裏金処分と自民党総裁の責任

今日はこの話題です。
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1.裏金事件で39人を処分へ


4月1日、自民党の茂木幹事長は会見を行い、「39名を対象に審査をしてほしいという形にしたところであります。我が党全体に対して厳しい目が向けられているということを重く受け止めております」と述べ、裏金問題の処分を巡り、党紀委員会に対し、収支報告書に不記載があった安倍派と二階派の議員ら85人のうち2018年からの5年間で不記載の金額が500万円を超える人と安倍派の幹部合わせて39人の審査を要請しました。

対象の議員と不記載額は次の通りです。
◇安倍派
・衛藤征士郎 1070
・大塚  拓 994
・小田原 潔 1240
・尾身 朝子 623
・菅家 一郎 1289
・塩谷  立 234
・柴山 昌彦 896
・下村 博文 476
・杉田 水脈 1564
・関  芳弘 836
・高木 毅  1019
・高鳥 修一 544
・中根 一幸 1860
・西村 明宏 554
・西村 康稔 100
・萩生田光一 2728
・細田 健一 564
・堀井  学 2196
・松野 博一 1051
・三ツ林裕巳 2954
・宗清 皇一 1408
・簗  和生 1746
・吉野 正芳 660
・和田 義明 990

◇二階派
・武田 良太 1926
・林  幹雄 1608
・平沢 勝栄 1817

<参院議員>
◇安倍派
・岡田 直樹 774
・加田 裕之 648
・末松 信介 584
・世耕 弘成 1542
・羽生田 俊 818
・橋本 聖子 2057
・堀井  巌 876
・丸川 珠代 822
・宮本 周司 1482
・山田  宏 560
・山谷えり子 2403

<衆院選挙区支部長>
・中山 泰秀 908

※不記載額は2018~22年分の合計額。単位は万円。
これら以外の人は幹事長による注意にとどめるとのことです。

また、二階元幹事長については衆議院選挙に出馬しないと表明したことから、自ら政治責任を取ったとして処分は見送る一方、安倍派幹部4人については、2022年8月、いったん中止を決めた安倍派の資金還流を復活させた経緯を問題視。「還流を止められる立場にあったのに続けた責任は重い」として「選挙の非公認」以上の重い処分とする方針です。

関係者によると、安倍派会長代理を務めた塩谷立元文部科学相と参院側会長だった世耕弘成氏の政治責任は重いとし、両名には党処分で最も重い「除名」に次ぐ「離党勧告」を科す方向で最終調整に入ったとのことです。

また西村康稔前経済産業相、下村博文元政調会長は「離党勧告」を見送り「党員資格停止」か「選挙での非公認」の処分を検討するようで、最終的な処分は党紀委員会で議論したうえで、4日にも決まる見通しです。


2.そんな生易しいものではない


3月31日、自民党の菅義偉前首相は27日に収録されたBSテレ東番組で、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け党の支持率が低迷している現状に危機感を示した。「自民党が国民の不信を取り除くために行動していくか極めて大事、最優先だ。そんな生易しいものではない」と述べました。

番組で裏金問題に関して菅前総理が述べた概要は次の通りです。
・これだけ国民の信頼がなくなってきてる自民党にとって最大の問題だという風に受け止めてます
・最終委員会の中で派閥解消をスタートラインにするぐらいでなければ国民の皆さんにご理解をいただけるようにはならない
・とにかくこれから自民党がどう国民の不信を取り除くために行動していくかということは極めて大事
・最優先だと思ってます。そんな生優しいものではないという認識を持ってます。
・あのリクルートの時に政治改革というのを何ヶ月かかけて徹底して議論して答申書も出て、その時もやはり派閥解消だったんですね。で、結局できなかったですよね
・今も派閥解消を掲げて党内全体で、私はそういう方向に進むべきだという風に思ってます。
・これからの政治のあり方を言葉にすると、「スピードと透明性」だと思います。そういう時代になってきてる。
・スピードというのはいついつまで、と明確に区切って。
・今はスピードと国民に厳しいことも言わなきゃいけない。
菅前総理はスピードと透明性が必要だと指摘していますけれども、今回の裏金問題についての岸田総理の対応はスピードもそれほどでもない上に、政倫審に出席した議員が揃って「知らない」を連発したことからも分かるとおり、実態解明には程遠く、御世辞にも透明とはいえません。




3.岸田総理も処分受けるべき


こうした裏金議員を処分する動きに国民が納得しているかというと、そうでもないようです。

3月30~31日、JNNは全国18歳以上の男女2190人〔固定910人、携帯1280人〕に世論調査を行いました(有効回答:固定電話528人、携帯508人)

その中で、派閥の裏金事件を受け、自民党は関係議員らの処分に向け手続きを本格化させているが、岸田総理自身も自民党の処分を受けるべきか聞いたところ、62%の人が「受けるべき」と答えました。

また、安倍派で行われていたキックバックなどの実態を解明するため、77%の人が派閥の会長だった森元総理への聞き取りが「必要だと思う」と答えています。

そして、岸田内閣の支持率は政権発足後、過去最低だった前回の調査から、さらに0.1ポイント下落し、22.8%と6ヶ月連続で過去最低を更新。不支持率も前回の調査から0.6ポイント上昇し、75.0%で過去最高となっています。

政党支持率は、自民党の支持が前回の調査から0.3ポイント上昇し、25.0%、立憲民主党は1.0ポイント下落し、6.1%、日本維新の会は0.3ポイント上昇し、4.3%となり、次の衆議院選挙で、立憲民主党などによる「政権交代をのぞむ」声が42%にのぼり、「自公政権の継続をのぞむ」の32%を上回りました。

この結果について東京大学先端科学技術研究センターの牧原出教授は「岸田首相の処分問題とは、岸田首相の自民党派閥元代表としての責任問題です。62%が処分「受けるべき」という声は、責任の取り方について一定の態度を求める声が強いということです。岸田首相は国会で党総裁に処分の前例がないと答え、処分の対象ではないと発言していますが、総裁だから特別という「特別扱い」こそ、一連の政治資金問題の中で自民党を非難する国民が最も望まないものです。安倍派幹部への処分などが下された後、この責任問題がまだ残るでしょう。では岸田首相はどのようにこれを果たすのか。次第にこの問題がクローズアップされるように思います」と解説。

弁護士の楊井人文氏も「『岸田首相は処分を受けるべきか』と質問する際に、どの問題を挙げて聞いたかによって答え方は変わりうると思われます。岸田首相に関しては、(1)派閥会長を務めていた宏池会の元会計責任者が政治資金規正法違反で略式起訴・有罪が確定、(2)総理就任祝賀会を政治資金パーティーとして政治資金規正報告書に記載していなかったと指摘される疑惑=3月に刑事告発、受理されたか不明=、(3)首相就任後に政治資金パーティーを繰り返し開催していた問題=閣議決定された大臣規範に抵触する疑い。首相は「今後開催しない」と国会で答弁=が指摘されています。JNN世論調査の質問詳細が不明で、どの問題で処分すべきと尋ねたのかもわかりません。メディアの世論調査は質問文や選択肢によって結果が左右されますし、社会的なインパクトも小さくありません。公正な世論調査を行なっているかチェックできるよう、全文を公開すべきでしょう」とコメントしています。

牧原教授が指摘するように、これみよがしに関係議員を処分しておいて、党総裁の岸田総理自身が「特別扱い」では国民は到底納得しないでしょう。

ただ、岸田総理周辺は「自らの判断で何らかの責任を取ることも検討している」と話しているそうですけれども、軽い責任の取り方ではやはり国民は納得しないと思います。

菅前総理は「そんな生優しいものではない」という認識を示していますけれども、岸田総理がどこまで状況認識しているか、注目したいと思います。



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