に向けて、どのようにわが国のエネルギーシステムを変革し、経済国際競争力を維持しながらトランジションを進めていくのか、どのような社会構造、産業構造を目指すのか、その実現可能性はあるのか、安定供給は国民負担を守れるのかと、こういったことを検討してきたわけでございます。
我々も脱炭素社会の実現に向けては、再エネは最大限に導入したいと、このように思っておりますけれども、その課題と限界も見えてきており、安価で安定的なエネルギー供給を確保するためには、原子力やトランジション中の化石燃料も含めたあらゆる選択肢を追求するというのがこの素案の結論と認識をしております。
いずれにいたしましても、再エネにしろ、原子力にしろ、どの電源も達成に向けたハードルは極めて高い案とはなっております。それに対して、再エネタスクフォースからは、再エネはフェアに扱われていない、再エネの目標値は原子力や石炭火力を延命させるために低く抑えられた可能性があると指摘をされております。
現実には、低く抑えるところか、2030年の再エネ比率36~38%に必要な積み上げすら、経産省、エネ庁だけでなく、環境省も含めた関係省庁を挙げて、知恵を絞っているにもかかわらず、見通せていないというのが実態ではないでしょうか。変な憶測でなく、現実に立脚した発信をしていただきたい。高い再エネ目標を掲げておけば必ず誰かが課題を解決し実現してくれるということはあり得ません。
もう1点。電力システムの柔軟性確保は重要ではありますが、だからといってベースロード電源が不要になるわけではございません。ベースロード電源は電力の安価・安定供給に必要な電源であって、容量市場を活用して新規投資を促し、トランジションを進めていくべきであると私は考えます。
○柏木委員
タスクフォースの皆さんにご質問したいのですが、このタスクフォースというのは、これはこの与党政府内に置かれた有識者会議による見解ということは、国益をしっかりと守った上でのご発言だというふうに私は理解をしています。そういう観点から見ますと、かなり偏ったことを言っておられて、ミックスをやると言っているにもかかわらず、再生可能エネルギーを全面的に進めるべきだと。ベースロード電源が多すぎると思ったらちょうど40%ぐらいじゃないですか。そういう意味では、再エネを推進するためにも、そのベース電源や調整用電源としての揚水なども合わせて考えた上で、総合的な記述をしていただかないとよろしくないのではと思います。
……
それから最後にもう一つだけ。太陽光発電の義務化というのは、これは義務化というのは非常に重要なのかもしれません。でも義務化するということは、これは与党が義務化するということは、国益を最大にするということです。この義務化はどこの太陽光を買ってくるか。
太陽光は中国に負けていますから、エネファームを買うのだったら日本のメーカーのを買いますから、私はその政策としてはいいと思いますけれども、そこら辺の義務化による国力の増大、メーカーの増大というのはどう考えるか重要なんじゃないでしょうか。
以上です。
○工藤委員
本日は非常にためになるご説明をいただきまして、ありがとうございました。2点ご質問させていただきたいと思います。
1点目は、タスクフォースの皆さまへお願いします。世界的なカーボンニュートラルの潮流の中で、再エネの最大限導入や柔軟性の拡大にまず取り組むべきという方向性には同意いたします。
一方で、エネルギー政策を考える上で、S+3Eは大前提だというふうに思っております。自然エネルギーの比率が高まることで、今日もお話があって重なるのですけれども、事後的に安定供給には責任を持たない個別の事業者が増えることになるのではないかというふうに懸念しています。ドイツの例について研究がありましたが、グリッドが他の国とつながっていて、事故も含めて万一電力不足が起きた場合に、他国電源にアクセスがある、バックアップがある国とは事情が異なるのではないかと思います。どのようにレジリエンスを確保していくとお考えなのか教えていただきたいと思います。
もう1点は、太陽光発電協会さまにお願いしたいと思います。再生可能エネルギーの活用により、エネルギー自給率が上がるということは理解しているのですが、もう少し広く見ると、技術機器という観点からは、残念ながら太陽光パネルや風力発電機器の製造供給は海外メーカーに頼っており、自給率は低いと思います。グローバルサプライチェーンの分断や地政学リスクというのが将来的に懸念される中、事故が起きた際の機器のリプレースやメンテナンスには心配もあると思うのですが、こういう点をどうお考えかということをお願いしたいと思います。
以上です。
○川本(タスクフォース)再エネありきの回答です。委員がタスクフォースの案は現実的ではないと指摘しているのに対し、再エネはやらなければならないから理解しろ、と言っているわけです。
大丈夫ですか。
タスクフォースの構成員の川本です。いろいろなご意見ありがとうございます。私のほうから、基本的な認識の点で、皆さまのご意見に対して、私どもの意見の背景になっている考え方を少し申し上げたほうがいいかなと思いまして、発言させてください。
再生エネルギーはコストがかかるのでは、と言われます。例えば蓄電池あるいは系統増強、確かに我々もそれを入れながら再生エネルギーをもっと拡大すべきだという意見でございます。それでそのときの費用なのですが、これは基本的には現在の電力などのエネルギーシステム全体が、まさに温暖化、膨大な地球環境コストを今発生させているということが前提になっているわけですね。現在、大きなコストが環境的に、社会的に発生しているときに、それがかからないシステムへの移行費用だと考えております。これは例えば、昔、馬車から自動車に移動手段が移って、大きく社会が変わったときに、道路舗装を全国的にやったというときのコストのようなものだと考えております。その意味で、こういった移行費用、これは基本的には国民全体で広く負担していくべきものだと思いますけれども、それは今の大きな地球環境コストをなくすために負担するものだということを、議論の出発点として、ぜひご理解いただきたいと思います。この点について、再エネが入ってくるから再エネが負担しろというのは、なかなか合理的ではないのでは、と思っております。
それから、もう一つの基本的認識として、2030年の目標実現に向け努力していかなければいけないというときに、私どものタスクフォースは、現在ある既存の制度、規制が、そのままであるという前提で積み上げるのでは実現できないだろうという認識です。導入ポテンシャルを考えて、それを実現するためにはどういう制度改革が必要かということで各省にお願いしてきております。それで成果も上げてきていますが、一方でまだ解決できていない問題があります。
例えば洋上風力については、非常に大きなポテンシャルがあるのですけれども、2030年の現在のエネルギーミックスでは3.7GWということで、そんなに大きくありません。この理由は、現在の制度では入札後に環境アセスが行われて、2年程度時間がかかってしまい、2030年に間に合わないということになっているのですね。この点について、制度を変えて、環境アセスを国指導で入札前に行うということにすれば、2030年の大幅な導入ということは可能になるのではないかと。こういうことも追求すべきだというのが私どもの立場でございます。ぜひご理解いただきたいというふうに思います
そのようにごり押しして、電気料金に再エネ賦課金を科してまで進めている再エネ事業に、中国企業が絡んでいたとしたら、国民の金を中国に垂れ流していることになります。
5.セキュリティクリアランスはどうあるべきか
仮にそうだとすると、この問題は経済安全保障にかかわってきますし、必然的に、セキュリティクリアランスはどうなんだという話になってきます。
これについて先述の山本一郎氏は次のように述べています。
セキュリティクリアランスはどうするべきなのか今回の問題に対する河野デジタル相の弁明ツイートがネットで炎上したことは先に述べましたけれども、河野デジタル相こそ政倫審どころか、証人喚問をして、徹底解明する必要があるのではないかと思いますね。
再エネTF構成員は、他にも飯田哲也さんや高橋洋さんなどが入っております。
問題は、政府的にアリバイ的なものに過ぎない会議体とはいえ、河野太郎さんが選任したこの再エネTFの身体検査はちゃんとやるんでしょうねという話です。
というのも、再エネTFとは無関係に、河野太郎さんが出席している政府の会議体において、本来出席の資格がないにもかかわらず大林ミカさんらが対面、オンラインを含めて出席しているようにも見受けられます。さすがに外部から指摘を受けて直接参加することは減ったようですが、問題であることに変わりはありません。
現在進められているセキュリティクリアランス法案では、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(Classified Information)として国家安全保障政策の中に「再生可能エネルギーや原子力の 最大限の活用を始めとするエネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノ ベーションの創出等を通じ、脱炭素社会の実現に向けて取り組む」ものとして、再生エネルギーも指定された情報に含まれることになります。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/dai10/siryou.pdf
https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/national_security_strategy_2022_pamphlet-ja.pdf
一般的に、政府における会議としては、再エネTFなど会議体に対して諮問する内容そのものが指定された情報であって、知る必要性(Need-to-Know)の要件を満たすのは河野太郎さん本人のみであると共に、本件中華国家電網公司から出ている提案資料の内容は明確に政府検討において必要とされる内容(のすべて)であることから、セキュリティクリアランスにおいて大臣や政務三役も含めた政治家も含まれるべきだという議論は如実にこのような事態があてはまるのではないかと危惧されます。
突き詰めれば、「国家のエネルギー戦略を左右する重要な地位にある政治家(この場合は河野太郎さん)が、その内容について政府会議体(再エネTF)に諮問するにあたり、問題が疑われる人物(大林ミカさんなど)に対して我が国の重要な情報(再生エネルギーの調達状況・計画や我が国のエネルギー行政における問題点など)を公開した」疑いがあるという話になります。
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