大谷翔平賭博疑惑報道と掌返し

今日はこの話題です。
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1.大谷翔平は詐欺の被害者


4月10日、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手の元通訳で、借金返済のため大谷選手の銀行口座から450万ドル(約6億8900万円)を送金したとされる水原一平氏が、FBIに対し窃盗したことを認める方針だと報じました。

件の記事では、冒頭で次のように記しています。
大谷選手が所属するロサンゼルス・ドジャースが韓国で開幕戦を2試合行った際に窃盗疑惑が報じられ、約3週間前に始まったこの捜査は、捜査が継続中であるため匿名を条件に話した関係者によれば、急速に終結に近づいているという。

連邦判事の前で水原が有罪を認めれば、大谷が2週間前に記者団に語った、「金銭に何が起こったのか知らなかった」という証言を裏付けることになる。

検察当局は、水原容疑者が当初告発された450万ドル以上の金を大谷選手から盗んだ可能性がある証拠をつかんだという。特に、当局は水原氏が大谷選手の銀行口座の設定を変更し、大谷選手が取引に関するアラートや確認を受け取らないようにできたという証拠を掴んだと考えている、と3人は語った。
3月20日、スポーツ専門局ESPNが最初に報じて以来、世間でこの問題が騒がれましたけれども、ESPNは「大谷の主張が正確だった」という捜査関係者の話を伝え、アメリカメディア「TMZ」は、「FBIが、大谷は一連の計画に関与しておらず、詐欺の被害者だったと結論づけた」と伝え、水原氏が近く起訴されるという関係者の談話も付け加えています。


2.一平の偽装依頼を拒否した翔平


当初は、なぜ大谷選手の口座から水谷氏が勝手に送金できたのか疑問が呈され、大谷選手も違法賭博に絡んでいたのではないか、あるいは水谷氏の借金の肩代わりをしていたのではないかとの憶測報道が随分されていたのですけれども、14日までに、水原氏から、違法賭博疑惑発覚後に、「胴元側へ借金を肩代わりして送金したことにしてほしい」と偽装を依頼されたのを拒否していたことが明らかになったとニューヨークタイムズ紙が報じています。

それによると、水原氏は3月20日の開幕戦後、大谷選手も含めたチームメートの前で大谷選手が借金の肩代わりに応じたと説明したそうなのですけれども、大谷選手は、水原氏の英語での説明を完全には理解できなかったがものの疑念を持ち、宿泊先のフェアモントアンバサダーホテルに戻った後、地下の会議室で水原氏と2人で話し合ったのだそうです。

その際に水原氏から賭博の借金があり、お金を盗んでいたことを打ち明けられて、「借金の肩代わりをして送金したことにしてほしい」と頼まれたのですけれど、断って代理人のバレロ氏を呼び、その後、危機管理担当通訳のヒルツィク氏、新しい通訳、水原容疑者の妻も参加して話し合われました。

この会談後、ドジャースは水原容疑者を即刻解雇し、水原氏はすぐに韓国からロサンゼルスに戻る飛行機に搭乗。空港で待っていた、国土安全保障当局者の取り調べには応じることを拒否したものの、捜査員が携帯電話を調べることに同意する書面に署名したそうです。

不正送金に使われた大谷選手の口座は、2018年当時にアリゾナ州の銀行で開設され、開設の手続きを水原容疑者が手伝ったとのことで、この口座は大谷選手の給料口座に使われていました。水原氏がどこまで手伝ったのか詳細は分かりませんけれども、このとき、水原氏が口座番号やパスワードを知り、自由に口座にアクセスできた可能性はあります。

なんでも大谷選手は、その後の3年間、この口座に一度もログインしておらず、残高は積み上がっていたそうですから、そこから引き出しできる人となれば、かなり限定されるはずです。少なくとも大谷選手本人はまったく関与してないことになります。

捜査当局によると水原氏は、大谷選手の銀行口座の連絡先を自身の電話番号と関連するメールアドレスに紐付くように変更した疑いがあり、大谷と偽って銀行に電話をかけて、大谷選手の銀行口座から送金を試みたこともあったとのことで、代理人らに対して水原氏は「大谷が口座について『プライベート』なもので管理されるのを嫌がっている」と虚偽の説明をしていたそうです。悪質ですね。


3.アメリカマスコミの手の平返し


大谷選手が関与していなかったことがほぼ明らかになった今、マスコミや識者は次々と掌を返し始めています。

4月12日、ニューヨーク・ポスト紙の敏腕記者ジョン・ヘイマン氏は、MLBネットワークに出演し「大谷が会見で語ったように、彼は犠牲者だったようだ。それは、私を含め、MLB全体にとって大きな安堵だ。一平は通訳は出来ても、ファイナンシャル・アドバイザーとしての資格もない。大谷は、間違った人間を信用してしまった」とコメントしました。

ヘイマン氏は水原氏が解雇された3月21日に、ポスト紙に「大谷側は、彼が野球のレジェンドであり、財務バカと信じさせたがっている……大谷サイドは、長年の通訳で親友の水原が"すごい役者"で何年も大谷をだまし、大谷はだまされやすく純粋だというストーリー……その筋書きは現時点で皆に好まれるものだ」と、大谷選手の無罪について懐疑的な見解を示していました。それが何事もなかったように、彼は被害者だった、です。

また、ベテランスポーツコラムニストのビルプラシュケ氏も大谷選手の声明会見後の段階で、大谷をまだ信じるのか、自分は確信が持てないとする記事を出していたりしました。

ところが、事の真相が明らかになると、ビルプラシュケ氏も自身の発言を撤回し、謝罪文を発表しています。




4.謝らない日本のマスコミ


一方、日本のメディアや識者からはというと、明解な謝罪の言葉は聞こえてきません。

たとえば、実業家のホリエモンこと堀江貴文氏です。堀江氏は3月21日、この問題について次のように話していました。
・これは完全に有罪になる可能性非常に高いでしょう。下手をすると刑務所送りになってしまう可能性もあるでしょう、金額が結構大きいのでね
・想像でしかないんですけども……水原一平さんのギャンブルでの借金を肩代わりすることに、大谷さんは同意をしていた可能性が高い
・『彼にお金を渡すとまたお金を使い込んでしまう可能性が高い、ということで自分の口座から支払った』というような話がチラホラ出てきているので、この可能性も結構あるだろうなぁと。そうなると大谷さんが違法な業者に対してお金を渡したということになるので、マネー・ロンダリングとか様々な何らかの法律に触れる可能性は結構ある。水原一平さんのお話がコロコロ変わっているのはそういったところも関係しているのかな
・少なくともドジャースの弁護士、大谷さんの代理人からするとですね。『これはヤバイ』ということで『私は知らない。お金を横領されて勝手にあいつが支払ったんだ』みたいな形にせざるを得なかった可能性も結構あるなと思います
・(大谷選手自身について)少なくとも悪人ではないとは思いますし、借金をしているわけでもないし、違法なギャンブルをしているという証拠はないと思うんですが、肩代わりしたとしてもお金の送金に関わってしまっているということは非常に問題ですし、球団側におそらく報告せずに内密に済ませようとしたということも非常に問題になってくる可能性がある
・アメリカではすでにスキャンダルの状態で、かなりセンセーショナルに報じられている可能性が非常にあるということで、もしかしたら本当に選手生命の危機になってしまう可能性も出てきている
・本人(大谷)が悪いことをやっていると思っていないから非常に残念な話でもあるし、そういう人を身内に起用してしまった脇の甘さもあると思います
・なかなか気づかないもんだし安心してしまうもんだとは思いますけれども、これを機に人をあんまり信用しすぎないということを覚えることも大事なのかな
・翔平選手にとって良い方向に進めばいいですが、最悪の場合、卒業(退団)されてしまう可能性もゼロではない
これが、4月13日には自身の動画で次のように語りました。
・僕もさすがにそこまで、税理士でも何でもそうですけど、 自分の銀行口座……。いくらお金に興味ないって言ってもですね、さすがにそこまで見ないで任せっきりになってるっていうのは、ちょっとビックリだったです。それぐらいはしたほうがいいかなと思いました
・いや、もしね、 銀行口座1ヵ月でも2ヵ月でも1回、自分の銀行口座チェックしてれば、ねぇ?一平さんもお金を盗むことは多分なかったと思うんで。そこはちょっと任せっきりというか、あまりにも気にしなさすぎなのかなっていう気もしなくもないです
・こういうこと言うと、『日本の大スター大谷に対して失礼だ』とか『お前と違って金の亡者じゃねえんだ』とか言われるかもしれないですけど、『さすがにそれぐらいはチェックしようよ』って思いました。
・日本のですね、この古びたというか、古くさい、人権無視のですね、司法制度を改革してほしいなというふうには思いました。
やはりというか、この堀江氏の発言には反発の声も多々あがりました。この13日の動画のコメント欄には《とりあえず謝罪はしようか》《他人に謝罪すらできない大人が人の口座管理にケチつけてると聞いて》との声が相次いで寄せられました。

これに対し、堀江氏は《水原一平の銀行詐欺の件についての動画上げたらまたコメ欄が炎上してんな。こういう奴らがうざいから日本のマスコミはまともな事言えないんだろうなぁ。。》とツイートしていますけれども、そうなったのは自身の発言が原因であって、マスコミとは関係ありません。

最初に、借金の肩代わりをしていた可能性が高いといったことに対する、謝罪文も謝罪の言葉もなく、自分の考えを披歴しただけです。掌返し以前の問題ではないかと思います。




5.自分と同じように相手も考えるとは限らない


今回の騒動について、シンガー・ソングライターさだまさし氏が15日までにスレッズを更新し、次のように述べています。
・一平ちゃんの訴追で、一気にアメリカの報道が手のひら返しをした。大谷くんを疑い、ピート・ローズと同じように扱ったことを詫びる記事があちこちに出た。酷い間違いだった、と
・ある意味潔い。一切大谷くんを疑っていなかった我々から見たら、最初からその傾向の報道に対して憤りを感じていたが、それでもなんだな、アメリカ、謝るだけ立派だよ
・これ日本の報道者の学ぶべき所。何かの事象が起きた時に、必ず人は自分の浅はかなロジックの中にそれをはめ込んで収めようとする。自分で利口だと思ってる人は自分のロジックに自信があるだけ、先走る傾向があるのよね。で、日本人の一部は、間違っていても決してまともに謝ることなんかできないのね。これは潔くないねえ
・警鐘を鳴らす、あるいは疑問を呈することと、想像上の罪を断ずることは全く次元が違う話だってこと
・自分でも肝に銘じる。言葉に気をつけよう
全く、その通りだと思います。確か地政学者の奥山真司氏が、ロジックを考えるときの一つの罠として、相手も自分と同じように考えると思い込んでしまうこと、と指摘していたような気がしますけれども、さだまさし氏の「人は自分の浅はかなロジックの中にそれをはめ込んで収めようとする」という指摘はこのとおりだと思いますし、堀江氏の「自分の銀行口座くらいはチェックしようよ」というのは、まさに堀江氏のロジックを大谷選手や視聴者に当てはめようとしているのではないかと思います。

そもそも、大谷選手の同僚でドジャースのグラスノー投手は、アスリートは出来る限りストレスを避け、いちいちお金のことを気にしていたくないから、全部信頼する人に任せる、自分はノータッチという人が殆どで、口座の金が減っていることに気づかないのは普通だと語っています。やはり、メジャーリーガーはアスリートであって「金の亡者」なんかではないようです。

それ以上に、さだまさし氏がいう「謝るだけ立派」という姿勢が、日本のマスコミに殆ど見られないというのは、これはこれで問題だと思います。 なぜなら、正邪を分かつことをせずに、うやむやですませてしまったら、対策の打ちようもないからです。当然、そこからの発展も望めないのではないかと思いますね。





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