イスラエルの空、迎撃の春

今日はこの話題です。
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1.即時報復中止


イスラエルはイランへの即時報復攻撃を行わない姿勢を見せています。

イランの空爆が進行中の4月14日未明、イスラエル政府関係者は、イランからの攻撃の前に実施された教育活動や大規模な集会に対する制限を緩和すると発表しました。

この日の夕方、ネタニヤフ内閣はイランの攻撃への対応に関する会議を行ったのですけれども、5人の閣僚で構成される戦時内閣閣僚の1人である中道派のベニー・ガンツ大臣は、イスラエルはイランから代価を要求すべきだが、それは「われわれに都合のよい方法と時期に限る」と述べました。一方、極右のイタマール・ベングビル大臣は、イスラエルは "クレイジー"になることでイランを抑止すべきだと主張しました。

また、攻撃がまだ続いている最中に報復攻撃を促した閣僚もいたようなのですけれども、ネタニヤフ首相は、前日のアメリカのバイデン大統領との電話会談を踏まえ、また攻撃による被害が比較的軽微であったことから、即時報復攻撃は中止された一方、イランの攻撃にいつ、どのように対応するかについては結論を得ることができず、そのまま会議を終えています。

アメリカのバイデン政権はイスラエルに対し、必ずしもイランに反撃する必要はないと述べていて、アメリカ政府高官は、イスラエルは自国を守る能力を証明したと述べています。

イラン側も緊張をこれ以上エスカレートさせない姿勢を見せていて、イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は、テヘランは「防衛作戦を継続するつもりはないが、必要であれば、いかなる新たな侵略からも正当な利益を守ることを躊躇わない」と述べています。


2.今後の展開


今回のイランの攻撃について、イスラエルの高官らはテヘランの「素顔の暴露」などと批判していますけれども、直接の原因はシリアにあるイラン外交施設に攻撃し、特にイラン上級将軍2人を殺害したことにあります。

これについて多くのアナリスト達は、イスラエルはあらゆる越えてはいけない一線を「ブルドーザーで突破」し、イランの領土を攻撃するに等しいとテヘランが主張する場所を攻撃したと指摘しています。

オープン・イスラエル大学のヤギル・レヴィ教授(軍事社会学)は、「イスラエルはおそらく外交の場でイランの将軍を暗殺するという点で行き過ぎだった……イスラエルは兵器システムの利用可能性によって主導されている。国や指導者が、優れた情報、良い機会、そしてその役割を果たすことができる利用可能な兵器システムを持っていると感じるときはいつでも、イスラエルは攻撃するのだ」と指摘した上で、「イスラエルには本当に戦略的なアプローチがない。……特定の軍事行動と期待される利益の間の"関連性"を特定する試みは、イスラエル指導部のレパートリーにはない」と述べています。

武器を持てば使いたくなる、とは、反戦サヨクな方々が日本政府を批判するときによくいうフレーズですけれども、ヤギル・レヴィ教授に従えば、その言葉はイスラエルのほうがもっと当てはまることになります。

また、シンクタンク、チャタムハウスの中東・北アフリカプログラム責任者のサナム・ヴァキル氏は、「ダマスカスへの攻撃はラクダの背を折る(最後の)藁だった」と述べ、イランによる攻撃は「前例がない」ものであり、イスラエルは失敗した可能性が高いと述べています。

ヴァキル氏は「この事件は、イラン革命防衛隊の命を奪った他の多くのイスラエルの攻撃の裏で、そして外交"施設"を攻撃するというウィーン条約違反と並行して起こった……もしイランが応じなければ、イスラエルは押し返し続け、地域全体の抵抗枢軸を弱体化させようとするだろうというのがイランの計算だったのだと思う。これはレッドラインを強化し、ある程度の抑止力を強化するためのものだった」と指摘しています。

では、今後はどうなっていくのか。

これについて、イスラエルがイランの攻撃に対する防衛をそれ自体「成功」と表現して満足するのか、それともイランに反撃して戦争をさらにエスカレートさせる危険を冒すつもりなのかに掛かっているという見方もあります。

中東専門家で王立ユナイテッドサービス研究所上級研究員のH.A.ヘリヤー氏は、イラン攻撃直後、X(旧ツイッター)で「あのレベルの警告でイスラエルに損害を与える可能性はほぼゼロだった。重要なのはシーンを作ることだったたが、それはできた。イランの見返りは? 国際的には「抵抗」してみせることで名を上げたことだ。我々には緊張緩和が必要であり、イランとの攻撃的な戦争に巻き込まれないという決意をワシントンがテルアビブに説得することが不可欠だ。ネタニヤフ首相は長い間、その実現への願望を表明してきたが、アメリカが協力しないと確信できるのであれば、引き下がるだろう」と述べています。

アメリカ政府はここ数ヶ月間、事態のエスカレーションを防ぐために外交努力を注いでいます。イスラエルへの断固たる軍事支援の表明にもかかわらず、裏ではネタニヤフ首相にイスラエルの対応を和らげるよう圧力をかけているのは確実と見られています。

けれども、シリアのイラン総領事館攻撃に見られるように、イスラエルがアメリカの軍事支援に依存しているにもかかわらず、バイデン大統領のイスラエルへの影響力が限られていることが明らかになっています。

となると、口では報復しないといいながら、何らかの形で報復に出ることも可能性として残るのではないかと思います。


3.対イラン戦略同盟


今回の攻撃に対し、イスラエルは、イランの300機以上の無人機とミサイルの実に99%を迎撃したと発表していますけれども、これには「国際的軍事連合」が貢献したとし、この協調対応が対イラン勢力の「戦略的同盟」の出発点であると主張しています。

この「軍事連合」とは、アメリカ、イギリス、フランスが主導し、多くの中東諸国も含まれているとみられるものですけれども、当然ながら、ガザ戦争で孤立しているイスラエルに支援を続けています。

イスラエル軍報道官のダニエル・ハガリ少将は、「このような連合が中東におけるイランとその代理勢力の脅威に対して協力したのは初めてだ」と述べています。

ただ、今回のイランの無人機およびミサイルの迎撃にこれら「軍事連合」のどの国が参加したのかは明らかになっていません。イスラエル軍当局者と戦時閣僚の主要メンバーも、これら「パートナー」について触れず、アメリカ・ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障報道官も、質問されてもその名を明かしませんでした。

ただ、ヨルダンのアイマン・アル・サファディ外務大臣がアル・マムラカ国営テレビのインタビューで「イランの進軍とヨルダンへのミサイル落下の現実的な危険性があるとの評価があり、軍はこの危険に対処した。そして、この危険がイスラエルから来たものであれば、ヨルダンも同じ行動を取るだろう」と、自分たちの行動は自己防衛であると語ったことから、「軍事連合」のうちの一国はヨルダンではないかと見られています。

これまでアメリカは、イスラエルを統合し、アラブ世界との関係を強化する手段として、対イランの地域規模の同盟を築こうとしてきた過去があります。この取り組みには、イスラエルとアラブ4ヶ国の外交関係を確立した2020年のアブラハム合意や、中東での作戦を監督しアラブ穏健国の軍隊と緊密に連携するアメリカ軍中央軍にイスラエルを入れることが含まれています。

実際、イスラエルがハマスとのガザ戦争に突入する前まで、アメリカはイスラエルとサウジアラビアとの関係確立に努めていました。今現在は、表向きこの取り組みは凍結されていますけれども、依然として水面下ではこの協力は続いているようで、ホワイトハウスは戦後計画の一環としてイスラエルとサウジの関係強化に期待を抱いています。

イスラエルの元軍事情報長官アモス・ヤドリン氏は「アラブ諸国は、イランに対して地域的な組織化が必要であることを理解しているため、攻撃を止めるためにイスラエルを支援した。そうでなければ、次の順番は自分たちだ」と述べています。

また、イスラエルのヨアブ・ギャラント国防相は、今回の協力は「イランの脅威に対抗するための国際連合と戦略的同盟を確立する機会を浮き彫りにした」と指摘しています。


4.イランの試みは失敗した、今のところは


今回のイランの攻撃について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は次のように述べています。
4月13日のイランによるイスラエルに対するミサイル・ドローン攻撃は、イスラエルの大規模な反応を引き起こす閾値以下の重大な損害を与えることを意図していた可能性が非常に高い。この攻撃は失敗するのではなく、成功するように設計されていました。この攻撃パッケージは、ロシアがウクライナに対して繰り返し使用して大きな効果を上げてきたものをモデルにしたものだ。この攻撃が意図したよりも限定的な被害をもたらしたのは、おそらくイラン側が、ウクライナに比べてイスラエルがそのような攻撃を防御する際に持つ多大な優位性を過小評価していたためと考えられる。イラン人はこの攻撃から教訓を学び、ロシア人がウクライナに対する繰り返しの一連の攻撃でやったように、時間をかけてイスラエルの防衛を突破する能力を向上させるために努力するだろう。

攻撃は約170機の無人機、30発の巡航ミサイル、120発の弾道ミサイルで構成された。無人機は弾道ミサイルが発射されるかなり前に発射されたが、これは弾道ミサイルが巡航ミサイルや無人機とほぼ同時にイスラエルの防空窓に到着することを期待していた可能性が非常に高い。ロシアはウクライナに対して繰り返しそのようなアプローチを使ってきた。このようなパッケージの目的は、より遅い巡航ミサイルやドローンで防空網の注意をそらし、制圧して、撃墜するのがはるかに難しい弾道ミサイルを目標に到達させることだ。イラン側は、巡航ミサイルや無人機が目標に命中するのはあったとしても少数であると予想していた可能性が高いが、弾道ミサイルのかなり高い割合が目標に命中することを望んでいた可能性が高い。

イラン側が発射した約120発の弾道ミサイルのうち、イスラエルの防空網を突破し、イスラエル軍基地付近を攻撃した弾道ミサイルはわずか数発だった。最近の大規模な攻撃において、ウクライナの防空軍の平均迎撃率はロシアの弾道ミサイルの約46%にすぎない。おそらくイラン側は、これほど大規模な弾道ミサイル一斉射撃に対して、イスラエルの発射率はウクライナの発射率よりは高いものの、90%を超えることはないだろうと予想していたのだろう――結局のところ、ロシアはウクライナに対する一度の攻撃でこれほど多くの大型弾道ミサイルを発射したことがないのだ。ウクライナはロシアの巡航ミサイルや無人機の75%以上を頻繁に迎撃しているが、それらの迎撃の多くは弾道ミサイル防衛も担う防空の傘の範囲内で行われている。したがって、イラン側は、自国の無人機や巡航ミサイルの少なくとも一部が、イスラエルによる飛来する弾道ミサイルの標的を妨害するだろうと予想していた可能性が高いが、明らかに妨害する者はいなかった。

【以下略】
戦争研究所は、イランはイスラエルの防空システムを過小評価しており、より遅い無人機や巡航ミサイルは兎も角、弾道ミサイルはもっと目標に命中すると見込んでいたと推測しています。

勿論、イランは今回の戦訓を活かし、イスラエルの防衛を突破する能力を向上させる筈だとしていますけれども、それなりの時間は必要になるでしょう。

ただ、イスラエル側も余裕をもって迎撃したかというと、そうでもない気もします。

ここから先は、陰謀論系の話になりますけれども、「アルジャジーラのニュース報道で、イスラエル北部上空で三角形の物体がロケットを撃ち落とす様子が誤って放送された」とネットで話題になっています。

ネットに上がった動画をみると、夜間で若干見難いものの、なるほど三角形の物体がロケットを撃ち落としているようにも見えます。

ネットでは、一部で地球製UFOとも呼ばれている「TR-3B」ではないかとの噂されているようです。

4月14日のエントリー「ヒズボラのイスラエル攻撃」で、アメリカの国防当局者が「地域抑止努力を強化し、アメリカ軍の戦力防護を強化するため、追加資産をこの地域に移転する」と語ったことを紹介しましたけれども、何らかの新兵器を投入した可能性は十分考えられます。

それが「TR-3B」なのかどうかは、ともかくとして、いままで見たこともないような新兵器を投入したのだとすれば、それだけのものを使わなければ、90%以上もの撃墜はできないとアメリカは考えていたということになります。

これを更に敷衍すれば、日本が採用しているミサイル防衛システムとは、今回のイランのような飽和攻撃をされた場合十分に防ぐことは出来ないことにも繋がっていきます。

軍事の世界は日進月歩です。日本は国防ということを更に一段階引き上げて考えるべき時なのかもしれませんね。






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