波乱の東京15区補選

今日はこの話題です。
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1.東京15区補選


4月16日、衆議院の東京15区、島根1区、長崎3区の補欠選挙が告示されました。

裏金問題で自民党に大逆風が吹く中、幕開けから早くも波乱含みの展開を見せています。

特に東京15区補選では小池百合子都知事の学歴詐称疑惑が再燃する中、自民党が乙武洋匡氏の推薦をしないと方針転換。情勢は混迷を極めています。

当初は、「都民ファーストの会」を母体に国政進出を目指す政治団体「ファーストの会」の全面バックアップを受けた乙武候補に自民が相乗りして推薦し、圧勝するのではないかと囁かれていたのですけれども、公明党の支持母体である創価学会女性部が、過去に女性問題のあった乙武氏を応援できないと猛反対。応援を取り付けることは出来ませんでした。

告示まで1週間を切った10、11日、永田町に与野党の情勢調査の結果が出回り始めたのですけれども、自民党の調査では、立憲民主党の酒井菜摘氏が18ポイントでリードし、次点の維新・金澤結衣氏が15ポイント、乙武氏は11ポイントで三番手となるという衝撃の結果となりました。自民党関係者は「まさか乙武氏にここまで悪い数字が出るとは」と漏らしたそうです。

公明党の調査でも、酒井氏13ポイントに対して、乙武氏10ポイントと詰め寄っているが、維新調査では酒井氏15.6ポイントに対して、乙武氏7.5ポイント。維新調査では酒井氏15.6ポイント、維新・金澤氏10.2ポイント、日本保守党・飯山陽氏9.2ポイント、共産・小堤東氏7.8ポイントの後に7.5ポイントで乙武氏とこちらでは5番手に沈んでいます。

時を同じくして自民党内では乙武氏の推薦見送り論が浮上。翌12日には正式に見送りが決まりました。自民党が発表したコメントでは、理由を「本人から推薦の要請がないこと」「選挙区である江東総支部から党としての推薦を出さないでほしいとの要望があがっていること」などとしていますけれども、本音は「乙武氏を推薦して選挙戦で敗れるくらいなら、不戦敗のほうが良い」という思惑があったのではと囁かれています。

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2.連合としては容認できないと判断する


前述の情勢調査の2日前の4月8日、共産党の小池晃書記局長は記者会見で、新人の小堤東氏の擁立を取り下げ、立憲民主党の元江東区議で新人の酒井菜摘氏を支援すると発表しました。

小池書記局長は、「岸田政権に厳しい審判を下す選挙で、何としても勝利しなければいけない」と説明しつつも「あくまで例外的な対応だ」と、次期衆院選での候補者調整とは直接関係しないとの認識を示しました。

これで、10、11日の情勢調査時よりも酒井氏に共産のポイントが上積みされていくことが予想されるのですけれども、これに待ったを掛けたのが、立憲と国民民主の支持母体である連合です。

4月18日、連合の芳野友子会長は記者会見で、東京15区補選に言及し、立憲民主党新人が共産党から支援を受ける構図に関して「連合としては容認できないと判断する」と表明しました。

会見に先立って、連合は中央執行委員会を開いたのですけれども、ここで連合東京が15区での自主投票を決めたことを報告。芳野会長は会見で、連合東京の判断を「受け止めることになる」と説明しています。

自主投票に至った背景には、立民、国民民主両党の対応が分かれたという事情があります。国民民主は立民新人の支援には回らず、小池百合子東京都知事が支援する乙武氏を推薦しました。

このように、連合にとっては、支援先が2つに分かれたことに加え、共産が独自候補を取り下げて立民新人を支援すると決めたことについて、国民民主が不満を露わにしました。

4月9日、国民民主の玉木代表は会見で、憲法や安全保障を巡る共産との見解不一致を問題視し「共産と調整するということになると、その枠組みに参加しづらくなる」と指摘しています。

実際、連合は、次期衆院選の基本方針に、「異なる社会の実現を目的に掲げる政党から支援を受ける候補者は推薦できない」と、思いっきり、共産を念頭に置いた文言を盛り込んでいます。

このように、連合は15区での共産との選挙協力を否定し、支援先の立民、国民民主両党に対し一貫して「共産切り」を促していることから、共産切りができなければ、連合の支援が受けられなくなるリスクを負う可能性も出てきました。


3.支持率急上昇で注目を集める飯山陽


では、候補乱立の東京15区はどうなっていくのか。

前述の情勢調査に従えば、立民の酒井氏がトップを走り、維新の金澤氏、乙武氏が追う展開になるかと思われますけれども、それ以外に注目したいのが日本保守党の飯山陽氏です。

自民、公明の10、11日の調査ではわずか2ポイントしかない飯山氏ですけれども、なぜか維新調査では9.2ポイントと酒井氏、金澤氏に続いて3位につけています。

日本保守党には、これまでも多くの保守支持者が支援の声をあげていたのですけれども、告示日の16日、一色正春氏、長谷川幸洋氏、石井孝明氏、くつざわ亮治氏ら著名人が続々と飯山氏への支持を表明しています。

ネットに上がる飯山氏の街頭演説動画は"黒山の人だかり"状態で、その人気ぶりが伺えます。

ただ、先述した維新の調査以外の情勢調査では、飯山氏の支持は2ポイントで最下位です。維新調査の結果はともかく、やはり、組織を持たない新人候補である飯山氏は、ここら辺りが現実なのかと思いきや、ジャーナリストの門田隆将氏は告示直前(4/13〜14日)の自民党調査結果を入手したとして、X(旧ツイッター)にツイートしています。

それによると、飯山氏は10.9%と、酒井氏の30.9%、金澤氏の11.9%に次いで3位に急上昇。門田氏は自民党内でも注目が集まっているとコメントしていますけれども、これが本当であればすごいことです。

門田氏の件のツイートには、組織票の威力に驚く反面、投票率を上げれば勝てる、というリツイートも殺到していて、かなりの盛り上がりを見せています。
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4.一勝か全敗か


現在、裏金問題で揺れる自民党ですけれども、それでも、昨年12月の江東区長選、今年1月の八王子市長選で辛勝を重ねることができた裏には、小池都知事との連携があったと指摘されています。

今回の東京15区補選でも、小池都知事と協力することで勝利を収め、なんとか面目を保とうと算段しているとは、かねてから指摘されていました。

ところが、乙武氏の推薦見送りで、東京15区は不戦敗。長崎3区も裏金問題で政治資金規正法違反に問われた谷川弥一元衆院議員の地元ということから、擁立を見送り、ここも不戦敗です。

結果、自民が候補者を立てたのは島根1区のみとなってしまっています。

けれども、その島根1区も、裏金問題の一番の標的となった安倍派の元会長である故・細田博之前衆院議長のお膝元です。つまり、裏金問題と完全に無関係とは言えないことから、現状では、自民候補が立憲候補に対して苦戦を強いられています。

現在、支持率が低迷しきっている岸田政権ですけれども、島根1区で敗れれば求心力はさらに低下し、今年9月に予定されている自民党総裁選で引きずり降ろされる可能性も囁かれています。

実際、裏金議員への自民党処分によって不平不満を抱える元安倍派の議員たちからは岸田総理への怨嗟の声が挙がっており、解散させずに総裁選で引きずり降ろそうとする動きも起き始めていると言われています。

一方、島根1区で勝利し面目を保つことができれば、総裁選に先駆けて今国会中に衆議院を解散し、総選挙に打って出るのではないかとも見られているそうで、「自民党が有利か不利かより、首相のうちに自身の手で解散を打てるかどうかだけ考えているのではないか」とか、「岸田首相は6月に解散するつもりだ」との声も上がっているようです。


5.鍵を握る票の上積みと投票率


今の情勢では、東京15区は立民の酒井氏が大きく優勢となっているのですけれども、公示前の4月10日、嘉悦大教授の高橋洋一氏は夕刊フジZAKZAKで、東京15区補選の予測記事を書いています。

記事の一部を引用すると次の通りです。
【前略】

自民党内政局が招いたカオスだ。選挙戦の行方を予測するのは現段階では困難であるが、あえて大胆な前提でやってみた。有権者数43万人で投票率6割、25万票の争奪戦となる。

乙武氏の基礎票は昨年区長選の得票率から10万票程度だろう。しかし、収賄などで有罪判決が出ている元職の秋元氏に3万票食われ、公明党支持者から2万票が逃げると5万票となる。自民党内のガタガタぶりもマイナスで、小池氏の応援も期待薄と筆者はみている。

酒井氏は、共産党と一本化して、基礎票は昨年区長選から6万票程度だが、須藤氏に2万票食われると4万票となる。

前述のように秋元氏が3万票、須藤氏が2万票とすると、残り11万票を金澤氏、吉川氏、飯山氏で分けることとなる。吉川氏が1万~3万票とみれば、金澤氏が4万~5万票、飯山氏が4万~5万票と考えられる。

いずれにしても、乙武氏、酒井氏、金澤氏、飯山氏が4万~5万票という「だんごレース」になる公算が現時点では高い。もちろん最終的な投票率にも依存するが、乙武氏がすんなり勝利とはいかず、まれに見る大混戦になるだろう。

仮に乙武氏が負けた場合、自民党は長崎3区は不戦敗、島根1区も厳しい。裏金問題の処分も自身に甘いという批判とともに「岸田降ろし」が始まるかもしれない。

高橋洋一氏が予測する東京15区の選挙情勢 立候補予定者(年齢) 得票予想

立憲民主党・酒井菜摘(37) 4万
日本維新の会・金澤結衣(33) 4万~5万
参政党・吉川里奈(36) 1万~3万
日本保守党・飯山陽(48) 4万~5万
無所属・乙武洋匡(48) 5万
無所属・秋元司(52) 3万
無所属・須藤元気(46) 2万
つばさの党・根本良輔(29)

※敬称略。8日時点の高橋氏の予測を元に作成。有権者数約43万人、投票率60%を想定
この予測は4月8日に行ったとのですけれども、連合が立民と共産の協力に反対していることを考えると、今はもう少し違っているかもしれません。この高橋氏の予測で想定している有権者数43万人、投票率60%を借りて、先述の門田隆将氏は告示直前(4/13〜14日)の自民党調査結果の支持率を掛けてみると次の通りです。
    支持率 得票数
酒井(立) 30.9% 79722
金沢(維) 11.9% 30702
飯山(諸) 10.9% 28122
乙武(無) 8.3% 21414
須藤(無) 5.5% 14190
秋元(無) 4.4% 11352
吉川(参) 3.6%  9288
高橋氏の予測での、金澤氏以下7候補の得票数から大体一律5000票程度を削って、その分酒井氏に乗っけた感じです。高橋氏は、酒井氏の基礎票が6万票と述べていますけれども、それを基準にすると、共産と一本化しても2万票くらいしか伸びてないことになります。

となると、団子レースになるかどうかは、酒井氏の票がどの程度「伸びない」か、あるいは投票率が60%を更にどこまで超えてくるのかに掛かってくるのではないかと思いますね。



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