中高年の支持も失った岸田政権

今日はこの話題です。
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1.中高年の支持も失った岸田政権


4月5日からの3日間NHKは、全国の18歳以上を対象に世論調査を行いました。調査の対象となったのは2366人で、51%にあたる1204人から回答を得ました。

その結果、岸田内閣を「支持する」と答えた人は3月の調査より2ポイント下がって23%。「支持しない」と答えた人は1ポイント上がって58%でした。

これは、去年12月の支持率と内閣発足以降最低の支持率です。

年代別では、70歳以上では31%、30代以下では23%だったのに対し、40代から60代では10%台にまで落ち込んでいます。このうち50代は15%で、3月から10ポイント下がっています。

岸田内閣発足後の2021年10月の調査では、すべての年代の支持率が50%前後で、年代による差がほぼなかったことと比べると40代から60代の支持率は30ポイント以上下がっていて、70歳以上と60代以下の差が広がっています。

支持する理由では、「他の内閣より良さそうだから」が46%、「支持する政党の内閣だから」が28%、「人柄が信頼できるから」が13%で、支持しない理由では「政策に期待が持てないから」が43%、「実行力がないから」が27%、「人柄が信頼できないから」が11%などとなりました。

支持する理由が「良さそう」などとイメージ先行であるのに対し、不支持のそれは「政策に期待が持てない」とより現実的なものです。先述した高齢層の支持率が落ち込んでいることと考え合わせると、岸田政権の政策が国民生活に打撃を与えていることが支持率に反映しているように見えます。

従って不支持を減らすには、現実的に改善した、またはしていることを見せる必要があるように思います。

また、派閥の裏金問題でも、関係した議員ら85人のうち、39人を処分の対象としたことについて、納得できるか尋ねたところ、「納得できる」が9%、「どちらかといえば納得できる」が20%、「どちらかといえば納得できない」が22%、「納得できない」が41%でした。

また、次の衆議院選挙に立候補しない考えを表明した二階元幹事長について、自民党が、処分の対象にしなかったことは妥当だと思うか尋ねたところ、「妥当だ」が21%、「妥当ではない」が68%。自民党が岸田総理を処分の対象にしなかったことについては、「妥当だ」が25%、「妥当ではない」が61%となっています。




2.国民の怒りは沸点に達しているというプロレス


4月6日、岸田総理は自民党熊本県連を訪れ、派閥の裏金事件を受けて党の幹部が実施している『政治刷新車座対話』に初めて出席しました。

第1部は県連幹部ら、第2部は一般党員や有権者18人が対象として行われたのですけれども、岸田総理は冒頭、「自民党に縁のある皆様に大変、肩身の狭い思いをさせてしまっていること、心からお詫び申し上げる」と陳謝。関係議員ら39人を処分したことについて、「還付を受けていた認識のない議員もいたが、政治的・道義的責任を党として判断した」と説明しました。

これに対し、自民党員や自民党支持者らからは、「自民党を今まで応援したけれども、今回の不祥事で信頼できなくなったという不満の声が聞かれました。国民から選ばれた議員として、自覚と責任をもって職責を果たしていただきたい」とか「国民の怒りは沸点に達しており、ルーズな監査などを是としている党のあり方は非常に問題だ」とか「女性局や青年局の問題も噴出するなど議員としての倫理観が欠如している」といった意見が噴出。

岸田総理は「いま一度、自民党に頑張ってもらいたいと思ってもらえるよう、強い覚悟を持って党を変えていかなければならない。39人の処分を講じたが、これからも信頼回復に向け、努力を続けなければならず、再発防止のための政治資金規正法の改正を今の国会で行っていく」と応えたとのことで、その後、記者団に対し「厳しい意見を重く受け止め、真摯に反省し信頼回復に努めなければならないという思いを強くした。処分について意見があることは、受け止めたいが、最後は党の決定に基づいて一体で取り組むのが自民党だ。先頭に立って信頼回復の取り組みを進めたい」と述べました。

これだけみると、岸田総理の耳にもようやく国民の怒りの声が届いたのかと見えてしまうかもしれませんけれども、この日参加した有権者18人のうち15人は商工会議所や漁連、建設業協会など自民を支持する団体の代表者でした。

そして、車座対話でも、報道陣に公開された冒頭30分こそ、「国民の怒りは沸点に達している」などと厳しい意見も出たのですけれども、その後は政策への要望が多かったそうです。

要するに、自民党支持母体の「陳情」が主なものであって、「国民の怒りがうんたらかんたら」は、ただのプロレスだったのではないかと勘繰ってしまいます。


3.岸田では戦えない


冒頭取り上げた世論調査でも、自民党が岸田総理を処分の対象にしなかったことに6割が「妥当ではない」と回答していますけれども、この岸田総理の、自分の都合をあまりに優先する姿に、党幹部からも見限る声が上がり始めています。

3月31日、千葉市や市川市で行われた「政治刷新車座対話」に出席した茂木幹事長はその日の夜、周囲に「岸田じゃ選挙は戦えない。6月に解散なんてしたら、政権交代までいかなくても、自公で過半数割れする」と饒舌に話し始めたそうです。

3月26、27日に行われた、岸田総理、茂木幹事長、森山総務会長と安倍派幹部の塩谷氏、世耕氏、下村氏、西村氏の聴取を行ったことについても、茂木幹事長は「みんな自分のせいじゃないと言っていた。誰も責任を取らない組織はダメだね」と指摘したそうです。

ただ、そういう茂木幹事長も党幹部であり、責任を取るべき立場だと思うのですけれども、幹事長が責任を取らない組織はダメではないのでしょうか。

岸田総理に近しい官邸関係者は「岸田首相は6月に解散するつもりだ」と周辺に話しているそうですけれども、ある永田町関係者は「茂木幹事長が言うように、多くの自民党議員は『今のような状況で解散したら大変なことになる』と考えている。ただ、岸田首相は急に自身が率いてきた宏池会を解散するなど、何をしでかすか分からない。本来ならば信頼しなければならない党のトップへの不信感は、自民党内でどんどん高まりつつある」と零しています。

実際、裏金問題で「離党勧告」の処分を受けた塩谷立氏が、再審査の請求を検討する考えを示し、会見で岸田総理の対応に公然と不満を述べていたことからもそれは容易に想像できます。

目下の注目は4月28日の衆院3補選です。

自民党は3選挙区のうち、長崎3区補選、東京15区補選には独自候補を擁立できず、かろうじて擁立した島根1区も逆風に喘いでいます。

永田町関係者は「裏金問題と補欠選挙を切り離すのは不可能だ。立憲候補が元衆院議員であることもあって、かなりの苦戦が予想される」と話しています。

けれども、世論調査で明らかなように国民の過半数は党総裁である岸田総理に何のお咎めもないのはおかしいと思っています。したがって、補選がどのような結果になったとしても、それで有権者の溜飲が下がることはないと思われます。

自民党の処分が発表された4月4日夜、岸田総理は記者団に対し自身の責任について「最終的には国民と党員に判断してもらう」と述べ、翌5日の衆院内閣委員会でも「個人的な政治資金の修正はなかった。派閥の不記載についても他とは内容が異なる」という認識を示していますけれども、前述したように車座対話がただの「プロレス」であり、岸田総理自身の認識もこの程度であるとするならば、選挙で真の国民の声を突き付けない限り、その声は届かないのではないかと思いますね。



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