悪くない紅麹と健康被害の要因

今日はこの話題です。
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1.紅麹は何も悪くない


4月5日、厚生労働省は、小林製薬が製造した「紅麹」原料の機能性表示食品による健康被害の問題を巡り、小林製薬の紅麹を使う173社の製品健康被害は現状なかったと公表しました。

厚労省は、3月28日に開催した薬事・食品衛生審議会の調査会の意見を踏まえ、対応方針を決定し、「小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品」と「過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品」について、小林製薬社製の紅麹原料を入手している企業173社に対して調査・報告を求めていました。

その結果、いずれの企業からも該当する結果は得られなかったということです。

厚労省はこの結果から「現時点において、回収命令の対象となった3製品と同じ原材料を使用している製品については、この3製品を除いて、食品衛生法第6条第2号に該当しないと判断」し、これら以外の製品は販売禁止の対象にはならないとしています。

となると、問題は、回収命令の対象となった3製品に絞られることになるのですけれども、その製品と1日あたりの目安摂取量は次の通りです。
紅麹コレステヘルプ/1日摂取目安量(3粒あたり100㎎)
ナイシヘルプ+コレステロール/1日摂取目安量(3粒あたり100㎎)
ナットウキナーゼさらさら粒GOLD/1日摂取目安量(2粒あたり100㎎)
では、これらの製品に原因となる物質が含まれていたのか。

現時点でその全容は解明されていませんけれども、少し前から、青カビ由来の有毒物質である「プベルル酸」が健康被害の原因ではないかと言われています。

この「プベルル酸」とみられる成分は2023年に製造された製品ロットの3割から検出されたとのことで、いずれも同じ菌株から培養されていました
。その菌株から33ロット(9.3トン)の原料が生産され、そのうち3割におよぶ10ロットから検出されました。別の菌株から生産した54ロット(9.2トン)からは検出されなかったということです。

問題の10ロットは2023年4~10月に生産されていて、物質の検出は特に9月生産分に集中しているとのことです。

これについて、薬理学・毒性学を専門とする東京大学の唐木英明・名誉教授は「成分が検出された製品の生産時期は長期にわたり、悪意ある人為的混入は考えにくい」と述べています。加えて、工場のなかで青カビが繁殖できるほど衛生環境が悪かった場合は、一部のロットに検出が限られていることの説明がつきにくいことから、検出ロットが3割であったことで、「壁のヒビなど何らかの理由で青カビの胞子を含んだ空気が入った可能性はある」と外部から混入した可能性を指摘しています。

4月7日、フジテレビ系「ワイドナショー」に出演した唐木名誉教授は、小林製薬について「製造工程で失敗しちゃった。製造工程の失敗っていうのは、薬品でもなんでもあるんです。つい、最近も水虫の薬に睡眠薬が入っちゃった。そんなバカなことがあって、その工場は今、大変なことになっている……いくら制度を厳しくしても製造工程で失敗したら終わりなんです。今回はそういう事件なんです」と強調した上で、「今プベルル酸が本当に原因なのか、動物実験を始める。その結果がわかるのは多分3カ月とか6カ月かかります。その時点でやっとこれが原因だってのがわかるだろうと思っています……今、回収しているのはサプリだけです。サプリ以外のものは安全だとわかってる。毒性物質は入ってません。全く問題ありません。そこが大事な点でね、紅麹が悪いように言われているけど、紅麹をお米にくっつけて増やして紅麹製品を作る。そこに何かが入っちゃった。だから製品が悪いんであって、紅麹自体は何も悪くないです」と強調しています。

問題の紅麹原料は小林製薬の大阪工場で生産されたのですけれども、この工場は老朽化もあり2023年12月に閉鎖。紅麹原料の生産設備などは和歌山県紀の川市の和歌山工場に移されています。

問題を受けて厚生労働省や自治体は3月30日に大阪工場の跡地、翌31日に和歌山工場をそれぞれ立ち入り検査したのですけれども、現時点では衛生管理上の問題は見つかっていません。




2.紅麹健康被害者の既往歴


そんな中、4月9日、厚労省は小林製薬から報告があった死亡した5人について年齢や性別を初めて明らかにしました。

それによると、死亡した5人は、女性が3人、男性が2人で、70代が3人、90代が1人、残る1人は不明だということです。

更に、死亡した人のうち3人に既往歴があり、1人目は前立腺癌、2人目は悪性リンパ腫、3人目は高血圧、高脂血症、リウマチでした。残り2人は不明としています。

また、日本腎臓学会は、今回の問題で、紅麹コレステヘルプ等を摂取後に腎障害を発症した症例について、日本腎臓学会会員の先生を対象としたWebアンケートを行っています。アンケートの締め切りは4月30日なのですけれども、9日、日本腎臓学会会員はアンケートの中間報告を行っています。

それによると、95人の症例報告があるとのことです。一部抜粋すると次の通りです。
服用開始は約4割の方が1年以上前(服用開始時期2023年3月以前)ですが服用期間が短期間の方(開始時期2023年12月、2024年1月、2月)も発症しておられます。
初受診日は2023年11月以降で、1月以降の受診が約8割を占めます。

初診時の主訴は半数以上の症例で倦怠感や食思不振、尿の異常、腎機能障害でした。
腹部症状や体重減少を訴えるかたも少なからずおられるようです(約17%)。
発熱や嘔吐、頻尿、浮腫や体重増加などを呈する方は比較的少ないようです。

主な検査データ異常としてはファンコニー症候群を疑う所見が目立っており下記特徴的所見が認められました。
アンケートでは死亡報告はなく、今後、厚労省が国衛研とともに網羅的探索かつ発生機構の解明を行うことになっているとし、「被疑剤を服用された場合、被疑剤の服用を中止するとともに、腎機能検査や尿蛋白に加えて、尿糖や血清カリウム値、尿酸値、リン値、HCO3-値の測定が重要」と締めくくっています。

今回の小林製薬サプリで死亡した方の詳細発表を受け、ネットでは「どんどん拡散して欲しい! 濡れ衣をはらせ!」とか「当初の報道と印象が違う」とか「ほーら。どんどん。どんどん。ウソが暴かれるぞー。。」とか、厚労省や、マスコミ報道を叩く流れに傾きつつあるように見えます、




3.武見厚労相会見


4月9日、武見厚労大臣が定例記者会見を行っていますけれども、記者から紅麹を使う173社の製品で健康被害はなかった件についての質問が飛びました。

そのやり取りは次の通りです。
記者:もう1点、小林製薬の紅麹サプリメントの問題について伺います。厚労省は5日、同社製の紅麹を使う173社の製品で健康被害は確認されなかったと公表しました。この結果の大臣の受け止めと、今後の調査方針を改めて教えてください。また併せて、6日土曜日に厚労省と大阪市が小林製薬の本社で聞き取り調査を実施しました。健康被害の可能性を把握してから2か月後に報告した経緯など、聞き取った内容や新たに分かったこと、問題点を教えてください。

大臣:小林製薬が直接、紅麹原料を卸している企業から当該紅麹原料を入手している企業173社に対して、1日当たりに3製品と同等量以上の紅麹を摂取することとなる製品、又は、これに当たらなくても、過去3年間で医師により健康被害が1件以上報告された製品、これらのいずれかに該当する製品がある場合には、事業者自らの点検を行った上で、厚生労働省に報告するよう求めたところです。いずれの企業からも該当する製品があるとの回答はありませんでした。このため現時点においては、回収命令の対象となった3製品と同じ原材料を使用している製品については、食品衛生法第6条第2号に該当しないと判断しています。厚生労働省としては、引き続き国立医薬品食品衛生研究所と連携しながら、まずは原因究明に全力をあげてまいりたいと思います。また、4月6日土曜日に厚生労働省の職員3名が大阪市職員とともに小林製薬本社を訪問して、食品による健康被害の再発防止のために必要な情報の収集・聞き取りを本社で行いました。詳細についてはまだ分析中ですので、お答えすることは差し控えますが、厚生労働省としては収集した情報を再発防止策に係る今後の検討にしっかり活用していきたいと考えています。
厚労省から発表された以上の新しい回答は特にありませんけれども、原因究明と再発防止に取り組むとしています。


4.健康食品における被害要因


では、サプリの健康被害について、どのように考えていけばよいのか。

実は厚労省は2015年3月に「健康食品における安全性について」という資料を公開しています。

それによると、健康被害の要因として次の2点を挙げています。
・製品の問題(多くは違法製品)
(医薬品成分や有害物質を含む製品)

・利用法の問題
(医薬品との誤用、医薬品との併用による相互作用、体質が合わない人の利用、病者の利用、過剰摂取)
そして、紅麹サプリについても次のように指摘しています。

効果があることは有害事象が起こりやすいこと!
【紅麹含有サプリメントの事例】
紅麹にはもともとモナコリン(ロバスタチン)が含まれており、コレステロール低下は期待できるが・・・

フランス食品・環境・労働衛生安全庁(2013.10.18)
「紅麹は正常コレステロールレベルを維持する」と宣伝する多くのサプリメントで、利用との因果関係が疑われる25の有害事象報告 (主に筋肉と肝臓の障害) がある。特に遺伝的素因や持病や現在治療中などの感受性の高い人にとって、健康リスクになる可能性がある。
このように健康被害には、製品そのものに起因する問題と、利用法に起因するものの2つがあると指摘。そして紅麹サプリの健康被害の要因として、主成分であるモナコリン(ロバスタチン)と筋肉と肝臓の障害の因果関係が疑われるとし、遺伝的素因や持病や現在治療中などの人にとって、健康リスクになる可能性がある、と指摘しています。

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5.苦しい厚労省


4月9日、チャンネル登録者数210万人の筋肉系ユーチューバー・ぷろたん氏が自身のX(旧ツイッター)を更新し、最近訴えていた体調不良の原因の一つが判明したと明かしました。

ぷろたん氏は今年3月に2週間続く体調不良を訴え、病院を受診した結果、肝臓に異常をきたしていると判明し、精密検査の結果、原因不明ながら急性肝炎の恐れやうつ病・ストレスの指摘を受けたため、活動を休止するとしていました。

ぷろたん氏は、9日、「衝撃の事実がわかりました……2週間前に治った肝炎?がまた今朝起きて嘔吐し続けてます」と、再び嘔吐に悩まされていると明かし、「何度も血液検査して原因がわからず……ただ一つ共通点がありやっと今日わかりました」と告白。その「共通点」を、「ナイアシンの摂取量を誤ってた、、、……カプセル一錠あたりの500mgを50と勘違い、、、……最悪だ、、皆んなも気をつけて」と、自身が服用していたサプリメントの摂取量を見間違えていたとのことです。

先述の資料で健康被害の要因の一つとして挙がっている「利用法の問題」で過剰摂取というのが、ありますけれども、このぷろたん氏の件はまさにこの過剰摂取に当たります。

翻って、この資料をベースにこれまでの厚労省の対応を見ていくと、プベルル酸だの特定のロットだの、「製品の問題」ばかりにその原因を求めているように見えます。

唯一、9日に、死亡した5人についての年齢や性別、既往歴を公表したのが「利用法の問題」に触れたものになります。

先述した唐木名誉教授は、小林製薬紅麹問題について、製造工程の失敗による何かの混入の疑いがあるとし、紅麹自体は悪くないとしていますけれども、「製品の問題」を調べるにしても、動物実験が必要で何ヶ月も必要で、その候補がマイナーなプベルル酸しかないのであれば、調べたところでどこまで分かるのか疑問が残ります。

だとすると、平行して「利用法の問題」も調査すべきだと思います。

ここから先は、筆者の妄想に過ぎないのですけれども、厚労省は今回の紅麹問題の原因を「製品の問題」にしようとしてきたものの、苦しくなってきたので、死亡者の既往歴、あるいは摂取量のせいにしようとしているのではないかと疑ってしまいそうになります。

前述の資料で指摘されているように、利用法の問題を調査するのなら、既往歴や過剰摂取以外に、医薬品との誤用や併用による相互作用も調査しなければいけなくなります。

畢竟、例のワクチンとの相互作用にも手を付けなければならなくなります。

2021年7月、日本腎臓学会と厚労省の「難治性腎障害に関する調査研究」研究班から、新型コロナワクチン接種時の腎炎患者に生じる肉眼的血尿についての調査結果が報告されていて、そこでは「ワクチン後の肉眼的血尿例の場合、腎炎や IgA 腎症である可能性が高いため、尿所見や血清クレアチニンの経過を慎重に確認し、症例によっては腎生検を行う必要がある」となっています。

既にそういうリスクがあることを考えると、紅麹サプリとの併用についても調査する必要性は非常に高いと思います。

もし、厚労省がこのワクチンとの関係について、穿り出されたくないと考えているのだとすると、今度は、唐木名誉教授が指摘する製造工程の失敗による何かの混入を原因とするのも苦しくなってきます。

なぜなら、紅麹サプリよりはるかに健康被害が出ている、例のワクチンについても製造工程に失敗はないのか、あるいは「未知の成分」が混入しているのではないのかと追及されることになるからです。

武見厚労相は、今回の小林製薬紅麹サプリ問題について、原因究明と再発防止に取り組むとしていますけれども、本気でやればやるほど、例のワクチンを調べなければならなくなります。逆に国民もねばり強く、追及し続けるべきではないかと思いますね。


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この記事へのコメント

  • 匿名

    原料米の出所は?
    保管状態は?
    菌が悪いのか培地が悪いのか?
    2024年04月11日 09:34