所管外大臣のサイレントインベージョン

今日はこの話題です。
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1.中国企業のロゴは安全保障問題


3月29日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は定例記者会見で、再生可能エネルギーに関する内閣府のタスクフォースに提出された資料に中国企業のロゴが表示されていた問題をめぐり河野太郎規制改革担当相の責任を厳しく追及しました。

該当部分の発言は次の通りです。
【前略】

もう一点、最近いわゆる自然エネルギー財団なる問題があちこちで話題になっています。この財団の事務局長の大林ミカさんが、この財団もそうですが、特定の国の影響を受けて国の政策に何らかの影響を及ぼそうとしていたのではないかという疑念がかけられています。

そもそも河野大臣は規制改革担当大臣、デジタル担当大臣、行政改革担当大臣であるにもかかわらず、気候変動の問題についてなぜ河野大臣の下でやらなければならないのか。再エネタスクフォースなる勉強会を突如立ち上げ、規制改革会議でやっているそうですが、河野さんは外務大臣当時も気候変動有識者会議を突如立ち上げています。この問題が発覚するはるか前の2018年から、わが党の浜野喜史参議院議員が、自然エネルギー財団の執行役員がこの有識者会議の9名のうち3名も入っていると、政府と全く関係ない、政府と異なる方向性の答申を出していていると、当時の外務省に浜野さんが問うたところ、政府の考えとは関係ないという(答弁でした)。じゃあ何のためにやっているんだという話です。

加えて河野さんは防衛大臣になったときも、令和2年から防衛施設の電力をできるだけ再生可能エネルギーにするという方針を出し、一部は5割近く再生可能エネルギーになったということです。防衛施設に対する電力の安定供給はきわめて重要ですし、民間企業が入った場合、どこの駐屯地、どこの基地で、どれだけどのタイミングで電力を消費しているかは防衛秘密にもかかわる問題です。少し仲間に調べてもらったところ、再エネ率が100%の基地や駐屯地がけっこうあります。その中の一部は外国の会社が入って、華僑の方が一番の大株主という実態も判明しています。まさに国家安全保障、エネルギー安全保障にも直結する問題です。これこそ真相を究明しなければならないと思います。

なぜ河野さんがこの自然エネルギー財団なる組織をたびたび重用するのか、なぜ大林ミカさんなる方を使われるのか。ご自身からの発想なのか、または政府からのアイディアで使っているのか、これを明らかにする必要があると思います。なぜこの組織、この個人を選ばなければならないのか。これは政府や大臣に説明責任があると思います。そして私はこの大林ミカさんなる方をよく存じ上げないですが、どんなに調べても、どこで専門性を身につけられたのか、どこで学術的研究をされたのか、学位をどこで取られたのか、どこの大学に行ったのか、行っていないのか、全然情報が出てこないです。いまセキュリティクリアランスの議論をしようとしていますが、この方は経済産業省や金融庁やいろいろなところに出てきていますから、しっかりと身元の確認をする必要があると思いますし、その説明責任は内閣府なり大臣にあると思います。この大林ミカさんがどういう学歴でどういう専門性をもって来られた方なのか、税金を使ってやってきた話ですから、我々立法府に対して説明を求めたいと思います。セキュリティクリアランスの問題がこれから佳境に入る中で、政府がこのようなことをやっているのでは話になりません。しっかり説明責任を果たしていただきたいと思います。

【以下略】
このように、榛葉幹事長は河野デジタル相が、自分の担当とは関係ない気候変動有識者会議とか再エネタスクフォースを次々立ち上げており、そこに自然エネルギー財団の人間を招聘していると厳しく指摘しています。

河野デジタル相は、国会答弁で自分の短刀ではない質問については「所管外」だと逃げるくせに、やっていることは所管外に手を出すというダブスタ仕草です。


2.所管外に手を突っ込む所管外大臣


この榛葉幹事長の発言について、夕刊フジ「zakzak」は、榛葉幹事長にインタビューを行い、4月3日付の記事「国際送電網構想は「国を売る話だ」国民・榛葉賀津也氏が激白 再エネと中国の影「欧州は自然エネのおかしさに気づき始めた」」で、その真意を探っています。

件の記事は次の通りです。
【前略】

「野党第一党の立憲民主党は追及におよび腰だし、政権与党も『政治とカネ』問題への対応で頭がいっぱいなのか、全然この話をしていない。だが、大変な問題だ」

榛葉氏は語気を強めた。

問題の資料を提出した大林ミカ氏(タスクフォースの民間構成員を辞任)が所属する「自然エネルギー財団」は、日本と中国、ロシアなどを結ぶ再エネの送電網「アジアスーパーグリッド」(ASG)構想を提唱してきた。

「エネルギー自給率が10%前後のわが国にとり、その安定供給は国の生命線だ。原子力は止めろ、火力も止めろ、脱ダム宣言だ、全部自然エネルギーでいい、何かあったら送電網で相互活用すればいいなどという主張はあり得ない。送配電で中国やロシアにコントロールされたらどうするのか。これはまさに国を売る話だ」

榛葉氏は、大林氏のタスクフォース入りの経緯にも改めて疑問を呈した。「林芳正官房長官が(3月28日の記者会見で)『内閣府事務方が提案した案を河野氏が了承した』と話したが、そんなことを官僚が決めるわけがない。河野氏は外相時代にも大林氏を起用していた」と指摘する。

河野氏が外相時代の2018年に立ち上げた気候変動に関する有識者会合では、メンバー9人のうち、3人が大林氏ら同財団関係者だったことにも言及した。「公的な有識者会議のメンバーの経歴などをきちんと調査してきたのか。セキュリティー・クリアランス(適格性評価)の観点からも政府や河野氏には説明責任がある」と強調した。

河野氏は防衛相当時の20年に全国の自衛隊施設で再エネ電力の導入を促進した。防衛省の発表では、23年度は全国969施設のうち36施設が再エネ比率100%の電力調達を実現している。

防衛副大臣も経験している榛葉氏は「調達先には華僑が大株主のタイの企業の子会社も入っているが、どの駐屯地のどの部隊がどれだけ電気を使っているかなど全て分かってしまう。河野氏が防衛部門にまで自然エネルギーを持ち込もうとしたことは大問題だ」と批判した。

メガソーラー(大型太陽光発電施設)を含む再エネ関連施設をめぐっては、中国など外資による用地買収の懸念も大きい。

「太陽光パネルも約30年で寿命を迎える。リサイクルのコストも含めて欧州は自然エネルギーのおかしさに気づき始めているが、日本は中国への依存度を高めている。再エネの推進は、もう止めた方がいい。国防とエネルギーの安全保障は譲れない問題だ」。榛葉氏はそう力を込めた。
榛葉幹事長は、国防とエネルギー安全保障の観点から、河野デジタル相の言動を問題視しています。当然のことです。


3.アジアスーパーグリッド構想


榛葉幹事長は、zakzakのインタビューで「自然エネルギー財団は、日本と中国、ロシアなどを結ぶ再エネの送電網『アジアスーパーグリッド(ASG)』」構想を提唱してきた、と指摘していますけれども、これについて、自然エネルギー財団は自身のサイトで次のように説明しています。
「アジアスーパーグリッド(ASG)」とは、アジア各地に豊富に存在する太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を、各国が相互に活用できるようにするため、各国の送電網を結んでつくりだす国際的な送電網のことです。

自然エネルギー財団は2011年の設立以来、その実現をめざす取組みを推進してきました。欧州や北米では100年程度以前から、各国が送電網を結び、電力の有効活用を進めてきました。近年では、自然エネルギーの導入拡大にともない、国際送電網の整備は更に活発に進められています。

これに対し、東アジアでは、中国やモンゴル、ロシアなどの間で限定的な連系があるだけです。今世紀後半に脱炭素社会への転換をめざすパリ協定が成立し、全てのエネルギーを自然エネルギーでまかなう「自然エネルギー100%」の実現が必要になる中で、国際送電網の構築はいっそう重要な課題になっています。

自然エネルギー財団は、国内外の多くの企業、NGO、政府機関などと連携し、アジアスーパーグリッドの実現をめざしていきます。
「自然エネルギー資源を、各国が相互に活用」だなんて、聞こえのいい言葉が並んでいますけれども、国のインフラを他国と接続するということは、裏をかえせば、他国の都合で止められてしまうことを意味します。ロシアが石炭、石油、天然ガスなどのエネルギー資源を強力な外交カードとして使うのと同じです。

事実、そうやって自国の電力を他国に握られてしまっている国があります。フィリピンです。

フィリピンでは1990年代まで国営電力公社(NPC)が発電および送電を一手に担ってきました。けれども、国営電力公社(NPC)の経営悪化とともに政府債務が拡大したため、フィリピン政府は、発電において、国外から独立系発電事業者(IPP)を誘致して電力不足の解消を図りました。

けれども、1997年のアジア通貨危機で国営電力公社(NPC)の財務状況が更に悪化。2001年発足のアロヨ政権は電力産業改革法を制定し、主要な発電設備の売却を進め、2014年には国営電力公社(NPC)が所有していた発電設備の8割が民営化されました。

また、フィリピン政府は送電部分の分離・民営化も進め、2009年にフィリピン全土の送電事業を一手に担う民間送電事業者として、ナショナル・グリッド ・コーポレーション(NGCP)が設立されました。現在、ナショナル・グリッド ・コーポレーション(NGCP)は、フィリピンの家庭の約78%に電力を供給しています。

ところが、2019年11月、フィリピンの電力供給網は中国政府の支配下にあり、紛争の際には遮断される可能性があるという議員向けの内部報告書の存在が明らかになったのですね。

内部報告書は電力網が現在、中国政府の「完全な支配下」にあり、中国政府はフィリピンの電力網に混乱を引き起こす能力を保持していると警告しているのですけれども、件のナショナル・グリッド ・コーポレーション(NGCP)には中国の送電企業大手の国家電網が40%を出資し、フィリピン企業のモンテ・オロ・グリッド・リソーシスとカラカ・ハイ・パワーが30%ずつ出資する株主構成となっています。

その内部報告書によれば、システムの主要素にアクセスできるのは中国人技術者のみで、理論上は中国政府の指示によって遠隔で動作を停止させることも可能だとのことです。

フィリピンの上院議員の1人は、「スイッチひとつで」電力が停止する可能性に懸念を示し、復旧には24時間から48時間かかる見通しだとし、別の上院議員も中国がナショナル・グリッド ・コーポレーション(NGCP)の株を保有していることについて、「中国の最近の行動や覇権主義的な願望を考えると、国家安全保障に対する深刻な懸念だ」と述べています。

もっとも、中国によってこうした攻撃が電力網に行われたという前歴はなく、喫緊にこうしたことが行われるという証拠が提示されているわけでもなく、あくまで将来的な理論上の可能性としているのですけれども、可能性である以上、安全保障の脅威になっているといえます。

実際、フィリピン政府は、今頃になって、ナショナル・グリッド ・コーポレーション(NGCP)から送電事業の経営権を取り戻し、送電事業を再国営化することを視野に入れた動きを見せているそうです。


4.サイレントインベージョンを跳ね返せ


流石に日本でも、中国企業のロゴを切っ掛けに自国インフラへの外国の介入に警戒を示し始めました。

4月2日、参院経済産業委員会で、国民民主の礒﨑議員が追及し、政府側から「外国勢力との関係の有無が明らかになるまでは、経産省の審議会で意見を聞くことはないこと、内閣府の再エネタスクフォースは開催しないこと」という答弁を引き出しています。

また、自民党の青山参院議員は、自身の動画で、4月4日に自民党本部で行われた「経済産業部会・総合エネルギー戦略調査会 合同会議」の様子を伝え、次の点を指摘しています。
・合同部会で、本来のテーマではない、河野デジタル相の設置したタスクフォースで使われた資料に中国企業のロゴの問題が取り上げられた。
・件のタスクフォースは河野デジタル相が私的に作ったもの
・タスクフォースのメンバーとして名を連ねていた大林ミカ氏は、元々反原発運動をしていた有名人。
・ロゴの問題は悪事が露呈しただけの話であって、本当に問題なのは、日本の現政権は閣僚の中に中国の手を入れて日本の政策に対して何かしようとしてるのではないかってのが明らかになったことだ
・更に、私的なタスクフォースに反原発で知られ、中国と近い人を大臣が任命した
・だから党として黙って見てるわけにいかないっていう発言があった。これは日本の電力支配を中国が行うことに現職の大臣が手を貸していることになる
・今、北海道から日本海側の本州に向けて海底送電線を作って200万KWの電気を流す計画があるが、これがアジアスーパーグリッドと関係がある恐れが強いと複数の議員から指摘された。
至極当然の懸念だと思いますし、再エネタスクフォースの意見は聞かない程度で済ませてよい問題ではありません。フィリピンのようになってから慌てても遅いのです。

青山議員が指摘するように、日本の政権に中国の手引きをするような輩が居ることが表に出てきた今、国民含め、この問題の真相を明らかにして、中国の「サイレントインベージョン」を跳ね返していく必要があると思いますね。





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